ラベル Scotland の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Scotland の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年8月8日

UK5年

先週1日をもって、グラスゴーに住み始めて丸5年経ちました。
スコティッシュ・アクセントは未だわかりませんが、それほど不自由もなく(?)暮らしてます。

今週、永住権を申請し、無事受理されれば、今後、ビザ関連で悩まされることはなくなるはず。日本を離れて10年間、ビザ関連に費やした時間、そして何よりもお金は相当な量に。。。

それはともかく、UKに5年住んで思うことをダラダラと書いてみます。

<USとUK>
USとUKはいろんな点で違う。ここでは、「自由」をテーマに。
USの自由さは非常に魅力的だけど、自由な分、リスクは大きい。いろんな点で。

一方、UKでは何となく窮屈感がある。
けど、周りの目を気にしないで良い点は、USのそれに近かったりする。

UKでの窮屈感の原因はいくつかありそう。

第一に、自分が移民、という点。
USの場合、殆どの人が数百年以内の移民ということもあってか、移民に対する感覚が違ってた。一方、UKの場合(おそらく多くの欧州の国の場合)、移民絡みのダークサイドが顕著。ここ最近のCalaisの問題はそのダークサイドの一つ。「自分も移民」ということから肩身の狭さを感じることがある。

第二の窮屈感の原因は、何かにつけ安全対策だろ、正当化だろ、すぐ言われる点。もちろん、多くのケースで筋が通ってるけれど、「自由」が軽減される分、窮屈感につながる。

第三は、移民の話とオーバーラップするけど、マイノリティー感。ロンドン(とその周辺)を除くところでは、東アジア人は非常にマイノリティー。むしろ、それが良い、と思うこともあるけれど、しばしばそのマイノリティーという点を気にすることがある。窮屈、というより疎外感的なものに近いかも。

4つ目は気候。晴れが少ない分、開放感が自然と減る。服も軽装になる機会が少ない。例えば、グラスゴーの今年の夏は、最高気温15度前後の日ばかりで、夏があったのかわからないくらい。冷夏で雨が多かった。。。冬と今の時期と、家で着てる服が変わらなかったりする。。。季節感超薄。。些細なことのようでも、無意識的な部分で作用を及ぼしてる気がする。

<歴史と文化>
歴史と文化の重み・厚みはさすが。
「スコットランド」そのものの歴史はそれほど長くないけど、イングランドを中心としたGB全体の歴史は密度が濃い。建物からもそれを感じられる。

文化に関しては、UKに住み始めて音楽を聴く機会が圧倒的に増えた。
ブリティッシュ・ミュージックのレベルの高さを改めて感じる。例えば、子供と同じ曲を楽しむ状況は、日本だったら想像できなかったかも。毎週iTunesでランキングをチェックしては、気に入った曲をたまに購入、なんて状況は想定外だった。

<政治>
USとは違うけど、レベルは高い。選挙時期は、ジェラシーを感じる。なぜなら、日本のそれとは格段に違うし、自分に選挙権はないから。
一方で、労働党がしっかり立て直してこないと、バイアスのかかった政治になって、よろしくない。何事もバランスは大事。

スコットランド独立の件、先週またホットトピックになってた。来年のスコットランド内の選挙に向けてまた盛り上がるのだろう。けど、少なくとも先5年は、国民投票はない(とキャメロンさんが保証してくれた)。

国民投票どうこうより、昨年の今頃いろいろ議論された独立国としての実装的な部分の議論が進んでいないのは、ちょっと残念。SNPはまずそういう足元を固める戦略を採るべき。

<格差>
格差はUKでも肌で感じれる。USほどでないにしろ。住む地域が格差の指標の一つになってる点はおそろしい。。

一方、日本同様、世代間格差が問題になってる。政治の問題として扱われるケースもある。非常に難しい問題。

昨今必要とされている人材のハードルの高さというか、昔の多くの職との質的な違い、そして教育の現状(つまり時代の変化についていってない)を考えると、世代内での格差はますます広がるだろうし、世代間の格差も、状況は悪くなることはあっても、良くなる状況は想像できない。経済だけでなく、気候変動の問題もあったりと、非常に大変。

ちなみに、UKと日本を比べると、人口構造のいびつさは日本のそれほどではまだない。子供がまだ生まれている。サポートする社会体制もそれなり。日本はどうなるのだろう。。。

