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2016年2月21日

EU referendum キックオフ

EUとUKの交渉が成立し、David CameronさんがEU referendumは6月23日と正式にアナウンス

閣僚レベルですら立場が分かれていて、文字通り国を二分した議論で盛り上がるもよう。

こちらにポイントがまとまってます。

個人的にはEUに留まって欲しい。

ビジネスサイドはよくわからないけど、少なくとも大学は、EUからの人たちをはじめ移民にかなり支えられている。スタッフはもちろん、ポスドク、大学院生、多くのレベルで移民に支えられている。ビザの煩わしさなしで優秀な人材がEUから集まっている。

Brexitの場合、中長期的に大学の質が悪くなることはあっても、良くなる状況を想像できない。中国のように、海外で活躍している国民を呼び戻すような戦略をとれない限り。そもそも海外の大学へ行くような人たちは少なそうだから無理。

自分の研究室のレベルでは、メンバーの多くはEU国民で、もし将来、そういう人たちが来にくくなると、ラボ運営が非常に難しくなる。

研究費に関して。EUのグラントはまだもらったことがないけど、スイスやイスラエルなどの例を考えれば、Brexitの場合でも、アクセスできないことはないはず。が、UKは一番お金を獲得しているので、他のEUの国は黙っていないだろう。キャップがつくなどのリスクはあるのか?

研究関連の物流については、むしろUSから物を買ったりしてることが多いので、個人的にはあまり影響はないような印象。

プライベートに関しては、もともと英国民ではないし、何も変わらない。

と、スコットランド独立の時より、2択の差は微妙な気がしている。なので、いくらDavid Cameronさん自らEUに留まるキャンペーンをはっても、これから4ヶ月、状況次第では、Brexitのリスクも多々あるように思う。

ちなみに、スコットランドでは5月5日が議会の総選挙なので、スコットランド内、いろんなキャンペーンの情報が錯綜して盛り上がりそうです。

2015年12月31日

2015年

今年印象に残っているメジャーなニュースは、ギリシャ財政危機、難民問題、パリのテロ事件、冥王星探査、COP21、そしてイングランド北部での洪水。多くは2016年中にも進展がいろいろありそうか。

エルニーニョ(+気候変動)の影響で来年は今年より暖かくなるらしく、UKでは、冬、強風・大雨でまた甚大な被害が出るのかも。実際、昨日、グラスゴーで降ったタイプの雨は、日本ではあっても、UKに来てから見たことなかったかも。おそらく世界的に大荒れの一年になるのだろう。経済に関しても、中国やオイル、そして新興国絡みでいろいろ荒れそう。

UKの研究に関しては、今後5年間はインフレーションに応じて研究予算を増やしてくれるようで、チャンスが減る、というリスクは回避でき期待。そのためには、結果が問われる2016年となりそう。

その研究、自身の研究について。
論文として出たのは3つ(これこれこれ)。年明けにもう一つ出て、もう一つは査読中。コラボでも何でも良いから、このペース+数報で最低出し続けたい。グラント獲得は、大き目のものを一つ、中型一つ、超小型一つゲットと次第点。数百Kのものを毎年1つは狙いつつ、2年に一個のペースで当てられるとラボがしっかり回ってくれる。(そうでないと厳しいマネージメントに・・・)
先日のシンポジウム開催は非常に良い経験になって、来年はFENSのシンポジウム。こういう経験を積めるのはありがたい。
ということで、研究については、アピールできる点も一応あり良い一年のように見える。が、足元は依然極めて厳しい。。。2016年は非常に重要な一年に。

研究以外の大学関連について。
ティーチングは手の抜き方がわかってきて、負担量・負担感が大幅に減ってきた。けど、これ以上頼まれたら、NOと言いたい。立場としては、4月にSenior Lecturerへ。同世代でReaderなりProfessorとしてバリバリ頑張ってる人たちはたくさんいてるので、もっと頑張らないといけません。

プライベートについて。
今年最大のイベントは永住権取得。ビザの心配をする必要がなくなり、子供手当て的な社会保障も普通にもらえるようになって、ようやく一人前に。ファイナンスに関しては、家や車絡みで細かい支出があって悩ましい。。VATがボディーブローとして家計の負担になってる感が強い。。。今年、ホリデーらしいホリデーは夏の数日だけだったけど、来年は、春一時帰国し、夏はFENSに絡めて北欧方面を旅行予定。今後、数年間の旅行プラン(希望)を練ってみたけど、お金と時間がとにかくいります。。。

2016年のテーマは「集中」。

NOというべきこと・時はしっかり言い(もしくは無視し)、やるべきこと・やりたいことに資源を集中投入していきます。

2015年11月1日

赤肉・加工肉と癌

加工肉は発がん性に関してタバコやアルコールと同じカテゴリー、とWHOが発表し話題になってるので、少し情報収集を。

元の情報は、IARCなるWHO内の癌研究関連の国際組織から。
この組織、物質の発がん性について5カテゴリー設けている。グループ1は「人体への発がん性あり」、グループ2Aは「おそらく(probably)発がん性あり」といった感じ。

今回、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類された。

その根拠として、まずThe Lancet Oncologyに2ページのレポートが発表されたもよう。
これはIARC下のワーキンググループによるレポート。

レポートでは、赤肉・加工肉の定義に始まり、これまでの疫学調査やガン発生のメカニズムについて、引用文献と共に簡潔にまとめられている。素人にもわかりやすく書かれている。

ここで、赤肉は、処理されていない筋肉。もちろん、牛肉・豚肉も含まれ、ミンチや冷凍肉も含まれる。加工肉は、塩漬け・発酵・スモークなど処理された肉。ソーセージやハムなどが代表例か。

加工肉は大腸癌を引き起こす証拠が十分あり、胃癌との関連もあり。
一方、赤肉は大腸癌との関連があり、それを説明できるメカニズムについての証拠もあり、膵臓癌や前立腺癌との関連もある、と指摘されている。

そして、結論として、加工肉はグループ1、赤肉はグループ2Aと分類している。

このレポートに基づき、IARCが声明を出し、メディアで話題になった。

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やはり気になるのは、実際のリスク。

この点について、Cancer Research UKが素晴らしくわかりやすい記事をアップしている。

まず、加工肉をたくさん食べると、リスクは17%増とある(IARCのレポートでは18%とある)。

UKでは1000人中61人が大腸癌を発症するらしい。
これを基準に(遺伝的要素等を無視して)考えると、加工肉をほとんど消費しない国の場合56人。
加工肉をたくさん消費する国の場合66人(56人x1.17=66人)という勘定。

つまり、1000人中10人、もしくは100人中1人、余分に大腸癌が発生する、ということらしい。
一方で、加工肉を食べようが食べまいが、100人中5人強は大腸癌を発症することも注目。


次に気になるのは、グループ1にはタバコも含まれるけど、タバコと加工肉の発癌リスクは同じなの?ということ。

タバコを吸うと肺癌リスクが86%増。
加工肉・赤肉消費による大腸癌リスクは21%増。

つまり、4倍もの開きがあり、癌リスク、という点で、タバコと加工肉・赤肉は全然異なる。
おそらく、この辺りが、IARCの分類法がバッシングを受ける所以だと思われる。

ちなみに、このCancer Research UKの記事では、一日最大70g摂取の目安のもある。

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確かに発癌リスクを裏付ける十分な証拠はありそう。だからといって、貴重なタンパク質や、ビタミンB、鉄分、亜鉛の栄養源を完全に断つのはあまり良い選択ではないように思う。とにかく、過剰摂取はしない、ということを心がければ、大腸癌を避けられるラッキーな100人に一人になれるかもしれない。

2015年10月4日

THE 世界大学ランキング 2015-16年版

THEの世界大学ランキングが発表された。
今回の得点算出法はこちらに詳しい。

算出法のアウトラインは2年前のエントリーでまとめている。
その2年前と比べ、今回の大きな変化は、ElsevierのScopusのデータベースをCitationsの算出に使用している点か。

ランキングを見ると、トップの顔ぶれは、ランキングこそ微妙に上下してるようだけど、基本同じ。つまり、どう測ろうが強い大学は強い。

日本のニュースでも取り上げられていたように、日本の大学のランキングは。。。
100位以内に10大学、という目標と逆方向へ行ってる。。。

アジアトップ3は
National University of Singapore (26位)
Peking University (42位)
University of Tokyo (43位)
という顔ぶれ。

「研究は強い」と言われる東大。が、実際のスコアを見ると、ResearchのスコアはNational University of Singaporeより低く、Citationsのスコアはトップ2大学に負けてる。つまり、「研究は強い」という言い訳が通用しない状況。。。

