2015年12月31日

2015年

今年印象に残っているメジャーなニュースは、ギリシャ財政危機、難民問題、パリのテロ事件、冥王星探査、COP21、そしてイングランド北部での洪水。多くは2016年中にも進展がいろいろありそうか。

エルニーニョ(+気候変動)の影響で来年は今年より暖かくなるらしく、UKでは、冬、強風・大雨でまた甚大な被害が出るのかも。実際、昨日、グラスゴーで降ったタイプの雨は、日本ではあっても、UKに来てから見たことなかったかも。おそらく世界的に大荒れの一年になるのだろう。経済に関しても、中国やオイル、そして新興国絡みでいろいろ荒れそう。

UKの研究に関しては、今後5年間はインフレーションに応じて研究予算を増やしてくれるようで、チャンスが減る、というリスクは回避でき期待。そのためには、結果が問われる2016年となりそう。

その研究、自身の研究について。
論文として出たのは3つ(これこれこれ)。年明けにもう一つ出て、もう一つは査読中。コラボでも何でも良いから、このペース+数報で最低出し続けたい。グラント獲得は、大き目のものを一つ、中型一つ、超小型一つゲットと次第点。数百Kのものを毎年1つは狙いつつ、2年に一個のペースで当てられるとラボがしっかり回ってくれる。(そうでないと厳しいマネージメントに・・・)
先日のシンポジウム開催は非常に良い経験になって、来年はFENSのシンポジウム。こういう経験を積めるのはありがたい。
ということで、研究については、アピールできる点も一応あり良い一年のように見える。が、足元は依然極めて厳しい。。。2016年は非常に重要な一年に。

研究以外の大学関連について。
ティーチングは手の抜き方がわかってきて、負担量・負担感が大幅に減ってきた。けど、これ以上頼まれたら、NOと言いたい。立場としては、4月にSenior Lecturerへ。同世代でReaderなりProfessorとしてバリバリ頑張ってる人たちはたくさんいてるので、もっと頑張らないといけません。

プライベートについて。
今年最大のイベントは永住権取得。ビザの心配をする必要がなくなり、子供手当て的な社会保障も普通にもらえるようになって、ようやく一人前に。ファイナンスに関しては、家や車絡みで細かい支出があって悩ましい。。VATがボディーブローとして家計の負担になってる感が強い。。。今年、ホリデーらしいホリデーは夏の数日だけだったけど、来年は、春一時帰国し、夏はFENSに絡めて北欧方面を旅行予定。今後、数年間の旅行プラン(希望)を練ってみたけど、お金と時間がとにかくいります。。。

2016年のテーマは「集中」。

NOというべきこと・時はしっかり言い(もしくは無視し)、やるべきこと・やりたいことに資源を集中投入していきます。

2015年12月13日

Leverhulme Trust

昨年から5連敗中のグラント申請。
何とかLeverhulme Trustからサポートいただけることになったので、その経過を備忘録的に。

Leverhulme Trustは90年前にWilliam Leverの遺書に基いて設立された財団。William LeverさんはLever Brothersという会社の創業者で家庭用石鹸を初めて製品化したらしい。

自然科学だけでなく、人文系や芸術系にも幅広くサポートをしているUKの財団。

いくつかスキームがある中、コアのスキームはResearch Project Grantというスキーム。

最大5年間、500Kのサポートが受けられる。が、過去の受賞者をチェックすると250K 前後が相場で、ポスドクの給料から計算するに3年間が妥当なラインだと思われ、実際、250Kを目安に3年間のサポートをお願いした。

申請手順は2段階制で、まずアウトラインプロポーザルを出し、OKなら2ヶ月以内にDetailedプロポーザルへの招待がある。

Detailedプロポーザルの申請書の分量は普通で、コアは5ページ、他の諸々のペーパーワークを入れると合計20ページほど。ただし、予算案はアウトラインプロポーザルから変更不可なので、アウトラインの時点で、Detailedが詰められてないとダメ。つまり、レディーになった時点で、アウトラインを出す必要がある。そのアウトラインのコアは2ページ。

年3ラウンドあって、9月締めのラウンドに提出し、12月1日に結果を受け取った。結果は、申請者へではなく、まずVice-Deanに文書で知らされ、僕に伝わった(後日、僕にも手紙が送られてきた)。

このスキームはいろいろユニークな点がある。まず、人への投資を重視している点。要求額の75%は人件費に使うという制約。

このスキーム、ストラスクライドで働き出した頃から知ってたけど、人は雇えても設備投資できないとプロジェクトが回らないと思い避けていた。今回は、設備投資はひとまず落ち付いてきて、今一緒に働いてもらってるポスドクとコラボを続けたかったので、ちょうど良いスキームだった。

他のユニークな点として、なぜLeverhulme?かをしっかり書く必要があったり、最終意思決定する人たちは科学者でなかったり、ピアレビューアーをこちらで指名できたり、いろいろユニークな点があった。

「なぜ?」というのがトリッキーで、例えば、BBSRCやMRCではいけない理由をしっかり説明しないといけない。もちろん病気の研究だとNG。つまり、他のグラントオプションの性質をしっかり理解しておいた上で書かないといけない。

過去の受賞対象研究を見てると、神経科学の受賞者はあまりおらず、やはりユニークな研究にサポートという傾向が感じられ、かなり厳しい戦になると思ってた。

ただ、Detailedプロポーザルの際、研究アウトラインを説明する項目があって、ここは意思決定時重要、とあったので、分野外の人にもわかるよう、できるだけ情報を簡潔化させるよう努力した。申請書書きのコツがウェブのいろんなページに散りばめられていたので、home workは必須。

ちなみに、ピアレビューは、レビューアーからのコメント(の一部?)が意思決定前に来て、1ページ以内でレスポンスせよ、という比較的軽めだった。レビューアーには仲の良い、かつプロポーザルの研究に近いことをしている海外の研究者お二人にお願いした。この人選も重要なポイントだったのかも。Conflict of Interestsは関係ないもよう。。。とにかくお忙しいところレビューしていただいたお二人には多謝です。

ちなみに、似たプロジェクトでMRCにもアプライしたけど、ピアレビューでボコボコにされ、最終審査にすら進めなかった。。。

改めて、グラントは敵を理解した上で数打てば当たる、と感じた。。。

ということで、これから3年間、しっかり頑張ろうと思います。

2015年12月12日

シンポジウム in 東京

一週間前になりますが、東京へ。今回は、シンポジウムのco-organizerとして。

イベントとしては、素晴らしいスピーカーの方々に来て頂き、進行そのものもうまく行って、非常に刺激的で良いイベントでした。ただ、質が高かった分、もっと多くの人たちと情報をシェアできると更に良かったのかな、という反省点もありますが、とにかく良い経験をさせてもらいました。

ノーベル賞受賞者の利根川先生や、おそらく近い将来ノーベル賞を取るであろうGeroさんとお話ができたのは良い思い出になりました。利根川先生とは一緒に写真も撮れたし。。

以下、詳細を。

2日朝にグラスゴーをたち、アムステルダム経由で成田へ。
3日昼過ぎに宿の庭のホテルにチェックイン。めちゃ良いホテルでした。ここの朝食の和定食、日本食に飢えてる自分には素晴らしく良かったです。

それはともかく、チェックイン後、郵便局へ行ったり、コンビニでお土産を買ったり、アマゾンで注文してた土鍋をピックアップしたりして、午後を過ごす。

この日の夜は、米国時代からの友人とChichukai Uomaruで食事。
外でタバコを吸う人は少なく、屋内はOKという、UKとは真反対なギャップに悩まされつつも、食事はまずまず、会話はいろいろ盛り上がった。メニューはウニをテーマに頼む。それにしても、2020年のオリンピックまでにレストランは禁煙、とした方が良いと思う。海外の人たちはちとがっかりすると思う。せっかくの日本での食事がぶち壊しになる。


翌朝、時差ボケからくる激しい頭痛のため、朝食はトライするも残す。1時間ほど仮眠を取り、9時半からの準備に間に合うように出かける。その時点では体調はほぼ通常の時差ボケモードに。

午前は会場準備で、午後からシンポジウムスタート。
開会の挨拶と利根川先生の紹介と、えらくプレッシャーのかかる仕事でしたが、何とかこなす。自分のトークの100倍緊張した。。。

