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2016年2月21日

EU referendum キックオフ

EUとUKの交渉が成立し、David CameronさんがEU referendumは6月23日と正式にアナウンス

閣僚レベルですら立場が分かれていて、文字通り国を二分した議論で盛り上がるもよう。

こちらにポイントがまとまってます。

個人的にはEUに留まって欲しい。

ビジネスサイドはよくわからないけど、少なくとも大学は、EUからの人たちをはじめ移民にかなり支えられている。スタッフはもちろん、ポスドク、大学院生、多くのレベルで移民に支えられている。ビザの煩わしさなしで優秀な人材がEUから集まっている。

Brexitの場合、中長期的に大学の質が悪くなることはあっても、良くなる状況を想像できない。中国のように、海外で活躍している国民を呼び戻すような戦略をとれない限り。そもそも海外の大学へ行くような人たちは少なそうだから無理。

自分の研究室のレベルでは、メンバーの多くはEU国民で、もし将来、そういう人たちが来にくくなると、ラボ運営が非常に難しくなる。

研究費に関して。EUのグラントはまだもらったことがないけど、スイスやイスラエルなどの例を考えれば、Brexitの場合でも、アクセスできないことはないはず。が、UKは一番お金を獲得しているので、他のEUの国は黙っていないだろう。キャップがつくなどのリスクはあるのか?

研究関連の物流については、むしろUSから物を買ったりしてることが多いので、個人的にはあまり影響はないような印象。

プライベートに関しては、もともと英国民ではないし、何も変わらない。

と、スコットランド独立の時より、2択の差は微妙な気がしている。なので、いくらDavid Cameronさん自らEUに留まるキャンペーンをはっても、これから4ヶ月、状況次第では、Brexitのリスクも多々あるように思う。

ちなみに、スコットランドでは5月5日が議会の総選挙なので、スコットランド内、いろんなキャンペーンの情報が錯綜して盛り上がりそうです。

2015年12月13日

Leverhulme Trust

昨年から5連敗中のグラント申請。
何とかLeverhulme Trustからサポートいただけることになったので、その経過を備忘録的に。

Leverhulme Trustは90年前にWilliam Leverの遺書に基いて設立された財団。William LeverさんはLever Brothersという会社の創業者で家庭用石鹸を初めて製品化したらしい。

自然科学だけでなく、人文系や芸術系にも幅広くサポートをしているUKの財団。

いくつかスキームがある中、コアのスキームはResearch Project Grantというスキーム。

最大5年間、500Kのサポートが受けられる。が、過去の受賞者をチェックすると250K 前後が相場で、ポスドクの給料から計算するに3年間が妥当なラインだと思われ、実際、250Kを目安に3年間のサポートをお願いした。

申請手順は2段階制で、まずアウトラインプロポーザルを出し、OKなら2ヶ月以内にDetailedプロポーザルへの招待がある。

Detailedプロポーザルの申請書の分量は普通で、コアは5ページ、他の諸々のペーパーワークを入れると合計20ページほど。ただし、予算案はアウトラインプロポーザルから変更不可なので、アウトラインの時点で、Detailedが詰められてないとダメ。つまり、レディーになった時点で、アウトラインを出す必要がある。そのアウトラインのコアは2ページ。

年3ラウンドあって、9月締めのラウンドに提出し、12月1日に結果を受け取った。結果は、申請者へではなく、まずVice-Deanに文書で知らされ、僕に伝わった(後日、僕にも手紙が送られてきた)。

このスキームはいろいろユニークな点がある。まず、人への投資を重視している点。要求額の75%は人件費に使うという制約。

このスキーム、ストラスクライドで働き出した頃から知ってたけど、人は雇えても設備投資できないとプロジェクトが回らないと思い避けていた。今回は、設備投資はひとまず落ち付いてきて、今一緒に働いてもらってるポスドクとコラボを続けたかったので、ちょうど良いスキームだった。

他のユニークな点として、なぜLeverhulme?かをしっかり書く必要があったり、最終意思決定する人たちは科学者でなかったり、ピアレビューアーをこちらで指名できたり、いろいろユニークな点があった。

「なぜ?」というのがトリッキーで、例えば、BBSRCやMRCではいけない理由をしっかり説明しないといけない。もちろん病気の研究だとNG。つまり、他のグラントオプションの性質をしっかり理解しておいた上で書かないといけない。

過去の受賞対象研究を見てると、神経科学の受賞者はあまりおらず、やはりユニークな研究にサポートという傾向が感じられ、かなり厳しい戦になると思ってた。

ただ、Detailedプロポーザルの際、研究アウトラインを説明する項目があって、ここは意思決定時重要、とあったので、分野外の人にもわかるよう、できるだけ情報を簡潔化させるよう努力した。申請書書きのコツがウェブのいろんなページに散りばめられていたので、home workは必須。

ちなみに、ピアレビューは、レビューアーからのコメント(の一部?)が意思決定前に来て、1ページ以内でレスポンスせよ、という比較的軽めだった。レビューアーには仲の良い、かつプロポーザルの研究に近いことをしている海外の研究者お二人にお願いした。この人選も重要なポイントだったのかも。Conflict of Interestsは関係ないもよう。。。とにかくお忙しいところレビューしていただいたお二人には多謝です。

ちなみに、似たプロジェクトでMRCにもアプライしたけど、ピアレビューでボコボコにされ、最終審査にすら進めなかった。。。

改めて、グラントは敵を理解した上で数打てば当たる、と感じた。。。

ということで、これから3年間、しっかり頑張ろうと思います。

2015年9月5日

欧州難民危機

今週は難民危機が常にトップニュース。以下、備忘録的に情報源をいくつか:

まずはwikipedia。
今回の危機に焦点を絞った記事
シリアからの難民に関するエントリー

BBCのiPlayerを視聴できる場合、昨日放映されたBBCの特集は手っ取り早く状況の深刻さを把握できる。

ガーディアンの記事集
その中から個人的なおススメ記事を。

まず、今週世界を動かした写真以外で、視覚的に問題の一端を知りたい場合、こちらは手っ取り早く、心に突き刺さる。

なぜ今問題が大きくなったか知りたい場合はこちら。トルコにいても未来はない(働かせもらえない)し、大挙してドイツへ、というのは理解できる。

EUの難民受け入れ制度の破綻状況についてはこちら

難民を受け入れるポジティブサイドの一端についてはこちら

そして、最も重要な、個人レベルでできることのアイデアについてはこちらこちら

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UKでは、排他的な右寄り政治、ドネーション文化の充実ぶり、という極端な部分が垣間見れ興味深い。一方、膨大な数の難民を受け入れているドイツは多くの人からリスペクトされている。EU諸国の対応の違いが、ギリシャ財政危機に続き、今後EUに禍根を残すのかもしれない。また、ドイツ的な寛大さが、問題をさらに増幅させるリスクがあるのかもしれないが、助けるべき人たちは助けないと人間的にどうよとも思う。一方、規模が尋常じゃないから、物理的に無理な部分もある。ドイツだって無制限に受け入れられるわけではない。とにかくシリアを何とかしないといけないんだろうけど、すぐに解決するとは思えない歯がゆさ。やはり、政治が動かないと根本的な解決につながらない。

2015年8月22日

UK永住権取得

無事UKの永住権を取得しました。以下、その記録を。

申請時の状況は、Tier 2 (General)のビザで5年滞在(2010年8月から)。僕も含め4人家族。

取得までの概要は
0.下準備
1.Life in the UKテストに合格する
2.英語試験に合格する
3.申請書を作成
4.各種添付書類を用意
5.郵送による申請
6.申請費引落
7.Biometrics登録
8.永住権を認めるレターと証拠文書返却
9.Biometric Residence Permitが届く
という流れだった。

5は8月4日
7は8月15日
9は8月21日
と、申請から永住権発行までは2週間強だった。

ただ、僕の場合、申請書がアップデートされた直後に申請したため、新しいフォームで申請し直すよう指示があった(以下詳細)。けど、そのために処理期間が長くなったかというと、そうでもないかも、という印象。つまり、少なくとも2週間程度はかかるのだろう。

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以下、各ステップの詳細を。

0.下準備
半年前の2月頃、申請に何が必要かウェブでチェックした。こちらこちら

その時点で、時間がかかりそうなのは、Life in the UKテストと英語試験ということを認識。が、それ以上は何もアクションは起こさず。

申請3ヶ月前の5月から少しずつ動き出す。

まず、大学のHuman Resourceの人に相談。
すると、4月に申請費が大幅アップしたことを知らされる。。。いつまたルールが変わるかわからないから、申請できるうちに早くやっておけ、とのアドバイス。

そして、申請書をダウンロードして記入内容を一通りチェック。90ページ位の申請書。。。

改めて、時間がかかりそうなのは、
Life in the UKテスト
英語試験
ということを確認し、申請までのスケジュールを考える。
Dependentである嫁もその2つのテストに合格する必要があるので、関連情報をシェアする。