もちろん、International Outlookのスコアが異常に低いから、そこを高める、というロジックはわからないでもない。

が、この項目は、合計スコアへの貢献度は低い。なので、仮にそこを補強してもランキングアップにはそれほど効いてこない。

むしろ、スコアへの貢献度が高く、しかも今まで強かった研究を最優先課題とし、そこをもっと強める戦略を採る方がどう考えても賢い。完全に戦略ミス。

オリンピックの騒動を見てても思うけど、文科省で意思決定している人たちは数字に弱いのでは?という気がする。。。(辛口)

ちなみに、僕がいてるストラスクライド大。今年は401-500位と、北大、九大、東京医科歯科大、首都大学東京、筑波大と同じカテゴリー。

この辺りのカテゴリーになると、100位前後の誤差はありそうなので、ストラスクライドは北大・九大と同レベル、なんてとても言えない。。。

ランキングはマーケティングに使われ、カスタマーでもある学生は、できるだけランキングの高い大学に行こうとするだろうから、高いに越したことはない。

2015年8月8日

UK5年

先週1日をもって、グラスゴーに住み始めて丸5年経ちました。
スコティッシュ・アクセントは未だわかりませんが、それほど不自由もなく(?)暮らしてます。

今週、永住権を申請し、無事受理されれば、今後、ビザ関連で悩まされることはなくなるはず。日本を離れて10年間、ビザ関連に費やした時間、そして何よりもお金は相当な量に。。。

それはともかく、UKに5年住んで思うことをダラダラと書いてみます。

<USとUK>
USとUKはいろんな点で違う。ここでは、「自由」をテーマに。
USの自由さは非常に魅力的だけど、自由な分、リスクは大きい。いろんな点で。

一方、UKでは何となく窮屈感がある。
けど、周りの目を気にしないで良い点は、USのそれに近かったりする。

UKでの窮屈感の原因はいくつかありそう。

第一に、自分が移民、という点。
USの場合、殆どの人が数百年以内の移民ということもあってか、移民に対する感覚が違ってた。一方、UKの場合(おそらく多くの欧州の国の場合)、移民絡みのダークサイドが顕著。ここ最近のCalaisの問題はそのダークサイドの一つ。「自分も移民」ということから肩身の狭さを感じることがある。

第二の窮屈感の原因は、何かにつけ安全対策だろ、正当化だろ、すぐ言われる点。もちろん、多くのケースで筋が通ってるけれど、「自由」が軽減される分、窮屈感につながる。

第三は、移民の話とオーバーラップするけど、マイノリティー感。ロンドン(とその周辺)を除くところでは、東アジア人は非常にマイノリティー。むしろ、それが良い、と思うこともあるけれど、しばしばそのマイノリティーという点を気にすることがある。窮屈、というより疎外感的なものに近いかも。

4つ目は気候。晴れが少ない分、開放感が自然と減る。服も軽装になる機会が少ない。例えば、グラスゴーの今年の夏は、最高気温15度前後の日ばかりで、夏があったのかわからないくらい。冷夏で雨が多かった。。。冬と今の時期と、家で着てる服が変わらなかったりする。。。季節感超薄。。些細なことのようでも、無意識的な部分で作用を及ぼしてる気がする。

<歴史と文化>
歴史と文化の重み・厚みはさすが。
「スコットランド」そのものの歴史はそれほど長くないけど、イングランドを中心としたGB全体の歴史は密度が濃い。建物からもそれを感じられる。

文化に関しては、UKに住み始めて音楽を聴く機会が圧倒的に増えた。
ブリティッシュ・ミュージックのレベルの高さを改めて感じる。例えば、子供と同じ曲を楽しむ状況は、日本だったら想像できなかったかも。毎週iTunesでランキングをチェックしては、気に入った曲をたまに購入、なんて状況は想定外だった。

<政治>
USとは違うけど、レベルは高い。選挙時期は、ジェラシーを感じる。なぜなら、日本のそれとは格段に違うし、自分に選挙権はないから。
一方で、労働党がしっかり立て直してこないと、バイアスのかかった政治になって、よろしくない。何事もバランスは大事。

スコットランド独立の件、先週またホットトピックになってた。来年のスコットランド内の選挙に向けてまた盛り上がるのだろう。けど、少なくとも先5年は、国民投票はない(とキャメロンさんが保証してくれた)。

国民投票どうこうより、昨年の今頃いろいろ議論された独立国としての実装的な部分の議論が進んでいないのは、ちょっと残念。SNPはまずそういう足元を固める戦略を採るべき。

<格差>
格差はUKでも肌で感じれる。USほどでないにしろ。住む地域が格差の指標の一つになってる点はおそろしい。。

一方、日本同様、世代間格差が問題になってる。政治の問題として扱われるケースもある。非常に難しい問題。

昨今必要とされている人材のハードルの高さというか、昔の多くの職との質的な違い、そして教育の現状(つまり時代の変化についていってない)を考えると、世代内での格差はますます広がるだろうし、世代間の格差も、状況は悪くなることはあっても、良くなる状況は想像できない。経済だけでなく、気候変動の問題もあったりと、非常に大変。

ちなみに、UKと日本を比べると、人口構造のいびつさは日本のそれほどではまだない。子供がまだ生まれている。サポートする社会体制もそれなり。日本はどうなるのだろう。。。

<セキュリティ>
個人レベルのセキュリティとしては、もちろん住む場所に大きく依存するのだろうけど、非常に安全。日本のそれと大差ない、というのが過去5年間の感覚。

ヤバい人はオーラを出してるので、この点はUSに近い。銃がない分、さらに良い。ただ、女性の場合は、必ずしもそうではない。一方、「痴漢」の話は聞いたことがない。

国レベルでは、それなりの体制は整ってるようなので、突発的なテロを考えないなら、おそらく日本より安全なんだろうなぁ、という気はしている。USとの関係も、日本とUSの関係とは違って健全というか対等というか。ただ、グラスゴーのすぐ近くにトライデントがあるので、実際ドンパチが始まると、最悪の場合、グラスゴーは住めない場所になる大きなリスクはある。ドンパチより、アクシデントがもっと怖いか。。。

<科学>
まずグラント制度。
制度としての質は比較的高い。もちろん、分野外の人も評価する分、宝くじ的な余地があるけれど、ダメならダメな理由を後で教えてくれる。それなりに納得のいくロジックを教えてくれる。

ピアレビューも、論文審査のそれほどではないにしろ、しっかりやってる。そのコメントは申請者に返ってきて、研究者のレベルを高め合ってる。

申請書もそれなりに詳しくプランを練らないと書けないようになってるから、1300億の予算なのに、実は2500億もかかるような提案があっさり通ることは少ない。つまり、お金の使い方も、意思決定前にそれなりに吟味される。通っても、無駄な部分は削るよう言ってくる。実績がある点(つまり良いCV)はもちろんプラスに働くだろうけど、それだけでは決まらない。プランがどれだけ実行可能かしっかり見てくる。完璧ではないにしろ、プロフェッショナル。思うに、この制度のおかげで、GDP当たり先進国最低レベルのサポートでもUKのサイエンスが高いレベルを保ってる一因になってるのだろう。他の国も学べる点はあると思う。

UK主導で変えようとしているアカデミアの文化もある。オープンアクセス。
UK内では、この勢いはもう止まらない。問題は他国がどれくらい追従するか。雑誌の淘汰が進むだろう。

一方、大学に目を向けると、いくつか(たくさん?)問題がある。大きな問題は、伝統的な部門構造。USのように、一人のスタッフが複数の部門に所属する、ということは聞かないし、部門そのものが非常に古臭い。新しい分野が出てきたから、柔軟に新しい部門を作って、、、ということがおきない。

なぜか?

