2015年11月1日

赤肉・加工肉と癌

加工肉は発がん性に関してタバコやアルコールと同じカテゴリー、とWHOが発表し話題になってるので、少し情報収集を。

元の情報は、IARCなるWHO内の癌研究関連の国際組織から。
この組織、物質の発がん性について5カテゴリー設けている。グループ1は「人体への発がん性あり」、グループ2Aは「おそらく(probably)発がん性あり」といった感じ。

今回、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類された。

その根拠として、まずThe Lancet Oncologyに2ページのレポートが発表されたもよう。
これはIARC下のワーキンググループによるレポート。

レポートでは、赤肉・加工肉の定義に始まり、これまでの疫学調査やガン発生のメカニズムについて、引用文献と共に簡潔にまとめられている。素人にもわかりやすく書かれている。

ここで、赤肉は、処理されていない筋肉。もちろん、牛肉・豚肉も含まれ、ミンチや冷凍肉も含まれる。加工肉は、塩漬け・発酵・スモークなど処理された肉。ソーセージやハムなどが代表例か。

加工肉は大腸癌を引き起こす証拠が十分あり、胃癌との関連もあり。
一方、赤肉は大腸癌との関連があり、それを説明できるメカニズムについての証拠もあり、膵臓癌や前立腺癌との関連もある、と指摘されている。

そして、結論として、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類している。

このレポートに基づき、IARCが声明を出し、メディアで話題になった。

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やはり気になるのは、実際のリスク。

この点について、Cancer Research UKが素晴らしくわかりやすい記事をアップしている。

まず、加工肉をたくさん食べると、リスクは17%増とある(IARCのレポートでは18%とある)。

UKでは1000人中61人が大腸癌を発症するらしい。
これを基準に(遺伝的要素等を無視して)考えると、加工肉をほとんど消費しない国の場合56人。
加工肉をたくさん消費する国の場合66人(56人x1.17=66人)という勘定。

つまり、1000人中10人、もしくは100人中1人、余分に大腸癌が発生する、ということらしい。
一方で、加工肉を食べようが食べまいが、100人中5人強は大腸癌を発症することも注目。


次に気になるのは、グループ1にはタバコも含まれるけど、タバコと加工肉の発癌リスクは同じなの?ということ。

タバコを吸うと肺癌リスクが86%増。
加工肉・赤肉消費による大腸癌リスクは21%増。

つまり、4倍もの開きがあり、癌リスク、という点で、タバコと加工肉・赤肉は全然異なる。
おそらく、この辺りが、IARCの分類法がバッシングを受ける所以だと思われる。

ちなみに、このCancer Research UKの記事では、一日最大70g摂取の目安のもある。

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確かに発癌リスクを裏付ける十分な証拠はありそう。だからといって、貴重なタンパク質や、ビタミンB、鉄分、亜鉛の栄養源を完全に断つのはあまり良い選択ではないように思う。とにかく、過剰摂取はしない、ということを心がければ、大腸癌を避けられるラッキーな100人に一人になれるかもしれない。