1.Life in the UKテストに合格する
詳細はこちら
嫁もほぼ同時期に試験を受け、無事合格。
テキストをしっかり勉強するよう何度かプッシュした。。。

2.英語試験に合格する
詳細はこちら
嫁も同時期に合格。嫁は、カウンシルが提供している無料英語クラスに通っていて、そこではその英語試験の内容を想定したクラスだったもよう。いろいろ資料ももらっていた。

3.申請書を作成
こちらから「最新版」PDFをダウンロードして記入。
ビザ更新時のようなウェブベースの記入ではない。。

手書きより電子的な記入の方が見る方も良いだろう、という期待から、Acrobatを使って、PDFを編集。

パスポートサイズの写真2枚ずつ添付する必要あり。写真は自作。

それから、子供のパスポート情報の記入ページを追加したり、旅行歴を追加したりした。
全部で90ページに。

けど、Tier1など、他のカテゴリー用のページが大半を占め、実質、記入したページはその¼ ~ ⅓程度。半日もあればすべて記入可能。

トリッキーだったのは、以前Biometricsを登録した場所と日付の欄。ブログのエントリーとして残してたのが役立った。。。普通、覚えてない。。

それからイミグレーション履歴のページも厄介な部分。
幸い、Google Calendarで過去の旅行をすべてトラックできた。自分の行動を後でトラックできるよう記録しておくと役立つことがある。

4.各種添付文書を用意
若干厄介、というか面倒くさい。
僕の場合、
・写真
・パスポート
・Biometric Residence Permit
・大学からのレター
・UKテストの認定証
・英語テストの認定証
・3ヶ月分のBank Statement
・3ヶ月分の給与明細
・嫁との共住証拠(カウンシルタックスのビル過去2年分)
・義父の葬儀に参列するためUKを離れた期間ある旨を書いたそのレター(自作でOK)
・イミグレーション履歴資料
を添付。

それから、各添付情報のコピーも必要。

少し詳細を。

大学のレターは、6月末にHuman Resourceの人に依頼。すると、イミグレーションの履歴を記入するフォームを記入するよう言われ、それに記入後、研究所長のサインをもらい、パスポートと共に提出。すると、翌日にレターを用意してくれた。

が、7月中旬、レターの内容の誤りがあることが判明。。。
レターの再発行を依頼するも、担当者夏休み中。。。
8月に再発行してもらう。

イミグレーション履歴資料は、イミグレーション履歴の証拠として、丁寧にミニ冊子を作った。
構成は、1ページ目は履歴一覧。出国・再入国と旅行先・目的、そして何ページ目にイミグレーションスタンプがあるかを表としてまとめた。
2ページ目以降は、パスポートの入国スタンプのコピー、ついでにどの旅行か追記。

不要かもしれないけど、もし審査の時に、イミグレーション履歴も細かくチェックされる場合、審査する方は大変だろうから(というか、それで時間をかけてほしくなかったから)、丁寧なものを作った。(印象アップのため)

5.郵送による申請
大学からのレターを再発行してもらった8月4日に、すべての文書類をまとめてPost Officeへ行き郵送。トラッキング情報によると翌5日に配達された。

6.申請費引落
8月7日にクレジットカードで申請費が支払われていた。6Kなり!!(日本ーUK間、家族4人2往復分!!)

7.Biometrics登録
1週間後の8月14日にHome Officeからレターが届く。
本来なら、Biometricsの登録案内だけだと思われる。
翌15日に家族でPost Officeへ行き、登録。
顔写真を撮って、指紋スキャンされ、サインして20ポンド弱搾取されるだけ。土曜日にもやってくれていたのでありがたかった。

が、僕の場合、その登録案内と一緒に、受け取らなくても良いレターも入っていた。。。

そのレターには、申請条件を満たしてないから、10日以内に申請条件を満たすようにせよ、と。さもなくば申請はリジェクトされると脅されていた。。。

その条件とは、最新の申請書で申請せよ、と。

確かに、ウェブをチェックしてみると、申請書が更新されていた。。。申請直前8月3日に。。。(なんとアンラッキーな。。。)

ということで、土曜日15日の朝からオフィスに行って、申請書作りなおし。が、どこが変更されていたのか、わからずじまいだった。。つまり、全く同じ内容でその「新しい申請書」で作りなおし。Biometrics登録ついでに郵送。17日には届いた。

ちなみに、電子的に情報を入力していて助かった。もし元の申請書のコピーがなかったら、手元にパスポート等はないわけなので、記入できないのでは?と思った。。。(冷や汗)

8.永住権を認めるレターと証拠文書返却
8月20日、郵便が届く。

開けるとパスポート類が入っていた。

こんなに早く返却されることは期待してなかったので、もしやリジェクトでは?と、ドキドキしながらレターを読む。すると、Biometric Residence Permitが別途届く、とあった。つまり、永住権が無事発行されたとわかる。

9.Biometric Residence Permitが届く
翌8月21日、カードが届く。クレジットカードサイズのカード。ビザのそれと見た目は全く同じ。

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ということで、数ヶ月かかると脅されていたけど、実質2週間程度の審査期間だった。日本人だからか、Tier2(General)での申請だったからは知るすべなし。

とにかく、これで別の国へ移住しない限り、ビザというストレスから開放されると思うと、文字通り開放感というか何というか、随分気が楽になった。

それにしても、UKの移民制度はUSよりもタフ。
制度は厳しくなり続けると思われるし(つまり、ここで書いた情報もすぐに過去のものに。。。)、申請費もインフレ率の数倍のペースで値上げされていくのだろう。。。911前だったら、今回払った申請費分は豪遊に使えてたのに、と文句を言っても時代が違う。。。

高い申請費を払ってるから、ビザ更新時みたいにせめてウェブベースで申請書を作れたりすると、申請サイドも審査サイドも楽になるだろうに、と思ってやまない。。とにかく、申請をdiscourageするようわざとやっているのでは?と疑いたくなる点が多々あった。

ちなみに、以下がこのブログでのビザ関連エントリー
UKビザ更新
UKビザ取得
H1Bビザ取得
それにしても、どれだけの時間とお金を使ったんやろか。。。

2015年8月8日

UK5年

先週1日をもって、グラスゴーに住み始めて丸5年経ちました。
スコティッシュ・アクセントは未だわかりませんが、それほど不自由もなく(?)暮らしてます。

今週、永住権を申請し、無事受理されれば、今後、ビザ関連で悩まされることはなくなるはず。日本を離れて10年間、ビザ関連に費やした時間、そして何よりもお金は相当な量に。。。

それはともかく、UKに5年住んで思うことをダラダラと書いてみます。

<USとUK>
USとUKはいろんな点で違う。ここでは、「自由」をテーマに。
USの自由さは非常に魅力的だけど、自由な分、リスクは大きい。いろんな点で。

一方、UKでは何となく窮屈感がある。
けど、周りの目を気にしないで良い点は、USのそれに近かったりする。

UKでの窮屈感の原因はいくつかありそう。

第一に、自分が移民、という点。
USの場合、殆どの人が数百年以内の移民ということもあってか、移民に対する感覚が違ってた。一方、UKの場合(おそらく多くの欧州の国の場合)、移民絡みのダークサイドが顕著。ここ最近のCalaisの問題はそのダークサイドの一つ。「自分も移民」ということから肩身の狭さを感じることがある。

第二の窮屈感の原因は、何かにつけ安全対策だろ、正当化だろ、すぐ言われる点。もちろん、多くのケースで筋が通ってるけれど、「自由」が軽減される分、窮屈感につながる。

第三は、移民の話とオーバーラップするけど、マイノリティー感。ロンドン(とその周辺)を除くところでは、東アジア人は非常にマイノリティー。むしろ、それが良い、と思うこともあるけれど、しばしばそのマイノリティーという点を気にすることがある。窮屈、というより疎外感的なものに近いかも。

4つ目は気候。晴れが少ない分、開放感が自然と減る。服も軽装になる機会が少ない。例えば、グラスゴーの今年の夏は、最高気温15度前後の日ばかりで、夏があったのかわからないくらい。冷夏で雨が多かった。。。冬と今の時期と、家で着てる服が変わらなかったりする。。。季節感超薄。。些細なことのようでも、無意識的な部分で作用を及ぼしてる気がする。

<歴史と文化>
歴史と文化の重み・厚みはさすが。
「スコットランド」そのものの歴史はそれほど長くないけど、イングランドを中心としたGB全体の歴史は密度が濃い。建物からもそれを感じられる。

文化に関しては、UKに住み始めて音楽を聴く機会が圧倒的に増えた。
ブリティッシュ・ミュージックのレベルの高さを改めて感じる。例えば、子供と同じ曲を楽しむ状況は、日本だったら想像できなかったかも。毎週iTunesでランキングをチェックしては、気に入った曲をたまに購入、なんて状況は想定外だった。

<政治>
USとは違うけど、レベルは高い。選挙時期は、ジェラシーを感じる。なぜなら、日本のそれとは格段に違うし、自分に選挙権はないから。
一方で、労働党がしっかり立て直してこないと、バイアスのかかった政治になって、よろしくない。何事もバランスは大事。

スコットランド独立の件、先週またホットトピックになってた。来年のスコットランド内の選挙に向けてまた盛り上がるのだろう。けど、少なくとも先5年は、国民投票はない(とキャメロンさんが保証してくれた)。