夕方は懇親会。途中からGeroさん、Luisさんとお話を。やはり日本人中心のイベントだと、海外スピーカーの方が孤立しがち。。。2次会は、スピーカーとコミッティーのメンバーで近くの居酒屋へ。

翌5日、8時過ぎに宿を出て会場へ。
9時半スタートで、何とか全日程無事に終了。

夜は、8人ほどで呑み会へ。
おいしんぼというお店へ。隠れ家的な場所にあって、良いお店でした。
二次会は近くのパブ系のお店へ。
23時半頃までいてましたが、あっという間で、閉店とか気にしないなら、もう少し長くいても盛り上がってたかも。。

翌6日は8時頃チェックアウトして成田へ。JRの一部路線がストップしてた影響で成田エクスプレスに乗れず、ちょっと焦ったけど京成線で何とか成田へ着き、再渡英。

アムステルダムのトランジットは5時間。スキポール、セキュリティーのシステムが完全に変わってて、ヒースローというか他の多くの空港のように一箇所でのセキュリティーになってた。トランジットが短いと厳しいかも。

グラスゴーの自宅に着いたのは6日夜23時過ぎ。(翌日は4時起きで通常営業)

と、短くインテンスで、貴重な体験ができた屈指の一時帰国でした。
国内でいろいろ準備していただいた名大の山中さんに超感謝です。

2015年11月1日

赤肉・加工肉と癌

加工肉は発がん性に関してタバコやアルコールと同じカテゴリー、とWHOが発表し話題になってるので、少し情報収集を。

元の情報は、IARCなるWHO内の癌研究関連の国際組織から。
この組織、物質の発がん性について5カテゴリー設けている。グループ1は「人体への発がん性あり」、グループ2Aは「おそらく(probably)発がん性あり」といった感じ。

今回、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類された。

その根拠として、まずThe Lancet Oncologyに2ページのレポートが発表されたもよう。
これはIARC下のワーキンググループによるレポート。

レポートでは、赤肉・加工肉の定義に始まり、これまでの疫学調査やガン発生のメカニズムについて、引用文献と共に簡潔にまとめられている。素人にもわかりやすく書かれている。

ここで、赤肉は、処理されていない筋肉。もちろん、牛肉・豚肉も含まれ、ミンチや冷凍肉も含まれる。加工肉は、塩漬け・発酵・スモークなど処理された肉。ソーセージやハムなどが代表例か。

加工肉は大腸癌を引き起こす証拠が十分あり、胃癌との関連もあり。
一方、赤肉は大腸癌との関連があり、それを説明できるメカニズムについての証拠もあり、膵臓癌や前立腺癌との関連もある、と指摘されている。

そして、結論として、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類している。

このレポートに基づき、IARCが声明を出し、メディアで話題になった。

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やはり気になるのは、実際のリスク。

この点について、Cancer Research UKが素晴らしくわかりやすい記事をアップしている。

まず、加工肉をたくさん食べると、リスクは17%増とある(IARCのレポートでは18%とある)。

UKでは1000人中61人が大腸癌を発症するらしい。
これを基準に(遺伝的要素等を無視して)考えると、加工肉をほとんど消費しない国の場合56人。
加工肉をたくさん消費する国の場合66人(56人x1.17=66人)という勘定。

つまり、1000人中10人、もしくは100人中1人、余分に大腸癌が発生する、ということらしい。
一方で、加工肉を食べようが食べまいが、100人中5人強は大腸癌を発症することも注目。


次に気になるのは、グループ1にはタバコも含まれるけど、タバコと加工肉の発癌リスクは同じなの?ということ。

タバコを吸うと肺癌リスクが86%増。
加工肉・赤肉消費による大腸癌リスクは21%増。

つまり、4倍もの開きがあり、癌リスク、という点で、タバコと加工肉・赤肉は全然異なる。
おそらく、この辺りが、IARCの分類法がバッシングを受ける所以だと思われる。

ちなみに、このCancer Research UKの記事では、一日最大70g摂取の目安のもある。

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確かに発癌リスクを裏付ける十分な証拠はありそう。だからといって、貴重なタンパク質や、ビタミンB、鉄分、亜鉛の栄養源を完全に断つのはあまり良い選択ではないように思う。とにかく、過剰摂取はしない、ということを心がければ、大腸癌を避けられるラッキーな100人に一人になれるかもしれない。

2015年10月4日

THE 世界大学ランキング 2015-16年版

THEの世界大学ランキングが発表された。
今回の得点算出法はこちらに詳しい。

算出法のアウトラインは2年前のエントリーでまとめている。
その2年前と比べ、今回の大きな変化は、ElsevierのScopusのデータベースをCitationsの算出に使用している点か。

ランキングを見ると、トップの顔ぶれは、ランキングこそ微妙に上下してるようだけど、基本同じ。つまり、どう測ろうが強い大学は強い。

日本のニュースでも取り上げられていたように、日本の大学のランキングは。。。
100位以内に10大学、という目標と逆方向へ行ってる。。。

アジアトップ3は
National University of Singapore (26位)
Peking University (42位)
University of Tokyo (43位)
という顔ぶれ。

「研究は強い」と言われる東大。が、実際のスコアを見ると、ResearchのスコアはNational University of Singaporeより低く、Citationsのスコアはトップ2大学に負けてる。つまり、「研究は強い」という言い訳が通用しない状況。。。

もちろん、International Outlookのスコアが異常に低いから、そこを高める、というロジックはわからないでもない。

が、この項目は、合計スコアへの貢献度は低い。なので、仮にそこを補強してもランキングアップにはそれほど効いてこない。

むしろ、スコアへの貢献度が高く、しかも今まで強かった研究を最優先課題とし、そこをもっと強める戦略を採る方がどう考えても賢い。完全に戦略ミス。

オリンピックの騒動を見てても思うけど、文科省で意思決定している人たちは数字に弱いのでは?という気がする。。。(辛口)

ちなみに、僕がいてるストラスクライド大。今年は401-500位と、北大、九大、東京医科歯科大、首都大学東京、筑波大と同じカテゴリー。

この辺りのカテゴリーになると、100位前後の誤差はありそうなので、ストラスクライドは北大・九大と同レベル、なんてとても言えない。。。

ランキングはマーケティングに使われ、カスタマーでもある学生は、できるだけランキングの高い大学に行こうとするだろうから、高いに越したことはない。

2015年9月5日

欧州難民危機

今週は難民危機が常にトップニュース。以下、備忘録的に情報源をいくつか:

まずはwikipedia。
今回の危機に焦点を絞った記事
シリアからの難民に関するエントリー

BBCのiPlayerを視聴できる場合、昨日放映されたBBCの特集は手っ取り早く状況の深刻さを把握できる。

ガーディアンの記事集
その中から個人的なおススメ記事を。

まず、今週世界を動かした写真以外で、視覚的に問題の一端を知りたい場合、こちらは手っ取り早く、心に突き刺さる。

なぜ今問題が大きくなったか知りたい場合はこちら。トルコにいても未来はない(働かせもらえない)し、大挙してドイツへ、というのは理解できる。

EUの難民受け入れ制度の破綻状況についてはこちら

難民を受け入れるポジティブサイドの一端についてはこちら

そして、最も重要な、個人レベルでできることのアイデアについてはこちらこちら

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UKでは、排他的な右寄り政治、ドネーション文化の充実ぶり、という極端な部分が垣間見れ興味深い。一方、膨大な数の難民を受け入れているドイツは多くの人からリスペクトされている。EU諸国の対応の違いが、ギリシャ財政危機に続き、今後EUに禍根を残すのかもしれない。また、ドイツ的な寛大さが、問題をさらに増幅させるリスクがあるのかもしれないが、助けるべき人たちは助けないと人間的にどうよとも思う。一方、規模が尋常じゃないから、物理的に無理な部分もある。ドイツだって無制限に受け入れられるわけではない。とにかくシリアを何とかしないといけないんだろうけど、すぐに解決するとは思えない歯がゆさ。やはり、政治が動かないと根本的な解決につながらない。

2015年8月22日

UK永住権取得

無事UKの永住権を取得しました。以下、その記録を。

申請時の状況は、Tier 2 (General)のビザで5年滞在(2010年8月から)。僕も含め4人家族。

取得までの概要は
0.下準備
1.Life in the UKテストに合格する
2.英語試験に合格する
3.申請書を作成
4.各種添付書類を用意
5.郵送による申請
6.申請費引落
7.Biometrics登録
8.永住権を認めるレターと証拠文書返却
9.Biometric Residence Permitが届く
という流れだった。