ここ数年でわかってきたことは、学内だけではなく、外部組織との関係からその硬直性が出ていそう、ということ。特に、授業のカリキュラムは、外部団体(名前は覚えてないけど)の規定に沿ってる必要があるようで、制度が非常に官僚的。特に教育に関して、イノベーションが起きにくい構造になってる。この構造上の問題がUKとUSの決定的な差につながってる。歴史が足かせになってる典型例。一方、お金がある場合は、新しい研究所を作って、そこで先端研究・企業連携を推進する、というケースもあるのはある。

<教育>
住む場所を選べば、無料でそこそこの教育を子供に受けさせられるのはありがたい。ただ、最近の記事によると、私立に通ってる人たちは良い職に就きやすい、という統計もあるようで、この辺の格差のハードルはなかなか越えられない。

<交通>
道路について。
roundaboutがすばらしい。右直事故そのもののリスクは根絶してる(そもそも「直」がないから)。どういう背景で導入されたか知らないけど、もし交差点の事故を減らすためだったとしたら、考案者は賢すぎ。日本にどんどん導入すべき。交通死亡者も減らせるだろうから、お金の投資価値がある。うまく説明すれば、国民の理解も得られるはず。はじめは慣れずにミニ事故が増えるかもしれないが。。。

一方、電車で長距離移動は考えたくない。USよりはマシだけど。。。その点、日本はホントすごい。

<その他>
いろんなところでフリーWifiがある。バス、電車、お店など。旅行者にとってはとてもありがたいサービスだと思う。オリンピックを開催する日本も見習って欲しい。

と、日本やUSとの比較から、普段思ってることをダラダラと書いてみました。

2015年6月13日

Surface 3

マイクロソフトのSurface 3を購入して1週間強。
その使用感について。

購入した機種のスペックはwifiのみ、128GB、4GB RAM。
もちろん、キーボードとスタイラスも合わせて購入。

ウェブで注文後数日で入手。

ーーー
まず本体について。

マイクロソフトのロゴ付きの外観は、癖もなく良い意味で至って普通のタブレット。背面にSurfaceなどと書かれてなくて良い。

厚みはUSBポートと同じで決して薄くはない。重量感はキーボードも入れるとそれなりにはある。タブレットを左手、スタイラスを右手で長時間作業は難しそう。けど、携帯性はそれなりに高いとは思う。

最大の魅力はタブレット専用OSではなく、やはりWindows搭載ガジェットということ。

デフォルトでWin8.1が搭載されている。Win8を使ったことがなかったので、慣れるのに少し時間がかかったけど、起動時間はストレスなし。4GBのRAMを積んだからか、動作もスムース(今のところ)。ということで、そこそこのラップトップとして十分機能してくれる。

MS-Officeをもちろんインストールできるので、プレゼン用モバイルになるし、Wordで書物もOK。クラウドベースでファイルを管理しておけば、仕事で使ってるデスクトップとシームレスにつながって、非常に便利。さらに、デスクトップと同じPDF管理ソフトでPDFファイルを管理できるので、論文読み用ガジェットとしても素晴らしい。

つまり、Win搭載ラップトップがタブレットにもなる、という認識で良い。

画面の解像度は1920x1280で、10インチモバイルデバイスとしては、個人的には満足。

USB端子があるのはありがたく、マウスを含め、既存のアクセサリーをそのまま使える。

と良い点は非常に多いけど、すべては用途に依存する。

もしもSurface 3を仕事等のメインデバイスとして使いたいなら、別のオプションを探した方が良さそう。良いガジェットだけど、スペックとして良いものは他にもある。

あくまで、メインはデスクトップなりもっとハイスペックのもの。そして、モバイル性の高い、けどメインと同じWindowsが搭載されている第二のラップトップ・タブレットを探しているとすると、値段に見合った対価が得られるのではと思われる。

これまで旅行などの外出時、重いラップトップとタブレット両方携帯してたけど、1キロ以下のガジェットだけで同じことができそうなのは非常にありがたい。

ーーー
次にキーボードについて。

値段が高いだけあって、完成度はまずまず。一つ一つのボタンのサイズはしっかりしていて、ラップトップ並みか少なくともこれまで使ってたlenovoのラップトップより良し。タブレットとキーボードはマグネットでガチっとくっ付いてくれ、取り外したりする必要はない。なおかつ薄いので、タブレット背面に畳めばタブレットに早変わり。これまで使ってたASUSのトランスフォーマーのように画面部分を分離、といったことは不要。

ただ2点難あり。
まずキーボード照明。これは、キーの隙間から光が照らされ、おそらく暗闇でもキーが見えるようにするためか、デモンストレーション用としての単なる飾りなのだと思うけど、こんなのは良いからもう少し安くして欲しかった。つまり、良い品だけど、ZENの発想で必要最小限の機能と価格を実現して欲しかった。

そしてタッチパッド。めちゃ使いにくい。。。ラップトップ的に使う時はいつもUSB経由でマウスをつなげてる。タブレットとして使う時は、キーボードは畳んではいるのもあってスタイラスで画面を操作している。つまり、タッチバッドはいらない。か、クリックボタンの使用感をもっと高めて欲しかった。

ーーー
最後に、スタイラス。

感度や使い心地は、紙と鉛筆で書く感覚にかなり近づいてきている。字も書け、絵もそれなりのモノが描ける。
ペンのおしりのボタンを押すと、OneNoteが起動され、すぐ手書きができる。なかなか便利。

他のMS-Officeソフトとの連携もでき、例えば、パワーポイントのスライドに直接手書きイメージを載せることもでき、プレゼンのオプションが広がる。昔ながらのOHP的プレゼンだってできそう。。(何のことを言ってるかわからない人も多いと思うが。。。)

一方、ウィンドウ画面をスクロールしたい場合、やや難を感じる。タブレットだけど、Windowsなので、スクロールしたい時は、スクロールバーを操作する必要がある(当たり前だけど、はじめ戸惑った。。。)。スタイラスにマウスのスクロールホイール的な機能が搭載できると良いのに、と切に願う。

ーーー
まとめ。

と、1週間使った感じでは、値段相応の品かなという感じで、満足してます。もし購入する場合は、やはり4GBのメモリは積んでおいた方が良いと思ってます。

2015年5月23日

10年

日本を離れてから今日でちょうど10年たちました。人生の4分の1弱を日本以外で過ごしたことになります。

10年前に渡米した時、今の状況は全くの想定外だったので、人生なんて何が起こるか予想できません。

ここでは、海外生活の良い点・悪い点をまとめてみます。まず良い点を5つ+アルファ。
1.日本に敏感になれる
日本を外から見れ、比べる対象があるので、自然と敏感になれます。ニュースを見ながらだったり、日本に一時帰国した時などに、日本は素晴らしい、逆に、日本てどうよ、といろいろ考えることがあります。

2.努力なしで英語力アップ
「努力なしで」というか、英語を聞いて・話して・読んで・書いていかないと生きていけないので、自然に労力を割くことになります。英語力アップのペースは、少なくとも僕の場合は、少しずつ少しずつ。ある日突然、ということは起きませんでした。

英会話力をアップさせたかったら、やっぱり使い倒すのが一番で、それしかないと思います。細かい文法なんてホントにどうでも良くて、とにかく使って意志を伝える。実際伝わる。相手はバカではない(ことが多い)。

頭で文章を作って発話、ではなく、発話しながら文章を作る。英語を教えてもらう、ではなく、英語でしかコミュニケーションできない部下、がいると手っ取り早いと思います。なぜなら、自分から話す量が増えざるを得ないから。

3.「海外旅行」が身近に
UKなら、ヨーロッパ旅行が身近に。米国なら、米国内やカナダ、カリブ海方面の旅行が身近に。日本からに比べたら破格の出費で実現可能。もちろん時差ボケなしで。インターネットがあっても、この物理的な距離は縮まらない。

4.価値観が変化
これは必ずしも良いとは限りませんが、価値観は大なり小なり変化します。第一の点にも通じますが、日本での当たり前が、海外ではクレイジーだったり、その逆も。そのギャップに少しずつ慣れ、価値観にも影響を及ぼします。その変化は、人間としての成長、という意味では良いことだと思います。視野が広がります。

5.外国人の知り合いができやすい
仕事柄、これは大きなメリットだと思ってます。英語力を超えた部分でのコミュニケーションの取り方も、日常的な体験から身に付くので、学会などで初めて会う人ともコミュニケーションをしやすい。仕事の同僚も自然と多国籍になるので、いろいろ勉強できます。

6.その他
他にマイナーなこととしては、日本の低俗なメディアに惑わされなくなったり、一時帰国した時に海外生活を羨ましがられたり(実際はそうでもないこともたくさんありますが。。。以下参照)、欧州カーが身近になったり、夏は涼しかったり(スコットランド限定)、家がアフォーダブルだったり(居住地域に依存)、シングルモルトが身近だったり、ゴキブリや蚊で悩まされることがなかったり(実は大きなメリット)、いろいろあります。

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次に悪い点を5つ+アルファ。
1.移民制度の影響を受ける
特にUKは厳しいです。ビザを更新する度に時間とお金がかかり、精神衛生上非常に良くないです。米国では一切感じなかったこととして、UKにいると、「所詮、よそ者」的な感覚があります(周りの人達からそういう感覚を受けることはないですが、移民制度やニュースから)。

2.食生活の変化
「日本食」と「日本での食事」は根本的に違う。前者は、海外で日本のメニューを食べることをここでは指します。

最低限の東アジア系の食材は手に入りますが、質の点で落ち、にも関わらず高額。わざわざ日本食レストランに行くのは、コストパフォーマンスの悪いbad ideaと思ってたりもします。。ということで、「日本での食事」にこだわってしまうと、海外生活はかなり困難と思われます。

3.帰省が「海外旅行」になってしまう
定期的に家族で日本に帰る必要がありますが、その度に「海外旅行」分の出費が必要。当たり前ですが、このコストは侮れない。数年に一度は家族でUK旅行(フランスやイタリアではなく)がMUST、という状況を想像するとわかりやすいか。