<セキュリティ>
個人レベルのセキュリティとしては、もちろん住む場所に大きく依存するのだろうけど、非常に安全。日本のそれと大差ない、というのが過去5年間の感覚。

ヤバい人はオーラを出してるので、この点はUSに近い。銃がない分、さらに良い。ただ、女性の場合は、必ずしもそうではない。一方、「痴漢」の話は聞いたことがない。

国レベルでは、それなりの体制は整ってるようなので、突発的なテロを考えないなら、おそらく日本より安全なんだろうなぁ、という気はしている。USとの関係も、日本とUSの関係とは違って健全というか対等というか。ただ、グラスゴーのすぐ近くにトライデントがあるので、実際ドンパチが始まると、最悪の場合、グラスゴーは住めない場所になる大きなリスクはある。ドンパチより、アクシデントがもっと怖いか。。。

<科学>
まずグラント制度。
制度としての質は比較的高い。もちろん、分野外の人も評価する分、宝くじ的な余地があるけれど、ダメならダメな理由を後で教えてくれる。それなりに納得のいくロジックを教えてくれる。

ピアレビューも、論文審査のそれほどではないにしろ、しっかりやってる。そのコメントは申請者に返ってきて、研究者のレベルを高め合ってる。

申請書もそれなりに詳しくプランを練らないと書けないようになってるから、1300億の予算なのに、実は2500億もかかるような提案があっさり通ることは少ない。つまり、お金の使い方も、意思決定前にそれなりに吟味される。通っても、無駄な部分は削るよう言ってくる。実績がある点(つまり良いCV)はもちろんプラスに働くだろうけど、それだけでは決まらない。プランがどれだけ実行可能かしっかり見てくる。完璧ではないにしろ、プロフェッショナル。思うに、この制度のおかげで、GDP当たり先進国最低レベルのサポートでもUKのサイエンスが高いレベルを保ってる一因になってるのだろう。他の国も学べる点はあると思う。

UK主導で変えようとしているアカデミアの文化もある。オープンアクセス。
UK内では、この勢いはもう止まらない。問題は他国がどれくらい追従するか。雑誌の淘汰が進むだろう。

一方、大学に目を向けると、いくつか(たくさん?)問題がある。大きな問題は、伝統的な部門構造。USのように、一人のスタッフが複数の部門に所属する、ということは聞かないし、部門そのものが非常に古臭い。新しい分野が出てきたから、柔軟に新しい部門を作って、、、ということがおきない。

なぜか?

ここ数年でわかってきたことは、学内だけではなく、外部組織との関係からその硬直性が出ていそう、ということ。特に、授業のカリキュラムは、外部団体(名前は覚えてないけど)の規定に沿ってる必要があるようで、制度が非常に官僚的。特に教育に関して、イノベーションが起きにくい構造になってる。この構造上の問題がUKとUSの決定的な差につながってる。歴史が足かせになってる典型例。一方、お金がある場合は、新しい研究所を作って、そこで先端研究・企業連携を推進する、というケースもあるのはある。

<教育>
住む場所を選べば、無料でそこそこの教育を子供に受けさせられるのはありがたい。ただ、最近の記事によると、私立に通ってる人たちは良い職に就きやすい、という統計もあるようで、この辺の格差のハードルはなかなか越えられない。

<交通>
道路について。
roundaboutがすばらしい。右直事故そのもののリスクは根絶してる(そもそも「直」がないから)。どういう背景で導入されたか知らないけど、もし交差点の事故を減らすためだったとしたら、考案者は賢すぎ。日本にどんどん導入すべき。交通死亡者も減らせるだろうから、お金の投資価値がある。うまく説明すれば、国民の理解も得られるはず。はじめは慣れずにミニ事故が増えるかもしれないが。。。

一方、電車で長距離移動は考えたくない。USよりはマシだけど。。。その点、日本はホントすごい。

<その他>
いろんなところでフリーWifiがある。バス、電車、お店など。旅行者にとってはとてもありがたいサービスだと思う。オリンピックを開催する日本も見習って欲しい。

と、日本やUSとの比較から、普段思ってることをダラダラと書いてみました。

2015年5月23日

10年

日本を離れてから今日でちょうど10年たちました。人生の4分の1弱を日本以外で過ごしたことになります。

10年前に渡米した時、今の状況は全くの想定外だったので、人生なんて何が起こるか予想できません。

ここでは、海外生活の良い点・悪い点をまとめてみます。まず良い点を5つ+アルファ。
1.日本に敏感になれる
日本を外から見れ、比べる対象があるので、自然と敏感になれます。ニュースを見ながらだったり、日本に一時帰国した時などに、日本は素晴らしい、逆に、日本てどうよ、といろいろ考えることがあります。

