2016年2月21日

EU referendum キックオフ

EUとUKの交渉が成立し、David CameronさんがEU referendumは6月23日と正式にアナウンス

閣僚レベルですら立場が分かれていて、文字通り国を二分した議論で盛り上がるもよう。

こちらにポイントがまとまってます。

個人的にはEUに留まって欲しい。

ビジネスサイドはよくわからないけど、少なくとも大学は、EUからの人たちをはじめ移民にかなり支えられている。スタッフはもちろん、ポスドク、大学院生、多くのレベルで移民に支えられている。ビザの煩わしさなしで優秀な人材がEUから集まっている。

Brexitの場合、中長期的に大学の質が悪くなることはあっても、良くなる状況を想像できない。中国のように、海外で活躍している国民を呼び戻すような戦略をとれない限り。そもそも海外の大学へ行くような人たちは少なそうだから無理。

自分の研究室のレベルでは、メンバーの多くはEU国民で、もし将来、そういう人たちが来にくくなると、ラボ運営が非常に難しくなる。

研究費に関して。EUのグラントはまだもらったことがないけど、スイスやイスラエルなどの例を考えれば、Brexitの場合でも、アクセスできないことはないはず。が、UKは一番お金を獲得しているので、他のEUの国は黙っていないだろう。キャップがつくなどのリスクはあるのか?

研究関連の物流については、むしろUSから物を買ったりしてることが多いので、個人的にはあまり影響はないような印象。

プライベートに関しては、もともと英国民ではないし、何も変わらない。

と、スコットランド独立の時より、2択の差は微妙な気がしている。なので、いくらDavid Cameronさん自らEUに留まるキャンペーンをはっても、これから4ヶ月、状況次第では、Brexitのリスクも多々あるように思う。

ちなみに、スコットランドでは5月5日が議会の総選挙なので、スコットランド内、いろんなキャンペーンの情報が錯綜して盛り上がりそうです。

2016年1月10日

Lost in translation

Sofia Coppolaによる2003年のちょっと古い映画。Netflixで鑑賞。

「響」のCM撮影のため東京滞在中の映画俳優と、カメラマンの旦那に付いて同じく東京滞在中の新妻の話。

見る立場によって解釈が完全に変わりそうな非常に興味深い映画。細かい展開にかなり違和感(安っぽい映画感)を感じたけど、ストーリーとしては非常に面白かった。funnyという点でもネタがいろいろあったし。。lipとripのネタとか。。。(どう日本語訳したのか興味あり)

海外在住の日本人の一人としては、日本に来る外国人の気持ちがそれなりに分かる一方で、いわゆるステレオタイプ的な日本をピックアップし過ぎで、もう少し日本の良い面を描く演出があっても良かったかな、とちょっと複雑な気分に。

日本滞在経験のある外国人は、うんうん、あるある、と頷きながら大ウケするんだろうなぁ、と想像するとちょっと腹が立たないでもない。。。

けど、もし日本に短期でも滞在する予定の人がいたら、ぜひこの映画を薦めてみたいし、日本を外から見るとこうも見える、ということに気づいてもらう意味で日本人にも(cautiously)薦めてみたい映画。

逆バージョンで、日本人が日本以外の国の文化・慣習の異質性に違和感を感じまくる日本映画を作ると良い憂さ晴らしになるかも。仮に言葉がわかる英語圏でもたくさんネタはありそうだし。。。

ようは、この映画は、異国文化を受け入れられない二人を描いたロマンス・コメディ。

2015年12月31日

2015年

今年印象に残っているメジャーなニュースは、ギリシャ財政危機、難民問題、パリのテロ事件、冥王星探査、COP21、そしてイングランド北部での洪水。多くは2016年中にも進展がいろいろありそうか。

エルニーニョ(+気候変動)の影響で来年は今年より暖かくなるらしく、UKでは、冬、強風・大雨でまた甚大な被害が出るのかも。実際、昨日、グラスゴーで降ったタイプの雨は、日本ではあっても、UKに来てから見たことなかったかも。おそらく世界的に大荒れの一年になるのだろう。経済に関しても、中国やオイル、そして新興国絡みでいろいろ荒れそう。

UKの研究に関しては、今後5年間はインフレーションに応じて研究予算を増やしてくれるようで、チャンスが減る、というリスクは回避でき期待。そのためには、結果が問われる2016年となりそう。

