2011年2月6日

viva

金曜日、その学位審査の内部審査員を体験したので備忘録として。

学位審査のことをUKではvivaと言う。

UKの他大学は知らないけど、僕がいてる大学では3人の役員?がまず指名された。

一人目はexternal examiner。他大学のその道のプロ。vivaでは中心的役割を果たす。

convenorはvivaの進行役。ベテランPIだったけど、分野は違っても良いもよう。質問をするとかではなく、とにかく進行役。

そしてinternal examiner。学内審査員。学位論文を読んで、viva中、external examinerの援護射撃?というか質問をPhD候補者にたくさん浴びせる。さらに、学位論文修正の監査役も勤めるもよう。今回このinternal examinerに指名された。

PhD候補者は、同世代PIのラボの学生さん。その同僚は3年くらい前に独立したばかりで、今回の候補者は記念すべき第一号の学生さんだった。

時系列としては、まず12月上旬頃だったか、同僚からinternal examinerしてくれない?と依頼を受ける。

おそらく数人のうちの一人なんだろうと思って、即答でOK。

いろいろ聞いていくうちに、上述のような構成でvivaが行われることが判明。

学位論文は、年末頃受け取れるだろうと聞いてたけど、実際受け取ったのは1月中旬。しかも270ページの長編論文。。。

毎日少しずつ読んで、2週間くらいで読み終わりプレレポートを提出。形式はよくわからなかったので、とりあえずpeer reviewみたいな感じでレポートを提出。

そしてviva当日。

まずvivaを仕切る上述3人が12時過ぎごろ集まった。

external examinerはUCLのPIで、わざわざ日帰りでロンドンから来てくれた。convenorの人はホントに司会だけが仕事みたいで、学位論文すら読んでなく、とりあえずexaminer二人でどうvivaを進めるか少しだけ打ち合わせ。

問題点はシェアできてたので、打ち合わせは5分くらいだったか。

それからconvenorの人が候補者を呼びに行って、vivaスタート。

はじめconvenorの人が、儀式として、「もしもbiologicalに駄目だと思ったらいつでも言って休憩して良いから」と。。。

あとはexternal examinerさんがリードしながら進んでいった。

まず大きな観点から質問を始めて、学位論文のコンテンツに踏み込んでいくという感じで進む。候補者は別にプレゼンするわけではなく、質問にとにかく答えるという形式。

2時間くらい続いたか。

一通り質疑応答が終わった後、候補者には一旦部屋から出てもらい、3人でどう意思決定を下すか話し合った。

あらかじめ用意されたチェック項目があって、それをパスしてたか答え、最終結論。

最終結論はいくつかカテゴリーがあって
1.ぶっ通し
2.minor revision
3.major revision
4以下はほぼreject
といった感じ。

2に。(お約束?)

examinerがフォームにサインして、候補者に結果を伝えられ、総括的なコメントを伝える。

最後に、候補者、そして候補者のPIも加わって少し話をする。同僚PIも喜んでいた。

新しいDr誕生。


ちなみに、external examinerさんと一致した感想としては、学位論文は穴が多かったけど、viva中の応答は非常に良く、そのギャップが大きかった、ということ。

なので、そのギャップを埋めるべく、学位論文をしっかり修正して、論文として発表すべき部分はしっかりして、良いサイエンティストの道を歩んで行って欲しいところ。4月からのポスドク先も決定しているもよう。

と、そんな感じのvivaでした。

USの時にいてたラトガーズでは、internalのコミッティーは3,4人。外部者が一人で、まずトークがあって、その後はcloseの”defense”だった。

一方、僕が体験した日本での学位審査は、一日に数人候補者がいてる状況だったので、スケジュールをこなす、という感じだった。一人あたりの時間も30分くらいだったか。日本の「博士」の重さと相関しているといえば相関している。。。

と、国によっていろいろ違うんだなぁ、と改めて思った。

USでは、候補者のご両親が当日来られ、結果がわかった後パーティー、という感じだったけど、UKではそこまで重くなく、viva後は、学生さん同士でちょっと騒いでるくらいでオフィシャルなパーティーは別に企画されてない。日本とUSの間、という感じ。

今回担当したinternal examinerはそれなりに負担があった。学位審査を引き受けた以上、いくら分野が少々違っても論文を完全に理解して質問を用意しないといけない。最後は、どう学位論文を手直しするか監督しないといけない。

今回読んだ学位論文、ホットな分野だけど僕はほとんど知識を持ち合わせてない分野だったので、えらく勉強になった。一方、質問が的を得てるか確信を得るため、わざわざpubmedで最近の文献もチェックしたりしたので、それなりの時間はかかった。

けど、これはサイエンスの活動の一環だし、意外とエンジョイできた。これなら、これからも引き受けて良いかも?

一方、external examinerになると、経験がいりそうだから、まだまだ僕には無理。。。

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