2.努力なしで英語力アップ
「努力なしで」というか、英語を聞いて・話して・読んで・書いていかないと生きていけないので、自然に労力を割くことになります。英語力アップのペースは、少なくとも僕の場合は、少しずつ少しずつ。ある日突然、ということは起きませんでした。

英会話力をアップさせたかったら、やっぱり使い倒すのが一番で、それしかないと思います。細かい文法なんてホントにどうでも良くて、とにかく使って意志を伝える。実際伝わる。相手はバカではない(ことが多い)。

頭で文章を作って発話、ではなく、発話しながら文章を作る。英語を教えてもらう、ではなく、英語でしかコミュニケーションできない部下、がいると手っ取り早いと思います。なぜなら、自分から話す量が増えざるを得ないから。

3.「海外旅行」が身近に
UKなら、ヨーロッパ旅行が身近に。米国なら、米国内やカナダ、カリブ海方面の旅行が身近に。日本からに比べたら破格の出費で実現可能。もちろん時差ボケなしで。インターネットがあっても、この物理的な距離は縮まらない。

4.価値観が変化
これは必ずしも良いとは限りませんが、価値観は大なり小なり変化します。第一の点にも通じますが、日本での当たり前が、海外ではクレイジーだったり、その逆も。そのギャップに少しずつ慣れ、価値観にも影響を及ぼします。その変化は、人間としての成長、という意味では良いことだと思います。視野が広がります。

5.外国人の知り合いができやすい
仕事柄、これは大きなメリットだと思ってます。英語力を超えた部分でのコミュニケーションの取り方も、日常的な体験から身に付くので、学会などで初めて会う人ともコミュニケーションをしやすい。仕事の同僚も自然と多国籍になるので、いろいろ勉強できます。

6.その他
他にマイナーなこととしては、日本の低俗なメディアに惑わされなくなったり、一時帰国した時に海外生活を羨ましがられたり(実際はそうでもないこともたくさんありますが。。。以下参照)、欧州カーが身近になったり、夏は涼しかったり(スコットランド限定)、家がアフォーダブルだったり(居住地域に依存)、シングルモルトが身近だったり、ゴキブリや蚊で悩まされることがなかったり(実は大きなメリット)、いろいろあります。

---
次に悪い点を5つ+アルファ。
1.移民制度の影響を受ける
特にUKは厳しいです。ビザを更新する度に時間とお金がかかり、精神衛生上非常に良くないです。米国では一切感じなかったこととして、UKにいると、「所詮、よそ者」的な感覚があります(周りの人達からそういう感覚を受けることはないですが、移民制度やニュースから)。

2.食生活の変化
「日本食」と「日本での食事」は根本的に違う。前者は、海外で日本のメニューを食べることをここでは指します。

最低限の東アジア系の食材は手に入りますが、質の点で落ち、にも関わらず高額。わざわざ日本食レストランに行くのは、コストパフォーマンスの悪いbad ideaと思ってたりもします。。ということで、「日本での食事」にこだわってしまうと、海外生活はかなり困難と思われます。

3.帰省が「海外旅行」になってしまう
定期的に家族で日本に帰る必要がありますが、その度に「海外旅行」分の出費が必要。当たり前ですが、このコストは侮れない。数年に一度は家族でUK旅行(フランスやイタリアではなく)がMUST、という状況を想像するとわかりやすいか。

4.文化の違い
良い点として挙げた「価値観の変化」のネガティブサイド。文化の違いに慣れるには、それなりの労力と時間が必要。最もストレスが大きいのは住み始めた直後ですが、今でもわかってないことがたくさんあります。プライベートはもちろん、仕事でもその違いに苦労することがあります。

仕事の場合、例えば仕事への取り組み方の違い。プロフェッショナルかそうでないか、と一般化できる部分の違いだけで割り切れない部分もありそうで、表面的にはわかっても、本質的な部分で今でも理解できてなかったりします。。。なかなか慣れません。

5.子供の教育
日本人なので、家では日本語です。そうすると、子供に日本語をどうやって身に付けさせるかが大きな課題に。毎週土曜日の補習校は不可欠ですが、それだけだとどうしても限界があって、妥協点を見極めるのは親として悩ましい問題です。

一方で、親がスコットランドの教育制度を知らないので、親が最低限の知識を身につけないと、子供に不利益をもたらすリスクが多々ありそうで、これも大きな課題となってます。

6.その他
スコティッシュアクセントが理解できなかったり、たまに通勤バスにガラの悪い人が乗ってたり(被害を及ぼすわけではないですが)、間接喫煙の頻度が高かったり、雨ばっかりだったり、スコットランド独立が他人事でなかったり、日本のテレビが見れなかったり、温泉がなかったり、道路がガタガタだったり、こちらもたくさんあります。