4.文化の違い
良い点として挙げた「価値観の変化」のネガティブサイド。文化の違いに慣れるには、それなりの労力と時間が必要。最もストレスが大きいのは住み始めた直後ですが、今でもわかってないことがたくさんあります。プライベートはもちろん、仕事でもその違いに苦労することがあります。

仕事の場合、例えば仕事への取り組み方の違い。プロフェッショナルかそうでないか、と一般化できる部分の違いだけで割り切れない部分もありそうで、表面的にはわかっても、本質的な部分で今でも理解できてなかったりします。。。なかなか慣れません。

5.子供の教育
日本人なので、家では日本語です。そうすると、子供に日本語をどうやって身に付けさせるかが大きな課題に。毎週土曜日の補習校は不可欠ですが、それだけだとどうしても限界があって、妥協点を見極めるのは親として悩ましい問題です。

一方で、親がスコットランドの教育制度を知らないので、親が最低限の知識を身につけないと、子供に不利益をもたらすリスクが多々ありそうで、これも大きな課題となってます。

6.その他
スコティッシュアクセントが理解できなかったり、たまに通勤バスにガラの悪い人が乗ってたり(被害を及ぼすわけではないですが)、間接喫煙の頻度が高かったり、雨ばっかりだったり、スコットランド独立が他人事でなかったり、日本のテレビが見れなかったり、温泉がなかったり、道路がガタガタだったり、こちらもたくさんあります。

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現時点では、10年後もスコットランドなりUK(まだ存在していれば)にいるだろうと思ってますが、過去の経験からして、想定外のところに住んでるかもしれません。少なくとも言えるのは、日本に適応するには時間がかかる状態にまで変化してしまった、こと。10年経つといろんなものが変化します。


2015年4月11日

安定したポスドク職は可能か?

Natureにポスドク問題について興味深い記事が掲載されていている。たくさんのコメントもある。

記事では、ポスドク問題の深刻さ・難しさに触れつつ、新しい試み・動きがいくつか紹介されている。「ポスドク」を、特別な人材のための特別な職、として扱い、独立にこだわっていない(できない)人たちにはstaff scientists(テクニシャンではない、けどプロジェクトを任せられ、職としての安定性もある職?)の道を開いていくのが良いのでは?という展開。

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以下、自分の意見を。

staff scientists、聞こえは良いけど、リソースの問題があるので、いろんな方法を試しつつ、とにかく需要に見合った数に時間をかけて減らさないとダメ。つまり、このご時世「安定したポスドク職は可能か?」という問いにYesと答えるのは極めて難しい。

まず、staff scientistsという職について。
聞こえは良いけど、やっぱりお金が第一かつ最大の難関。
例えば、契約期間3~5年だったものをパーマネントにするなら、金銭的にその5~10倍のコミットメントは必要なはず。

財源は?競争的外部資金?大学なり研究所?別のところにシワ寄せ?

これは、リソースの問題だから、特別に財源を確保しないと、グラント採択率・アカポス数減につながり、ヘタすると今の状況がさらに悪くなる。(その意味で、システムとして破綻している、という意見には100%賛成)

ただ、すでにアカポスに就いている人たちでパフォーマンスの悪い人たちをstaff scientistsに格下げできたりできるなら、財源も少し確保可能。あって良いオプションだと思う。ムリだろうけど。。。

ということで、staff scientistsという職、聞こえは良いけど、実際どう実現させるか非常に難しいし、staff scientistsになれる人自体が「特別な人材」なのでは?という気がする。

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問題の根本に戻って、ポスドクの数が問題なら、ポスドクの数をとにかく減らすしかない。

が、この記事にあるニュージーランドのように一気にバブルをはじけさせハードランディングさせると、そのインパクトは大きい。loose-looseのディール。だから、ソフトランディングさせた方が良い。

おそらくこの問題が発生したのと同じ時間スパンで解決させないといけない。

そのために個人レベルでできることは、PhD、ポスドクへのハードルを上げ、必要な時は別のキャリアをすすめるシグナルを送ることなんだろう。

例えば、PhD学生を採るのは毎年ではなく数年に一人のペースで、有望と思える人材だけに絞る。ポスドクは、ポストがあるからとりあえず埋めるというより、ホントに良い人材が見つかるまで埋めない、といった待ちが良いのだろう。みんな同じ戦略を取り始めれば、各ラボの生産性はそこまで下げず(むしろ上がるかもしれない)、PhD・ポスドク問題の解決に貢献できるかもしれない。ホンの少し。

そして、有望と思って一緒に働き始め、実はちょっと違った、という場合は、できるだけ早く正直なフィードバックを与えてあげるのがホントは良いのだろう(言うは易しだが・・・)

一方、当事者だったり、これから当事者になるであろう、もしかしたらなるかもしれない人で、将来アカポスに就きたい場合、どうするか?

とにかく自分のフィットネスを高め、ニッチを探し当てる努力をできるだけ早く始めるしかない。そして、自分で「向いてないかも?」と不安に思ったら、自分で悩みつつも、自分の上司に一度相談すると良いかもしれない。ひどい上司でない限り、その人の経験に基いてそれなりのフィードバックはくれるはず。

そのフィードバックもネガティブで、指摘された弱点の克服が非常に難しいなら、別のキャリアを考え始めた方が良い。

そんなネガティブな状況にも関わらず、いつか自分は!と信じているなら、その強い信念にしたがってとにかく戦略的にハードワークすれば良い。その信念が本物なら、ダメでも後悔はないはず。

一方、そこまでの意気込みがあって行動力もある人なら、非アカポスへの道を選んでもうまくいく(その逆も真)だろう、というのが状況をさらに難しくしている。。。

2014年8月10日

No plan B?

Commonwealth gamesも終わり、スコットランドは独立すべきか?を問う住民投票ネタがさらに盛り上がってきた。

今週、Yes派とNo派それぞれの旗頭Alex SalmondAlistair Darlingがグラスゴーでテレビ討論を行った。

結果的には、Salmondのパフォーマンスが期待されてたほど良くなく、直後の調査でもDarlingが良かったと評価されている。

この討論から数日間話題になっているのは、独立後の通貨について。Salmondはポンドを使い続けることにかなりこだわっていて、plan Bはないらしい。。。

僕は投票権はないけれど、一貫してNo派。個人的な印象は、Yes派の独立というのは精神論が先走っていて、実装的な部分・合理的な部分というかなんというか、独立国としてのスコットランドをどう回していくのか全く伝わってこない。机上の空論ではなく、もう少し説得力のある合理的なプランも提示してくれたら、多くの人がYes派になると思うのだけれども、それができない、ということはそういうことなのだろう。。UKのままでスコットランドの存在感を増す方が合理的のように思えるがどうか。

人を動かすには、特に感情論を味方に出来る場合、合理的な部分でどう肉付けするか、ということが重要なのだろう。

ちなみに、個人的に最も関わりのある科学・技術についても、独立後もRCUKのお金に依存し、「世界クラス」のレベルを維持する、とか言っている。が、独立後、残りのUKがNoといったら、そのプランは破綻するわけで、「独立」ではなく依存以外何ものでもない。。

しかもEUにもすぐ加盟できないとすると、資金源が枯渇するわけで研究難民が続出するのは確実。。。(なので人ごとではない。。)

世論調査は、一時期No派のネガティブキャンペーンが裏目に出て、Yes派が若干盛り返してしまったけれども、これまでのところ一貫してNo派が多い。が、態度を決めてない人たちも依然かなりの割合いてて、残り1ヶ月でNo派が大失態をしようものなら、ひっくり返らないこともない。

次のdebateは8月末にあるらしく、Yes派のリベンジに警戒。
とにかく、9月18日まで祈るばかり。

2014年5月24日

9年

昨日で海外生活も丸9年過ぎました。米国5年強+英国4年弱。

日本にいたとしてもそうだったのだろうと思いますが、毎年毎年何らかの変化が起こってます。

仕事に関しては、ようやく大学のロジックというか何というか、今のポジションなりのやり方が見えてきて、どこで手を抜くべきか、どこは我慢して嫌でもやるべきかというのがわかってきたような、まだまだ上手くこなせていないような。。

プライベートに関しては、やはり子供の変化が大きくて、少しずつ少しずつ手がかからなくなりつつあり、これから少しずつ時間の使い方も変えていく必要が出てくるのかもしれません。それから、実はこの数週間で、家探しに大きな進展が見られているので、これから数ヶ月中に大きな変化が起こりそう。

海外ならではのこととしては、やはり英語。
UKに来てから英語を喋る機会が圧倒的に増えたおかげで英語で話すことそのものの苦手意識は年々なくなってきて、むしろ、日本語でしゃべる時にも感じるコミュニケーションの壁みたいな感覚が結局のところの壁なのかなぁ、というのが最近の印象です。相手に応じてネタをどう用意するかとか、そういうところ。

