2011年8月14日

イングランド暴動

先週末から始まったイングランドの暴動について。

事の発端は、gangの一員だったとされるMark Dugganという黒人が警官に射殺されたこと。だから、根本原因はと言われたら、UKのgangカルチャーと人種問題なのだろう。

ただ今回は、Black Berryやらソーシャルメディアの威力で、数日でイングランドの広範囲で暴動が拡散、しかもgangとは全く関係ないナイーブな若者まで加わって規模が大きくなった。

BBCに暴動拡散マップがあるけど、木曜日以降、暴動は起ってないようで、昨日プレミアリーグも無事開幕した。

それから、UK外ではあまり報じられていないであろう良いニュースとしては、暴動清掃キャンペーン(riot cleanup campaign)が、暴動直後から始まって、文字通り善良な市民たちがデッキブラシを持参し、街をきれいにしていた。この中には、もちろん黒人の人たちも、子供も参加してたもよう。こういうのを見ると、この国はもう少し頑張れそうだな、と思う。

しかし、すごい一週間だった。。。

Gangカルチャー
UKのgangのことは全然知らなかったけど、wikipediaにエントリーがある。

日本で言ったら暴力団に近いようなちょっと違うような、という感じか。とにかく、銃やらドラッグやらと結びつく反社会的集団みたい。

ローカルな話だと、やはりグラスゴーにもたくさんgangさんたちがいらっしゃるもよう。。。こわ。。。

原因
暴動の原因は諸説唱えられていて、おそらく暴動に加わった人たちが多様だから、原因も多様なのだろう(サイエンスみたい)。原因の各オプションは、wikipediaBBCの記事に挙げられている。

最近の政策で若者の閉塞感が増してる、というのは確かにそうなんだろうけど、個人的には、これは一部の大人の解釈であって、今回の暴動とexplicitな関係はないように感じている。例えば、gangの人たちと大学のtuition feeが来年から大幅アップするとかいった最近のことが今回の暴動の直接的引き金になったとはやや考えにくい。

一方、人種問題はUKでも根深いみたいで、10年周期くらいで暴動が発生している。人種問題という点では、アメリカなんかでも似た規模の暴動が起るリスクはあるんだろう。しかもウェポンが絡みそう。。。

黒人が白人警官に撃たれたといったニュースはアメリカでも数年前あったし、その黒人がもしもgangの一員で、gangを怒らせ、警官がなめられたりしたら、今回のようになる。

テクノロジー
個人的にすごいと思ったのはテクノロジー。

暴動とクリーンアップキャンペーンも、テクノロジーのおかげで一気に広がった。

スマートフォンやらソーシャルメディアで情報拡散スピード・範囲が、数年前には考えられなかったくらい早く・広くなっていて、暴動に関しては、警察がそのテクノロジーの変化に対応しきれていないのが表面化したように思う。

とにかく、テクノロジー発展のネガティブサイドとして、犯罪が同時多発的に起りやすくなって、しかも群をなしやすくなってる。

これからは、そんなネガティブ情報拡散を防ぐテクノロジーが注目を浴びるだろうし、サービスを提供する会社もそれを防ぐ責任が伴っていくように思う。

これは3・11の時でも同じように感じたから、ソーシャルメディアというすごいポテンシャルを秘めたテクノロジーに「社会」としてうまく適応していかないといけない。

雑感
労働党党首のEd Milibandさんが、暴動・フォンハッキング・財政問題との関係についてコメントした、と新聞記事があった。一件、強引なこじつけの様にも見えるけど、僕はこれは一理あると思う。

多くの人が目先の利益に走りすぎ、モラルみたいな、ちょっと考えて行動する傾向が減ってる。若者だけでなく大人も、UKだけでなくいろんな国で。ここ数年、将来の不確実性は増すばかりのように思うから、目先のことに焦点が向きがち。

環境変化が早いとそれに適応するのに精一杯で、将来予測どころではなくなる。けど、おそらく普遍的なものもあるのだろうから、それをしっかり見極めて意思決定していかないと、単に振り回されるだけの人生になってしまう。暴動に衝動的に加わり犯罪歴のついた若者たちのように。

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