この一週間、UKでの注目ニュースは、フォンハッキング、それからダブルディップリセッション。
前者では、今週The Leveson Inquiryなる公式調査会(?)の公聴会があり、BSkyB買収関連でトップクラスの政治家が関与してたことが判明したもよう。スコットランドのAlex Salmondも名前が挙がった(が、政治生命の危機ということではない雰囲気。。。ちと残念。。。)
後者は、この100年間で最低らしい。。。これまでのツケをどれくらいかけて精算しないといけないんだろう。。。
そんな中、個人的注目はAcademic Spring。
何でもSpringを付けたら良いとは思わないけど、大学・研究業界にとっては奴隷解放運動的な歴史的イベントの一つになるかもしれない。
なぜ奴隷か?
研究者は、
論文を出す時に高額のお金を払わされ、
論文査読は無給しかも締切まで課せられ、
他人の論文を読む時も高額の購読料を払わされる。。。
同じ業界の「匿名奴隷」がNo、そしてエディターがNoと言う限り、仮にいくらお金を払いたくても、論文が世に出ることは、ない。。。
これだけ聞いたら、研究者は何てアホなんだ、と思うが、それはそれでシステムとしてsustainableだった。
が、時代なのか、元は税金でサポートを受けてる大学・図書館・研究者が雑誌社にボラれるのはおかしいんとちゃうか、というのが今回の一連のニュースの肝だと理解している。
数週間前ウェルカム・トラストが(実際、少し前から、いわゆるCNSに匹敵するopen accessの雑誌を立ち上げようとしている)、そして今週、論文市場最大手のハーバードがこのSpringに加担した。
おそらく図書館経営に困ってる他大学もこれに追随することは容易に想像できる。
連鎖反応が起こり始めてる。
この運動は、奴隷解放までは言わなくとも、オープンアクセスの流れをさらに強めるのは間違いなさそう。その点では、雑誌社への税金の流れが減り、その浮いた分、世の中をより良くするのに使えるかもしれない。
一方で、オープンアクセスそのこと自体で、税金を払っている人たちにどれくらい直接恩恵をもたらすかは、やや不透明。
というのは、同じ研究者でも、同じ神経科学者でも、自分の専門と違う論文全文を読むことは少ないし、読んでもそもそも理解できないことが多い。。。オープン・アクセスになったからといって、どれくらいの非研究者が論文を読むようになるのだろう。。。
その意味では、知識の壁を壊すSpringも必要。
もちろん、今回のSpringによって、サイエンスライターの人たちがオリジナル論文により簡単にアクセスできるようになる、という点では、そのSpringのための必須イベント、とも言える。ただ、その次のSpringには相当の時間がかかるか。
とにかく、雑誌社には、ペーパーレス化を進めて無駄を省き、より透明かつリーズナブルな料金設定をして、今の時代・テクノロジーにあったビジネスモデルを模索して欲しい。
研究者と雑誌社は共存共栄していかないといけない。
0 コメント:
コメントを投稿