国民投票どうこうより、昨年の今頃いろいろ議論された独立国としての実装的な部分の議論が進んでいないのは、ちょっと残念。SNPはまずそういう足元を固める戦略を採るべき。

<格差>
格差はUKでも肌で感じれる。USほどでないにしろ。住む地域が格差の指標の一つになってる点はおそろしい。。

一方、日本同様、世代間格差が問題になってる。政治の問題として扱われるケースもある。非常に難しい問題。

昨今必要とされている人材のハードルの高さというか、昔の多くの職との質的な違い、そして教育の現状(つまり時代の変化についていってない)を考えると、世代内での格差はますます広がるだろうし、世代間の格差も、状況は悪くなることはあっても、良くなる状況は想像できない。経済だけでなく、気候変動の問題もあったりと、非常に大変。

ちなみに、UKと日本を比べると、人口構造のいびつさは日本のそれほどではまだない。子供がまだ生まれている。サポートする社会体制もそれなり。日本はどうなるのだろう。。。

<セキュリティ>
個人レベルのセキュリティとしては、もちろん住む場所に大きく依存するのだろうけど、非常に安全。日本のそれと大差ない、というのが過去5年間の感覚。

ヤバい人はオーラを出してるので、この点はUSに近い。銃がない分、さらに良い。ただ、女性の場合は、必ずしもそうではない。一方、「痴漢」の話は聞いたことがない。

国レベルでは、それなりの体制は整ってるようなので、突発的なテロを考えないなら、おそらく日本より安全なんだろうなぁ、という気はしている。USとの関係も、日本とUSの関係とは違って健全というか対等というか。ただ、グラスゴーのすぐ近くにトライデントがあるので、実際ドンパチが始まると、最悪の場合、グラスゴーは住めない場所になる大きなリスクはある。ドンパチより、アクシデントがもっと怖いか。。。

<科学>
まずグラント制度。
制度としての質は比較的高い。もちろん、分野外の人も評価する分、宝くじ的な余地があるけれど、ダメならダメな理由を後で教えてくれる。それなりに納得のいくロジックを教えてくれる。

ピアレビューも、論文審査のそれほどではないにしろ、しっかりやってる。そのコメントは申請者に返ってきて、研究者のレベルを高め合ってる。

申請書もそれなりに詳しくプランを練らないと書けないようになってるから、1300億の予算なのに、実は2500億もかかるような提案があっさり通ることは少ない。つまり、お金の使い方も、意思決定前にそれなりに吟味される。通っても、無駄な部分は削るよう言ってくる。実績がある点(つまり良いCV)はもちろんプラスに働くだろうけど、それだけでは決まらない。プランがどれだけ実行可能かしっかり見てくる。完璧ではないにしろ、プロフェッショナル。思うに、この制度のおかげで、GDP当たり先進国最低レベルのサポートでもUKのサイエンスが高いレベルを保ってる一因になってるのだろう。他の国も学べる点はあると思う。

UK主導で変えようとしているアカデミアの文化もある。オープンアクセス。
UK内では、この勢いはもう止まらない。問題は他国がどれくらい追従するか。雑誌の淘汰が進むだろう。

一方、大学に目を向けると、いくつか(たくさん?)問題がある。大きな問題は、伝統的な部門構造。USのように、一人のスタッフが複数の部門に所属する、ということは聞かないし、部門そのものが非常に古臭い。新しい分野が出てきたから、柔軟に新しい部門を作って、、、ということがおきない。

なぜか?

ここ数年でわかってきたことは、学内だけではなく、外部組織との関係からその硬直性が出ていそう、ということ。特に、授業のカリキュラムは、外部団体(名前は覚えてないけど)の規定に沿ってる必要があるようで、制度が非常に官僚的。特に教育に関して、イノベーションが起きにくい構造になってる。この構造上の問題がUKとUSの決定的な差につながってる。歴史が足かせになってる典型例。一方、お金がある場合は、新しい研究所を作って、そこで先端研究・企業連携を推進する、というケースもあるのはある。

<教育>
住む場所を選べば、無料でそこそこの教育を子供に受けさせられるのはありがたい。ただ、最近の記事によると、私立に通ってる人たちは良い職に就きやすい、という統計もあるようで、この辺の格差のハードルはなかなか越えられない。

<交通>
道路について。
roundaboutがすばらしい。右直事故そのもののリスクは根絶してる(そもそも「直」がないから)。どういう背景で導入されたか知らないけど、もし交差点の事故を減らすためだったとしたら、考案者は賢すぎ。日本にどんどん導入すべき。交通死亡者も減らせるだろうから、お金の投資価値がある。うまく説明すれば、国民の理解も得られるはず。はじめは慣れずにミニ事故が増えるかもしれないが。。。

一方、電車で長距離移動は考えたくない。USよりはマシだけど。。。その点、日本はホントすごい。

<その他>
いろんなところでフリーWifiがある。バス、電車、お店など。旅行者にとってはとてもありがたいサービスだと思う。オリンピックを開催する日本も見習って欲しい。

と、日本やUSとの比較から、普段思ってることをダラダラと書いてみました。

2015年7月18日

英語試験

先週のLife in the UKテストに引き続き、今週は英語試験。
英語試験も永住権申請の条件として課せられている

どんな条件が要求されているかはこちらに(2015年11月にまた変更されることが示唆される記述も。。。)

とにかく、自分の場合、Trinity College LondonのGrade 5の試験を受けることに。

試験内容はこちら(PDF)やこちらに詳しい。
トピックフォームを予め用意しておかないといけない。

ーー
スコットランドの場合、グラスゴーのシティセンタに営業所(?)があり、2週間ほど前にウェブで予約。

火曜日に受けてきた。

受付で待っていると呼び出され、まず荷物類をロッカーに入れさせられた。
他の受験生とは口を聞くな、と言われる。

続いて、試験まで2ステップのIDチェックがあった。
まず、パスポートのスキャンと顔写真撮影。空港のセキュリティチェックみたいな感じ。
続いて、別の部屋に行き、再びパスポートチェック、そして声チェック。
1から10までの数字をゆっくり2回マイクに向かって話せと言われる。

そして、また部屋を移り、10分の試験。
そこには試験官である中年のおばちゃんがいてた。

簡単な挨拶の後、試験官がタブレットを操作して録音をスタート。

試験は2部構成。

まず用意してきたトピックフォームに基づいた会話。
メイントピックに関する5つの話題の中からランダムに試験官が話題を選び、それについて話すように言われる。適宜ツッコミが入る。
最後に、質問はないか?と聞かれる。

僕の場合、「Brain」をメイントピックに。最後の質問タイムは「脳について考えたことある?」と聞く。答えはNot really...(相手が違う、って感じ。。。)

次に、6つのトピックの中から試験官がランダムに選んだ2つのトピックについて会話。FestivalsとEntertainmentが選ばれた。

Festivalsについては、「日本にもたくさんフェスティバルがあると思うけど、何が有名?」と会話がスタート。東北の三大祭の話をしたりして、最後はエディンバラ・フェスティバルの話で終わる。

Entertainmentについては、「普段どんなエンターテイメントで楽しんでる?」と切りだされ、先週末娘たちと観たMinionsの話をしたりする。。。雑談。。。

締めくくりとして「2つのトピックについて何か質問はある?」と聞かれ「オススメのフェスティバルは?」と質問。やはりエディンバラ・フェスティバルらしい。

部屋を出て、廊下で少し待たされる。その間、対応者が試験官の評価用紙をIDチェックの担当者に持って行っていた。

そして、ロッカーのある部屋に連れて行かれ、荷物を取り出す。
「おめでとう」と言われ、評価用紙とボールペンをくれ、証明書発行について説明してくれる。

さらに、避難路みたいなルートを案内され、他の受験生とは会うこともなく外に出されお別れ。

所要時間1時間弱。

ーーー
なかなかビジネスライクな試験だった。試験官もプロフェッショナルで、時間配分を気にしながら、次々とトピックを切り替えていったのが印象的だった。

ちなみに、要求されているレベルは、こちらに動画からも予想できるように低い。

前半は予め用意していたことを話し、後半は、結果的には予め想定していたこととは全然違うネタをアドリブで話すことになったので、かなり実践的で、確かに英会話試験としての質は高いとは思った。

が、このために150ポンドは、かなりボリ気味。。。

まだ証明書は届いてないけど、これで試験類はクリア。後は書類を用意して(これがまた超面倒)永住権申請へ。

2015年7月11日

Life in the UKテスト

UKに住み始めて8月で丸5年ということで永住権申請の手続きを進めてます。その申請条件の一つに、Life in the UKテストに合格するというのがあって、水曜日試験を受けてきました。

これは、UKに住み続けたかったらUKの常識を知っとけよ、という意図だと思われる。UKの歴史・文化・地理的なことに関する24の質問に答えて18問以上正解する必要がある。

問題内容は、公式ハンドブックに記載されている。
180ページのハンドブックで、UK市民権・永住権取得者としての原則からごく最近までの歴史、そして政治・裁判制度やスポーツ・文化的なことが広く浅くカバーされている。