5は8月4日
7は8月15日
9は8月21日
と、申請から永住権発行までは2週間強だった。

ただ、僕の場合、申請書がアップデートされた直後に申請したため、新しいフォームで申請し直すよう指示があった(以下詳細)。けど、そのために処理期間が長くなったかというと、そうでもないかも、という印象。つまり、少なくとも2週間程度はかかるのだろう。

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以下、各ステップの詳細を。

0.下準備
半年前の2月頃、申請に何が必要かウェブでチェックした。こちらこちら

その時点で、時間がかかりそうなのは、Life in the UKテストと英語試験ということを認識。が、それ以上は何もアクションは起こさず。

申請3ヶ月前の5月から少しずつ動き出す。

まず、大学のHuman Resourceの人に相談。
すると、4月に申請費が大幅アップしたことを知らされる。。。いつまたルールが変わるかわからないから、申請できるうちに早くやっておけ、とのアドバイス。

そして、申請書をダウンロードして記入内容を一通りチェック。90ページ位の申請書。。。

改めて、時間がかかりそうなのは、
Life in the UKテスト
英語試験
ということを確認し、申請までのスケジュールを考える。
Dependentである嫁もその2つのテストに合格する必要があるので、関連情報をシェアする。

1.Life in the UKテストに合格する
詳細はこちら
嫁もほぼ同時期に試験を受け、無事合格。
テキストをしっかり勉強するよう何度かプッシュした。。。

2.英語試験に合格する
詳細はこちら
嫁も同時期に合格。嫁は、カウンシルが提供している無料英語クラスに通っていて、そこではその英語試験の内容を想定したクラスだったもよう。いろいろ資料ももらっていた。

3.申請書を作成
こちらから「最新版」PDFをダウンロードして記入。
ビザ更新時のようなウェブベースの記入ではない。。

手書きより電子的な記入の方が見る方も良いだろう、という期待から、Acrobatを使って、PDFを編集。

パスポートサイズの写真2枚ずつ添付する必要あり。写真は自作。

それから、子供のパスポート情報の記入ページを追加したり、旅行歴を追加したりした。
全部で90ページに。

けど、Tier1など、他のカテゴリー用のページが大半を占め、実質、記入したページはその¼ ~ ⅓程度。半日もあればすべて記入可能。

トリッキーだったのは、以前Biometricsを登録した場所と日付の欄。ブログのエントリーとして残してたのが役立った。。。普通、覚えてない。。

それからイミグレーション履歴のページも厄介な部分。
幸い、Google Calendarで過去の旅行をすべてトラックできた。自分の行動を後でトラックできるよう記録しておくと役立つことがある。

4.各種添付文書を用意
若干厄介、というか面倒くさい。
僕の場合、
・写真
・パスポート
・Biometric Residence Permit
・大学からのレター
・UKテストの認定証
・英語テストの認定証
・3ヶ月分のBank Statement
・3ヶ月分の給与明細
・嫁との共住証拠(カウンシルタックスのビル過去2年分)
・義父の葬儀に参列するためUKを離れた期間ある旨を書いたそのレター(自作でOK)
・イミグレーション履歴資料
を添付。

それから、各添付情報のコピーも必要。

少し詳細を。

大学のレターは、6月末にHuman Resourceの人に依頼。すると、イミグレーションの履歴を記入するフォームを記入するよう言われ、それに記入後、研究所長のサインをもらい、パスポートと共に提出。すると、翌日にレターを用意してくれた。

が、7月中旬、レターの内容の誤りがあることが判明。。。
レターの再発行を依頼するも、担当者夏休み中。。。
8月に再発行してもらう。

イミグレーション履歴資料は、イミグレーション履歴の証拠として、丁寧にミニ冊子を作った。
構成は、1ページ目は履歴一覧。出国・再入国と旅行先・目的、そして何ページ目にイミグレーションスタンプがあるかを表としてまとめた。
2ページ目以降は、パスポートの入国スタンプのコピー、ついでにどの旅行か追記。

不要かもしれないけど、もし審査の時に、イミグレーション履歴も細かくチェックされる場合、審査する方は大変だろうから(というか、それで時間をかけてほしくなかったから)、丁寧なものを作った。(印象アップのため)

5.郵送による申請
大学からのレターを再発行してもらった8月4日に、すべての文書類をまとめてPost Officeへ行き郵送。トラッキング情報によると翌5日に配達された。

6.申請費引落
8月7日にクレジットカードで申請費が支払われていた。6Kなり!!(日本ーUK間、家族4人2往復分!!)

7.Biometrics登録
1週間後の8月14日にHome Officeからレターが届く。
本来なら、Biometricsの登録案内だけだと思われる。
翌15日に家族でPost Officeへ行き、登録。
顔写真を撮って、指紋スキャンされ、サインして20ポンド弱搾取されるだけ。土曜日にもやってくれていたのでありがたかった。

が、僕の場合、その登録案内と一緒に、受け取らなくても良いレターも入っていた。。。

そのレターには、申請条件を満たしてないから、10日以内に申請条件を満たすようにせよ、と。さもなくば申請はリジェクトされると脅されていた。。。

その条件とは、最新の申請書で申請せよ、と。

確かに、ウェブをチェックしてみると、申請書が更新されていた。。。申請直前8月3日に。。。(なんとアンラッキーな。。。)

ということで、土曜日15日の朝からオフィスに行って、申請書作りなおし。が、どこが変更されていたのか、わからずじまいだった。。つまり、全く同じ内容でその「新しい申請書」で作りなおし。Biometrics登録ついでに郵送。17日には届いた。

ちなみに、電子的に情報を入力していて助かった。もし元の申請書のコピーがなかったら、手元にパスポート等はないわけなので、記入できないのでは?と思った。。。(冷や汗)

8.永住権を認めるレターと証拠文書返却
8月20日、郵便が届く。

開けるとパスポート類が入っていた。

こんなに早く返却されることは期待してなかったので、もしやリジェクトでは?と、ドキドキしながらレターを読む。すると、Biometric Residence Permitが別途届く、とあった。つまり、永住権が無事発行されたとわかる。

9.Biometric Residence Permitが届く
翌8月21日、カードが届く。クレジットカードサイズのカード。ビザのそれと見た目は全く同じ。

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ということで、数ヶ月かかると脅されていたけど、実質2週間程度の審査期間だった。日本人だからか、Tier2(General)での申請だったからは知るすべなし。

とにかく、これで別の国へ移住しない限り、ビザというストレスから開放されると思うと、文字通り開放感というか何というか、随分気が楽になった。

それにしても、UKの移民制度はUSよりもタフ。
制度は厳しくなり続けると思われるし(つまり、ここで書いた情報もすぐに過去のものに。。。)、申請費もインフレ率の数倍のペースで値上げされていくのだろう。。。911前だったら、今回払った申請費分は豪遊に使えてたのに、と文句を言っても時代が違う。。。

高い申請費を払ってるから、ビザ更新時みたいにせめてウェブベースで申請書を作れたりすると、申請サイドも審査サイドも楽になるだろうに、と思ってやまない。。とにかく、申請をdiscourageするようわざとやっているのでは?と疑いたくなる点が多々あった。

ちなみに、以下がこのブログでのビザ関連エントリー
UKビザ更新
UKビザ取得
H1Bビザ取得
それにしても、どれだけの時間とお金を使ったんやろか。。。

2015年8月8日

UK5年

先週1日をもって、グラスゴーに住み始めて丸5年経ちました。
スコティッシュ・アクセントは未だわかりませんが、それほど不自由もなく(?)暮らしてます。

今週、永住権を申請し、無事受理されれば、今後、ビザ関連で悩まされることはなくなるはず。日本を離れて10年間、ビザ関連に費やした時間、そして何よりもお金は相当な量に。。。

それはともかく、UKに5年住んで思うことをダラダラと書いてみます。

<USとUK>
USとUKはいろんな点で違う。ここでは、「自由」をテーマに。
USの自由さは非常に魅力的だけど、自由な分、リスクは大きい。いろんな点で。

一方、UKでは何となく窮屈感がある。
けど、周りの目を気にしないで良い点は、USのそれに近かったりする。

UKでの窮屈感の原因はいくつかありそう。

第一に、自分が移民、という点。
USの場合、殆どの人が数百年以内の移民ということもあってか、移民に対する感覚が違ってた。一方、UKの場合(おそらく多くの欧州の国の場合)、移民絡みのダークサイドが顕著。ここ最近のCalaisの問題はそのダークサイドの一つ。「自分も移民」ということから肩身の狭さを感じることがある。