だからといって、英語をしっかり聞き取れペラペラ喋れる、というレベルからは程遠く、未だに映画の英語は聞き取れなかったりするし、むしろ英語でのコミュニケーションのやり方・コツを少しずつ身につけてきた、という感じです。これは口で説明するのはなかなか難しい。。。少なくとも英語で仕事の話をする分には、基本的には誰でも最低限はこなせるか、何とかなるかな、というレベルにはなってきました。(僕のアクセントのフィルタを持ってない人に出くわすとえらくストレスを覚えますが。。)

いろんな価値観も枝葉のところで変わってきましたが、それは日本国外にいたからなのか、それとも年齢によるものなのか、自分でもよくわからないのが正直なところです。。。ただ、日本を外から見て、他の国と比べやすくなって、日本の良い点・悪い点を評価しやすくなったのは確か。

逆に言えば、スコットランドの悪い点にどんどん慣れてきているのかも。。。

そのスコットランドに、少なくとも次の3~5年、下手すると引退まで、さらには引退後もいてる可能性がありますが、今はそれでも良いかな、とも思ってます。とにかく9年も経てば、いろんなものが変わります。

2014年4月13日

大学院生キャリアを考える際の5要素

たまに大学院生とキャリアの話になることがあるのですが、今の大学院生たちは非常に難しい立場にあると思います。経済的にも、精神的にも非常に不安定で、とにかく将来が見えない。

そんな中でも、科学への情熱を燃やして頑張っている人たちも確かにいれば、一方で、先の見えない状況の中、文字通り暗中模索で苦しんでいる人たちがたくさんいて、後者のタイプがどんどん増えてきているように思います。日本に限らず、UKでもそう。

以下、そんな大学院生たちと接しながら、重要かも?と日頃思ってることを5つ。

目標
何事もどこに行くか決めその準備を早く始めるのが大事。
まずはゴールを設定したい。できるだけ早く。

もちろん、それができないから悩んでいる人たちが多いのだけれども、ゴールがないと、ランダムウォークで人生という時空間を彷徨い続けることになる。ゴールを決めなくて成功した人たちもいるとは思うけれど、成功している人たちの多くは明確なゴールなり夢なりを持っているように思う。

ゴールは無謀なものでも簡単なものでも何でも良い。とにかく持ちたい。
ゴールは後で変わって良い。柔軟性も大事。
ゴールは長期でも中期でも短期なものでも何でも良い。
ゴールがすぐに決まらなくても、そのゴールを決めるための準備をできるだけ早く始めたい。

例えば、大学院が3年という期限付きなら、遅くとも1年目から「大学院後」のことを考え始めた方が良い。気が付いたら、手遅れ、という状況を避けるためにも。

仮に「手遅れ」だと気がついても、気が付かないよりマシ。そこから動き出せば、人生を変えられる(と信じる)。

知識
意思決定をする時、どんな情報を持っているかは重要。

ここでの知識はいろんな意味を含む。自分と敵についての知識に集約されるかもしれない。「敵」は多義的。科学のことだったり、目指しているキャリアのことだったりする。

例えば、アカデミア志望なら、科学そのものの知識量は生き残る上で重要なのはいわずもがな。論文や教科書などをむさぼり読むくらいでないといけない。プロにはなれない。

それに加え、アカデミアで求められるスキルもあるので、そのスキル向上のための知識も必要。そのスキルとは、「コミュニケーションスキル」として集約できるかもしれない。プレゼン力だったり、文章表現力だったり、日々の会話能力だったり。日本人の場合、英語力も重要。トレーニングで向上できる面も多々ある。

他にはcritical thinkingもサイエンスでは非常に重要。で、ないと研究を自分で進められない。知識を身に付けていくうちに自然と身に付いていったりもする。

オールラウンド・プレーヤーになれないなら、自分の強みを見つけて、そこに資源を投入する。自分を徹底的に分析して、アカデミア向きの強みを見つけられないなら、アカデミア志望の理由を自分で問い直す。もしかするとアカデミア以外のキャリアが向いているのかもしれない。信頼できるアカデミアの先輩に、自分は向いているのか、腹を割って話し合ってみるのも良いかもしれない。

非アカデミア志望なら、どんな選択肢があって、選択肢ごとにどんな人材が求められているか、それが自分にあっているか早めに見極める必要がある。

「孫子」ではないけれども、敵と自分を知れば、戦(就活)で生き残れる確率が上がる。

そんな情報をどこから集めるかという情報入手先の同定・選定というプロセスも非常に重要。

キャリア相談については、大学に特別の部署みたいなものがあるかもしれない。
とにかく、自分と敵を知ること。その知識を身に付けるには時間はかかる。

均衡
バランス。ワーク・ライフバランスのこと。

大学院生の場合の「ワーク」はもちろん研究。

「ライフ」はワーク以外。大学院生で結婚している人はまだ少ないけれども、趣味などの時間や、非アカデミア希望の場合、そちらに進むための「ライフ」もある。

どこを均衡点ととるかは人によるので、一概には言えない。けれども、次の「結果」・「過程」もやはり重要なので、「ワーク」に最低限の時間をつぎ込むことは必要なのでは?と思う。そこにコミットできないなら、なぜ大学院に進学しているのか、根本を問い直して欲しい。

UKの場合、とにかく3年在籍してthesisを提出すればPhDが取れる専門学校なので、「ワーク」をとことん減らすという戦略も人によっては最適解であったりもするが。。

結果
大学院での結果は、論文を筆頭に、CVに書けるトピック。
少なくともアカデミアを目指す場合、例えば、ポスドクのポジションにアプライする時に最初に見られるのはCVなので、CVがダメだと苦労する。

ただ、大学院生の場合、仮に論文の数が少なかったり、質が良くなかったりしても、ポスドクになってからでも挽回可能。その場合、次の「過程」がものをいう。

アカデミア外の場合、もし研究関連キャリアなら、大学院の時に何を身につけたかはやはり重要な気がする。

完全に違うキャリアを目指す場合でも、表面的な結果はインタビューで何をやったかアピールする上で重要かも。

過程
大学院3年間なら3年間をどう過ごすか?何を学ぶか?ということ。これは2番目の「知識」とも関わる。

結局、大学院3年間は、その後の人生につながっていくわけだから、その後の人生を左右する。

何を学ぶか、というのは多義的で、研究関連のことはもちろん、将来につながる何かを身につけること。人生経験的なことも含まれる。

後で点と点がつながることも多い。一見結果に直結しないようなことでも、5・10年後に役立つこともある。なので、過程を疎かにしてはいけない。

結局のところ、これは最初のゴール設定とも大いにリンクしてくると思う。ゴールに関わると思って何かを学んだなら、かなりの確率でそれは役に立ってくる。

この「過程」は、いわゆるreference letterの内容になったりもするので、人生を直接左右しうる。手を抜くと、良いreference letterを書いてもらえず、仮に良いCVでも就活に苦労するかもしれない。

以上5つ。

人生は人それぞれなので、おそらく人によってアドバイスする点が違ってくるだろうし、ピンと来ない人も多いと思う。とにかく、自分の人生なので、自分で考えて行動に移さないと、解決策を見いだせない。

2014年3月15日

スタップ細胞仮説から何を学ぶか?

捏造といったたぐいは、どこの国だろうと起こりうる。一方、アメリカやイギリスだったら、違う展開だっただろう、と思いながら、ニュースやソーシャルメディアを毎日フォローしてます。。。

日本ならではと思った点は、やはり最初の加熱報道の異様さ。結果的には、これが今の状態につながったと思われる。良い意味でも、悪い意味でも。

良い側面は、論文発表直後から多くのpost-publication peer reviewが行われ、再現性の欠如だけでなく、論文そのものの問題が比較的短期間にわかり、自浄作用が機能したこと。これに加熱報道が一役買ったのは確かだと思う。

発表から2ヶ月足らずでretraction当確の状態にまでなった論文なんて、少なくとも僕は知らない。

もしこれが10年前だったら、、、
間違った論文を多くの人が信じ続け巨額のお金が動いたりして、物的なネガティブインパクトは相当だったはず。(RIKENはすでに人事で物的な被害を受けてるけれども。。。)

ちなみに、論文発表前に防げなかったの?と家内に聞かれたけど、現状は非常に難しい。。。

もちろん、究極的にはシニア研究者のマネージメント問題だとは思うけれど、今回は、小保方さんが一人でいろいろ手がけて、彼女のprimaryな指導教官・メンター的な人がいたか非常に曖昧な雰囲気。笹井先生の具体的な貢献はよくわからないけれど、もしもネイチャー論文書き、という最後の部分だけの積極サポートが主な貢献だったとすると、差し替えられたデータをそのまま鵜呑みにしてしまう状況に陥られたのかもしれない(あくまで想像)。