試験は、近くにある試験会場で、コンピューターを使って答えていく。結果は、試験後ただちにわかって、認定証も即日発行。

50ポンドの試験。

---
以下、自分の体験談を。

ハンドブックそのものは改訂されたすぐ後、2年以上前に買っていた。少し読み始めたところでやめて、再び読み始めたのは今年4月頃。

時間を見つけて少しずつ読み進めた。はじめは丁寧に読んでたけど、途中で鬱陶しくなってとりあえずひと通り読み終わることに専念。6月に読破。

その後は、ここにある模擬試験をこなす。
40セット模擬試験があり、難易度高。

1巡目の合格率は40~50%前後の危機的状況。。。

これはいかん、ということで、ハンドブックも部分的に読みなおしたり、2巡目の模擬試験をこなし、確実に18問正解できるようにした。

試験の予約手続きはここでアカウントを作ってやる。

グラスゴーの場合、ストラスクライド大学から徒歩15分のAdelphi Centreに試験会場がある。シティセンタからクライド川を越えた東。

その2階のlearndirectというところで受ける。

週3日ほど、いろんな時間帯で受ける機会があった。9つくらいの席があり、見た限り満席という日はなかった。なので、受けれなくて困る、という心配なし。1週間前までに予約すればOK。

水曜日5時の試験を予約し、4時半頃に付いた。すでに同時間帯の受験者3人もいてた。まず、待合室に案内され、来た順番で受付。

受付では、予約時のID(biometric residence permit)と3ヶ月以内に発行された住所を証明できる文書(カウンシルタックスのビル等)のチェックを受ける。さらに、生年月日やポストコードなどの確認を受け、ロッカーの鍵を受け取る。

ID以外の荷物をロッカーにいれパソコンがある試験会場へ。先に受付を済ませた人はすでに試験を開始していた。

試験は、まずルールの説明画面があり、4問ほど練習、そして24問の本試験。本試験の制限時間は45分。

不安な問題にはフラッグをつけることも可。

5分くらいで回答し終わり、ケアレスミスがないか一問一問確認しなおし10分強で終わった。終わったら、試験監督に言って、荷物を持って受付へ。

すぐに合否を教えてくれ(点数は教えてくれなかった)、証明書をくれた。証明書はA4の安っぽい紙で、スタンプと受付担当者のサイン、そして自分のサインをする。

気になる問題の難易度は、「UKの有名なテニストーナメントは?」といった超常識問題が半数、中程度の問題がさらにあって、3~5問トリッキーな問題が含まれてる感じ。4択とYes or Noの質問が2:1くらいの割合だったか。

上述の模擬試験でしっかり準備しておけば、確実にクリアできる。ハンドブックを一通り読んだだけだと、やや不安か?という感じ。

この試験はともかく、この機会にUK全般のことを広く浅く知れたのは良かった。ただ、ハンドブックはイングランド中心でバイアスを感じたので、スコットランドに住み続けるにはスコットランド史をもっと知る必要がありそう。

Alton Towers

先週後半、夏休みをとってAlton Towersリゾートへ家族旅行。

場所はマンチェスターとバーミンガムの間、イングランドのど真ん中。グラスゴーからは車で休憩時間も入れて4~5時間、250マイル。

リゾートには、Alton Towersという大きな遊園地といくつかの宿泊施設、それに屋内プールとアウトドア施設などがある。

UKの人にとっては、多くの学校のスクールトリップの行き先として有名らしく、最近、事故を起こして重傷者が数人出たところとしても知られている。。。(予約したのは、事故より前。。。)

宿泊プランは、エコノミーなSplash Landings Hotelという屋内プールがあるホテルに3泊4日で、Alton Towersのチケット2日分、屋内プールのチケット1日分。朝食付。

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初日朝、6時半頃出発。渋滞もなく11時過ぎに到着。

リゾートは、山というか丘というか、広い森の中にあって、高速を降り、狭いローカルの道をしばらく走ったら着いた。ホテル宿泊の場合、駐車はタダ。

荷物をホテルに預け、さっそくAlton Towersへ(チェックインは3時)。

翌日も朝から終日Alton Towersへ。入場ゲートをくぐると、中央に池、そしてその奥には本物の古城が。欧州っぽい。その古城の中はホラー系のアトラクションになっていて、良い感じだった。

子供がまだ小さいので、すべてのアトラクションは回れないけど、10歳の子だと半分強の乗り物に乗れる感じ。1日前後ですべて回れる。5歳の次女はCBeebiesのエリアとミニ教習所をエンジョイしてた。

ローラーコースターの充実ぶりはさすがで、いろんなタイプの絶叫マシーンが取り揃えてあった。この手の乗り物が好きな人にはたまらないのかも。

Th13teenという垂直降下するローラーコースターに乗ってみた。僕は、暗闇で垂直降下することを知らなかったので、ビビった。。。ローラーコースターが得意ではない僕にはあれが限界。。。

混み具合は、ピーク時で20~30分待ち。多くはほとんど待ち時間ナシだった。

個人的おススメはCBeebies LandにあるJustin’s House, the Pie-O-Matic Factoryと、池にあるBattle Galleons

前者はスポンジボールを機械で撃ちあうところ。後者は屋外のアトラクションで、6人位で小型船に乗る水かけ合戦。特に後者は、外から見てるだけでも楽しめたし、参加(参戦)可能。寒い日はNG(ずぶ濡れになる。。。水はきれいとは言いがたい・・・)

ただ、問題多数。

まず、多くの乗り物が故障して止まった。実際、金曜日にはTh13teenが途中で止まって、お客さんがトラップされてた(BBCでニュースにも。。。) 他のローラーコースターも止まって、帰るときにタダ券を配ってた(ラッキー)

どういう理由で止まったかわからないけど、過度な安全対策ではなく、単に技術的なトラブルとすると、先日のような事故がまた起こっても驚かない。。。

次に、怠慢経営。
9時に開園するけど、ほとんどの乗り物は10時や11時からスタートだったりして、朝一で行くメリットがほとんどない。
働いている人たちからもプロフェッショナルさは感じられなかった。

最後に敷地の使い方が雑。
いくつかブロックにわかれていて、移動が大変。。。ここまで雑なデザインは見たことない。。。

だからかよくわからないけど、日曜日でも、お客さんの数は平日とほとんど変わらなかった。。。

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土曜日は終日、Waterparkへ。

10時開園。ゴムボードの滑り台が2つ、滑り台が1つあったりといろいろ楽しめる。屋内プールで水温設定も寒すぎずで、終日いれた。ジャグジーもあったりと、世代によって楽しみ方が違いそう。問題は特に感じなかった。

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食事について。

朝食込で、毎朝ビュッフェ形式で、3日連続でイングリッシュ・ブレックファーストを。他のオプションもあって、3日くらいなら飽きずに楽しめた。

ディナーは、初日はSplash Landings Hotelで朝食も食べるFlambo's Exotic Feastへ。ビュッフェ形式で、いろんな物をたらふく食べられる。が、質は推して知るべし。値段も家族4人で60ポンド強かかり、コストパフォーマンス悪。実は、以下の普通のレストランの方が良い物をリーズナブルなコストで食べられおススメ。

2日目は、The Crooked Spoonへ。カウンターでメニューを注文して精算。ステーキなどが食べれる。まずまず。

3日目はAlton Towers HotelのSecret Garden Restaurantへ。行った中ではここがベストか。サービスも早く、Fish & Chipsイケた。

ということで、各宿泊施設にレストランがあり、徒歩で行け便利だった。

宿泊したホテルでは、連日イベントが開催されてたり、レゴブロックのコーナーがあったりと、ホテル内でもそれなりに楽しめるようになっていた。ホテルの部屋にはキッズ用二段ベッドもあってと、ファミリーフレンドリーだった。

ホテルからテーマパークへの移動もモノレール一本で、走行頻度も高く良かった。

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と良いところはたくさんあるけど、以前行ったレゴランドに比べると、魅力薄。ローラーコースター好きな10~20代の若者向けのテーマパークに、ファミリーフレンドリーな宿泊施設と、バランスがもう一つなリゾートだった。

もう家族で行くことはないと思われる。。。

2015年5月23日

10年

日本を離れてから今日でちょうど10年たちました。人生の4分の1弱を日本以外で過ごしたことになります。

10年前に渡米した時、今の状況は全くの想定外だったので、人生なんて何が起こるか予想できません。

ここでは、海外生活の良い点・悪い点をまとめてみます。まず良い点を5つ+アルファ。
1.日本に敏感になれる
日本を外から見れ、比べる対象があるので、自然と敏感になれます。ニュースを見ながらだったり、日本に一時帰国した時などに、日本は素晴らしい、逆に、日本てどうよ、といろいろ考えることがあります。

2.努力なしで英語力アップ
「努力なしで」というか、英語を聞いて・話して・読んで・書いていかないと生きていけないので、自然に労力を割くことになります。英語力アップのペースは、少なくとも僕の場合は、少しずつ少しずつ。ある日突然、ということは起きませんでした。

英会話力をアップさせたかったら、やっぱり使い倒すのが一番で、それしかないと思います。細かい文法なんてホントにどうでも良くて、とにかく使って意志を伝える。実際伝わる。相手はバカではない(ことが多い)。