第二の窮屈感の原因は、何かにつけ安全対策だろ、正当化だろ、すぐ言われる点。もちろん、多くのケースで筋が通ってるけれど、「自由」が軽減される分、窮屈感につながる。

第三は、移民の話とオーバーラップするけど、マイノリティー感。ロンドン(とその周辺)を除くところでは、東アジア人は非常にマイノリティー。むしろ、それが良い、と思うこともあるけれど、しばしばそのマイノリティーという点を気にすることがある。窮屈、というより疎外感的なものに近いかも。

4つ目は気候。晴れが少ない分、開放感が自然と減る。服も軽装になる機会が少ない。例えば、グラスゴーの今年の夏は、最高気温15度前後の日ばかりで、夏があったのかわからないくらい。冷夏で雨が多かった。。。冬と今の時期と、家で着てる服が変わらなかったりする。。。季節感超薄。。些細なことのようでも、無意識的な部分で作用を及ぼしてる気がする。

<歴史と文化>
歴史と文化の重み・厚みはさすが。
「スコットランド」そのものの歴史はそれほど長くないけど、イングランドを中心としたGB全体の歴史は密度が濃い。建物からもそれを感じられる。

文化に関しては、UKに住み始めて音楽を聴く機会が圧倒的に増えた。
ブリティッシュ・ミュージックのレベルの高さを改めて感じる。例えば、子供と同じ曲を楽しむ状況は、日本だったら想像できなかったかも。毎週iTunesでランキングをチェックしては、気に入った曲をたまに購入、なんて状況は想定外だった。

<政治>
USとは違うけど、レベルは高い。選挙時期は、ジェラシーを感じる。なぜなら、日本のそれとは格段に違うし、自分に選挙権はないから。
一方で、労働党がしっかり立て直してこないと、バイアスのかかった政治になって、よろしくない。何事もバランスは大事。

スコットランド独立の件、先週またホットトピックになってた。来年のスコットランド内の選挙に向けてまた盛り上がるのだろう。けど、少なくとも先5年は、国民投票はない(とキャメロンさんが保証してくれた)。

国民投票どうこうより、昨年の今頃いろいろ議論された独立国としての実装的な部分の議論が進んでいないのは、ちょっと残念。SNPはまずそういう足元を固める戦略を採るべき。

<格差>
格差はUKでも肌で感じれる。USほどでないにしろ。住む地域が格差の指標の一つになってる点はおそろしい。。

一方、日本同様、世代間格差が問題になってる。政治の問題として扱われるケースもある。非常に難しい問題。

昨今必要とされている人材のハードルの高さというか、昔の多くの職との質的な違い、そして教育の現状(つまり時代の変化についていってない)を考えると、世代内での格差はますます広がるだろうし、世代間の格差も、状況は悪くなることはあっても、良くなる状況は想像できない。経済だけでなく、気候変動の問題もあったりと、非常に大変。

ちなみに、UKと日本を比べると、人口構造のいびつさは日本のそれほどではまだない。子供がまだ生まれている。サポートする社会体制もそれなり。日本はどうなるのだろう。。。

<セキュリティ>
個人レベルのセキュリティとしては、もちろん住む場所に大きく依存するのだろうけど、非常に安全。日本のそれと大差ない、というのが過去5年間の感覚。

ヤバい人はオーラを出してるので、この点はUSに近い。銃がない分、さらに良い。ただ、女性の場合は、必ずしもそうではない。一方、「痴漢」の話は聞いたことがない。

国レベルでは、それなりの体制は整ってるようなので、突発的なテロを考えないなら、おそらく日本より安全なんだろうなぁ、という気はしている。USとの関係も、日本とUSの関係とは違って健全というか対等というか。ただ、グラスゴーのすぐ近くにトライデントがあるので、実際ドンパチが始まると、最悪の場合、グラスゴーは住めない場所になる大きなリスクはある。ドンパチより、アクシデントがもっと怖いか。。。

<科学>
まずグラント制度。
制度としての質は比較的高い。もちろん、分野外の人も評価する分、宝くじ的な余地があるけれど、ダメならダメな理由を後で教えてくれる。それなりに納得のいくロジックを教えてくれる。

ピアレビューも、論文審査のそれほどではないにしろ、しっかりやってる。そのコメントは申請者に返ってきて、研究者のレベルを高め合ってる。

申請書もそれなりに詳しくプランを練らないと書けないようになってるから、1300億の予算なのに、実は2500億もかかるような提案があっさり通ることは少ない。つまり、お金の使い方も、意思決定前にそれなりに吟味される。通っても、無駄な部分は削るよう言ってくる。実績がある点(つまり良いCV)はもちろんプラスに働くだろうけど、それだけでは決まらない。プランがどれだけ実行可能かしっかり見てくる。完璧ではないにしろ、プロフェッショナル。思うに、この制度のおかげで、GDP当たり先進国最低レベルのサポートでもUKのサイエンスが高いレベルを保ってる一因になってるのだろう。他の国も学べる点はあると思う。

UK主導で変えようとしているアカデミアの文化もある。オープンアクセス。
UK内では、この勢いはもう止まらない。問題は他国がどれくらい追従するか。雑誌の淘汰が進むだろう。

一方、大学に目を向けると、いくつか(たくさん?)問題がある。大きな問題は、伝統的な部門構造。USのように、一人のスタッフが複数の部門に所属する、ということは聞かないし、部門そのものが非常に古臭い。新しい分野が出てきたから、柔軟に新しい部門を作って、、、ということがおきない。

なぜか?

ここ数年でわかってきたことは、学内だけではなく、外部組織との関係からその硬直性が出ていそう、ということ。特に、授業のカリキュラムは、外部団体(名前は覚えてないけど)の規定に沿ってる必要があるようで、制度が非常に官僚的。特に教育に関して、イノベーションが起きにくい構造になってる。この構造上の問題がUKとUSの決定的な差につながってる。歴史が足かせになってる典型例。一方、お金がある場合は、新しい研究所を作って、そこで先端研究・企業連携を推進する、というケースもあるのはある。

<教育>
住む場所を選べば、無料でそこそこの教育を子供に受けさせられるのはありがたい。ただ、最近の記事によると、私立に通ってる人たちは良い職に就きやすい、という統計もあるようで、この辺の格差のハードルはなかなか越えられない。

<交通>
道路について。
roundaboutがすばらしい。右直事故そのもののリスクは根絶してる(そもそも「直」がないから)。どういう背景で導入されたか知らないけど、もし交差点の事故を減らすためだったとしたら、考案者は賢すぎ。日本にどんどん導入すべき。交通死亡者も減らせるだろうから、お金の投資価値がある。うまく説明すれば、国民の理解も得られるはず。はじめは慣れずにミニ事故が増えるかもしれないが。。。

一方、電車で長距離移動は考えたくない。USよりはマシだけど。。。その点、日本はホントすごい。

<その他>
いろんなところでフリーWifiがある。バス、電車、お店など。旅行者にとってはとてもありがたいサービスだと思う。オリンピックを開催する日本も見習って欲しい。

と、日本やUSとの比較から、普段思ってることをダラダラと書いてみました。

2015年7月18日

英語試験

先週のLife in the UKテストに引き続き、今週は英語試験。
英語試験も永住権申請の条件として課せられている

どんな条件が要求されているかはこちらに(2015年11月にまた変更されることが示唆される記述も。。。)

とにかく、自分の場合、Trinity College LondonのGrade 5の試験を受けることに。

試験内容はこちら(PDF)やこちらに詳しい。
トピックフォームを予め用意しておかないといけない。

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スコットランドの場合、グラスゴーのシティセンタに営業所(?)があり、2週間ほど前にウェブで予約。

火曜日に受けてきた。

受付で待っていると呼び出され、まず荷物類をロッカーに入れさせられた。
他の受験生とは口を聞くな、と言われる。

続いて、試験まで2ステップのIDチェックがあった。
まず、パスポートのスキャンと顔写真撮影。空港のセキュリティチェックみたいな感じ。
続いて、別の部屋に行き、再びパスポートチェック、そして声チェック。
1から10までの数字をゆっくり2回マイクに向かって話せと言われる。