---
現時点では、10年後もスコットランドなりUK(まだ存在していれば)にいるだろうと思ってますが、過去の経験からして、想定外のところに住んでるかもしれません。少なくとも言えるのは、日本に適応するには時間がかかる状態にまで変化してしまった、こと。10年経つといろんなものが変化します。


2015年5月9日

総選挙2015

事前のすべての世論調査で、労働党と保守党の支持は共に35%くらいだった。そして、選挙後の連立政権の交渉が注目トピックで、いわゆるhung parliamentの状態が続く、と保守党の人たちすら思ってたはず。

が、蓋を開けてみれば、保守党が331議席と過半数確保で安定政権に。。。これでEU離脱の国民投票実施、さらなる緊縮財政は確実に。

一方、ほぼ世論調査通りだったのはSNPの強さ。この確実な予想が予想外の結果に影響したのかもしれない。

選挙1~2週間前から、保守党は、労働党バッシング戦略として、労働党が政権をとるとSNPと連立を組み、UKを分断させてしまう、とキャンペーンをはった。Ed Milibandは、SNPとは組まん、と火消しに。。。もしかすると、これが保守党成功の鍵だったのかもしれない。

とすれば、今回の選挙結果、保守党を支持、というより、イングランドの人たちがスコットランドの躍進にはっきりNOと言いたかった、と解釈できるのかも。

それにしても、どの政党が議席を確保したかを示すUK地図を見ると、UKが完全に分断されているのがはっきりわかる。。。

スコットランドは黄色一色。。。(北アイルランドはユニークな混合色)

次の注目はやはり来年のスコットランド議会選挙。

SNPが圧勝しようものなら、再び国民投票を、ということになるだろうから、UKの終焉がかなり現実味を帯びると思われる。。。

EUからの離脱はないと信じたいけど、スコットランド独立は予想より早く実現するのかもしれない。。

SNP議員をWestminsterには送るけど、独立は別モノ、とスコットランドの人たちがどれくらい思ってくれているかは不明。。。

とにかく、英国の長い議会制度の中でも、確実に歴史に刻まれることが起こっていると思われる。

2015年4月11日

総選挙など

前回から丸3ヶ月のブランクですが、生きてます。

今、イースターホリデーシーズン中で、今週は天気も素晴らしく、すっかり春(といってもまだひんやり)です。

UKでは連日、5月の総選挙のことがニュースの中心ネタで、テレビ討論もあったりと盛り上がってます。SNP昨年の国民投票後、大躍進中で、スコットランド内の労働党の議席をことごとく奪い、議席数でいうと第三の党になりそうな勢い。(UK全体の人気ではUKIPが3番らしいけど)

個人的注目は、労働党と保守党どっちが第一党でどんな連立政権になるのか、そして、2016年のスコットランド議会選挙で次の国民投票実施への議論がどれくらい盛り上がっていくか、ということ。

先週の7党首テレビ討論で、Nicola Sturgeon は、国民投票はonce in a generationやし、と明言してたのに、今週、2016年の選挙で勝ったらまたプッシュするし、と口ばっかりです。。。

SNPは相変わらず数字に弱かったりと、しっかり政策の実現性や結果を吟味する必要がありそう。。。

でも、今回に関しては、もっとSNPにパワーを持たせて、どうなるか見てみるのは悪くないと個人的には思ってます。Liberal Democraticみたいに、選挙後サポート急落、ということもありうる。もしもしっかり仕事ができるなら、独立OK、ということにもなる。けど、経済をどう回すか、という根本的な問題はどう頑張っても限界があるように思える。。。

とにかく、選挙キャンペーンの動向を見ていると、今のUK内の問題がたくさん議論されてて非常に良い勉強になってます。

財政や経済の問題はもちろん、NHS、移民とEU、世代間格差、Tridentなど。

日本で例えたら、財政から外交や沖縄基地問題までたくさんの問題を争点にして、次を決める、という感じ?