頭で文章を作って発話、ではなく、発話しながら文章を作る。英語を教えてもらう、ではなく、英語でしかコミュニケーションできない部下、がいると手っ取り早いと思います。なぜなら、自分から話す量が増えざるを得ないから。

3.「海外旅行」が身近に
UKなら、ヨーロッパ旅行が身近に。米国なら、米国内やカナダ、カリブ海方面の旅行が身近に。日本からに比べたら破格の出費で実現可能。もちろん時差ボケなしで。インターネットがあっても、この物理的な距離は縮まらない。

4.価値観が変化
これは必ずしも良いとは限りませんが、価値観は大なり小なり変化します。第一の点にも通じますが、日本での当たり前が、海外ではクレイジーだったり、その逆も。そのギャップに少しずつ慣れ、価値観にも影響を及ぼします。その変化は、人間としての成長、という意味では良いことだと思います。視野が広がります。

5.外国人の知り合いができやすい
仕事柄、これは大きなメリットだと思ってます。英語力を超えた部分でのコミュニケーションの取り方も、日常的な体験から身に付くので、学会などで初めて会う人ともコミュニケーションをしやすい。仕事の同僚も自然と多国籍になるので、いろいろ勉強できます。

6.その他
他にマイナーなこととしては、日本の低俗なメディアに惑わされなくなったり、一時帰国した時に海外生活を羨ましがられたり(実際はそうでもないこともたくさんありますが。。。以下参照)、欧州カーが身近になったり、夏は涼しかったり(スコットランド限定)、家がアフォーダブルだったり(居住地域に依存)、シングルモルトが身近だったり、ゴキブリや蚊で悩まされることがなかったり(実は大きなメリット)、いろいろあります。

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次に悪い点を5つ+アルファ。
1.移民制度の影響を受ける
特にUKは厳しいです。ビザを更新する度に時間とお金がかかり、精神衛生上非常に良くないです。米国では一切感じなかったこととして、UKにいると、「所詮、よそ者」的な感覚があります(周りの人達からそういう感覚を受けることはないですが、移民制度やニュースから)。

2.食生活の変化
「日本食」と「日本での食事」は根本的に違う。前者は、海外で日本のメニューを食べることをここでは指します。

最低限の東アジア系の食材は手に入りますが、質の点で落ち、にも関わらず高額。わざわざ日本食レストランに行くのは、コストパフォーマンスの悪いbad ideaと思ってたりもします。。ということで、「日本での食事」にこだわってしまうと、海外生活はかなり困難と思われます。

3.帰省が「海外旅行」になってしまう
定期的に家族で日本に帰る必要がありますが、その度に「海外旅行」分の出費が必要。当たり前ですが、このコストは侮れない。数年に一度は家族でUK旅行(フランスやイタリアではなく)がMUST、という状況を想像するとわかりやすいか。

4.文化の違い
良い点として挙げた「価値観の変化」のネガティブサイド。文化の違いに慣れるには、それなりの労力と時間が必要。最もストレスが大きいのは住み始めた直後ですが、今でもわかってないことがたくさんあります。プライベートはもちろん、仕事でもその違いに苦労することがあります。

仕事の場合、例えば仕事への取り組み方の違い。プロフェッショナルかそうでないか、と一般化できる部分の違いだけで割り切れない部分もありそうで、表面的にはわかっても、本質的な部分で今でも理解できてなかったりします。。。なかなか慣れません。

5.子供の教育
日本人なので、家では日本語です。そうすると、子供に日本語をどうやって身に付けさせるかが大きな課題に。毎週土曜日の補習校は不可欠ですが、それだけだとどうしても限界があって、妥協点を見極めるのは親として悩ましい問題です。

一方で、親がスコットランドの教育制度を知らないので、親が最低限の知識を身につけないと、子供に不利益をもたらすリスクが多々ありそうで、これも大きな課題となってます。

6.その他
スコティッシュアクセントが理解できなかったり、たまに通勤バスにガラの悪い人が乗ってたり(被害を及ぼすわけではないですが)、間接喫煙の頻度が高かったり、雨ばっかりだったり、スコットランド独立が他人事でなかったり、日本のテレビが見れなかったり、温泉がなかったり、道路がガタガタだったり、こちらもたくさんあります。

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現時点では、10年後もスコットランドなりUK(まだ存在していれば)にいるだろうと思ってますが、過去の経験からして、想定外のところに住んでるかもしれません。少なくとも言えるのは、日本に適応するには時間がかかる状態にまで変化してしまった、こと。10年経つといろんなものが変化します。


2015年5月9日

総選挙2015

事前のすべての世論調査で、労働党と保守党の支持は共に35%くらいだった。そして、選挙後の連立政権の交渉が注目トピックで、いわゆるhung parliamentの状態が続く、と保守党の人たちすら思ってたはず。

が、蓋を開けてみれば、保守党が331議席と過半数確保で安定政権に。。。これでEU離脱の国民投票実施、さらなる緊縮財政は確実に。

一方、ほぼ世論調査通りだったのはSNPの強さ。この確実な予想が予想外の結果に影響したのかもしれない。

選挙1~2週間前から、保守党は、労働党バッシング戦略として、労働党が政権をとるとSNPと連立を組み、UKを分断させてしまう、とキャンペーンをはった。Ed Milibandは、SNPとは組まん、と火消しに。。。もしかすると、これが保守党成功の鍵だったのかもしれない。

とすれば、今回の選挙結果、保守党を支持、というより、イングランドの人たちがスコットランドの躍進にはっきりNOと言いたかった、と解釈できるのかも。

それにしても、どの政党が議席を確保したかを示すUK地図を見ると、UKが完全に分断されているのがはっきりわかる。。。

スコットランドは黄色一色。。。(北アイルランドはユニークな混合色)

次の注目はやはり来年のスコットランド議会選挙。

SNPが圧勝しようものなら、再び国民投票を、ということになるだろうから、UKの終焉がかなり現実味を帯びると思われる。。。

EUからの離脱はないと信じたいけど、スコットランド独立は予想より早く実現するのかもしれない。。

SNP議員をWestminsterには送るけど、独立は別モノ、とスコットランドの人たちがどれくらい思ってくれているかは不明。。。

とにかく、英国の長い議会制度の中でも、確実に歴史に刻まれることが起こっていると思われる。

2015年4月11日

総選挙など

前回から丸3ヶ月のブランクですが、生きてます。

今、イースターホリデーシーズン中で、今週は天気も素晴らしく、すっかり春(といってもまだひんやり)です。

UKでは連日、5月の総選挙のことがニュースの中心ネタで、テレビ討論もあったりと盛り上がってます。SNP昨年の国民投票後、大躍進中で、スコットランド内の労働党の議席をことごとく奪い、議席数でいうと第三の党になりそうな勢い。(UK全体の人気ではUKIPが3番らしいけど)

個人的注目は、労働党と保守党どっちが第一党でどんな連立政権になるのか、そして、2016年のスコットランド議会選挙で次の国民投票実施への議論がどれくらい盛り上がっていくか、ということ。

先週の7党首テレビ討論で、Nicola Sturgeon は、国民投票はonce in a generationやし、と明言してたのに、今週、2016年の選挙で勝ったらまたプッシュするし、と口ばっかりです。。。

SNPは相変わらず数字に弱かったりと、しっかり政策の実現性や結果を吟味する必要がありそう。。。

でも、今回に関しては、もっとSNPにパワーを持たせて、どうなるか見てみるのは悪くないと個人的には思ってます。Liberal Democraticみたいに、選挙後サポート急落、ということもありうる。もしもしっかり仕事ができるなら、独立OK、ということにもなる。けど、経済をどう回すか、という根本的な問題はどう頑張っても限界があるように思える。。。

とにかく、選挙キャンペーンの動向を見ていると、今のUK内の問題がたくさん議論されてて非常に良い勉強になってます。

財政や経済の問題はもちろん、NHS、移民とEU、世代間格差、Tridentなど。

日本で例えたら、財政から外交や沖縄基地問題までたくさんの問題を争点にして、次を決める、という感じ?