その研究、自身の研究について。
論文として出たのは3つ(これこれこれ)。年明けにもう一つ出て、もう一つは査読中。コラボでも何でも良いから、このペース+数報で最低出し続けたい。グラント獲得は、大き目のものを一つ、中型一つ、超小型一つゲットと次第点。数百Kのものを毎年1つは狙いつつ、2年に一個のペースで当てられるとラボがしっかり回ってくれる。(そうでないと厳しいマネージメントに・・・)
先日のシンポジウム開催は非常に良い経験になって、来年はFENSのシンポジウム。こういう経験を積めるのはありがたい。
ということで、研究については、アピールできる点も一応あり良い一年のように見える。が、足元は依然極めて厳しい。。。2016年は非常に重要な一年に。

研究以外の大学関連について。
ティーチングは手の抜き方がわかってきて、負担量・負担感が大幅に減ってきた。けど、これ以上頼まれたら、NOと言いたい。立場としては、4月にSenior Lecturerへ。同世代でReaderなりProfessorとしてバリバリ頑張ってる人たちはたくさんいてるので、もっと頑張らないといけません。

プライベートについて。
今年最大のイベントは永住権取得。ビザの心配をする必要がなくなり、子供手当て的な社会保障も普通にもらえるようになって、ようやく一人前に。ファイナンスに関しては、家や車絡みで細かい支出があって悩ましい。。VATがボディーブローとして家計の負担になってる感が強い。。。今年、ホリデーらしいホリデーは夏の数日だけだったけど、来年は、春一時帰国し、夏はFENSに絡めて北欧方面を旅行予定。今後、数年間の旅行プラン(希望)を練ってみたけど、お金と時間がとにかくいります。。。

2016年のテーマは「集中」。

NOというべきこと・時はしっかり言い(もしくは無視し)、やるべきこと・やりたいことに資源を集中投入していきます。

2015年12月13日

Leverhulme Trust

昨年から5連敗中のグラント申請。
何とかLeverhulme Trustからサポートいただけることになったので、その経過を備忘録的に。

Leverhulme Trustは90年前にWilliam Leverの遺書に基いて設立された財団。William LeverさんはLever Brothersという会社の創業者で家庭用石鹸を初めて製品化したらしい。

自然科学だけでなく、人文系や芸術系にも幅広くサポートをしているUKの財団。

いくつかスキームがある中、コアのスキームはResearch Project Grantというスキーム。

最大5年間、500Kのサポートが受けられる。が、過去の受賞者をチェックすると250K 前後が相場で、ポスドクの給料から計算するに3年間が妥当なラインだと思われ、実際、250Kを目安に3年間のサポートをお願いした。

申請手順は2段階制で、まずアウトラインプロポーザルを出し、OKなら2ヶ月以内にDetailedプロポーザルへの招待がある。

Detailedプロポーザルの申請書の分量は普通で、コアは5ページ、他の諸々のペーパーワークを入れると合計20ページほど。ただし、予算案はアウトラインプロポーザルから変更不可なので、アウトラインの時点で、Detailedが詰められてないとダメ。つまり、レディーになった時点で、アウトラインを出す必要がある。そのアウトラインのコアは2ページ。

年3ラウンドあって、9月締めのラウンドに提出し、12月1日に結果を受け取った。結果は、申請者へではなく、まずVice-Deanに文書で知らされ、僕に伝わった(後日、僕にも手紙が送られてきた)。

このスキームはいろいろユニークな点がある。まず、人への投資を重視している点。要求額の75%は人件費に使うという制約。

このスキーム、ストラスクライドで働き出した頃から知ってたけど、人は雇えても設備投資できないとプロジェクトが回らないと思い避けていた。今回は、設備投資はひとまず落ち付いてきて、今一緒に働いてもらってるポスドクとコラボを続けたかったので、ちょうど良いスキームだった。

他のユニークな点として、なぜLeverhulme?かをしっかり書く必要があったり、最終意思決定する人たちは科学者でなかったり、ピアレビューアーをこちらで指名できたり、いろいろユニークな点があった。

「なぜ?」というのがトリッキーで、例えば、BBSRCやMRCではいけない理由をしっかり説明しないといけない。もちろん病気の研究だとNG。つまり、他のグラントオプションの性質をしっかり理解しておいた上で書かないといけない。

過去の受賞対象研究を見てると、神経科学の受賞者はあまりおらず、やはりユニークな研究にサポートという傾向が感じられ、かなり厳しい戦になると思ってた。

ただ、Detailedプロポーザルの際、研究アウトラインを説明する項目があって、ここは意思決定時重要、とあったので、分野外の人にもわかるよう、できるだけ情報を簡潔化させるよう努力した。申請書書きのコツがウェブのいろんなページに散りばめられていたので、home workは必須。

