2011年2月26日

ライティングコース、スタッフミーティング

今週火曜日に、アカデミック・ライティングのコースがスタート。隔週で開催され5月中旬頃まで。

英語能力の中で死活問題になるのはやはりライティングだから、その辺は藁にもすがる思いで何でも良いから役立つことは学びたい。

このコース、元ジャーナリストの人とライティング関連のPhDをとるために仕事をしている中年女性二人が教えてくれるコース。

学内からいろんな分野の人たちが生徒として参加していて、全体で15人くらいのコース。

基本的には、各自on goingの書き物を仕上げていく、というリーズナブルなアサインメントで、補足的なアサインメントも最小限で良い感じ。

一回目は、導入ということもあって、参加者の自己紹介、コースの概要説明に大半の時間が割かれた。参加者の中には、教科書執筆中という人もいてた。

後半、フリーライティングなるものをやった。

お題は「このコースで取り組みたい課題」で、5分間手書きで文字通りフリーに書いていくというもの。ちょうどブログを書くような感じか。

その後、フリーライティングに関するdiscussionになった。その逆のまずアウトラインをしっかり決めてから書いていく戦略との対比などが話題になった。ボトムアップとトップダウンという感じか。

フリーライティングは、全く筆が進まない時は良いかもしれないけど、グラント申請書や論文書きでどれくらい機能するんだろう?という気はした。まぁ、人にもよるところも大きそう。

同じ日の午後には研究所内のアカデミック・スタッフ・ミーティングなるものがあって参加。PIと言ってもかなりの数がいてるから、セミナー室がそこそこうまるくらいのミーティングだった。

研究所長だけでなくdeanさんも参加して大学の現状報告的なミーティング。

メイントピックはやはり財政関連か。

学内で100ポスト削減する必要があるらしく、僕がいてる学部でもそれなりの負担は不可避とのこと。。。定年退職で抜ける分もあるらしいけど、それ以外をどうするか協議中らしい。probationary periodの我々にも試練が待ってるのやもしれん。とにかく、クビをきられてもできるだけ早く次の職を見つけられるよう業績を残さないと生き残れん。なかなか厳しいけど、企業の場合、寝耳に水的に大量解雇とかあるだろうし、こういうご時世ではそういうものとして受け入れてfitnessを上げていくしかないのだろう。

今週他には、知らない間に来週火曜に来るお客さんのための紹介スケジュールに10分プレゼンを入れられていて、「それ聞いないし」という理由でnoと言ったり(noと言えた!)、今秋からの学生さんリクルート関連の仕事があったり、グラント申請書の仕上げフェーズに入ったり、花粉症か風邪かよくわからない状態になって体調が優れなかったりといろいろありました。

最近は日も長くなってきて、寒くない日が増え、二日実験・三日デスクワークというペースで働いてます。

それから、今日一応tax returnのfileを電子申請。もし問題なければ昨年アメリカで払いすぎてた分、戻ってくるはず。

2011年2月20日

UKの大学院

木曜日、大学院のヘッドの人から、大学院生リクルートに関していろいろ話を聞いた。この1,2ヶ月で大まかな流れがわかってきたのでちょっとまとめてみます。

UK
では、基本的には学生さん自らお金を当てて来るか、ボスがstudentshipを当てて、そこから学費・給料・一部の研究活動費をまかなう。

特徴は、studentshipの制限か。

一部の
studentshipはビザのいらないUK居住者のみ、UKEU居住者のみ、という制限があって、例えばインドや中国からアプライがあっても、そのstudentshipを使えない。それから学費の額も違ってくるので、結構やっかい。


学生の候補者を募集について。
大学なり研究所のウェブ、もしくはfindaphd.comで宣伝をするのが普通らしい。findaphdは、膨大な宣伝が掲載されているのに、検索機能が充実しているとは言い難いので、宣伝する側・ラボを探している側、両者にとって使い勝手が悪い。非常に。

ということで、僕の場合、
FENSでも宣伝してみた。そしたら一気にアプリケーションが増えた。しかも神経科学のバックグランドを持ってる人たちから。他にはUKの神経科学学会BNAでも宣伝できるらしい。が、まだBNAの会員になってないので、まだ載せてない。NeuroJobsなんかに載せても良いのかもしれないけど、お金がかかるし、とりあえずのところFENSは無登録のまま簡単に掲載できるので、これで十分な気もする。

宣伝してアプリケーションから候補者が絞れたら、うちの研究所の場合、エントリーサイトにサブミットしてもらい、スタッフが資格チェックをするらしい(ちゃんと修士を取ってるかどうかとか)。