仕事関係に話を移すと、論文が1つ出て、1つaccept、1つはin revision、1つはreject後再投稿、という状況。グラントは昨年のBBSRC以降、残ってた二つは撃沈。Co-Investigatorのプロポーザルもあっさりreject。

ということで、次のプロポーザル書き中と、相変わらずの自転車操業状態です。。新しいネタをしっかり考える、という点ではプロポーザル書きは刺激的で良いけれど、もう少しじっくりプロジェクトに取り組ませて、というのが正直なところです。。。RCUKでいうと、2~2.5プロジェクト分維持できるともう少し楽なのに、、、という感じ。

他には、今のポストに就いてぼちぼち5年目ということで、senior lecturerに昇進することになりました。「年寄り講師」?お金獲得というインプットはOK、論文というアウトプットは全然ダメダメですが、昇進できました。が、給料という点では、lecturerのままだったとしても額はおそらく変わらないと思われ、しかも「senior lecturerだから、もっとティーチングしろ、アドミン系の仕事をしろ」と要求されるリスクが高く、正直喜べません。。。

明日からエディンバラで神経科学学会。明日初日に、全5つのポスター発表となってます。

2015年1月10日

REF2014結果

年末に結果が発表されたREFについて。基本情報については過去のエントリーを参照のこと。

REFはUK内の大学評価制度のことで、5年間のパフォーマンスをいくつかの指標に基づいて大学を評価。その結果を、お金配分の根拠にしたりする。UK的といえばUK的制度。

発表されたランキング等に関しては、この記事にリンクがリストされている。

うちの大学は少し頑張ったようで、順位が50位から37位に上昇。

スコットランド内で言うと、エディンバラ、セント・アンドリュース、グラスゴーという名門大学に続く4位と、ダンディーやアバディーンより上になったもよう。大学数の割にスコットランドは頑張っているもよう

うちの大学、部門別でいうと、物理はなんとオックスフォードをおさえて、堂々の1位。僕が属している研究所は、Allied health professions, Dentistry, Nursing and Pharmacyなるカテゴリーで申請し、22位というリーゾナブルというか非常に中途半端な位置。。。(どのカテゴリーで申請するか、いろいろディベートはあったもよう)

大学としては全体的に良いパフォーマンスをしたようで、過去5年よりはお金の配分という点では恵まれるもよう。新年の学長の挨拶でも、よく頑張りました、的なコメントをしていた。

こういうある意味客観的(?)というか、少なくともリソース配分の根拠となる大学の評価制度はあるに越したことはない、と個人的には思う。透明性を与えているような気分にさせる。

が、ゲームのルールを熟知して如何に裏技なり反則気味の技を行使するか、みたいな本末転倒な部分もあって問題はたくさんある。

UKに来た直後、
REF中心で戦略を考えるより、如何に良いサイエンスをやるか考えた方がいいんじゃね
とごくごくまっとうな冷めた目で見ていたけれど、4年強UKで過ごして、まわりの人達の考えはそれなりに理解できるようにはなった。

慣れというものは恐ろしい。。。

そして、すでに次のREFを見据えた動きが大学内で始まっている。。。

2014年12月14日

一学期ティーチング まとめ

10月からスタートした一学期のティーチング、ほぼ終わったのでまとめます。

同僚教授のリタイアに伴い、彼女が担当していた分が降りかかってきて、如何に手抜き(良く言えば効率性アップ)するかが大きな課題でした。。

BM101(学生6人)
BMはbiomedical。三桁の最初が学年。なので、biomedicalの学部1年制向けのクラス。
論文の読み方からプレゼンの仕方などかなり一般的なことを身につけるのが目的らしい。
1スタッフあたり6人前後の学生が割り当てられ、お題を与えて学生さんたちが関連論文を読んでエッセイを書き、5分のプレゼンをする、というのが最終目標。

僕は20人くらい担当しているスタッフのうちの一人。今年から担当することに。

僕が与えたお題は「知性はどれくらい遺伝するか?」

負担としては、エッセイの初期の原稿を添削したり、プレゼンのフィードバックを与える、というもの。プレゼンのフィードバックは、one-on-oneでミーティングをする必要があって、1人20分と枠を決めて面接形式でやった(ら、かなりうまくいった)。

明日と明後日、学生さんたちはプレゼンをして採点される。

BM203(3レクチャー)
3年目。昨年度までは二学期だったけれど、今年から一学期へシフト。部門として、レクチャーの量を減らせ、というお達しがあり、2レクチャー減らしてもらう。ということで、2レクチャー+1復習という負担。スライドは使いまわしなので、レクチャーの時間だけの負担だった。

BM408(1レクチャー+2チュートリアル)
4年生向けで、6人位のスタッフで各3コマずつ担当。好きなトピックについて1コマレクチャーをして、論文を読ませながらのチュートリアルを2コマ、という内容。

ということで、僕はoptogeneticsを選んだ。レクチャーのためにスライドを一から用意する必要があったけど、内容が内容だけに負担感はかなり少なかったです。

チュートリアルの担当は初めな上、日本ではこの手の形式になじみがなかったけれど、そこそこ形にはできたか。学生さんたちがそれなりにまじめに取り組んでくれたので助かった。

BM409(4レクチャー)
脳の病気からエイズなどの感染症などいろんな病気をカバーするクラス。僕は統合失調症と依存症のレクチャーを引き継ぐ。もともと5コマだったところ、4コマにしてもらう。

教科書の該当章を一から読み直してスライドもほぼ作りなおしたため、それなりに時間はかかった。が、興味のあるトピックでもあったので、良い勉強になりました。

MP507(学生6人)
MPというのはMPharmつまり薬理。その学生さんの卒業研究。あらかじめ研究プロジェクトをアップして、希望学生さんが配属されるというもの。卒業研究といっても文献調査なので、負担は(比較的)少ない。

今回は5人の学生さんが配属され、もう一人後で移ってきた。トピックはelectroceuticals。MPharmの方がbiomedicalより入るのが難しい分、学生さんのレベルもやや高目で、先日添削した初期レポートもまずまずというものが多かった。

BM卒研(1人)
昨年まで4,5人担当してたけどMPの負担が来たということで、今年は一人だけ。この負担大幅減が実は最も大きかった。というのは、ラボプロジェクトの学生を3人なんか持つと、その指導でかなりの時間を取られていたけど、今年はそれがなかった。

レクチャー、チュートリアルや個別指導的なものまでいろんなスタイルがあって、見た目上の負担も増えたけれども、昨年の一学期より実は研究に費やせる時間が増えたと思われる。

卒研の負担減が一つ。

もう一つはレクチャーの準備の効率化。
今まで、レクチャーのためリハーサルをやってたけど、今年はほぼぶっつけ本番でもそこそこ流せた。あと、レクチャーのスライドも気合を入れて作らないようにしたので、準備時間も削減できた。良いか悪いかはともかく、30~50%のパワーで取り組むよう心がけました。

2014年12月7日

選挙

今日、衆議院議員選挙の在外投票へ。
自民党は「国民をバカにしてる」みたいなことが言われてても、その怒りの受け口として準備ができてない野党はもっと国民をバカにしてる、と思いながら投票。。。日本の政治のロジック、凄すぎます。。。

一方、UKの政治も来年5月の総選挙に向け盛り上がってきてます。
スコットランドに関しては、referendum直後、Alex SalmondはSNPの党首をやめたと思ったら、次の総選挙で出馬するらしい。引退したGordon Brownのシートを奪うべく。おそらくSNP支持者に限らず、多くのスコットランドの人達から彼は支持を集めるだろうから、非常に面白いことになると思われる。彼からはまだ目が離せません。

2週間ほど前にあったもう一つ大きな動きとしては、referendum直前に約束してくれたスコットランドへのパワーの内容がSmith Reportとして明らかに。どう評価すべきか僕にはよくわからないけれど、スコットランドとしては、お金という点で確かにパワーを得ることができ、良い前進なのでは?と思ってます。

政治以外に関して。
米国では黒人への人種差別の問題が大きな話題になっている一方、UKでは、生まれる前の赤ちゃんの人権を問う裁判の結果が少し話題になってました。判決をそのまま解釈すれば、生まれるまで赤ちゃんには人権はなく、母親がヘビー・ドリンカーで赤ちゃんに障害を負わせても責任は問われないらしい。。。どこまでを人と見なすかのボーダーについて生物学的な根拠は法廷でどこまで議論されたんだろう。。。先進国といえどもすごいロジックがまかりとおってます。。。

プライベート関連では、来週16日から日本に一時帰国します。
前半は大学院生を連れての仕事ですが、途中からは家族も合流しプライベートモードに。実は、日本での年越しは国外に住み始めてから初めてで、実に10年ぶり。超ベタに日本らしい正月を満喫したいと思ってます。

ちなみに、今回は19日に名大でトークします。

2014年11月8日

BBSRC 2014年春 まとめ

こちらの続報。今年春にアプライしたBBSRCグラントのまとめです。

結果はsuccessful。

最後のチェア・コミッティー・ミーティングが10月29日に開催され、1週間を過ぎた11月6日にメールが届いた。

チェアミーティングから1週間なんの音沙汰もなかったので、諦めて次を考えないと、と思い始めた矢先だったので、かなり嬉しかったです。

今回のグラントは4月末にアプライし、8月末から9月上旬にかけレフリーのコメントが次々と戻ってきて、9月末にコミッティーミーティング、10月29日にチェアミーティング、という時間経過。

おそらく今月末頃にオファーレターが作成され、いくらもらえるか判明するはず。順当にいけばこれまでの獲得賞金総額が大台に乗ると思われる。

レフリーのコメントは、申請書でリスクとして書いていたところにツッコミが入ったり(揚げ足を取られた)、ごもっとも、という指摘もあったり、良い評価をもらったとはとても言えなかっただけに意外な結果でした。

今回はスペシャルコールで、BBSRCのストライクゾーンに申請書を投げ込んだ点がポジティブに働いたのかもしれない。ラッキー以外何ものでもない。

とにかく頂いたチャンス、頑張ります。

ネタ的には、この2年ほど、非常に地味な仕込みをほそぼそとやっていて、そのリソースを活かすネタ。ここ最近、この業界は、お金がないとビッグラボに太刀打ち出来ない状況になっているので、ニッチネタとして雑草根性丸出しの研究をしようと思ってます。(何とか生き延びないと。。。)