ちなみに、ピアレビューは、レビューアーからのコメント(の一部?)が意思決定前に来て、1ページ以内でレスポンスせよ、という比較的軽めだった。レビューアーには仲の良い、かつプロポーザルの研究に近いことをしている海外の研究者お二人にお願いした。この人選も重要なポイントだったのかも。Conflict of Interestsは関係ないもよう。。。とにかくお忙しいところレビューしていただいたお二人には多謝です。

ちなみに、似たプロジェクトでMRCにもアプライしたけど、ピアレビューでボコボコにされ、最終審査にすら進めなかった。。。

改めて、グラントは敵を理解した上で数打てば当たる、と感じた。。。

ということで、これから3年間、しっかり頑張ろうと思います。

2015年12月12日

シンポジウム in 東京

一週間前になりますが、東京へ。今回は、シンポジウムのco-organizerとして。

イベントとしては、素晴らしいスピーカーの方々に来て頂き、進行そのものもうまく行って、非常に刺激的で良いイベントでした。ただ、質が高かった分、もっと多くの人たちと情報をシェアできると更に良かったのかな、という反省点もありますが、とにかく良い経験をさせてもらいました。

ノーベル賞受賞者の利根川先生や、おそらく近い将来ノーベル賞を取るであろうGeroさんとお話ができたのは良い思い出になりました。利根川先生とは一緒に写真も撮れたし。。

以下、詳細を。

2日朝にグラスゴーをたち、アムステルダム経由で成田へ。
3日昼過ぎに宿の庭のホテルにチェックイン。めちゃ良いホテルでした。ここの朝食の和定食、日本食に飢えてる自分には素晴らしく良かったです。

それはともかく、チェックイン後、郵便局へ行ったり、コンビニでお土産を買ったり、アマゾンで注文してた土鍋をピックアップしたりして、午後を過ごす。

この日の夜は、米国時代からの友人とChichukai Uomaruで食事。
外でタバコを吸う人は少なく、屋内はOKという、UKとは真反対なギャップに悩まされつつも、食事はまずまず、会話はいろいろ盛り上がった。メニューはウニをテーマに頼む。それにしても、2020年のオリンピックまでにレストランは禁煙、とした方が良いと思う。海外の人たちはちとがっかりすると思う。せっかくの日本での食事がぶち壊しになる。


翌朝、時差ボケからくる激しい頭痛のため、朝食はトライするも残す。1時間ほど仮眠を取り、9時半からの準備に間に合うように出かける。その時点では体調はほぼ通常の時差ボケモードに。

午前は会場準備で、午後からシンポジウムスタート。
開会の挨拶と利根川先生の紹介と、えらくプレッシャーのかかる仕事でしたが、何とかこなす。自分のトークの100倍緊張した。。。

夕方は懇親会。途中からGeroさん、Luisさんとお話を。やはり日本人中心のイベントだと、海外スピーカーの方が孤立しがち。。。2次会は、スピーカーとコミッティーのメンバーで近くの居酒屋へ。

翌5日、8時過ぎに宿を出て会場へ。
9時半スタートで、何とか全日程無事に終了。

夜は、8人ほどで呑み会へ。
おいしんぼというお店へ。隠れ家的な場所にあって、良いお店でした。
二次会は近くのパブ系のお店へ。
23時半頃までいてましたが、あっという間で、閉店とか気にしないなら、もう少し長くいても盛り上がってたかも。。

翌6日は8時頃チェックアウトして成田へ。JRの一部路線がストップしてた影響で成田エクスプレスに乗れず、ちょっと焦ったけど京成線で何とか成田へ着き、再渡英。

アムステルダムのトランジットは5時間。スキポール、セキュリティーのシステムが完全に変わってて、ヒースローというか他の多くの空港のように一箇所でのセキュリティーになってた。トランジットが短いと厳しいかも。

グラスゴーの自宅に着いたのは6日夜23時過ぎ。(翌日は4時起きで通常営業)

と、短くインテンスで、貴重な体験ができた屈指の一時帰国でした。
国内でいろいろ準備していただいた名大の山中さんに超感謝です。

2015年11月1日

赤肉・加工肉と癌

加工肉は発がん性に関してタバコやアルコールと同じカテゴリー、とWHOが発表し話題になってるので、少し情報収集を。

元の情報は、IARCなるWHO内の癌研究関連の国際組織から。
この組織、物質の発がん性について5カテゴリー設けている。グループ1は「人体への発がん性あり」、グループ2Aは「おそらく(probably)発がん性あり」といった感じ。