そして、インタビュー、オファーという流れ。

大学院生活そのものは、基本的には10月1日スタート。

大学院に入ると、基本は
thesis提出が大きな目標だけれども、研究者として基本的なノウハウとなるトピック(プレゼンとかレポート書きとか)をいくつか学ぶもよう。

基本は3年。

studentship
は3年だったりするから、3年でPhD取れるよう、ボスとしてもいろいろ工面するのだろう。

ちなみに、その
studentshipは、アカデミアどっぷりというのももちろんあるけど、企業とのリンクを重視したものが結構多い。PhDのキャリアパスを多様化させる狙いもあるのだろう。そういったstudentshipでは、あらかじめ企業を特定して、その企業に負担金を一部お願いするケースもある。その場合、3年ではなく、4年、という場合もある。

UK
全体のものもあれば、スコットランド独自のstudentshipもある。

FENS
で宣伝し始めて1週間。想像以上にアプリケーションがきてる。みんな同時にたくさんアプリケーションを送っているとはいえ、ありがたい話。ぜひとも共に研究してくれる良い人材を発掘したいところ。

2011年2月12日

闘い

ここ2週間、UKの神経科学業界では暗いニュースが続いている。

まず、ファイザー工場閉鎖。

ヴァイアグラを開発した工場らしく、文字通り萎えるニュース。やっぱりこの手の製薬会社の研究所が閉鎖されると神経科学にもそれなりのインパクトがあるもよう。実際、製薬会社とコラボしているという人はいてるから、その辺とのリンクがなくなると、金銭的なサポートはもちろん、成果を薬開発などにつなげる道がさらに遠くなる。

二つ目はBBSRC(UKの生物系研究をサポートする政府機関の一つ)の神経科学予算削減のニュース。

BNA(UKの神経科学学会)を中心に、今週アピール活動が盛り上がり、昨日・一昨日は各種メディアでも取りあげられていた。僕はまだ学会メンバーになってなかったけど、一応アピール・メールを送った。こういうのは、とにかく一人でも多く参加しないといかん。ちなみに、ホントかどうかしらないけど、30強のラボが閉鎖されるインパクトがあるらしい。。。(一方で、もう一つのMRCの神経科学予算、実は増えはする)

とにかく、こういう厳しい時は、目的を見失わずしっかり仕事をしないといけません。

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ということで、火曜日にグラント申請。

今回のはスコットランド内のグラント。年2回公募があり、前回は研究所で少なくとも2人当てていた。額は少ない。

事務所はグラスゴー市内。歩いて事務所まで行って申請してきた。14部分の申請書が封筒に入らなかったので。。。

crossed fingers...

ちなみに、これで申請中グラントは4つに。
春までにあと2つ申請予定。
とにかく全滅だけは避けねば。

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火曜日午後、probationary periodに関するミーティング。

2週間前に自己評価的なペーパーワークをやって、それについて、メンターがコメントするという主旨。

半年しか経ってないのに一回目のレビューだから、レビューもへったくれもない。

とりあえず、頑張ろう、くらい。。。

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木曜日は二つ重要イベントが。

まず午前中、Wellcome Trustの人二人が研究所でトークしてくれた。とりあえずNew Investigator Awardsを目指さないといけないのだろうが、申請書を書く暇があったら、しっかりラボを軌道に乗せることに専念しないといけないな。

ちなみに、万が一当てられたら年間最大400k強、7年間というサポート。flexibilityを強調していたので、どんな目的にもお金を使え腰をすえた研究ができるもよう。とりあえず、独立して5年間チャレンジできるので、良い目標。

夕方前に、隣の研究所に行って人と会う。

相手は3人。

今回会った人たちの情報は、グラスゴーに来る直前、Deanさんから教えてもらいぜひとも会いたいと前々から思っていたグループ。数日前に僕からメールを書いたら、良い返事がきてついに会えた。(ナンパ成功!)

相手も僕のことをすでに知っていたようだった。短い時間だったけど良い会話ができた。

コラボに発展しそうな雰囲気。

モチベーション俄然アップ。

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昨日、ようやく学生募集広告がfindaphd.comなるサイトに掲載されたもよう。

UKかEUの学生なら学費全額支給のプロジェクト。スタートアップ資金の一部。

はじめてこういう立場になるわけだけど、ジョブ申請書は、公募に合わせてしっかりカスタマイズしないと駄目なんだろうな。。。空気を読んで答えるように。。。

2011年2月6日

viva

金曜日、その学位審査の内部審査員を体験したので備忘録として。

学位審査のことをUKではvivaと言う。

UKの他大学は知らないけど、僕がいてる大学では3人の役員?がまず指名された。

一人目はexternal examiner。他大学のその道のプロ。vivaでは中心的役割を果たす。

convenorはvivaの進行役。ベテランPIだったけど、分野は違っても良いもよう。質問をするとかではなく、とにかく進行役。

そしてinternal examiner。学内審査員。学位論文を読んで、viva中、external examinerの援護射撃?というか質問をPhD候補者にたくさん浴びせる。さらに、学位論文修正の監査役も勤めるもよう。今回このinternal examinerに指名された。