そして、また部屋を移り、10分の試験。
そこには試験官である中年のおばちゃんがいてた。

簡単な挨拶の後、試験官がタブレットを操作して録音をスタート。

試験は2部構成。

まず用意してきたトピックフォームに基づいた会話。
メイントピックに関する5つの話題の中からランダムに試験官が話題を選び、それについて話すように言われる。適宜ツッコミが入る。
最後に、質問はないか?と聞かれる。

僕の場合、「Brain」をメイントピックに。最後の質問タイムは「脳について考えたことある?」と聞く。答えはNot really...(相手が違う、って感じ。。。)

次に、6つのトピックの中から試験官がランダムに選んだ2つのトピックについて会話。FestivalsとEntertainmentが選ばれた。

Festivalsについては、「日本にもたくさんフェスティバルがあると思うけど、何が有名?」と会話がスタート。東北の三大祭の話をしたりして、最後はエディンバラ・フェスティバルの話で終わる。

Entertainmentについては、「普段どんなエンターテイメントで楽しんでる?」と切りだされ、先週末娘たちと観たMinionsの話をしたりする。。。雑談。。。

締めくくりとして「2つのトピックについて何か質問はある?」と聞かれ「オススメのフェスティバルは?」と質問。やはりエディンバラ・フェスティバルらしい。

部屋を出て、廊下で少し待たされる。その間、対応者が試験官の評価用紙をIDチェックの担当者に持って行っていた。

そして、ロッカーのある部屋に連れて行かれ、荷物を取り出す。
「おめでとう」と言われ、評価用紙とボールペンをくれ、証明書発行について説明してくれる。

さらに、避難路みたいなルートを案内され、他の受験生とは会うこともなく外に出されお別れ。

所要時間1時間弱。

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なかなかビジネスライクな試験だった。試験官もプロフェッショナルで、時間配分を気にしながら、次々とトピックを切り替えていったのが印象的だった。

ちなみに、要求されているレベルは、こちらに動画からも予想できるように低い。

前半は予め用意していたことを話し、後半は、結果的には予め想定していたこととは全然違うネタをアドリブで話すことになったので、かなり実践的で、確かに英会話試験としての質は高いとは思った。

が、このために150ポンドは、かなりボリ気味。。。

まだ証明書は届いてないけど、これで試験類はクリア。後は書類を用意して(これがまた超面倒)永住権申請へ。

2015年7月11日

Life in the UKテスト

UKに住み始めて8月で丸5年ということで永住権申請の手続きを進めてます。その申請条件の一つに、Life in the UKテストに合格するというのがあって、水曜日試験を受けてきました。

これは、UKに住み続けたかったらUKの常識を知っとけよ、という意図だと思われる。UKの歴史・文化・地理的なことに関する24の質問に答えて18問以上正解する必要がある。

問題内容は、公式ハンドブックに記載されている。
180ページのハンドブックで、UK市民権・永住権取得者としての原則からごく最近までの歴史、そして政治・裁判制度やスポーツ・文化的なことが広く浅くカバーされている。

試験は、近くにある試験会場で、コンピューターを使って答えていく。結果は、試験後ただちにわかって、認定証も即日発行。

50ポンドの試験。

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以下、自分の体験談を。

ハンドブックそのものは改訂されたすぐ後、2年以上前に買っていた。少し読み始めたところでやめて、再び読み始めたのは今年4月頃。

時間を見つけて少しずつ読み進めた。はじめは丁寧に読んでたけど、途中で鬱陶しくなってとりあえずひと通り読み終わることに専念。6月に読破。

その後は、ここにある模擬試験をこなす。
40セット模擬試験があり、難易度高。

1巡目の合格率は40~50%前後の危機的状況。。。

これはいかん、ということで、ハンドブックも部分的に読みなおしたり、2巡目の模擬試験をこなし、確実に18問正解できるようにした。

試験の予約手続きはここでアカウントを作ってやる。

グラスゴーの場合、ストラスクライド大学から徒歩15分のAdelphi Centreに試験会場がある。シティセンタからクライド川を越えた東。

その2階のlearndirectというところで受ける。

週3日ほど、いろんな時間帯で受ける機会があった。9つくらいの席があり、見た限り満席という日はなかった。なので、受けれなくて困る、という心配なし。1週間前までに予約すればOK。

水曜日5時の試験を予約し、4時半頃に付いた。すでに同時間帯の受験者3人もいてた。まず、待合室に案内され、来た順番で受付。

受付では、予約時のID(biometric residence permit)と3ヶ月以内に発行された住所を証明できる文書(カウンシルタックスのビル等)のチェックを受ける。さらに、生年月日やポストコードなどの確認を受け、ロッカーの鍵を受け取る。

ID以外の荷物をロッカーにいれパソコンがある試験会場へ。先に受付を済ませた人はすでに試験を開始していた。

試験は、まずルールの説明画面があり、4問ほど練習、そして24問の本試験。本試験の制限時間は45分。

不安な問題にはフラッグをつけることも可。

5分くらいで回答し終わり、ケアレスミスがないか一問一問確認しなおし10分強で終わった。終わったら、試験監督に言って、荷物を持って受付へ。

すぐに合否を教えてくれ(点数は教えてくれなかった)、証明書をくれた。証明書はA4の安っぽい紙で、スタンプと受付担当者のサイン、そして自分のサインをする。

気になる問題の難易度は、「UKの有名なテニストーナメントは?」といった超常識問題が半数、中程度の問題がさらにあって、3~5問トリッキーな問題が含まれてる感じ。4択とYes or Noの質問が2:1くらいの割合だったか。

上述の模擬試験でしっかり準備しておけば、確実にクリアできる。ハンドブックを一通り読んだだけだと、やや不安か?という感じ。

この試験はともかく、この機会にUK全般のことを広く浅く知れたのは良かった。ただ、ハンドブックはイングランド中心でバイアスを感じたので、スコットランドに住み続けるにはスコットランド史をもっと知る必要がありそう。

Alton Towers

先週後半、夏休みをとってAlton Towersリゾートへ家族旅行。

場所はマンチェスターとバーミンガムの間、イングランドのど真ん中。グラスゴーからは車で休憩時間も入れて4~5時間、250マイル。

リゾートには、Alton Towersという大きな遊園地といくつかの宿泊施設、それに屋内プールとアウトドア施設などがある。

UKの人にとっては、多くの学校のスクールトリップの行き先として有名らしく、最近、事故を起こして重傷者が数人出たところとしても知られている。。。(予約したのは、事故より前。。。)

宿泊プランは、エコノミーなSplash Landings Hotelという屋内プールがあるホテルに3泊4日で、Alton Towersのチケット2日分、屋内プールのチケット1日分。朝食付。

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初日朝、6時半頃出発。渋滞もなく11時過ぎに到着。

リゾートは、山というか丘というか、広い森の中にあって、高速を降り、狭いローカルの道をしばらく走ったら着いた。ホテル宿泊の場合、駐車はタダ。

荷物をホテルに預け、さっそくAlton Towersへ(チェックインは3時)。

翌日も朝から終日Alton Towersへ。入場ゲートをくぐると、中央に池、そしてその奥には本物の古城が。欧州っぽい。その古城の中はホラー系のアトラクションになっていて、良い感じだった。

子供がまだ小さいので、すべてのアトラクションは回れないけど、10歳の子だと半分強の乗り物に乗れる感じ。1日前後ですべて回れる。5歳の次女はCBeebiesのエリアとミニ教習所をエンジョイしてた。

ローラーコースターの充実ぶりはさすがで、いろんなタイプの絶叫マシーンが取り揃えてあった。この手の乗り物が好きな人にはたまらないのかも。

Th13teenという垂直降下するローラーコースターに乗ってみた。僕は、暗闇で垂直降下することを知らなかったので、ビビった。。。ローラーコースターが得意ではない僕にはあれが限界。。。

混み具合は、ピーク時で20~30分待ち。多くはほとんど待ち時間ナシだった。

個人的おススメはCBeebies LandにあるJustin’s House, the Pie-O-Matic Factoryと、池にあるBattle Galleons

前者はスポンジボールを機械で撃ちあうところ。後者は屋外のアトラクションで、6人位で小型船に乗る水かけ合戦。特に後者は、外から見てるだけでも楽しめたし、参加(参戦)可能。寒い日はNG(ずぶ濡れになる。。。水はきれいとは言いがたい・・・)