今回、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類された。

その根拠として、まずThe Lancet Oncologyに2ページのレポートが発表されたもよう。
これはIARC下のワーキンググループによるレポート。

レポートでは、赤肉・加工肉の定義に始まり、これまでの疫学調査やガン発生のメカニズムについて、引用文献と共に簡潔にまとめられている。素人にもわかりやすく書かれている。

ここで、赤肉は、処理されていない筋肉。もちろん、牛肉・豚肉も含まれ、ミンチや冷凍肉も含まれる。加工肉は、塩漬け・発酵・スモークなど処理された肉。ソーセージやハムなどが代表例か。

加工肉は大腸癌を引き起こす証拠が十分あり、胃癌との関連もあり。
一方、赤肉は大腸癌との関連があり、それを説明できるメカニズムについての証拠もあり、膵臓癌や前立腺癌との関連もある、と指摘されている。

そして、結論として、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類している。

このレポートに基づき、IARCが声明を出し、メディアで話題になった。

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やはり気になるのは、実際のリスク。

この点について、Cancer Research UKが素晴らしくわかりやすい記事をアップしている。

まず、加工肉をたくさん食べると、リスクは17%増とある(IARCのレポートでは18%とある)。

UKでは1000人中61人が大腸癌を発症するらしい。
これを基準に(遺伝的要素等を無視して)考えると、加工肉をほとんど消費しない国の場合56人。
加工肉をたくさん消費する国の場合66人(56人x1.17=66人)という勘定。

つまり、1000人中10人、もしくは100人中1人、余分に大腸癌が発生する、ということらしい。
一方で、加工肉を食べようが食べまいが、100人中5人強は大腸癌を発症することも注目。


次に気になるのは、グループ1にはタバコも含まれるけど、タバコと加工肉の発癌リスクは同じなの?ということ。

タバコを吸うと肺癌リスクが86%増。
加工肉・赤肉消費による大腸癌リスクは21%増。

つまり、4倍もの開きがあり、癌リスク、という点で、タバコと加工肉・赤肉は全然異なる。
おそらく、この辺りが、IARCの分類法がバッシングを受ける所以だと思われる。

ちなみに、このCancer Research UKの記事では、一日最大70g摂取の目安のもある。

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確かに発癌リスクを裏付ける十分な証拠はありそう。だからといって、貴重なタンパク質や、ビタミンB、鉄分、亜鉛の栄養源を完全に断つのはあまり良い選択ではないように思う。とにかく、過剰摂取はしない、ということを心がければ、大腸癌を避けられるラッキーな100人に一人になれるかもしれない。

2015年10月4日

THE 世界大学ランキング 2015-16年版

THEの世界大学ランキングが発表された。
今回の得点算出法はこちらに詳しい。

算出法のアウトラインは2年前のエントリーでまとめている。
その2年前と比べ、今回の大きな変化は、ElsevierのScopusのデータベースをCitationsの算出に使用している点か。

ランキングを見ると、トップの顔ぶれは、ランキングこそ微妙に上下してるようだけど、基本同じ。つまり、どう測ろうが強い大学は強い。

日本のニュースでも取り上げられていたように、日本の大学のランキングは。。。
100位以内に10大学、という目標と逆方向へ行ってる。。。

アジアトップ3は
National University of Singapore (26位)
Peking University (42位)
University of Tokyo (43位)
という顔ぶれ。

「研究は強い」と言われる東大。が、実際のスコアを見ると、ResearchのスコアはNational University of Singaporeより低く、Citationsのスコアはトップ2大学に負けてる。つまり、「研究は強い」という言い訳が通用しない状況。。。

もちろん、International Outlookのスコアが異常に低いから、そこを高める、というロジックはわからないでもない。

が、この項目は、合計スコアへの貢献度は低い。なので、仮にそこを補強してもランキングアップにはそれほど効いてこない。

むしろ、スコアへの貢献度が高く、しかも今まで強かった研究を最優先課題とし、そこをもっと強める戦略を採る方がどう考えても賢い。完全に戦略ミス。

オリンピックの騒動を見てても思うけど、文科省で意思決定している人たちは数字に弱いのでは?という気がする。。。(辛口)

ちなみに、僕がいてるストラスクライド大。今年は401-500位と、北大、九大、東京医科歯科大、首都大学東京、筑波大と同じカテゴリー。

この辺りのカテゴリーになると、100位前後の誤差はありそうなので、ストラスクライドは北大・九大と同レベル、なんてとても言えない。。。

ランキングはマーケティングに使われ、カスタマーでもある学生は、できるだけランキングの高い大学に行こうとするだろうから、高いに越したことはない。

2015年9月5日

欧州難民危機

今週は難民危機が常にトップニュース。以下、備忘録的に情報源をいくつか:

まずはwikipedia。
今回の危機に焦点を絞った記事
シリアからの難民に関するエントリー

BBCのiPlayerを視聴できる場合、昨日放映されたBBCの特集は手っ取り早く状況の深刻さを把握できる。

ガーディアンの記事集
その中から個人的なおススメ記事を。

まず、今週世界を動かした写真以外で、視覚的に問題の一端を知りたい場合、こちらは手っ取り早く、心に突き刺さる。

なぜ今問題が大きくなったか知りたい場合はこちら。トルコにいても未来はない(働かせもらえない)し、大挙してドイツへ、というのは理解できる。

EUの難民受け入れ制度の破綻状況についてはこちら

難民を受け入れるポジティブサイドの一端についてはこちら

そして、最も重要な、個人レベルでできることのアイデアについてはこちらこちら

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UKでは、排他的な右寄り政治、ドネーション文化の充実ぶり、という極端な部分が垣間見れ興味深い。一方、膨大な数の難民を受け入れているドイツは多くの人からリスペクトされている。EU諸国の対応の違いが、ギリシャ財政危機に続き、今後EUに禍根を残すのかもしれない。また、ドイツ的な寛大さが、問題をさらに増幅させるリスクがあるのかもしれないが、助けるべき人たちは助けないと人間的にどうよとも思う。一方、規模が尋常じゃないから、物理的に無理な部分もある。ドイツだって無制限に受け入れられるわけではない。とにかくシリアを何とかしないといけないんだろうけど、すぐに解決するとは思えない歯がゆさ。やはり、政治が動かないと根本的な解決につながらない。

2015年8月22日

UK永住権取得

無事UKの永住権を取得しました。以下、その記録を。

申請時の状況は、Tier 2 (General)のビザで5年滞在(2010年8月から)。僕も含め4人家族。

取得までの概要は
0.下準備
1.Life in the UKテストに合格する
2.英語試験に合格する
3.申請書を作成
4.各種添付書類を用意
5.郵送による申請
6.申請費引落
7.Biometrics登録
8.永住権を認めるレターと証拠文書返却
9.Biometric Residence Permitが届く
という流れだった。

5は8月4日
7は8月15日
9は8月21日
と、申請から永住権発行までは2週間強だった。

ただ、僕の場合、申請書がアップデートされた直後に申請したため、新しいフォームで申請し直すよう指示があった(以下詳細)。けど、そのために処理期間が長くなったかというと、そうでもないかも、という印象。つまり、少なくとも2週間程度はかかるのだろう。

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以下、各ステップの詳細を。

0.下準備
半年前の2月頃、申請に何が必要かウェブでチェックした。こちらこちら

その時点で、時間がかかりそうなのは、Life in the UKテストと英語試験ということを認識。が、それ以上は何もアクションは起こさず。

申請3ヶ月前の5月から少しずつ動き出す。

まず、大学のHuman Resourceの人に相談。
すると、4月に申請費が大幅アップしたことを知らされる。。。いつまたルールが変わるかわからないから、申請できるうちに早くやっておけ、とのアドバイス。

そして、申請書をダウンロードして記入内容を一通りチェック。90ページ位の申請書。。。

改めて、時間がかかりそうなのは、
Life in the UKテスト
英語試験
ということを確認し、申請までのスケジュールを考える。
Dependentである嫁もその2つのテストに合格する必要があるので、関連情報をシェアする。

1.Life in the UKテストに合格する
詳細はこちら
嫁もほぼ同時期に試験を受け、無事合格。
テキストをしっかり勉強するよう何度かプッシュした。。。

2.英語試験に合格する
詳細はこちら
嫁も同時期に合格。嫁は、カウンシルが提供している無料英語クラスに通っていて、そこではその英語試験の内容を想定したクラスだったもよう。いろいろ資料ももらっていた。

3.申請書を作成
こちらから「最新版」PDFをダウンロードして記入。
ビザ更新時のようなウェブベースの記入ではない。。

手書きより電子的な記入の方が見る方も良いだろう、という期待から、Acrobatを使って、PDFを編集。

パスポートサイズの写真2枚ずつ添付する必要あり。写真は自作。

それから、子供のパスポート情報の記入ページを追加したり、旅行歴を追加したりした。
全部で90ページに。

けど、Tier1など、他のカテゴリー用のページが大半を占め、実質、記入したページはその¼ ~ ⅓程度。半日もあればすべて記入可能。

トリッキーだったのは、以前Biometricsを登録した場所と日付の欄。ブログのエントリーとして残してたのが役立った。。。普通、覚えてない。。

それからイミグレーション履歴のページも厄介な部分。
幸い、Google Calendarで過去の旅行をすべてトラックできた。自分の行動を後でトラックできるよう記録しておくと役立つことがある。