PhD候補者は、同世代PIのラボの学生さん。その同僚は3年くらい前に独立したばかりで、今回の候補者は記念すべき第一号の学生さんだった。

時系列としては、まず12月上旬頃だったか、同僚からinternal examinerしてくれない?と依頼を受ける。

おそらく数人のうちの一人なんだろうと思って、即答でOK。

いろいろ聞いていくうちに、上述のような構成でvivaが行われることが判明。

学位論文は、年末頃受け取れるだろうと聞いてたけど、実際受け取ったのは1月中旬。しかも270ページの長編論文。。。

毎日少しずつ読んで、2週間くらいで読み終わりプレレポートを提出。形式はよくわからなかったので、とりあえずpeer reviewみたいな感じでレポートを提出。

そしてviva当日。

まずvivaを仕切る上述3人が12時過ぎごろ集まった。

external examinerはUCLのPIで、わざわざ日帰りでロンドンから来てくれた。convenorの人はホントに司会だけが仕事みたいで、学位論文すら読んでなく、とりあえずexaminer二人でどうvivaを進めるか少しだけ打ち合わせ。

問題点はシェアできてたので、打ち合わせは5分くらいだったか。

それからconvenorの人が候補者を呼びに行って、vivaスタート。

はじめconvenorの人が、儀式として、「もしもbiologicalに駄目だと思ったらいつでも言って休憩して良いから」と。。。

あとはexternal examinerさんがリードしながら進んでいった。

まず大きな観点から質問を始めて、学位論文のコンテンツに踏み込んでいくという感じで進む。候補者は別にプレゼンするわけではなく、質問にとにかく答えるという形式。

2時間くらい続いたか。

一通り質疑応答が終わった後、候補者には一旦部屋から出てもらい、3人でどう意思決定を下すか話し合った。

あらかじめ用意されたチェック項目があって、それをパスしてたか答え、最終結論。

最終結論はいくつかカテゴリーがあって
1.ぶっ通し
2.minor revision
3.major revision
4以下はほぼreject
といった感じ。

2に。(お約束?)

examinerがフォームにサインして、候補者に結果を伝えられ、総括的なコメントを伝える。

最後に、候補者、そして候補者のPIも加わって少し話をする。同僚PIも喜んでいた。

新しいDr誕生。


ちなみに、external examinerさんと一致した感想としては、学位論文は穴が多かったけど、viva中の応答は非常に良く、そのギャップが大きかった、ということ。

なので、そのギャップを埋めるべく、学位論文をしっかり修正して、論文として発表すべき部分はしっかりして、良いサイエンティストの道を歩んで行って欲しいところ。4月からのポスドク先も決定しているもよう。

と、そんな感じのvivaでした。

USの時にいてたラトガーズでは、internalのコミッティーは3,4人。外部者が一人で、まずトークがあって、その後はcloseの”defense”だった。

一方、僕が体験した日本での学位審査は、一日に数人候補者がいてる状況だったので、スケジュールをこなす、という感じだった。一人あたりの時間も30分くらいだったか。日本の「博士」の重さと相関しているといえば相関している。。。

と、国によっていろいろ違うんだなぁ、と改めて思った。

USでは、候補者のご両親が当日来られ、結果がわかった後パーティー、という感じだったけど、UKではそこまで重くなく、viva後は、学生さん同士でちょっと騒いでるくらいでオフィシャルなパーティーは別に企画されてない。日本とUSの間、という感じ。

今回担当したinternal examinerはそれなりに負担があった。学位審査を引き受けた以上、いくら分野が少々違っても論文を完全に理解して質問を用意しないといけない。最後は、どう学位論文を手直しするか監督しないといけない。

今回読んだ学位論文、ホットな分野だけど僕はほとんど知識を持ち合わせてない分野だったので、えらく勉強になった。一方、質問が的を得てるか確信を得るため、わざわざpubmedで最近の文献もチェックしたりしたので、それなりの時間はかかった。

けど、これはサイエンスの活動の一環だし、意外とエンジョイできた。これなら、これからも引き受けて良いかも?