ちなみに、あと2つペンディングのグラントがあって、その結果は年末年始頃に1つ、そして4月頃に残り一つの結果が判明する予定。

2つとも当たれば500K以上獲得で、あれ買って、これ買って、と皮算用をしてみたり。。。

グラントは宝くじみたいなもんで、とりあえず買ってなんぼ。でも、買い方のコツみたいなものがあると思います。

追記(11月13日)
こちらにランキング等の情報がアップされてます。
コミッティーAで24件助成されたうち18位でした。
このあたりのランクだと運が大きく左右すると思われるので、ラッキー以外何でもないです。。

2014年9月14日

人の意思決定について思ふ

スコットランド独立ネタです(また)

先週末のYouGovの世論調査ではじめてYes派がリードし、No派はパニックモードに。

この一週間、Cameronさんをはじめ、各党の党首が立て続けにスコットランドを訪れ、UKを維持することの重要性を主張。

さらに、独立が決まったらRoyal Bank of Scotland(RBS)を含むスコットランドの金融大手は本社をロンドンへ移すプランを持っていることがリークされ、RBSはそれを認める。

そして、Asdaなどの大手スーパーなどの多くも、独立後は価格を上げることになりそうだとわかる。

その結果、YouGovの世論調査ではNo派が逆転して盛り返したけれども、他の世論調査の結果を見ると依然拮抗状態で、ナショナリズムのムーブメントはもう止まらない。

決めていない人たちの動向次第でホントにYesが過半数を占めるリスクはある。。。
つまり、残り数日、両陣営ミスは許されないし、18日の国民投票の開票結果を待つまでどうなるかホントわからない、という状況。。。

僕の立場は、変わらず絶対NO。
スコットランドの人たちのためにも絶対NO。

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Yes派の人たちは独立することでパワーを持てる、とよく主張する。

ホントか?

パワーを行使するにはリソースが必要。NHSはもちろん、世の中、お金がないと希望通りに回らないことがたくさんある。なので、結局、経済問題に目を瞑っていては話が進まない。

その経済。以下のリスクがこないことをYes派は保証できるだろうか?

通貨はポンドを使うとYes派は頑なに主張している。最終的にどういう形態に落ち着くか現時点では不透明だけれども、仮にユーロみたいな形態をとるとする(つまり、通貨は共通、政府は独立)。

Yes派はお金のあてもないのにNHSを予算カットから守るとか謳っている。

それを実現するには、借金するかタックスを増やすといったことが有力な手段なのではないか。北海油田の「ボーナス」が継続的に入ってくることが保証されない限り。。

増税はすぐには難しいだろうから借金が現実的。

それから金融大手がロンドンへ逃げることの意味も考える必要がありそう。例えば、住宅バブルの兆候が見え出すと、おそらくWestminsterサイドから圧力がかかり、スコットランドの人たちへお金を貸さなくなるかもしれない。

それでもバブルが発生し、それが弾けたり、国が借金し続けて臨界期を超えるたりするとどうなるか?

金融危機になると、スコットランドとrUK(the rest of the UK)は、少し前のギリシャとドイツみたいな関係になって、「独立」なんて名ばかりの状態になる。

つまり、rUKから「もっと緊縮財政をひかんとサポートせん」と言われ、スコットランド国民がどんなに文句を言おうが政治家はそのリクエストを飲まざるを得ない状態になる。つまり、今よりひどい状態になる。

若者のジョブを増やすどころか、失業率は数十%にすらなりうる。

せめて、その被害を少しでも軽減するために、自国の通貨は自分でコントロールできるようにしないといけないが、そういう方向ではなさそう。

遠い話ではなく、5~10年単位でこういう状況になってもおかしくないのでは?

住民投票直後はもちろん、通貨形態や借金分配のネゴシエーションの情報が伝わってくるにつれ、マーケットはまずUKに、そして2016年独立した後もさらに無言のプレッシャーをかけてくるだろう。

が、Yes派の恐ろしいところは、そういうつい最近近くの国で起こった出来事から想像できるようなことに聞く耳持たずで、超楽観・ポジティブ思考に陥っていること。まさにナショナリズム。

現実的なリスクより、希望をもたらすことに人は惹かれるから、Yes派はその点強い。

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Yes派曰く、NHSを守る。ジョブを増やす。

すべてお金の話。お金もないのにどうやって?

Yes派曰く、お金への行使権を持つ。

お金もないのに、パワーもへったくれもない。
しかもお金に関してはrUKに依存することを公然と認める「独立」を主張している。

さらに、No派がそれを指摘しても、その話はもう十分、みたいなブーイング。。。

現状のスコットランドを守るためにNoが最適解だと思うし、独立性の高い経済を回すしっかりしたプランBを持たない限りYesと言うべきではない。

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とにかく、ヒトの意思決定は合理性から程遠いなぁ、と痛感する今日このごろ。
ヒトは感情でドライブされる。。。

さらに、スコットランド内がYesとNoで二分されてしまったから、無事にNoが勝っても国民感情という点で大変な状況は続くだろう。。。

一方で、多くの人がスコットランドの将来を真剣に考えたという点で、この国民投票は偉大だし、他国の人たちに誇るべき歴史的出来事だと思う。それを、UKに留まったままでWestminsterと闘いポジティブな方向に変えていって欲しい。

2014年5月4日

BBSRC2013-14

BBSRCのグラントアプリケーションについて、ここ最近の状況をアップデートします。

まず、昨年9月頃にアプライしたBBSRCはリジェクト。。。

レフリーコメントは1月中頃。コミッティーミーテイングは3月。最後のコミッティー・チェアミーティングが4月中旬に開催され、リジェクトの知らせ。

レフリーコメントは全般にポジティブで、リスポンスもしっかりできていたけれど、ダメだった。
おそらくBBSRCの戦略という点で物足りなかったのでは?と思われる。

ちなみに、これはグラスゴー大の人とアプライし、僕はCo-Investigatorで技術的なサポートという立場。僕へのお金の配分は、僕の給料の一部と学会旅費。一緒にアプライした人の生産性は素晴らしいので、過去の業績は基本どうでも良いのだろう。。やはりアプリケーションがどれくらいエキサイティングで戦略に沿っているかという部分が重要だと思われる。

ちなみに、これまでCo-Investigatorとしてアプライしたグラントは全戦全敗。。。全くサポート役に回れてなく申し訳ない。。。

次に、昨年10月末にアプライしたBBSRCのJapan Partnering Awards。こちらはゲット。

このスキームは、BBSRCグラント所持者で海外パートナーとのコラボを手助けするための旅費系のお金をサポートするというもの。日本以外にもヨーロッパなど他の国のスキームもある。

申請書は数ページの簡単なもので、締切の数週間前に余裕を持ってサブミットできた。そもそも日本人がアプライして良いの?という素朴な疑問を持ちながらアプライしたけれど、結果オーライ。BBSRCグラント所持者+日本にコラボパートナーを持つ、という時点で競争率はかなり低くなっていたと思われる。あとは、BBSRCの戦略のストライクゾーンにアプリケーションを書いたのが良かったのかも。ちなみに、このスキームは内部審査だけで意思決定され、一切フィードバックなし。

最後に、先週火曜日にresponsive modeにアプライ。

こちらは、Action on Hearing Lossというチャリティーとのジョイントコール。2段階プロセスで、年明けにまず数ページのアプリケーションを送って、そこから招待されたものだけがアプライ可能、という仕組み。おそらく特別枠があるのだろうけれど、このコールにアプライしたプロポーザルが10件もあれば、success rateは20%前後だろうから、普通にアプライするのと難易度は大して変わらないと思われる。

9月23-4日にコミッティーミーティング。おそらく8月頃にレフリーのコメントが返ってきて、10月に結果がわかる感じか。

とにかく今年は一個は当てにいかないといけません。ということで、次のラウンド(9月末締)にもアプライします。

2013年11月10日

REF2014

Research Excellence Framework、略してREF。UK内の大学の研究力を測って資金分配を決める独特の制度。大学への資金配分を決める制度だから、大学としては死活問題の超重要なイベント。

その申請締切が近づいてきて、ガーディアンネイチャーにも関連記事が出て盛り上がってる。

このREF、以前はResearch Assessment Exercise(RAE)という名称だったそうだ。RAEでは5年毎にUK内の大学の研究レベルを評価し、それに基いてお金の配分を決めていたもよう。

wikipediaによるとRAEはサッチャー政権時代の1986年からスタートしたみたいだからそれなりに歴史がある。

2008年のRAEを最後に、今回からREFと衣替えをしたらしい。その第一回目の申請締切が11月末で、一年かけて審査され、2014年末評価が下される。

このREF、簡単に言うと、個々の研究スタッフのアウトプットの総和を学部なり研究所ごとに測って、今後数年間のお金配分の根拠にする。

個々のスタッフのアウトプット情報は、最大4つまでの論文、支出額(過去エントリー参照)。そして「インパクト」なるものが今回から新しく付け加えられたもよう。そのインパクトがよくわからなくて、僕が理解しているところでは、社会貢献度的なもの。例えば、会社を興して・・・など。そういう時代だから、そういうものも測られる。。。