4.各種添付文書を用意
若干厄介、というか面倒くさい。
僕の場合、
・写真
・パスポート
・Biometric Residence Permit
・大学からのレター
・UKテストの認定証
・英語テストの認定証
・3ヶ月分のBank Statement
・3ヶ月分の給与明細
・嫁との共住証拠(カウンシルタックスのビル過去2年分)
・義父の葬儀に参列するためUKを離れた期間ある旨を書いたそのレター(自作でOK)
・イミグレーション履歴資料
を添付。

それから、各添付情報のコピーも必要。

少し詳細を。

大学のレターは、6月末にHuman Resourceの人に依頼。すると、イミグレーションの履歴を記入するフォームを記入するよう言われ、それに記入後、研究所長のサインをもらい、パスポートと共に提出。すると、翌日にレターを用意してくれた。

が、7月中旬、レターの内容の誤りがあることが判明。。。
レターの再発行を依頼するも、担当者夏休み中。。。
8月に再発行してもらう。

イミグレーション履歴資料は、イミグレーション履歴の証拠として、丁寧にミニ冊子を作った。
構成は、1ページ目は履歴一覧。出国・再入国と旅行先・目的、そして何ページ目にイミグレーションスタンプがあるかを表としてまとめた。
2ページ目以降は、パスポートの入国スタンプのコピー、ついでにどの旅行か追記。

不要かもしれないけど、もし審査の時に、イミグレーション履歴も細かくチェックされる場合、審査する方は大変だろうから(というか、それで時間をかけてほしくなかったから)、丁寧なものを作った。(印象アップのため)

5.郵送による申請
大学からのレターを再発行してもらった8月4日に、すべての文書類をまとめてPost Officeへ行き郵送。トラッキング情報によると翌5日に配達された。

6.申請費引落
8月7日にクレジットカードで申請費が支払われていた。6Kなり!!(日本ーUK間、家族4人2往復分!!)

7.Biometrics登録
1週間後の8月14日にHome Officeからレターが届く。
本来なら、Biometricsの登録案内だけだと思われる。
翌15日に家族でPost Officeへ行き、登録。
顔写真を撮って、指紋スキャンされ、サインして20ポンド弱搾取されるだけ。土曜日にもやってくれていたのでありがたかった。

が、僕の場合、その登録案内と一緒に、受け取らなくても良いレターも入っていた。。。

そのレターには、申請条件を満たしてないから、10日以内に申請条件を満たすようにせよ、と。さもなくば申請はリジェクトされると脅されていた。。。

その条件とは、最新の申請書で申請せよ、と。

確かに、ウェブをチェックしてみると、申請書が更新されていた。。。申請直前8月3日に。。。(なんとアンラッキーな。。。)

ということで、土曜日15日の朝からオフィスに行って、申請書作りなおし。が、どこが変更されていたのか、わからずじまいだった。。つまり、全く同じ内容でその「新しい申請書」で作りなおし。Biometrics登録ついでに郵送。17日には届いた。

ちなみに、電子的に情報を入力していて助かった。もし元の申請書のコピーがなかったら、手元にパスポート等はないわけなので、記入できないのでは?と思った。。。(冷や汗)

8.永住権を認めるレターと証拠文書返却
8月20日、郵便が届く。

開けるとパスポート類が入っていた。

こんなに早く返却されることは期待してなかったので、もしやリジェクトでは?と、ドキドキしながらレターを読む。すると、Biometric Residence Permitが別途届く、とあった。つまり、永住権が無事発行されたとわかる。

9.Biometric Residence Permitが届く
翌8月21日、カードが届く。クレジットカードサイズのカード。ビザのそれと見た目は全く同じ。

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ということで、数ヶ月かかると脅されていたけど、実質2週間程度の審査期間だった。日本人だからか、Tier2(General)での申請だったからは知るすべなし。

とにかく、これで別の国へ移住しない限り、ビザというストレスから開放されると思うと、文字通り開放感というか何というか、随分気が楽になった。

それにしても、UKの移民制度はUSよりもタフ。
制度は厳しくなり続けると思われるし(つまり、ここで書いた情報もすぐに過去のものに。。。)、申請費もインフレ率の数倍のペースで値上げされていくのだろう。。。911前だったら、今回払った申請費分は豪遊に使えてたのに、と文句を言っても時代が違う。。。