一方、external examinerになると、経験がいりそうだから、まだまだ僕には無理。。。

2011年1月30日

半年

グラスゴー生活がスタートしてちょうど半年。
これまでの経過等を。

大学関連
超スローペースで進行中。及第点のものもなくはないけど、総合的には当初予定より数ヶ月の遅れがすでに発生。とにかく、この遅れがさらに大きくならないようにしないといかん。

以下、カテゴリーごとに:

研究
比較的順調(?)なのはプロジェクト・ライセンス。
大きなトラブルもなく進んでいて、もしかしたら2月中に独立プロジェクトの承認がおりるかも。ちょうど今週、ホームオフィスのインスペクターが来て、提出中の申請書についてフィードバックをもらった。概ねポジティブ・レスポンスで、指摘もマイナーだった。インスペクターさんとはこれから仲良くやっていかないといけないだけに、良い人で良かった。それにしても、UKのパーソナル/プロジェクト・ライセンス、噂以上にタフだった。

グラント申請については今3つ返事待ち。とにかくコンスタントに出しつつ、失敗から多くを学び、勝率を少しでも上げ、writing力向上に努めないといけません。

肝心の研究プロジェクトは、大学の物品購入システムに慣れるのにえらく時間がかかってストレスフルな日が続き、遅れの最大要因に。注文されてると思ってたものがされてなかったり、注文するために学部長を巻き込んでプッシュさせたり。。。とにかく次の半年、研究以外は極力手を抜き挽回をはからないといけません。

教育&アドミン
今のところ何も義務はない。だけれども、来た当初、教育関連のコースを受けた。それはメチャ勉強になった。今年10月から何かしらスタートする雰囲気だから、夏ごろから準備で少し忙しくなるのかも。。。効率良く準備する方法を身に付けないといけない。

その他
多くの仕事で、事務系の人や同僚のサポートが必要。この半年で、誰に何を聞くと良いかだいぶわかってきた。あと、人によってペースが当然違うから、そのペースをあらかじめ織り込んで仕事を依頼するタイミング・仕方を考えていかないといけない。

ちなみに、普段の生活のリズムも固まってきて、朝はバスで論文を読みながら通勤し、朝2ブロック、午後1か2ブロックで仕事をこなして、帰りのバスで新聞読んで、夜寝る前にまた論文を読む、という感じ。論文を読む量は以前より増えたか。

それにしても、日々のメール量が以前に比べ格段に上がってて、それをどう裁くかは要工夫。


生活関連
グラスゴーそのものは住みやすい。街はきれいで都会で便利。白人以外の割合はやはり少ないけど、親切な人が多い。ただ、喫煙率が異様に高く、年配の女性も普通にスパスパすってる。。。気候については、12月の寒さはシャレにならなかった。けど、1月は0~8度くらいのレンジで推移してて、寒すぎ、ということはなかった。雪も1日くらい少し降った程度。これが平均的な冬みたい(そう信じたい)。一方で、天気のダイナミックさはすごい。地面が乾く、ということがない。。。

以下、カテゴリーごとに:

住居
住居として選んだClarkston。車で10分程度のところにショッピングセンターが複数あって、徒歩範囲に学校、銀行、簡単なお店が揃ってて便利。大学まではバスで40分くらいと遠いけど、もう慣れたか。

言葉
スコティッシュ・アクセントはこの半年で少しフィルターみたいなものができつつあるかも。たまにスコティッシュ英語のハルシネーションが起こるようになってきた。5年も住むとスコティッシュアクセントでトークしたりし始めるやも知れない。。。それにしても、わからん人はホントわからん!幸い、研究所ではブリティッシュ英語率が高いから大きな問題はないか。

ちなみに、英語力はグラスゴーに来てから、というより、一年前のジョブインタビュー・ネゴシエーションから勘定すると随分レベルアップした感覚はある。というか、コンプレックスが随分と解消された、という感覚。トラウマも積極的に耐えると少し克服されるという行動療法があるけど、それに近いのかもしれない。どうしても克服しないといけない弱点も正面向いて闘うとそれなりに改善される?

文化
UKのことをろくに知らずに住み始めたけど、USとえらく違うことが多くてカルチャーショックが続いている。見た目は同じ人たちなのに、こうも違うのか、と。。。日本とUSが座標軸の両極にあるとすると、UKは日本寄り。なので見た目に惑わされてはいけない。僕個人の性格的には、US的な良い意味でテキトーなところが居心地は良いのかなぁ、という気はする。一方、USの悪い意味でテキトーな部分は、winnerでないと厳しいからその辺は日本やUK的なところが良い。例えば、医療に関しては、お金があるならUSで質の高いものを受けられるのだろうけど、そうでない、もしくは中途半端なポジションなら、UKや日本みたいに最高は期待できなくても、最低限は期待して良いというのは悪くない。ちなみに、その医療は日本の方が絶対良いです。。。体験としてまだ悪例はないけど、新聞を読んでるとUKのひどさはたくさん伝わってきてる。「free」というのはやはり問題なのだろう。

