2012年11月4日

バックアップ


今週一番気になったニュースはSandy関連。
知り合いのラボでも甚大な被害が出たそうで、かなりショッキングだった。研究リソースの復旧には、お金だけでなく、年単位の時間が必要なものがある。例えば大学院生の人たちなんて、研究人生が変わってしまったのではないかと思うと、ホントに気の毒。。

いろんな関連記事の中で、ロングアイランドのコールド・スプリング・センターでのバックアッププランを紹介した記事は興味深かった。ここでは、バックアップが機能し、被害は最小限だったとのこと。ただ、予備電源がどの程度「予備」として万全の対策を講じられていたか、この記事だけからはちょっと不明。

リスク対策は研究所レベルの話もあるけど、データのバックアップなど日常的な話でもあるので、しっかり考えておかないといけない。実際、1年くらい前、うちの大学でも火事があったし。。。

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今週のネイチャーのエディトリアルも、ショッキング。
森口という虚言者のウソを読売が裏も取らずに報じて事が大きくなり、山中教授のノーベル賞に泥を塗ってしまったことに対し、日本のメディアをバッシングしている。日本のメディアだけでなく、日本そのものをバカにしてるようにも思える。バッシングだけならともかく、報道のごくごく初歩的・基本的なことまで書かれている。。。

ここまで書かれる日本の科学技術メディアって、、、と思うが、これだけ書かれても、良くなると思えないところがさらに悲しい(そもそも新聞社の関連記者・編集者は、毎週ネイチャーを読んでるのか?)。しかも、多くの人達はその低レベルなメディア記事で科学技術の情報を手に入れることが多いわけだから、問題は根深い。一方、インターネットのおかげで良質な情報を得ることは可能だから、その意味では、二極化が加速しているのかも。

その記事で、iPS-cell maniaという言葉が出ている。今回のバブリーな盛り上がりは危険。reprogrammingというコンセプトがひっくり返ることはないけど、iPS細胞が病気の治療手段としてどれくらい役立つか、希望を超えたところでは誰も確定的なことは言えないのではないんだろうか(しっかり裏は取ってないけれど。。)。

日本ですごい研究をしている研究者は他にもいるんだから、もっとリスクと希望は分散させないと。。。バックアップとしても。。。

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最後は、またまたスコットランド独立関連ネタ。
最新の記事として、改めてEUからダメ出しをもらったもよう。。。まだ遅くないから国民投票やめたら、と思うが、Salmondは聞く耳持たんのだろう。。ノー・バックアップ。disaster気味。。。

4 コメント:

F さんのコメント...

日本の大衆向け科学雑誌が続々と廃刊・休刊してますからね。低レベルな科学記事を書く新聞が唯一の情報源なんて人はいっぱいいそうですね。不幸な時代です。
Webでも一般向けの情報ページは誰にも校閲を受けてないような記事がいっぱいありますよね。
放射線関係なんてひどくなる一方です。

職に困っているPhD持ちがいるんだから、メディアは積極的に良い人材をそこから探せばいいのに、と思ってます。

私もそんなにできのいい人間ではないので、そうなったらどっか拾ってくれないかな~。

Shuzo さんのコメント...

確かに博士がもっと活躍できると良いのでしょうね。

大学院時代にジャーナリズムを学ぶ機会がもっともっと増えると、仮にアカデミアに残ったとしても論文を書いたりする時に役立つように思いますから、一石二鳥だと思います。

0次郎☆ さんのコメント...

またNature誌に思い切って叩かれたものですね。でも実際、日本のメディアの科学記事はこれだけ書かれても仕方がないぐらいひどいと思います。自分もあれぐらい言いたいです。
読みながら思ったのですが、Nature誌の記事は日本の報道に疑問を持つ日本人記者が書いたのではないでしょうかねえ。

Fさんの、博士取得者をジャーナリストとして迎えるというのはグッドアイディアだと思います。記事に書いてあるような裏付け作業は博士取得者には造作もないことですから。実際アメリカでは研究現場を離れたPhD取得者が大衆向けの科学雑誌や新聞の編集に関わっていることが多いのではないでしょうか。

以前に北大獣医の後輩が大学院見学に基生研に来たのですが、その後急に方向転換して日経のジャーナリストになったことを思い出しました。博士取得者ももっとそういう就職口があってもいいと思います。

Shuzo さんのコメント...

0次郎☆さん、コメント サンクスです。

私がいてるUKでもPhD取って報道系に進んでいる人は実際いてるようです。ただ、それはそれで別の才能がいるみたいで、競争もそれなりにあるのかも。。。(雇う側としては、教育にお金をかけるほど余裕はないだろうから、即戦力的な才能のある人でないと雇ってもらえないだろう、という気もします)

個人的には、大学院の時からブログなんかで自分を試す・鍛えるのはありかな、と思います。今の時代、情報発信・収集は簡単にできるわけですし。

英語の良い記事を読み倒せば、どういうスタイルが良いか何となくテンプレートみたいなものもできてくるのでは、と思います。逆に言うと、日本語のひどい記事ばかり読んでいると、できるテンプレートの質も推して知るべしとも。。。問題の根は深いですね。。。