ましてや現状のpeer reviewの制度で、レフリーが図の流用に気づくのは不可能。そもそもそんな視点で論文を審査しない。

とにかく学ぶべきことは、共同研究者間peer reviewの強化。

仮に共同研究的な関係であっても、自分のラボ内でやるのと匹敵する厳しい基準で共同研究者のデータを評価しないとだめ、ということなのだろう。甘い時は甘いと言い、元データを大切にすること。そして、自分の名前が論文に載る時はその論文に責任を持つこと。(共同研究者としての関係を崩したくないから、概して甘くなりがちで、あまりうるさいと嫌われそうだが。。。)

が、今の時代、見ても理解できないような元データを出してくれる人と共同研究を進めるケースが非常に多くなっているので、そう簡単な問題ではない。

一方、悪いインパクトは、、、、ニュースを見ての通り。

RIKENブランドが非常に傷つき、BBCでも報道されてるから、日本人研究者全体の信頼低下につながったと思われる。日本国民からだけでなく、世界の科学者からも。しかも関連ニュースは今後も続く。国内外で。

さらに、今後は信頼回復のための過剰な監視制度をひくことで、生産性が低下し、欧米・中国との厳しい競争でますます劣勢な状況に置かれるおそれがある。今の過当競争の状態はひどくなることはあっても、軽減される方向に行くとは思えないから。

とにかくネガティブインパクトは絶大。

小保方さん、もちろん今回の件、ホントに不正をしたんだったら、正直に、できるだけ早くしっかり精算すべき。けど、スタップ細胞仮説を提唱した点だけにおいては、彼女の独創的な発想を非常に買いたい。普通、そんなこと思いつかない。だからみんな熱狂した。

仮にRIKENのポストや博士号を返上しても、また一から出直し、10年後くらいに、やっぱりこの人すごかった、と言われるよう頑張ってほしい。30歳なら、これから10年で復活可能。日本では風当たりが強すぎて居心地が悪かったら、別の国で頑張れば良い。サイエンスの業界はそれができる。自分の意志で。

神経科学の分野でも、ノーベル賞受賞者と一緒に出した論文を後に取り下げ、そのノーベル賞受賞者を怒らせながらも、今は超一流の研究者として活躍している人もいる。

間違いは誰でもする。
そこから何を学んでどのような行動を取るかは人次第。

2014年3月9日

コミュニケーション

以前、デキる大学院生の要素の一つとして「交信」を挙げた。

そのコミュニケーション力に関連して、以下の3タイプについて考察。

1.頻繁タイプ
こちらからデスクに出向かなくても相手から来て直接進捗なり問題の報告を頻繁にしてくれるタイプ。基本的にはこのタイプが一番仕事がやりやすい。些細な事でも、逐一情報をシェアしてくれると、軌道修正もしやすいし、頻繁に情報交換でき最も効率的。

2.メールタイプ
そんなこと直接聞いてくれたら良いのに、と思うことでもメールで様子伺いなり、フィードバックを求めてくるタイプ。性格的に、シャイか遠慮しがちなタイプだと思われる。が、メールをタイプし始め、返事をもらって次のアクションに移るまでの時間と、足を動かし直接聞き、すぐに回答を得て次に移るまで時間の差が、例えば大学院の3年間積み重なると、相当な時間になる。遠慮しすぎるのはどちらにも良くない。

3.沈黙タイプ
そんな重要なこともシェアしてくれないのね、というタイプ。最もやりにくいタイプ。こちらが忙しいと、情報交換するのは週一のレギュラーミーティングだけになったりする。一週間経過した後で、重要なことのアップデートをもらい、何も進んでいない、もしくは誤った方向に行っていたりすると、ショック・ロスは大きい。。

自分が進んでいる方向に余程自信・確信を持っている場合を除いては(仮にそうであったとしても)、1のタイプがチームメンバーとして一番働きやすいです。

2014年3月2日

スコットランド独立について

一時帰国した時、よく聞かれた質問:
「スコットランドって独立するんですか??」

もちろん、現時点ではどっちに転ぶかわからないけれど、約半年後の9月18日の国民投票で結論が下され、もし過半数が”Yes”と言ったら、2016年3月24日にホントに独立してしまう。。。

こちらがオフィシャルな情報。
よくある質問と答えについては、こちらにまとめられている。あくまでスコットランド政府の見解なので、鵜呑みにしてはいけない。。。

wikipediaもある。日本語訳はないから、日本人にとってはほとんど関心のないことだと思われる。

ガーディアンの特設ページのRSSを登録しておけば、常に最新のニュースを知れる。

以下、もう少し具体的に。

誰が投票できる?

こちらにあって、基本、スコットランドに住んでる人たちが対象。今回は16歳以上が対象になる。しかし、CommonwealthやEUとも関係ない僕のような第三国からの移民は対象外。

現在の世論は?

最近の世論調査の結果はこちらこちら
UK全体で見ればもちろんNoが圧倒しているけれど、問題はスコットランド内。

一貫してNoが多いけれど、態度を決めていない人たちもまだたくさんいるので、半年後どうなっているか微妙な情勢。一番怖いのは、8・9月にAlex Salmondが今ある問題点への明確なビジョンなり回答を用意して、世論が大きく動くこと。

つまり、独立するのはunlikelyだけれども余談を許さない。

ヴィジョンの詳細
現時点のビジョンについては、こちらに分厚い冊子がある。ダウンロード可能だし、頼めばタダで送ってくれる。

ディベートネタ
いろんな問題が連日のように議論されていて、僕が理解している限り、以下の初歩的なことすら明確ではない:
・通貨はどうなる?(ポンド?それとも・・・)
・EUに即加盟できる?
・北海油田は誰のもの?
・BBCは?
・科学技術予算は?
などなどなどなど。

通貨については、最近、ジョージ・オズボーンが、ポンド使えるわけねぇじゃん、とcurrency union案を一蹴。pro-unionの人たちも加わってAlex Salmondいじめがスタート。

もしも独立するとしたら、残りのUKとスコットランドで、少なくとも短期的にはloose-looseのdealになるのは確実。

科学関連では、僕の理解が正しければRCUKのお金を当てにしてるらしい。。「独立」とは程遠いプラン。スコットランドは基本的に「応用」関連の投資ばかりしてきているので、独立したら多くの科学者がスコットランドを離れ、ただでさえ乏しい経済の原動力をさらに失うことになると思われる。

僕の立場は、100%No。
が、投票できないのが移民の悲しい性。。。

2014年2月23日

札幌

先週、札幌へ行ってました。
今回はワークショップへの参加。

修士時代に同じ研究室に所属し、その後も連絡を取り合っていた知り合いが今回のワークショップのオーガナイザーで、そのコネで呼んでもらいました。

ワークショップそのものは、いろんな種を使って行動・脳を研究をしている人たちが、日本だけでなく、海外からも呼ばれ、3日にわたって開催。

普段聞けないタコやエイの行動の話などもきけ、スピーカーの人たちとも毎晩食事に行ったりし、非常にエンジョイできた。

今回は、海外からのスピーカーもいて、ワークショップはすべて英語だったので、実は英語の割合がかなり高い日本滞在だった。

17日
日曜日にグラスゴーを発ち、17日午前に関空へ。アムステルダム-関空間の飛行機、隣には窓側から、フランス人おじさん(50~60歳)と日本人女性(学生さん)が座っていて、そのフランス人が日本人女性をナンパしてた。。。

それはともかく、関空ー新千歳の飛行機は吹雪の影響でどうなるか心配だったけれど、「条件付き出発」だった。条件付きとは、もし着陸が無理だったら、羽田か関空に引っ返す、という条件付き。

離陸後のアップデート情報として、天気が回復しているから大丈夫、とのアナウンス。

着陸時、雲に入ったらさすがに揺れ、エンジンのふかし方も普段より大きかった(ように感じた)。雲を抜けるとかなり間近に雑木林があって、結構怖かったけれど、無事着陸。一面銀世界。

空港で、まず花まるへ。板前チックな回転寿司屋で、高めの皿を中心に4皿だけいただく。激うま。

その後、お土産を幾つか買って札幌へ。
ホテルは駅前のアスペンホテル。北大に訪問する時はいつもここを利用させてもらっているけれど、駅前でアクセスもよく部屋も適度のサイズで、インターネットも無料でとても良い。

少し仮眠を取り、7時から約束の食事。場所は卯和というところ。腰から顔の高さまである雪の壁が車道と歩道を隔てている歩道側を、雪の感触を一歩一歩確かめながら、ホテルから10分強で到着。