その他
政治に関しては、今のところ悪い印象は受けてない。もちろん、良い国か?と聞かれたら、yesとは答えないけれど。財政について、もう手遅れかどうかはともかく、とりあえず問題に立ち向かう姿勢は伝わるし、政治家のローカルな利益にこだわって、足を引っ張り合って全体の利益を見失う、ということは、少ないというか、例を今挙げてみろ、と言われても僕は挙げられない。けど、最近話題になってるガソリン代の高騰、早急に何とかしないと、みんな動かなくなって、経済の足を引っ張るのは確実だろう。ガソリン満タンに50ポンドなんて払ってられない。エジプト絡みでさらに上がってるみたいだし。。。

家庭レベルの生活費について。子供の学校がタダなのはありがたい。一方で、地方自治体へのタックスがそれなりにかかったり、VATは20%。住居費はUS生活時よりは安い。トータルの出費は同じくらいか。物価はポンドが安くなった分、聞いてたほど高くない。来た当初は数年後に家でも買えたら、と目論んでたけど、もうやめた。家賃は捨てるようなものというけど、家みたいな大きなものを買うリスクをいろんな観点から勘定に入れると、トントンかむしろマイナスかなという感じ。それよりお金は別の使い道を考えた方が長期的には良いかな?と、今は考えてる。

子供の教育については、イングランドよりスコットランドが良いらしい。ただ、他の先進国や香港や韓国などに比べるとUKの教育は良くない、という統計上の話。少なくとも相対的な質がここ数年で悪くなったもよう。大学も来年から授業料が上がるから、タレントはどんどんUSへ流れる方向に向かうのだろう。ちなみに、うちの長女はまだP1(日本でいうなら年長さん)だけど、すでにいろんな一般常識的なことを日々学んでるもよう。4,5歳から義務教育がスタートするのは良いことだと思う。日本語については、土曜日に日本語補習校に通ってはいる。大きくなるにつれ、この辺は親もますます努力しないといかんのだろう。

最後に移民の受け入れについて。UKは排他的。中国やインドから優秀な人材をどんどん受け入れて国力を上げようというより、国内の人材で賄いたいというニュアンスが非常に強い(教育が悪かったり、若者の非雇用率が異様に高い、という数字が出ているにも関わらず)。ビザ制度もさらに厳しくなっていく感じで、2年半後の更新時どうなるんだろう?という不安はある。以前、制度を変更してから労働ビザ系は一気に厳しくなって、カナダとかに流れが変わったという話を聞いたことがある。新聞では、ビザで来たものの働いていない人たちが多い、ということを根拠に移民制度を強化せよ的な論調も見受けられる。少なくとも、USより排他的なのは確実。一方で、個人レベルでは、少なくともスコットランドでは、それに関して特別嫌な思いをしたことが今のところなくて、上述のように人々は非常に親切。この辺のギャップにはまだ戸惑いがある。

だいたい主なことはコメントしたか?そんな半年でした。

2011年1月22日

内、3タスク

日本では「若者が内向き過ぎてケシカラン」、と「最近の若者は・・・」論の最新版として一部の年配が若者を攻撃(?)しているとか。。そんなことを助長してるマスコミの「内向き」を直すことこそ優先順位が高いのに・・・と思う今日この頃。

内か外かは、結局バランスの問題だから、その両方を天秤にかけてさえいれば、傾向なり数字として「内」の結果が出てもなんら問題ない。日本がそれだけ良い国だという指標にもなる。

研究者に関して。

昨年、若い人たちの前でトークした時。トークの初っ端「どれくらい留学したい?」と聴いたら8割くらいの人が手を挙げていた。

躊躇なく。

もちろん、そういう主旨の会だったからそういう若者が集まったのかもしれない。けど、外を向いている、あるいは内外バランス良く考えている人たちは確実な数いてる。英語がうまい人も多い。

問題は、彼らを取り巻く環境。僕が昔そうだった様に、海外へ行く場合、金銭面の壁が大きいと思うから、その辺をサポートする体制がもう少し整えばもっともっとみんな海外に行く(行ってしまう)と思う。それから、海外にはポスドクの公募が結構な数あったり、日本にいた時は聞いたことなかったフェローシップなんかもあって、チャンスはそれなりにはある。もしもっと海外に若手研究者を送り出したいなら、その辺の情報を伝えるだけでも、数は増えるだろう。

ただし、「海外へ行け・行く」と言う場合、それが目的になってしまったら、特に研究の場合、本末転倒。日本ではできない良いサイエンスができるからこそ海外へ行くべきで、留学アリキだったら単に海外旅行の延長でしかないし、おそらく失敗する。