REFは大学にとって死活問題だから、露骨な戦略に出るところがある。
例えば、
・このREFの締切に合わせて有名研究者を外部から雇う。複数。。
・一部スタッフをティーチングスタッフにし(つまり戦力外通告)研究スタッフとしてカウントしない。。

倫理感を評価するとは明示されていないので、高得点を稼ぐためになんでもする。。。

REF申請のために、トップの人達や事務系の人たちはかなり時間を費やしている。そのためのスタッフを雇ったりもしているらしい。。。

何となく馬鹿馬鹿しいが、他に代替案を思いつくかというとそれはそれで非常に難しい。。。

結局のところ、良い研究をする、というのが本質なのに、余計なことでリソースを浪費しているのは確実。

RAEなりREFをモデルに似た制度を導入している国がいくつかあるもよう

とにかく、ベストではないけれど、UKらしい制度の一つ。

2013年10月13日

日本とスコットランドの教育

最近OECDによる国語力・計算力に関する調査結果が発表され、日本はことごとく上位。

それを受けて、日本はなぜ強いのか、についての記事がGuardianに掲載されていた

日本人にとっては新鮮味に欠けるけれど、そこでは日本の教育システムのしっかりしてる点、そして弱点が述べられている。その弱点は、もちろん英語。文法や読解力はすごいのに英語でのコミュニケーション力が乏しいと。。。

一方、コメント欄では、英国人(?)から見た日本がいろいろ分析されている。長年築き上げられてきた文化・社会構造の違いに着目しているコメントがいくつかあったりと、記事以上に勉強になる。

自分の子供はスコットランドの学校に通っているけれど、確かに日本と全然違う。

そもそも教科書がない。。。

「ドリル」的なものはもちろんない。

ノートもある意味貧弱で、ノートというよりメモ帳的なサイズのミニ冊子に手書きで文を書いたり、算数の計算を書いたりと、寺子屋か?と思うようなレベル。(寺子屋には行ったことはないけれど)

そういうシステムという点で、この国はよろしくない。
OECDの結果がそれを如実にあらわしてるように思う。

一方、次の3点は、日本の教育システムは学んでも良いかもしれない。

第一に、答えのない宿題。
スコットランドでも宿題は出るけれど、ドリルの5~10ページをやれ、といったものではなく、いわゆるopen questionが出される。つまり、答えは一意に決まらない、回答者しだいの問題。こういう問題は、得てして総合力を発揮できる場でもあるので、伸びる子はとことん伸びるように思う。

第二に、会話形式の授業。
小学校の早い段階からグループ・ディスカッション的なことをやるもよう。こういうのがあるから、こっちの人たちは単純な言語力を超えた部分で、ディスカッションになると強い(人が多い)。

第三に、褒め方。
良い所を見つける、というのが徹底している。あら探しはしない。

例えば今週、3者面談が学校であって参加してきた。担任の先生からclever girlを連発されると、仮にそうでなくても親・子供共に自信がついて結果もそのうち伴ってくるのでは?という錯覚さえ覚える。

一方、これを逆にすると、ホントはcleverな子でも自信を失い、伸びるものも伸びないということになるかもしれない。

日本の教育システムの完成度は世界トップレベルなので、ちょっとした改善でさらに伸びるだろうと、容易に想像できる。底もそこそこのレベルで、伸びる子は伸びるようなシステム。

一方、スコットランドの教育システムの場合、まずは「システム」作りからスタートしないといけないだろうから、ある意味絶望的。。。ネイティブの言語が英語、という最強のアドバンテージにかなり頼ってきてるように思う。

2013年9月1日

UKビザ更新

UKビザTier2 Generalの更新が無事完了したので備忘録を。
僕の場合、2010年8月に最初のビザを取得し、今回は英国内での更新。

Dependentsは、妻と子供2人。

ガイドラインはこちらで、条件によって申請手続きが違って超複雑になってますが、必要な情報はすべて入っていたと思います。

大まかな流れは、以下の通り。
・必要書類用意
・オンライン申請・申請費支払
・書類送付
・バイオメトリック情報送付(手数料支払)
・ビザ発行

1回目申請時にクリアしたポイントの一部(英語力など)は今回も持ち越せたりと、一回目に比べると申請手続きそのものは簡単だった。が、お金と時間がとにかくかかります。。。

今回のタイムラインは以下の通り:
5月上旬 ガイドラインに目を通す。(特別アクションは起こさず)
6月3日 大学にCertificate of Sponsorshipの発行依頼
6月21日 再三催促し、Certificate of Sponsorship発行
6月23日 オンライン申請
6月24日 写真など必要書類を準備
6月25日 送付
6月27日 ポストオフィスのトラッキングサービスで書類が届いたことを確認
7月11日 バイオメトリック情報取得のためのレターが届く(が、情報にミスあり)
7月12日 レター再発行依頼
7月18日 レターが再度届く
7月19日 ポストオフィスでバイオメトリック情報送付
8月21日 ビザ(バイオメトリックカード)が届く
8月22日 パスポート類返却
*ビザ発行日は8月19日とレターにあった。

以下、各ステップごとに。

必要書類等用意
更新ということで、用意すべきものは簡単だった
・大学からのCertificate of Sponsorship
・パスポート
英語力・経済力関連の書類は、初回をパスしていると用意する必要はなかった。

大学からは2ヶ月見ておけば良い、と言われていたので、6月上旬にCertificateの発行を依頼し、6月21日発行。結果的には、ちょうど2ヶ月で発行。

オンライン申請
こちらから対象ビザを選び、アカウントを作り、申請情報を入力。

一通り入力し終わると、最終ステップに入り、カバーレターのPDFが作成される。
申請費をクレジットカードで支払う。
4人分、£1,880なり(それなりの海外旅行を楽しめます。。。)

送付書類用意
オンライン申請時に作成されるカバーレターに郵送すべきID類が記載されていた。

妻への要求文書がやっかいで、一緒に住んでいることを証明する証拠が要求された。
・運転免許書
・NHSからのレター
・学校に通ってる場合はそれ関係の手紙
・銀行からのステートメント
このうち2つを出す必要があった。
我が家は、ジョイントアカウントにしてなかったため、始めの二つを。なので、パスポートだけでなく、運転免許書まで送付する必要があった。
できるなら早めにジョイントアカウントを作成しておくと、申請中、IDを手元に確保できて良い。

ちなみに、「数ヶ月以内に発行されたもの」とあったけれど、そんなものなかったので、2010年に発行されたものを送った(しかも、NHSからのレターはSakataではなくSakapaになってたりする。。。さすがNHS!)。

ついでに、カウンシルタックスの請求書と結婚証明書も送付してやった。
つまり、
・運転免許
・NHSのレター(誤字あり、3年前発行)
・今年のカウンシルタックスの請求書
・結婚証明書
を郵送。

結果的には、これらでOKだった。(あくまで結果論)

あとは、家族全員分のパスポートと写真。

書類送付
Post OfficeのDelivery Guaranteedで郵送。
翌日トラックしてみると、送付先変更、とでて、ちと心配したが、次の日には無事届いた。おそらく、指示してあった送付先は私書箱だったので、そこから改めて別の住所に送る仕組みなのだろう。

ちなみに、届いたというacknowledgementもないので、トラックしてないと、届いたかすぐに知るすべなし。。。

バイオメトリック情報取得のレター
2週間後にレターが紙で送られてきた。しかも、再生紙で。。。
しかも、妻の誕生日に誤りつきで。。
オンライン申請の意味なし。。。
金返せ。。。

電話し、妻のレターを再発行してもらう。
1週間後に来た。(この辺はUSとは違うか?)

バイオメトリック情報登録・送付
レターが届いた翌日に、グラスゴーのCity CentreにあるPost Officeへ行く。
そこで写真を撮られ、指紋スキャン。
一人20ポンド弱かかる。ディナーより高い。

一方、担当のおばさんはグラスゴーの人らしく、とてもフレンドリーで良い人だった。
他に一組いたけれども、基本的にはすぐに済む。
予約不要。

あとはとにかく待て

と言われた。

ビザ発行
8月22日、無事にパスポート類がすべて届く。
数年前からパスポートへのシールではなく、免許みたいな電子チップ付きカードがビザになったようで、国外を出る時はその両方を持っていかないといけない。

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ビザがないと働けない・住めないのはわかるけれども、パスポートを1ヶ月以上も預けないといけない仕組みだけは何とかして欲しい。。。もしこの間に緊急帰国する必要が出てきたら、と思うと、ホント不安になる。

この点、USの方が、国内申請できないとはいえ、まし。
国外、例えばフランスのUK領事館で申請する必要があって、数日で発行されるなら、喜んでそうする。

申請費に関しては、Home Officeへの予算削減の煽りが移民へ添加され、さらに値上げされるらしい。2年後に永住権申請になるけど、家族4人分いったいいくらかかることやら。。。しかも半年くらいかかるらしい。。。

とにかく時間とお金がかかります、この国は。。。