ただ、問題多数。

まず、多くの乗り物が故障して止まった。実際、金曜日にはTh13teenが途中で止まって、お客さんがトラップされてた(BBCでニュースにも。。。) 他のローラーコースターも止まって、帰るときにタダ券を配ってた(ラッキー)

どういう理由で止まったかわからないけど、過度な安全対策ではなく、単に技術的なトラブルとすると、先日のような事故がまた起こっても驚かない。。。

次に、怠慢経営。
9時に開園するけど、ほとんどの乗り物は10時や11時からスタートだったりして、朝一で行くメリットがほとんどない。
働いている人たちからもプロフェッショナルさは感じられなかった。

最後に敷地の使い方が雑。
いくつかブロックにわかれていて、移動が大変。。。ここまで雑なデザインは見たことない。。。

だからかよくわからないけど、日曜日でも、お客さんの数は平日とほとんど変わらなかった。。。

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土曜日は終日、Waterparkへ。

10時開園。ゴムボードの滑り台が2つ、滑り台が1つあったりといろいろ楽しめる。屋内プールで水温設定も寒すぎずで、終日いれた。ジャグジーもあったりと、世代によって楽しみ方が違いそう。問題は特に感じなかった。

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食事について。

朝食込で、毎朝ビュッフェ形式で、3日連続でイングリッシュ・ブレックファーストを。他のオプションもあって、3日くらいなら飽きずに楽しめた。

ディナーは、初日はSplash Landings Hotelで朝食も食べるFlambo's Exotic Feastへ。ビュッフェ形式で、いろんな物をたらふく食べられる。が、質は推して知るべし。値段も家族4人で60ポンド強かかり、コストパフォーマンス悪。実は、以下の普通のレストランの方が良い物をリーズナブルなコストで食べられおススメ。

2日目は、The Crooked Spoonへ。カウンターでメニューを注文して精算。ステーキなどが食べれる。まずまず。

3日目はAlton Towers HotelのSecret Garden Restaurantへ。行った中ではここがベストか。サービスも早く、Fish & Chipsイケた。

ということで、各宿泊施設にレストランがあり、徒歩で行け便利だった。

宿泊したホテルでは、連日イベントが開催されてたり、レゴブロックのコーナーがあったりと、ホテル内でもそれなりに楽しめるようになっていた。ホテルの部屋にはキッズ用二段ベッドもあってと、ファミリーフレンドリーだった。

ホテルからテーマパークへの移動もモノレール一本で、走行頻度も高く良かった。

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と良いところはたくさんあるけど、以前行ったレゴランドに比べると、魅力薄。ローラーコースター好きな10~20代の若者向けのテーマパークに、ファミリーフレンドリーな宿泊施設と、バランスがもう一つなリゾートだった。

もう家族で行くことはないと思われる。。。

2015年6月13日

Surface 3

マイクロソフトのSurface 3を購入して1週間強。
その使用感について。

購入した機種のスペックはwifiのみ、128GB、4GB RAM。
もちろん、キーボードとスタイラスも合わせて購入。

ウェブで注文後数日で入手。

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まず本体について。

マイクロソフトのロゴ付きの外観は、癖もなく良い意味で至って普通のタブレット。背面にSurfaceなどと書かれてなくて良い。

厚みはUSBポートと同じで決して薄くはない。重量感はキーボードも入れるとそれなりにはある。タブレットを左手、スタイラスを右手で長時間作業は難しそう。けど、携帯性はそれなりに高いとは思う。

最大の魅力はタブレット専用OSではなく、やはりWindows搭載ガジェットということ。

デフォルトでWin8.1が搭載されている。Win8を使ったことがなかったので、慣れるのに少し時間がかかったけど、起動時間はストレスなし。4GBのRAMを積んだからか、動作もスムース(今のところ)。ということで、そこそこのラップトップとして十分機能してくれる。

MS-Officeをもちろんインストールできるので、プレゼン用モバイルになるし、Wordで書物もOK。クラウドベースでファイルを管理しておけば、仕事で使ってるデスクトップとシームレスにつながって、非常に便利。さらに、デスクトップと同じPDF管理ソフトでPDFファイルを管理できるので、論文読み用ガジェットとしても素晴らしい。

つまり、Win搭載ラップトップがタブレットにもなる、という認識で良い。

画面の解像度は1920x1280で、10インチモバイルデバイスとしては、個人的には満足。

USB端子があるのはありがたく、マウスを含め、既存のアクセサリーをそのまま使える。

と良い点は非常に多いけど、すべては用途に依存する。

もしもSurface 3を仕事等のメインデバイスとして使いたいなら、別のオプションを探した方が良さそう。良いガジェットだけど、スペックとして良いものは他にもある。

あくまで、メインはデスクトップなりもっとハイスペックのもの。そして、モバイル性の高い、けどメインと同じWindowsが搭載されている第二のラップトップ・タブレットを探しているとすると、値段に見合った対価が得られるのではと思われる。

これまで旅行などの外出時、重いラップトップとタブレット両方携帯してたけど、1キロ以下のガジェットだけで同じことができそうなのは非常にありがたい。

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次にキーボードについて。

値段が高いだけあって、完成度はまずまず。一つ一つのボタンのサイズはしっかりしていて、ラップトップ並みか少なくともこれまで使ってたlenovoのラップトップより良し。タブレットとキーボードはマグネットでガチっとくっ付いてくれ、取り外したりする必要はない。なおかつ薄いので、タブレット背面に畳めばタブレットに早変わり。これまで使ってたASUSのトランスフォーマーのように画面部分を分離、といったことは不要。

ただ2点難あり。
まずキーボード照明。これは、キーの隙間から光が照らされ、おそらく暗闇でもキーが見えるようにするためか、デモンストレーション用としての単なる飾りなのだと思うけど、こんなのは良いからもう少し安くして欲しかった。つまり、良い品だけど、ZENの発想で必要最小限の機能と価格を実現して欲しかった。

そしてタッチパッド。めちゃ使いにくい。。。ラップトップ的に使う時はいつもUSB経由でマウスをつなげてる。タブレットとして使う時は、キーボードは畳んではいるのもあってスタイラスで画面を操作している。つまり、タッチバッドはいらない。か、クリックボタンの使用感をもっと高めて欲しかった。

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最後に、スタイラス。

感度や使い心地は、紙と鉛筆で書く感覚にかなり近づいてきている。字も書け、絵もそれなりのモノが描ける。
ペンのおしりのボタンを押すと、OneNoteが起動され、すぐ手書きができる。なかなか便利。

他のMS-Officeソフトとの連携もでき、例えば、パワーポイントのスライドに直接手書きイメージを載せることもでき、プレゼンのオプションが広がる。昔ながらのOHP的プレゼンだってできそう。。(何のことを言ってるかわからない人も多いと思うが。。。)

一方、ウィンドウ画面をスクロールしたい場合、やや難を感じる。タブレットだけど、Windowsなので、スクロールしたい時は、スクロールバーを操作する必要がある(当たり前だけど、はじめ戸惑った。。。)。スタイラスにマウスのスクロールホイール的な機能が搭載できると良いのに、と切に願う。

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まとめ。

と、1週間使った感じでは、値段相応の品かなという感じで、満足してます。もし購入する場合は、やはり4GBのメモリは積んでおいた方が良いと思ってます。

2015年5月30日

2014/15年 後期ティーチング まとめ

5月も終わりということで、今年度のティーチングも期末試験も終了。後期はレクチャーが1クラス分4コマ、卒論学生5+1人、でした。

レクチャーは、統合失調症と依存症について、2コマずつ。

卒論は、biomedicalの一人を除いて薬理系の5人。その5人は文献調査だったので、たまに原稿をチェックしては、最後に評価する、という比較的負担は少ないものでした。

一方、今シーズンはエッセイの採点量が大幅アップ。。
特にMP304という、レクチャーを担当したクラスの採点が大変でした。。

このクラスは、5人位のスタッフで分担レクチャーをし、試験は各スタッフが出題したエッセイ5問からの選択。

どういうわけか、過半数の生徒が自分の作成した問題を選択して、94人分のエッセイの採点が回ってくるハメに。。(質問が簡単過ぎたもよう。。ナメられた。。)

94部の採点、1部あたり5分で丸一日かかる単純計算だったので、かなり短時間で採点することに。

こういうエッセイを採点して初めて気付いたことは、採点者の立場に立つことが如何に大事かということ。

もちろん内容も大事だけど、体裁に少し気をつけるだけで、100点中5~10点くらい上乗せできるのではないか?という気がする。

つまり、内容だけでなく、印象も大事。

例えば、NGな典型は、なぶり書きで判読不明な解答用紙。
全く見当違いなことをなぶり書きし採点者をだます、という戦略はいけるかもしれないが、それはそれで、それなりの技術がいるのではないか?という気もする。。。