海外旅行ではない、ビザのいる海外生活にはそれなりのコミットメントがいる。

それはともかく、この一週間のまとめ。

まず研究以外のタスクを3つ抱えてた。

一つ目は、10月頃からスタートしてた研究キャリア関連コースのアサインメント提出締切が昨日だった。そのアサインメントは2つ。1つは2500字レポート(5ページ)。もう一つはグループ活動やら個人活動レポート。

こういうのはトップを目指す必要はないからとにかく単位さえ取れればOK。なので、大して読み返すこともせず出来た時点で送った。このコース、2回目のソーシャルスキル関連のセッション以外、学ぶことがなかったな。。。probation periodをクリアするのに一定の単位を取ることが課せられてるから仕方なく、、、という感じ。浪費した。。。

二つ目のタスク。これは同僚のラボの学生さんの学位審査。UKではdefenseとは言わずvivaというらしい。形式も全然わかってないのにinternal examinerなるものを引き受けることに。

年末に学位論文をもらえるときいていたのに、実際もらったのは今週頭。

300ページ弱もある超大作。。。(引き受けたことを後悔した。。。)

とりあえず、学位論文をもらった翌日から、朝はこの「図鑑」の読破に割いてます。。。

内容は、神経科学とは言えど、普段のアンテナ外だから、ほぼno backgroundの状態で一からお勉強。けど、それがかなり面白いというか文字通り勉強になっている。自分の研究とどうリンクを作るかという思考実験みたいなことをする良い機会になってるし、これからジャーナルをチェックするときのアンテナが広がった。そう思わないとやってられんといえばそうか。。。

こちらは来週末レビューレポートを提出し、再来週末そのvivaなるものがあるらしい。

最後のタスクは、昨日突然振ってきたもの。年が変わったから2010年活動レポートを提出しないといかんらしい。。。昨年、一部の部門で試験導入され、今年から全学導入。大学のストラテジーにスタッフのパフォーマンスを沿わせる意図があるのだろう。これでホントに全体のパフォーマンスが上がるなら良いけど、もしそうではなかったら、意味もなく根付かせる前にやめるべきだろう。

この手の締切が設定されてるタスクは午前にこなし、午後は研究関連。

当面、実験計測システムはLabVIEWをメインに使っていくことにしてる。プログラムができない学生さんが入ってきた時に備え、LabVIEWでシステム構築しておこうという目論み。というのは、LabVIEWはプログラムを学ぶ敷居が低く、自分のやりたい実験へカスタマイズしやすいから。元ラボではmatlabとLabVIEWを組み合わせててほぼ同じものをLabVIEWだけで作り直すから、短期的には時間のむだかもしれないけど、上記の理由でLabVIEWへ移植中。やっぱり制御・計測に関してはLabVIEWだといろんな遊びが簡単にできるから良い。

グラント書きは、小規模のものを3つ作成中で、その一つを仕上げて学内処理へ。来週中には送れるか?

二つ目も来週中には学内へsubmitできそう。

今は就活のように数打って当てる戦略を採用中。強いCVならじっくり勝負できるんだろうけど、、、

そんな、いろいろやってる割には実質何も進んでいない一週間でした。

2011年1月16日

Peter’s Seafood & Grill

車で10分くらいのEast Kilbrideにあるシーフードレストラン
ウェブ上の評判が良かったので昨晩行ってみた。

パン屋やコインランドーの並ぶミニ商店街(?)の一角。外見は派手じゃないから、何も知らなかったら入るのを躊躇するような雰囲気。いわゆる「隠れ家」的レストランというと聞こえは良いかもしれない。

比較的こじんまりとしてるけどきれいな店内。

アジア系、だけどバリバリのスコティッシュアクセントで話す親切な店員が席に案内してくれた。オーナーの奥さんなのかもしれない。親切な方だった。

pre-theatreの時間帯だったので安くコースを注文でき、大人二人と長女の3人分、コースを頼む。オードブル・メイン・デザートのコース。

シーフードレストランなのでメインはシーフード系を頼む。

オードブルからデザートまでフレンチ系のアレンジで美味かった。長女の頼んだスモーク鯖の乗ったリゾットがかなりいけた。デザートも僕が頼んだチーズケーキはアメリカンに甘かったけど、嫁さんの頼んだpuddingは良かった。

ホントはこのレストランには年末の結婚記念日に行く予定で予約してたのだけれども、次女が熱を出して当日キャンセル。そのリベンジとして昨晩行った。

できれば月一くらいでこういう外食するのが今年のNew Year Resolutionsの一つ。

次女がもう少し大人しくしてくれればの話だけれども。。。

ちなみに、このレストランはきれいなだったけど、キッズフレンドリーなアットホームな雰囲気でもあった。

モジュール5

UKの「プロジェクト・ライセンス」関連の話題。

カナダにいてる元同僚とメールでやり取りする機会があって、ついでにプロジェクト・ライセンスのプロセスの大変さをグッチっても、「そんなもん、アメリカにいてた元ボスから『プロトコール』の原稿をもらってコピペすればえぇんちゃうか」と、その本当の大変さを理解してもらえない。。。