高い申請費を払ってるから、ビザ更新時みたいにせめてウェブベースで申請書を作れたりすると、申請サイドも審査サイドも楽になるだろうに、と思ってやまない。。とにかく、申請をdiscourageするようわざとやっているのでは?と疑いたくなる点が多々あった。

ちなみに、以下がこのブログでのビザ関連エントリー
UKビザ更新
UKビザ取得
H1Bビザ取得
それにしても、どれだけの時間とお金を使ったんやろか。。。

2015年8月8日

UK5年

先週1日をもって、グラスゴーに住み始めて丸5年経ちました。
スコティッシュ・アクセントは未だわかりませんが、それほど不自由もなく(?)暮らしてます。

今週、永住権を申請し、無事受理されれば、今後、ビザ関連で悩まされることはなくなるはず。日本を離れて10年間、ビザ関連に費やした時間、そして何よりもお金は相当な量に。。。

それはともかく、UKに5年住んで思うことをダラダラと書いてみます。

<USとUK>
USとUKはいろんな点で違う。ここでは、「自由」をテーマに。
USの自由さは非常に魅力的だけど、自由な分、リスクは大きい。いろんな点で。

一方、UKでは何となく窮屈感がある。
けど、周りの目を気にしないで良い点は、USのそれに近かったりする。

UKでの窮屈感の原因はいくつかありそう。

第一に、自分が移民、という点。
USの場合、殆どの人が数百年以内の移民ということもあってか、移民に対する感覚が違ってた。一方、UKの場合(おそらく多くの欧州の国の場合)、移民絡みのダークサイドが顕著。ここ最近のCalaisの問題はそのダークサイドの一つ。「自分も移民」ということから肩身の狭さを感じることがある。

第二の窮屈感の原因は、何かにつけ安全対策だろ、正当化だろ、すぐ言われる点。もちろん、多くのケースで筋が通ってるけれど、「自由」が軽減される分、窮屈感につながる。

第三は、移民の話とオーバーラップするけど、マイノリティー感。ロンドン(とその周辺)を除くところでは、東アジア人は非常にマイノリティー。むしろ、それが良い、と思うこともあるけれど、しばしばそのマイノリティーという点を気にすることがある。窮屈、というより疎外感的なものに近いかも。

4つ目は気候。晴れが少ない分、開放感が自然と減る。服も軽装になる機会が少ない。例えば、グラスゴーの今年の夏は、最高気温15度前後の日ばかりで、夏があったのかわからないくらい。冷夏で雨が多かった。。。冬と今の時期と、家で着てる服が変わらなかったりする。。。季節感超薄。。些細なことのようでも、無意識的な部分で作用を及ぼしてる気がする。

<歴史と文化>
歴史と文化の重み・厚みはさすが。
「スコットランド」そのものの歴史はそれほど長くないけど、イングランドを中心としたGB全体の歴史は密度が濃い。建物からもそれを感じられる。

文化に関しては、UKに住み始めて音楽を聴く機会が圧倒的に増えた。
ブリティッシュ・ミュージックのレベルの高さを改めて感じる。例えば、子供と同じ曲を楽しむ状況は、日本だったら想像できなかったかも。毎週iTunesでランキングをチェックしては、気に入った曲をたまに購入、なんて状況は想定外だった。

<政治>
USとは違うけど、レベルは高い。選挙時期は、ジェラシーを感じる。なぜなら、日本のそれとは格段に違うし、自分に選挙権はないから。
一方で、労働党がしっかり立て直してこないと、バイアスのかかった政治になって、よろしくない。何事もバランスは大事。

スコットランド独立の件、先週またホットトピックになってた。来年のスコットランド内の選挙に向けてまた盛り上がるのだろう。けど、少なくとも先5年は、国民投票はない(とキャメロンさんが保証してくれた)。

国民投票どうこうより、昨年の今頃いろいろ議論された独立国としての実装的な部分の議論が進んでいないのは、ちょっと残念。SNPはまずそういう足元を固める戦略を採るべき。

<格差>
格差はUKでも肌で感じれる。USほどでないにしろ。住む地域が格差の指標の一つになってる点はおそろしい。。

一方、日本同様、世代間格差が問題になってる。政治の問題として扱われるケースもある。非常に難しい問題。

昨今必要とされている人材のハードルの高さというか、昔の多くの職との質的な違い、そして教育の現状(つまり時代の変化についていってない)を考えると、世代内での格差はますます広がるだろうし、世代間の格差も、状況は悪くなることはあっても、良くなる状況は想像できない。経済だけでなく、気候変動の問題もあったりと、非常に大変。