一方、良い例は、読みやすい字、段落を細かく分ける、小見出しをつける、といった解答用紙。ただし、NGの場合と逆で、全く見当違いなことをクリアに書いていると、それが簡単にバレてしまうので、逆効果も。。。

とにかく、何事も他人に評価されるモノは、自己中だとダメです。。。
今、来週締のグラント申請書を書いてますが、自己中にならないように心がけてます。。

2015年5月23日

10年

日本を離れてから今日でちょうど10年たちました。人生の4分の1弱を日本以外で過ごしたことになります。

10年前に渡米した時、今の状況は全くの想定外だったので、人生なんて何が起こるか予想できません。

ここでは、海外生活の良い点・悪い点をまとめてみます。まず良い点を5つ+アルファ。
1.日本に敏感になれる
日本を外から見れ、比べる対象があるので、自然と敏感になれます。ニュースを見ながらだったり、日本に一時帰国した時などに、日本は素晴らしい、逆に、日本てどうよ、といろいろ考えることがあります。

2.努力なしで英語力アップ
「努力なしで」というか、英語を聞いて・話して・読んで・書いていかないと生きていけないので、自然に労力を割くことになります。英語力アップのペースは、少なくとも僕の場合は、少しずつ少しずつ。ある日突然、ということは起きませんでした。

英会話力をアップさせたかったら、やっぱり使い倒すのが一番で、それしかないと思います。細かい文法なんてホントにどうでも良くて、とにかく使って意志を伝える。実際伝わる。相手はバカではない(ことが多い)。

頭で文章を作って発話、ではなく、発話しながら文章を作る。英語を教えてもらう、ではなく、英語でしかコミュニケーションできない部下、がいると手っ取り早いと思います。なぜなら、自分から話す量が増えざるを得ないから。

3.「海外旅行」が身近に
UKなら、ヨーロッパ旅行が身近に。米国なら、米国内やカナダ、カリブ海方面の旅行が身近に。日本からに比べたら破格の出費で実現可能。もちろん時差ボケなしで。インターネットがあっても、この物理的な距離は縮まらない。

4.価値観が変化
これは必ずしも良いとは限りませんが、価値観は大なり小なり変化します。第一の点にも通じますが、日本での当たり前が、海外ではクレイジーだったり、その逆も。そのギャップに少しずつ慣れ、価値観にも影響を及ぼします。その変化は、人間としての成長、という意味では良いことだと思います。視野が広がります。

5.外国人の知り合いができやすい
仕事柄、これは大きなメリットだと思ってます。英語力を超えた部分でのコミュニケーションの取り方も、日常的な体験から身に付くので、学会などで初めて会う人ともコミュニケーションをしやすい。仕事の同僚も自然と多国籍になるので、いろいろ勉強できます。

6.その他
他にマイナーなこととしては、日本の低俗なメディアに惑わされなくなったり、一時帰国した時に海外生活を羨ましがられたり(実際はそうでもないこともたくさんありますが。。。以下参照)、欧州カーが身近になったり、夏は涼しかったり(スコットランド限定)、家がアフォーダブルだったり(居住地域に依存)、シングルモルトが身近だったり、ゴキブリや蚊で悩まされることがなかったり(実は大きなメリット)、いろいろあります。

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次に悪い点を5つ+アルファ。
1.移民制度の影響を受ける
特にUKは厳しいです。ビザを更新する度に時間とお金がかかり、精神衛生上非常に良くないです。米国では一切感じなかったこととして、UKにいると、「所詮、よそ者」的な感覚があります(周りの人達からそういう感覚を受けることはないですが、移民制度やニュースから)。

2.食生活の変化
「日本食」と「日本での食事」は根本的に違う。前者は、海外で日本のメニューを食べることをここでは指します。

最低限の東アジア系の食材は手に入りますが、質の点で落ち、にも関わらず高額。わざわざ日本食レストランに行くのは、コストパフォーマンスの悪いbad ideaと思ってたりもします。。ということで、「日本での食事」にこだわってしまうと、海外生活はかなり困難と思われます。

3.帰省が「海外旅行」になってしまう
定期的に家族で日本に帰る必要がありますが、その度に「海外旅行」分の出費が必要。当たり前ですが、このコストは侮れない。数年に一度は家族でUK旅行(フランスやイタリアではなく)がMUST、という状況を想像するとわかりやすいか。

4.文化の違い
良い点として挙げた「価値観の変化」のネガティブサイド。文化の違いに慣れるには、それなりの労力と時間が必要。最もストレスが大きいのは住み始めた直後ですが、今でもわかってないことがたくさんあります。プライベートはもちろん、仕事でもその違いに苦労することがあります。

仕事の場合、例えば仕事への取り組み方の違い。プロフェッショナルかそうでないか、と一般化できる部分の違いだけで割り切れない部分もありそうで、表面的にはわかっても、本質的な部分で今でも理解できてなかったりします。。。なかなか慣れません。

5.子供の教育
日本人なので、家では日本語です。そうすると、子供に日本語をどうやって身に付けさせるかが大きな課題に。毎週土曜日の補習校は不可欠ですが、それだけだとどうしても限界があって、妥協点を見極めるのは親として悩ましい問題です。

一方で、親がスコットランドの教育制度を知らないので、親が最低限の知識を身につけないと、子供に不利益をもたらすリスクが多々ありそうで、これも大きな課題となってます。

6.その他
スコティッシュアクセントが理解できなかったり、たまに通勤バスにガラの悪い人が乗ってたり(被害を及ぼすわけではないですが)、間接喫煙の頻度が高かったり、雨ばっかりだったり、スコットランド独立が他人事でなかったり、日本のテレビが見れなかったり、温泉がなかったり、道路がガタガタだったり、こちらもたくさんあります。

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現時点では、10年後もスコットランドなりUK(まだ存在していれば)にいるだろうと思ってますが、過去の経験からして、想定外のところに住んでるかもしれません。少なくとも言えるのは、日本に適応するには時間がかかる状態にまで変化してしまった、こと。10年経つといろんなものが変化します。


2015年5月9日

総選挙2015

事前のすべての世論調査で、労働党と保守党の支持は共に35%くらいだった。そして、選挙後の連立政権の交渉が注目トピックで、いわゆるhung parliamentの状態が続く、と保守党の人たちすら思ってたはず。

が、蓋を開けてみれば、保守党が331議席と過半数確保で安定政権に。。。これでEU離脱の国民投票実施、さらなる緊縮財政は確実に。

一方、ほぼ世論調査通りだったのはSNPの強さ。この確実な予想が予想外の結果に影響したのかもしれない。

選挙1~2週間前から、保守党は、労働党バッシング戦略として、労働党が政権をとるとSNPと連立を組み、UKを分断させてしまう、とキャンペーンをはった。Ed Milibandは、SNPとは組まん、と火消しに。。。もしかすると、これが保守党成功の鍵だったのかもしれない。

とすれば、今回の選挙結果、保守党を支持、というより、イングランドの人たちがスコットランドの躍進にはっきりNOと言いたかった、と解釈できるのかも。

それにしても、どの政党が議席を確保したかを示すUK地図を見ると、UKが完全に分断されているのがはっきりわかる。。。

スコットランドは黄色一色。。。(北アイルランドはユニークな混合色)

次の注目はやはり来年のスコットランド議会選挙。

SNPが圧勝しようものなら、再び国民投票を、ということになるだろうから、UKの終焉がかなり現実味を帯びると思われる。。。

EUからの離脱はないと信じたいけど、スコットランド独立は予想より早く実現するのかもしれない。。

SNP議員をWestminsterには送るけど、独立は別モノ、とスコットランドの人たちがどれくらい思ってくれているかは不明。。。

とにかく、英国の長い議会制度の中でも、確実に歴史に刻まれることが起こっていると思われる。

2015年4月11日

安定したポスドク職は可能か?