そのプロジェクトライセンスは、30ページ強の申請書作成から始まり、学内倫理委員会の会議でフィードバックを仰ぎ、訂正後承認を受け、最後はUKの政府機関Home Officeへ提出、政府からの承認を得て始めて発行される。

ライセンスなしでプロジェクトをスタートするのはイリーガル。

ようはプロジェクトをスタートするためのビザのようなもの。

経験上、米国やUKのビザより手間隙かかる。。。

もちろんUKにいてるというのもあるし、このプロセスは必要、ということに最近ようやくコミットしてきた。

僕の場合、9月頃だったか、11月に開催予定の学内倫理委員会をターゲットに設定し、申請書を本格的に作成しはじめた。いろんな待ち時間も結構長かったけど、年明けになんとかすべてのプロセスをクリアして今週Home Officeへ提出。

ここからさらにHome Officeからクレームがついてリバイスしライセンスが発行されるとのこと。だいたいアプリケーションを準備しはじめてから半年は見ておく必要があるらしく、僕のケースもだいたいそんな感じで進んでいる。

そのペーパーワークに加え、モジュール5なるコースを受けることも義務付けられてて、それを今週木・金曜日に受けてきた。

ホントは12月上旬に予定されてたけど、寒波のおかげでそのコースを担当している人たちがロンドンから来れなくなって急遽キャンセル。

が、なんとか再スケジュールしてくれ、今週開催された。

このコースでは2日間拘束されるのだけれども、両日午後は法律の説明という感じでえらく退屈だった。

一方で、勉強になることもあった。まず、初日午前前半の倫理。これは歴史を知る上でえらく勉強になった。2日目午前の実験デザインと統計。これもなかなか勉強になった。

それ以外の時間帯は、講師も内容に対して情熱が一切なく悪循環レクチャーだった。

パーソナルライセンスも含め、これで一連のモジュールはすべて受けたことになる。

UKは良い意味でも悪い意味でも極端なポジションにあるのが良くわかった。

日本はその対極にある。

実際、このコースのレクチャー中、1つのスライドに各国の制度を比較した表が登場。20くらいの規制項目を先進国で比較していて、UKではすべて「yes」だったの対し、日本はほとんどが「no」だった。。。米国や他のEU諸国は中間だった。

が、個人的には、だからと言って、日本ではみんな倫理観が低いかというと、僕は必ずしもそうは思わない。一例ではあるけど、米国やUKで動物慰霊祭なんてきいたことないし、日本には日本なりの良い点もある。おそらく、日本と欧米の違いは宗教・思想などの歴史的な文脈の違いによるところが大きそうだから、その結果として法律・制度が違うのは仕方ない。

ただ、法律がどうこう以前に、研究で動物を使わざるを得ない場合、一度はその辺のことを知っておくべきなんだと思う。あと、研究者に対する教育システムはあっても良いように思う。例えば、よく登場する3Rを念頭に置きながら研究をはじめるだけでも違いを生むと思う。それから、ウェブで明らかにその辺の配慮が欠けた情報を流す研究者がいたりする。それはとても悲しいし、明らかに倫理観に問題がある。そのことには気付いて欲しい。研究者以前のヒトとして。

一方で、逆の過度な主張(つまり過激な動物愛護)をして特定のターゲットを攻撃する場合、できればその主張の反対側の思想的な部分(なぜ研究に動物を使わざるをえないのか、使う場合どういう配慮をしながら技術向上や数を減らそうとしているかといった部分など)や、研究以外(例えば、食料関連からペット産業まで)でどれほど動物の自由・命が人によって失われているかそういう事実を知る必要があるのだろう。

そういうことを知った上で、どういう立場をとるかは個人の自由だと思うし、そうして初めてどちらかの立場を主張する正当性が生まれるんだと思う。もちろん、今Aという立場をとってるから、それを正当化するために理論武装するのもあって良い。とにかく、昔から続いていて少なくとも当面は解決することのない大きな問題だから、まずは両者を知ることがお互い理解しあうスタートポイントなんだろう。

2011年1月15日

グラスゴー・ニューロサイエンス・デー

グラスゴーで神経科学関連の研究をやってる大学は3つある。グラスゴー大を筆頭に、僕のいるストラスクライド大、あとカレドニアン大。その3つの大学+アルファの神経科学者たちが集まるミニ学会が水曜日開催された。