ちなみに、UKと日本を比べると、人口構造のいびつさは日本のそれほどではまだない。子供がまだ生まれている。サポートする社会体制もそれなり。日本はどうなるのだろう。。。

<セキュリティ>
個人レベルのセキュリティとしては、もちろん住む場所に大きく依存するのだろうけど、非常に安全。日本のそれと大差ない、というのが過去5年間の感覚。

ヤバい人はオーラを出してるので、この点はUSに近い。銃がない分、さらに良い。ただ、女性の場合は、必ずしもそうではない。一方、「痴漢」の話は聞いたことがない。

国レベルでは、それなりの体制は整ってるようなので、突発的なテロを考えないなら、おそらく日本より安全なんだろうなぁ、という気はしている。USとの関係も、日本とUSの関係とは違って健全というか対等というか。ただ、グラスゴーのすぐ近くにトライデントがあるので、実際ドンパチが始まると、最悪の場合、グラスゴーは住めない場所になる大きなリスクはある。ドンパチより、アクシデントがもっと怖いか。。。

<科学>
まずグラント制度。
制度としての質は比較的高い。もちろん、分野外の人も評価する分、宝くじ的な余地があるけれど、ダメならダメな理由を後で教えてくれる。それなりに納得のいくロジックを教えてくれる。

ピアレビューも、論文審査のそれほどではないにしろ、しっかりやってる。そのコメントは申請者に返ってきて、研究者のレベルを高め合ってる。

申請書もそれなりに詳しくプランを練らないと書けないようになってるから、1300億の予算なのに、実は2500億もかかるような提案があっさり通ることは少ない。つまり、お金の使い方も、意思決定前にそれなりに吟味される。通っても、無駄な部分は削るよう言ってくる。実績がある点(つまり良いCV)はもちろんプラスに働くだろうけど、それだけでは決まらない。プランがどれだけ実行可能かしっかり見てくる。完璧ではないにしろ、プロフェッショナル。思うに、この制度のおかげで、GDP当たり先進国最低レベルのサポートでもUKのサイエンスが高いレベルを保ってる一因になってるのだろう。他の国も学べる点はあると思う。

UK主導で変えようとしているアカデミアの文化もある。オープンアクセス。
UK内では、この勢いはもう止まらない。問題は他国がどれくらい追従するか。雑誌の淘汰が進むだろう。

一方、大学に目を向けると、いくつか(たくさん?)問題がある。大きな問題は、伝統的な部門構造。USのように、一人のスタッフが複数の部門に所属する、ということは聞かないし、部門そのものが非常に古臭い。新しい分野が出てきたから、柔軟に新しい部門を作って、、、ということがおきない。

なぜか?

ここ数年でわかってきたことは、学内だけではなく、外部組織との関係からその硬直性が出ていそう、ということ。特に、授業のカリキュラムは、外部団体(名前は覚えてないけど)の規定に沿ってる必要があるようで、制度が非常に官僚的。特に教育に関して、イノベーションが起きにくい構造になってる。この構造上の問題がUKとUSの決定的な差につながってる。歴史が足かせになってる典型例。一方、お金がある場合は、新しい研究所を作って、そこで先端研究・企業連携を推進する、というケースもあるのはある。

<教育>
住む場所を選べば、無料でそこそこの教育を子供に受けさせられるのはありがたい。ただ、最近の記事によると、私立に通ってる人たちは良い職に就きやすい、という統計もあるようで、この辺の格差のハードルはなかなか越えられない。

<交通>
道路について。
roundaboutがすばらしい。右直事故そのもののリスクは根絶してる(そもそも「直」がないから)。どういう背景で導入されたか知らないけど、もし交差点の事故を減らすためだったとしたら、考案者は賢すぎ。日本にどんどん導入すべき。交通死亡者も減らせるだろうから、お金の投資価値がある。うまく説明すれば、国民の理解も得られるはず。はじめは慣れずにミニ事故が増えるかもしれないが。。。

一方、電車で長距離移動は考えたくない。USよりはマシだけど。。。その点、日本はホントすごい。

<その他>
いろんなところでフリーWifiがある。バス、電車、お店など。旅行者にとってはとてもありがたいサービスだと思う。オリンピックを開催する日本も見習って欲しい。

と、日本やUSとの比較から、普段思ってることをダラダラと書いてみました。