メンツは、オーガナイザーの知人とNJ時代に知り合って北大で独立している方3人。お店は、お酒が呑めるお洒落な定食屋さん。ほっき刺し身定食をいただく。9時閉店で、しかも二人共ワークショップの準備があったり、車で来ていたりと呑み会という意味ではやや消化不良だったけれども、いろいろ話ができて楽しかった。北大は北大でいろいろ大変なんだなぁ、というのが少しだけれどもわかった。

18日
翌日は、頑張って7時前に起きる。今回も時差ボケ対策は無理やり起きてアクティブに動くことだと実感。

昼前にオーガナイザーのいる建物へ行き、事務処理とラボ見学。建物付属の学食へ行ったけれど、あんなのを毎日食べれるなんてホント羨ましい。。ちなみに、北大には循環バスがあって、正門-北部間の移動に使ったけれど、雪の量が尋常ではなかった。。。

その後、銀行に行って、隣駅にあるイオンへ行って日常品の買い物。

16時からワークショップスタート。

夜はスピーカー全員ですすきのの隠口なる居酒屋へ。コース料理で最後のそばが最高に美味かった。2次会には、近くの居酒屋へ4人で。日本酒を結構呑む。。

19日
若干二日酔い気味で7時頃起き朝食(軽めに)。
ワークショップは、午前最後に僕のトーク。
質問もそれなりに出て、メッセージは伝わったと思われる。

ランチは、北大内のお洒落なレストランでカレーを。レストランの行き帰りNIHからの台湾出身のPIの方といろいろ話をさせていただく。今回、この方と他にも話す機会がいろいろあった。

2日目の日程も終わり、夜は学生さんたちも参加OKの懇親会。場所は雑居ビルに入ってる大衆居酒屋の一室。鍋付きコース。普通に美味しかったです。

2次会には6人でレトロな居酒屋へ。

20日
午前ワークショップでワークショップ終了。
ランチには、一部のスピーカーを混じえて咲か蔵なるレストランへ。海鮮丼をいただく。

この日のディナーはNJ時代の知り合いの呑み会に混ぜてもらい、はちきょうへ。
ちょうどケンブリッジからのお客さんとの懇親パーティーということで、自分がグラスゴーから来たというとUK関連の話題で盛り上がる。つっこ飯も食べて食事が終わり、ホテル方面に向かっていたら、良いアイリッシュパブがあるから、ということで、札幌駅内のアイリッシュパブへ。二次会。

その方、パブが煙草臭くて悲しんでおられた。。
今回、居酒屋の多くで喫煙OKが多かった。。。
歩きタバコは少ないから、その辺は対照的。

21日
6時15分の電車で新千歳に向い成田・アムステルダム経由で再渡英。帰宅したのは21時23時半ごろ。アムステルダムで6時間待ちがあった分、ドアドアで24時間強の旅に。

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今回観た映画
・Gravity
・Escape Plan
・Skyfall
・Captain Philip
GravityとSkyfallは2回目。何度見ても楽しめる。
Escape Planはシルベスター・スタローンとアーノルド・シュワルツネッガー共演の監獄脱出映画。なかなか楽しめた。
Captain Phillipsはソマリア沖での米国船が海賊にハイジャックされた実話に基づく話。トム・ハンクス主演で船長Phillips役。ハイジャックから救出までの緊張感がよく描かれていた。

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話は変わるけれど、前回の京都の時にはSTAP細胞の報告で盛り上がっていて、今回の札幌の時にはエラーや再現性に関する記事が。。この一連のイベントを当の日本でリアルタイムで体験して思うことを一つ。

バブルを発生させないためにも、日本のメディアにはとにかくcritical thinkingのトレーニングをもっとして欲しい。他国のまともなメディアのまともな記事では、必ず、セカンドオピニオンを掲載しバランスを取っている。

研究者の記者会見をすべて鵜呑みにしてそれをそのまま報道するスタイルは早くやめて、少なくとも、その研究に直接関わっていないけれど、しっかりした専門知識を持つ第三者科学者にコメントを求めて、それもしっかり報道しないとダメ。

それだけで、まともな国民が振り回されることは少なくなり、結果として、研究者とメディアへの信頼度も増す。

2014年1月5日

誘致

新年明けましておめでとうございます。

ツイッター経由で知った新聞記事が興味をひいたのでコメント。

文科省は世界レベルの研究者をラボごと誘致する試みをスタートするらしい。京都工繊大と北大で。

この記事以上の詳しい情報はフォローしていないけれど、おそらく世界大学ランキングを上げる実験の一貫だと思われる。個人的には、こういう戦略が一番手っ取り早い方法だと思っているので、動向に注目したい。

もちろん、世界レベルの研究者がホントに日本に来てくるのか(どんな美味しいオファーをしたらそれが実現するのか)、仮に来てくれたとしてそれが日本のアカデミアにどれくらいインパクトをもたらすのか、そもそも大学ランキグを上げることに税金をつぎ込むことがどれほど日本の成長に寄与するのか、などなど、よくわからないところではある。

が、外国人の割合を増やして国際力を高める、といった効果を見込めない戦略よりはマシな戦略。

2013年10月13日

日本とスコットランドの教育

最近OECDによる国語力・計算力に関する調査結果が発表され、日本はことごとく上位。

それを受けて、日本はなぜ強いのか、についての記事がGuardianに掲載されていた

日本人にとっては新鮮味に欠けるけれど、そこでは日本の教育システムのしっかりしてる点、そして弱点が述べられている。その弱点は、もちろん英語。文法や読解力はすごいのに英語でのコミュニケーション力が乏しいと。。。

一方、コメント欄では、英国人(?)から見た日本がいろいろ分析されている。長年築き上げられてきた文化・社会構造の違いに着目しているコメントがいくつかあったりと、記事以上に勉強になる。

自分の子供はスコットランドの学校に通っているけれど、確かに日本と全然違う。

そもそも教科書がない。。。

「ドリル」的なものはもちろんない。

ノートもある意味貧弱で、ノートというよりメモ帳的なサイズのミニ冊子に手書きで文を書いたり、算数の計算を書いたりと、寺子屋か?と思うようなレベル。(寺子屋には行ったことはないけれど)

そういうシステムという点で、この国はよろしくない。
OECDの結果がそれを如実にあらわしてるように思う。

一方、次の3点は、日本の教育システムは学んでも良いかもしれない。

第一に、答えのない宿題。
スコットランドでも宿題は出るけれど、ドリルの5~10ページをやれ、といったものではなく、いわゆるopen questionが出される。つまり、答えは一意に決まらない、回答者しだいの問題。こういう問題は、得てして総合力を発揮できる場でもあるので、伸びる子はとことん伸びるように思う。

第二に、会話形式の授業。
小学校の早い段階からグループ・ディスカッション的なことをやるもよう。こういうのがあるから、こっちの人たちは単純な言語力を超えた部分で、ディスカッションになると強い(人が多い)。

第三に、褒め方。
良い所を見つける、というのが徹底している。あら探しはしない。

例えば今週、3者面談が学校であって参加してきた。担任の先生からclever girlを連発されると、仮にそうでなくても親・子供共に自信がついて結果もそのうち伴ってくるのでは?という錯覚さえ覚える。

一方、これを逆にすると、ホントはcleverな子でも自信を失い、伸びるものも伸びないということになるかもしれない。

日本の教育システムの完成度は世界トップレベルなので、ちょっとした改善でさらに伸びるだろうと、容易に想像できる。底もそこそこのレベルで、伸びる子は伸びるようなシステム。

一方、スコットランドの教育システムの場合、まずは「システム」作りからスタートしないといけないだろうから、ある意味絶望的。。。ネイティブの言語が英語、という最強のアドバンテージにかなり頼ってきてるように思う。

2013年8月4日

世界大学ランキング

世界大学ランキングについて少し調べてみた。

3つ有名なランキングがあるもよう。
Times Higher Education(THE)のランキング
QS世界大学ランキング
Academic Ranking of World Universities(ARWU)

最初の二つは2009年まで同じだったらしく、THEは以降Thomson Reutersのデータも利用してランキングを算出している。

3つ目のARWUは上海ランキングともいわれてるらしく、ランキングのさきがけらしい。

ここでは、THEにとりあえず注目(理由はUKベースの雑誌が算出するランキングで、聞いたことがあったから)。

ただ、wikipediaには最新の情報が反映されていないので注意。

THEのランキングでは各大学を100点満点で評価してランキング。
以下そのブレークダウン。
詳細はこちらを。

まず以下の5つのカテゴリーごとに大学を評価
1. Industry Income
2. International outlook
3. Teaching
4. Research
5. Citations

各カテゴリーごとに、さらにいくつか評価基準があり、その各評価基準ごとに重みが付けられスコアを算出するもよう。

Industry Income
1つだけの評価基準。
企業からの研究資金収入をアカデミックスタッフの人数で割った値。

International diversity
3つ評価基準がある。
第一に、海外組・国内組スタッフの比
第二に、海外組・国内組学生の比
最後に、海外研究者との共著論文