場所はカレドニアン大。市の中心にあるブキャナン・バスターミナルのすぐ裏手にキャンパスがあり、きれいな建物だった。ストラスクライド大からは徒歩10分ほど。

ミーティングの形式はシングルトラックのオーラルセッションで、休憩・ランチ時間にポスター時間が割り当てられてるよくある形式。

オーラルは学生からプロフェッサーまで15分か30分の枠でトーク。

最後に、British Neuroscience Associationの次期プレジデント(?)に選ばれてるNutt氏がUKのdrugs政策について1時間トークしてくれた。政治家が「サイエンスする」ことがよくわかったりと、メチャ興味深かった。

彼のメッセージは、アルコールを何らかの形で規制していかないといけないし、一部のdrugsが科学的根拠に基づかず必要以上に規制され医療発展の妨げになってるといったことをメッセージとして伝えていた。UKマスコミのバイアス、政治のパワーなどのかなりリアルな話が聴けた。

このイベントに終日参加したけど、グラスゴー大にはやはり良い科学をしているラボがあって良い刺激になった。こういう機会を使ってネットワークを広げていかないといけないのだろう。

Work Loads Meeting

今週火曜、work loads meetingなるものがあった。

過去のエントリーでも書いてきたように、今の僕のポジションはprobationary period付きlecturer。

probationary periodというのは、米国のテニュアトラックとは違うけど、大学のスタッフとしてしっかりパフォーマンスをできるようメンター付きで定期的に軌道修正しながら教育していく期間。

3年間がprobationary period。

毎年2月にアニュアルレビュープロセスがスタートするらしく(それがどんなものかは僕はまだ知らないが、とりあえずペーパーワークがあるのは確か)、その前のイベントとしてwork loads meetingが開かれた。

メンターと二人で15分くらいの個人面談。

進捗みたいなものを話すんだろうと思って、少し準備して臨んで椅子に座った。まず一枚の紙切れを渡された。

そこにはいくつかの「スコア」が書かれていた。

仕事カテゴリーとして、research, administration, teachingの3つがある。それぞれについてスコアがかかれていた。

そのスコアは、僕の現時点の点数、それから僕と同じようにprobation period中のprobationerの平均スコア、そして正式にlecturerになった人たちの平均スコアも併記されていた。

僕はteachingもadmin系の仕事も一切やってないので、当然ゼロ。

研究は1点強。

一方、probationerの平均スコアは2点強。。。

駄目じゃん。。

ショックを受けながら、メンターの話をきいてみると、最初にしては悪くないスコアらしい。ホントか?

このスコアをどう計算しているかきいてみたら、
1.論文
2.お金をどれくらい使ったか
3.PhD学生をどれくらい面倒みてるか
4.どれくらいグラントにアプライしたか
という項目があり、計算方法がしっかり定義されていて、最終的に項目ごとに重み付けをして研究スコアをはじき出すとのこと。

2番目のどれくらいお金を使ったか、が評価基準に入るのは意外だったけど、結局これにはどれくらいグラントを取って使ったか、というのが反映されるわけだから、それなりに研究力は反映される。

4番目はどれくらいの規模のグラントにアプライしたかが勘定されるらしい。成否関わらず。。。なので、BBSRCやWellcome Trustなんかに「とりあえず」アプライさえすれば点数を稼げる。(もちろん、重み付けが低いので、グラントアプリケーションを書くより論文を書いた方が効率は良いとは思うが。)

1番目の論文はもちろんIFが使われる。

それなりにフェアな計算方法かなと思った。

ただ、お金だけ使って低インパクトの論文を多産する人と、少額で高インパクトの論文を一つ出す人とを区別できるんだろうか?とは思った。とにかく、論文を出すのが他のファクターにも影響するのは間違いないから優先順位が高いのが確かだろう。

あと、Teachingに関しても、ミニ項目が設けられていて、それなりにフェアな計算方法だなぁという印象は受けた。例えば、引継ぎ授業より新規授業を持った方が高得点が稼げる。それは準備に膨大な時間が必要だから、その辺が考慮に入れられている。

とりあえず、teachingとadminは平均以下で良いからresearchで他を補うようにしていくのが一番良いストラテジーなんだろう。

そのミーティングの最後、来年度のteachingの話に。

どうやら、学部生対象の実習授業で科学(化学?)計算を教えるレクチャーの一部を担当するらしい。。。きたよ。。。10月からスタート。

あとはneuroscienceのカリキュラムを本格的に立ち上げていくらしく、その一部に関わっていくことになるらしい。とりあえず僕が担当するのはジャーナルクラブ的なものらしいけど、自分の専門と直結するteachingなら俄然モチベーションが上がる。将来のラボメンバーをリクルートするのにも良い。カリキュラムをスクラッチから構築していくわけだから、自由度も高いしやりがいという点ではありそう。その分、時間はかかるのやもしれないが。

そんな感じの15分のミーティングでした。