Natureにポスドク問題について興味深い記事が掲載されていている。たくさんのコメントもある。

記事では、ポスドク問題の深刻さ・難しさに触れつつ、新しい試み・動きがいくつか紹介されている。「ポスドク」を、特別な人材のための特別な職、として扱い、独立にこだわっていない(できない)人たちにはstaff scientists(テクニシャンではない、けどプロジェクトを任せられ、職としての安定性もある職?)の道を開いていくのが良いのでは?という展開。

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以下、自分の意見を。

staff scientists、聞こえは良いけど、リソースの問題があるので、いろんな方法を試しつつ、とにかく需要に見合った数に時間をかけて減らさないとダメ。つまり、このご時世「安定したポスドク職は可能か?」という問いにYesと答えるのは極めて難しい。

まず、staff scientistsという職について。
聞こえは良いけど、やっぱりお金が第一かつ最大の難関。
例えば、契約期間3~5年だったものをパーマネントにするなら、金銭的にその5~10倍のコミットメントは必要なはず。

財源は?競争的外部資金?大学なり研究所?別のところにシワ寄せ?

これは、リソースの問題だから、特別に財源を確保しないと、グラント採択率・アカポス数減につながり、ヘタすると今の状況がさらに悪くなる。(その意味で、システムとして破綻している、という意見には100%賛成)

ただ、すでにアカポスに就いている人たちでパフォーマンスの悪い人たちをstaff scientistsに格下げできたりできるなら、財源も少し確保可能。あって良いオプションだと思う。ムリだろうけど。。。

ということで、staff scientistsという職、聞こえは良いけど、実際どう実現させるか非常に難しいし、staff scientistsになれる人自体が「特別な人材」なのでは?という気がする。

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問題の根本に戻って、ポスドクの数が問題なら、ポスドクの数をとにかく減らすしかない。

が、この記事にあるニュージーランドのように一気にバブルをはじけさせハードランディングさせると、そのインパクトは大きい。loose-looseのディール。だから、ソフトランディングさせた方が良い。

おそらくこの問題が発生したのと同じ時間スパンで解決させないといけない。

そのために個人レベルでできることは、PhD、ポスドクへのハードルを上げ、必要な時は別のキャリアをすすめるシグナルを送ることなんだろう。

例えば、PhD学生を採るのは毎年ではなく数年に一人のペースで、有望と思える人材だけに絞る。ポスドクは、ポストがあるからとりあえず埋めるというより、ホントに良い人材が見つかるまで埋めない、といった待ちが良いのだろう。みんな同じ戦略を取り始めれば、各ラボの生産性はそこまで下げず(むしろ上がるかもしれない)、PhD・ポスドク問題の解決に貢献できるかもしれない。ホンの少し。

そして、有望と思って一緒に働き始め、実はちょっと違った、という場合は、できるだけ早く正直なフィードバックを与えてあげるのがホントは良いのだろう(言うは易しだが・・・)

一方、当事者だったり、これから当事者になるであろう、もしかしたらなるかもしれない人で、将来アカポスに就きたい場合、どうするか?

とにかく自分のフィットネスを高め、ニッチを探し当てる努力をできるだけ早く始めるしかない。そして、自分で「向いてないかも?」と不安に思ったら、自分で悩みつつも、自分の上司に一度相談すると良いかもしれない。ひどい上司でない限り、その人の経験に基いてそれなりのフィードバックはくれるはず。

そのフィードバックもネガティブで、指摘された弱点の克服が非常に難しいなら、別のキャリアを考え始めた方が良い。

そんなネガティブな状況にも関わらず、いつか自分は!と信じているなら、その強い信念にしたがってとにかく戦略的にハードワークすれば良い。その信念が本物なら、ダメでも後悔はないはず。

一方、そこまでの意気込みがあって行動力もある人なら、非アカポスへの道を選んでもうまくいく(その逆も真)だろう、というのが状況をさらに難しくしている。。。

総選挙など

前回から丸3ヶ月のブランクですが、生きてます。

今、イースターホリデーシーズン中で、今週は天気も素晴らしく、すっかり春(といってもまだひんやり)です。

UKでは連日、5月の総選挙のことがニュースの中心ネタで、テレビ討論もあったりと盛り上がってます。SNP昨年の国民投票後、大躍進中で、スコットランド内の労働党の議席をことごとく奪い、議席数でいうと第三の党になりそうな勢い。(UK全体の人気ではUKIPが3番らしいけど)

個人的注目は、労働党と保守党どっちが第一党でどんな連立政権になるのか、そして、2016年のスコットランド議会選挙で次の国民投票実施への議論がどれくらい盛り上がっていくか、ということ。

先週の7党首テレビ討論で、Nicola Sturgeon は、国民投票はonce in a generationやし、と明言してたのに、今週、2016年の選挙で勝ったらまたプッシュするし、と口ばっかりです。。。

SNPは相変わらず数字に弱かったりと、しっかり政策の実現性や結果を吟味する必要がありそう。。。

でも、今回に関しては、もっとSNPにパワーを持たせて、どうなるか見てみるのは悪くないと個人的には思ってます。Liberal Democraticみたいに、選挙後サポート急落、ということもありうる。もしもしっかり仕事ができるなら、独立OK、ということにもなる。けど、経済をどう回すか、という根本的な問題はどう頑張っても限界があるように思える。。。

とにかく、選挙キャンペーンの動向を見ていると、今のUK内の問題がたくさん議論されてて非常に良い勉強になってます。

財政や経済の問題はもちろん、NHS、移民とEU、世代間格差、Tridentなど。

日本で例えたら、財政から外交や沖縄基地問題までたくさんの問題を争点にして、次を決める、という感じ?

仕事関係に話を移すと、論文が1つ出て、1つaccept、1つはin revision、1つはreject後再投稿、という状況。グラントは昨年のBBSRC以降、残ってた二つは撃沈。Co-Investigatorのプロポーザルもあっさりreject。

ということで、次のプロポーザル書き中と、相変わらずの自転車操業状態です。。新しいネタをしっかり考える、という点ではプロポーザル書きは刺激的で良いけれど、もう少しじっくりプロジェクトに取り組ませて、というのが正直なところです。。。RCUKでいうと、2~2.5プロジェクト分維持できるともう少し楽なのに、、、という感じ。

他には、今のポストに就いてぼちぼち5年目ということで、senior lecturerに昇進することになりました。「年寄り講師」?お金獲得というインプットはOK、論文というアウトプットは全然ダメダメですが、昇進できました。が、給料という点では、lecturerのままだったとしても額はおそらく変わらないと思われ、しかも「senior lecturerだから、もっとティーチングしろ、アドミン系の仕事をしろ」と要求されるリスクが高く、正直喜べません。。。

明日からエディンバラで神経科学学会。明日初日に、全5つのポスター発表となってます。

2015年1月10日

REF2014結果

年末に結果が発表されたREFについて。基本情報については過去のエントリーを参照のこと。

REFはUK内の大学評価制度のことで、5年間のパフォーマンスをいくつかの指標に基づいて大学を評価。その結果を、お金配分の根拠にしたりする。UK的といえばUK的制度。

発表されたランキング等に関しては、この記事にリンクがリストされている。

うちの大学は少し頑張ったようで、順位が50位から37位に上昇。

スコットランド内で言うと、エディンバラ、セント・アンドリュース、グラスゴーという名門大学に続く4位と、ダンディーやアバディーンより上になったもよう。大学数の割にスコットランドは頑張っているもよう

うちの大学、部門別でいうと、物理はなんとオックスフォードをおさえて、堂々の1位。僕が属している研究所は、Allied health professions, Dentistry, Nursing and Pharmacyなるカテゴリーで申請し、22位というリーゾナブルというか非常に中途半端な位置。。。(どのカテゴリーで申請するか、いろいろディベートはあったもよう)

大学としては全体的に良いパフォーマンスをしたようで、過去5年よりはお金の配分という点では恵まれるもよう。新年の学長の挨拶でも、よく頑張りました、的なコメントをしていた。

こういうある意味客観的(?)というか、少なくともリソース配分の根拠となる大学の評価制度はあるに越したことはない、と個人的には思う。透明性を与えているような気分にさせる。

が、ゲームのルールを熟知して如何に裏技なり反則気味の技を行使するか、みたいな本末転倒な部分もあって問題はたくさんある。

UKに来た直後、
REF中心で戦略を考えるより、如何に良いサイエンスをやるか考えた方がいいんじゃね
とごくごくまっとうな冷めた目で見ていたけれど、4年強UKで過ごして、まわりの人達の考えはそれなりに理解できるようにはなった。

慣れというものは恐ろしい。。。

そして、すでに次のREFを見据えた動きが大学内で始まっている。。。