Teaching
5つ。
第一に、reputation surveyなるものがあるもよう(重み高し)
第二に、アカデミックスタッフあたりの学生数
第三に、博士と学士取得者数の比
第四に、アカデミックスタッフあたりの博士取得者数
最後に、アカデミックスタッフあたりの大学総収入

Research
3つ。
第一に、Reputation survey(これまた重み高し)
第二に、研究費収入
第三に、スタッフあたりの論文数

Citations
Web of Scienceから算出される論文引用数インデックス

5大カテゴリーの重み付が興味深く、
Industry Income 2.5%
International diversity 7.5%
Teaching 30%
Research 30%
Citations 30%
という内訳。

これに基づき100点満点として評価するもよう。

ちなみに、Reputation survey、これはThomson Reutersが行うAcademic Reputation Surveyなる調査からの数字に基づいているらしい。

なんとなく胡散臭い。。。

ちなみに、最新のランキングでは
1.カルテク(米)
2.オックスフォード(英)
3.スタンフォード(米)
4.ハーバード(米)
5.MIT(米)
6.プリンストン(米)
7.ケンブリッジ(英)
8.インペリアル・カレッジ・ロンドン(英)
9.UCバークレー(米)
10.シカゴ(米)
がトップ10。米英独占。

日本はというと、
27.東大
54.京大
128.東工大
137.東北大
147.阪大
の5大学がトップ200位圏内。

ちなみに、ストラスクライド大は、ぎりぎりランクが付く351-400位(このカテゴリーでは細かい順位はついていない)。慶応と早稲田が同じ圏内。意外。。。

確かに、このランキングだけみると、日本の大学は苦戦している。どの大学もその半分くらいの順位で良いように思う。

もしもランキングを上げたいなら、まずはインパクトを上げる方法を考えるのが賢明かつ堅実だと思われる。

が、すぐに変化するものでもなさそう。というのは、Citationsやreputationがかなり重視されているので、一朝一夕で変わるものではない。

が、メチャクチャ論文を引用されている超有名研究者をヘッドハントする、というトリックはアリ。つまり、ノーベル賞受賞者をたくさん雇えば良い。大金をはたいて。

一方、International Outlookの重みは低いので、そこをターゲットにしても、順位はなかなか上がらない。なぜなら、総合点数への貢献度(重み)は非常に低いから。

例えばストラスクライド。International Outlookは63と、トップ10大学と肩を並べてる。。。

もちろん、日本の大学のInternational Outlookの低さは異常のようにも見えるけれど、国籍問わず、良い研究者・科学者を如何に養成・増やすか、というのがほとんどの評価項目にポジティブな効果をもたらし、ひいては大学ランキング上昇に貢献すると思われる。

トップ10の大学がそうしてるんだから、そんなことは自明のようにも思える。

2013年8月3日

3年

グラスゴーに移住してちょうど3年。

移住直後はいろいろありましたが、スコットランドの大学から生活まで、異文化の環境にそれなりに慣れてきました。今回はこの3年で学んだことを3つ。研究・大学関連にフォーカスして:

1.グラント制度
よく出来た制度だと思います。

まず、UKRCはいくつかカウンシルを持ってますが、それぞれに独自の戦略をしっかり決めていて、グラント申請書を書き分けやすいのが一つ。

第二に、国外研究者にも依頼しながらpeer-reviewし専門家の意見を仰いだ上で意思決定する審査制度。研究者への負担を上手く分散しながら、良い研究に投資しようという姿勢が伝わってきて、規模は小さいながらも、UKのレベルを長年保っているのが何となく頷けます。

グラント申請書書きは嫌、と言う人は多いですが、サイエンスのやり方を身を持って学ぶ良い機会だと個人的には思ってます。つまり、科学者養成の役割も果たしている。

また、ソースという点では、チャリティー系、EU系ソースへのアクセスも可能で、厳しい厳しいと言いながらも、みんな何とか生き延びてる印象です。

Wellcome Trustの変革は、多くの人達には大打撃だったみたいですが、僕が来る直前に変わって、僕は以前を知らないので、コメントできる立場にはないです。超一流の研究者だけがアクセス可能なお金、それだけです。

それから、いわゆる産学連携を進めるための特別なソースも各カウンシルが用意していたりと、いわゆるトランスレーショナルな点もそれなりに意識して進めている印象です。UKというより時代か。

一方で、UK以外の欧州の一部はかなり深刻で、かなり悲惨な状況の国もあります。。。

2.職の安定性
働き出すまで半信半疑でしたが、UKにはアメリカ的なテニュアトラックはないので、一旦PI職に就くと無駄な精神的プレッシャーがないです。プレッシャーゼロ、ではないですが、適度なレベル。

もちろん、中には胡座をかいて戦力外な人も出てきますが、研究スペースは次第に奪われていき、ティーチング要員になっていきます。トップの裁量でクビなんていうことは聞いたことないです。

過度なプレッシャーのもとウソをつく輩出てきて全体にダメージを与える、よりはましかなという印象。

一方、給料は実績に基づく年俸制ではなく、毎年2,3%ずつ上がっていく仕組み。けど、結果を残すと、数ランク以上上がる柔軟性もあったりと、悪くないです。

ポスドクに関して。
ポスドク問題は、万国共通の問題です。厳しい。。。ポストがない・できない。。。

ただ、研究以外の職に就ける機会も少しはある、という印象です。
実際、グラント関連でメールを受け取る時、Drの肩書きの方からメールを受けとったり、研究機材を販売している会社の窓口もDrの人だったりすることが多いです。

最後に、大学院制度については、アメリカほどしっかりしてないので、研究者養成という点では、いろいろ問題があります。UKでPhDを取って、ホントに将来の安定につながるか、極めて疑問です(と自分が大学院生を見てることは棚にあげますが・・・)。

個人的には、PhDを取るならアメリカで、というスタンスは以前から変わってないというか、さらに強く思うようになりました。

3.アウトリーチ
国というよりそういう時代なのかもしれませんが、アウトリーチ・public engagementという発想はそれなりには根付いてるなぁ、という印象です。

BBCやガーディアンでは良い記事が多いし、バスなんかで無料で配布されてる日刊紙にも、科学関連の意外としっかりした記事がごくたまに載ってたりします(多くはゴシップ系記事ですが)。

チャリティーのウェブを見ると、わかりやすいしっかりした情報が載っていたりして、一般の人からすると、その気になればいろんな情報にアクセスしやすい環境が整っている方だと思います。

ローカルなレベルでは、近くのグラスゴーサイエンスセンターのショーは、メチャクチャ良くできていて、子供から大人まで楽しめ質がかなり高いです。

大学レベルでは、キャリアパスという観点からか、大学院生にアウトリーチ活動に関わってもらうイベントもあったりして、近くの小学校に行ったりしてます。

ちなみに、僕はそういうのにはまだ全く関わってません。。。

以上、まとまりはないですが、3点。

他にも生活関連のことで学んだ・知ったことはいろいろありますが、総合していうと、UKなりUKの中のスコットランドの住み心地は予想より良い、というのが感想です。それだけ慣れた、ということなんだと思います。

2013年5月26日

Curiosity

少し前、TEDに教育関連イベントのトークがたくさんアップされて勉強になりました。

中にはBill Gates氏サーKen Robinsonのトークも。

いくつか見ていて、一つのキーワードだと思ったのはcuriosity。

少し前のエントリーの文脈で考えると、「情熱」の部分と相性が良さそう。

例えば、PhDを目指して大学院に入ってきた人たちを見ていると、PhDそのものに興味がある人、純粋に科学に興味がある人、の少なくとも2タイプいてる。

問題は前者。

もちろん、PhD後の進路は多様であるべきなので、そいういうタイプはいて良いのだけれども、自身をドライブしているものが科学の問題そのものではないので、モチベーションなり研究・学習姿勢が、後者のタイプと本質的に異なる。

TEDのいくつかの関連ビデオを見ながら、メンターとしてはそういう人たちに対して如何にcuriosityを引き出すかが重要なんだろうなぁ、と目からウロコ(もちろん、言うは易しで、具体的にどう?と言われると難しいけれども)。

もちろんレクチャーでもその辺を刺激するスタイルにできると、学生さんたちの学習効果が上がり、テストの結果から超重要ポイントすら理解してくれてなかったことを知りショックを受ける、なんて機会も減るのかもしれない。。。

ちなみに、Bill Gates氏のトークでは、自分のクラスをビデオ撮影すると自作自演peer-reviewになって良い、と。おそらくそうなんだろう。

昔、自分のトークの練習を一度ビデオで撮ったことあるけど、実際役立った。明石家さんま氏も自分の番組をビデオで撮って後で見る、と聞いたことがある。教師だろうが科学者だろうが芸人だろうが、適切なフィードバックが重要なもよう。