仕事関係に話を移すと、論文が1つ出て、1つaccept、1つはin revision、1つはreject後再投稿、という状況。グラントは昨年のBBSRC以降、残ってた二つは撃沈。Co-Investigatorのプロポーザルもあっさりreject。

ということで、次のプロポーザル書き中と、相変わらずの自転車操業状態です。。新しいネタをしっかり考える、という点ではプロポーザル書きは刺激的で良いけれど、もう少しじっくりプロジェクトに取り組ませて、というのが正直なところです。。。RCUKでいうと、2~2.5プロジェクト分維持できるともう少し楽なのに、、、という感じ。

他には、今のポストに就いてぼちぼち5年目ということで、senior lecturerに昇進することになりました。「年寄り講師」?お金獲得というインプットはOK、論文というアウトプットは全然ダメダメですが、昇進できました。が、給料という点では、lecturerのままだったとしても額はおそらく変わらないと思われ、しかも「senior lecturerだから、もっとティーチングしろ、アドミン系の仕事をしろ」と要求されるリスクが高く、正直喜べません。。。

明日からエディンバラで神経科学学会。明日初日に、全5つのポスター発表となってます。

2015年1月10日

REF2014結果

年末に結果が発表されたREFについて。基本情報については過去のエントリーを参照のこと。

REFはUK内の大学評価制度のことで、5年間のパフォーマンスをいくつかの指標に基づいて大学を評価。その結果を、お金配分の根拠にしたりする。UK的といえばUK的制度。

発表されたランキング等に関しては、この記事にリンクがリストされている。

うちの大学は少し頑張ったようで、順位が50位から37位に上昇。

スコットランド内で言うと、エディンバラ、セント・アンドリュース、グラスゴーという名門大学に続く4位と、ダンディーやアバディーンより上になったもよう。大学数の割にスコットランドは頑張っているもよう

うちの大学、部門別でいうと、物理はなんとオックスフォードをおさえて、堂々の1位。僕が属している研究所は、Allied health professions, Dentistry, Nursing and Pharmacyなるカテゴリーで申請し、22位というリーゾナブルというか非常に中途半端な位置。。。(どのカテゴリーで申請するか、いろいろディベートはあったもよう)

大学としては全体的に良いパフォーマンスをしたようで、過去5年よりはお金の配分という点では恵まれるもよう。新年の学長の挨拶でも、よく頑張りました、的なコメントをしていた。

こういうある意味客観的(?)というか、少なくともリソース配分の根拠となる大学の評価制度はあるに越したことはない、と個人的には思う。透明性を与えているような気分にさせる。

が、ゲームのルールを熟知して如何に裏技なり反則気味の技を行使するか、みたいな本末転倒な部分もあって問題はたくさんある。

UKに来た直後、
REF中心で戦略を考えるより、如何に良いサイエンスをやるか考えた方がいいんじゃね
とごくごくまっとうな冷めた目で見ていたけれど、4年強UKで過ごして、まわりの人達の考えはそれなりに理解できるようにはなった。

慣れというものは恐ろしい。。。

そして、すでに次のREFを見据えた動きが大学内で始まっている。。。

2014年12月7日

選挙

今日、衆議院議員選挙の在外投票へ。
自民党は「国民をバカにしてる」みたいなことが言われてても、その怒りの受け口として準備ができてない野党はもっと国民をバカにしてる、と思いながら投票。。。日本の政治のロジック、凄すぎます。。。

一方、UKの政治も来年5月の総選挙に向け盛り上がってきてます。
スコットランドに関しては、referendum直後、Alex SalmondはSNPの党首をやめたと思ったら、次の総選挙で出馬するらしい。引退したGordon Brownのシートを奪うべく。おそらくSNP支持者に限らず、多くのスコットランドの人達から彼は支持を集めるだろうから、非常に面白いことになると思われる。彼からはまだ目が離せません。

2週間ほど前にあったもう一つ大きな動きとしては、referendum直前に約束してくれたスコットランドへのパワーの内容がSmith Reportとして明らかに。どう評価すべきか僕にはよくわからないけれど、スコットランドとしては、お金という点で確かにパワーを得ることができ、良い前進なのでは?と思ってます。

政治以外に関して。
米国では黒人への人種差別の問題が大きな話題になっている一方、UKでは、生まれる前の赤ちゃんの人権を問う裁判の結果が少し話題になってました。判決をそのまま解釈すれば、生まれるまで赤ちゃんには人権はなく、母親がヘビー・ドリンカーで赤ちゃんに障害を負わせても責任は問われないらしい。。。どこまでを人と見なすかのボーダーについて生物学的な根拠は法廷でどこまで議論されたんだろう。。。先進国といえどもすごいロジックがまかりとおってます。。。

プライベート関連では、来週16日から日本に一時帰国します。
前半は大学院生を連れての仕事ですが、途中からは家族も合流しプライベートモードに。実は、日本での年越しは国外に住み始めてから初めてで、実に10年ぶり。超ベタに日本らしい正月を満喫したいと思ってます。

ちなみに、今回は19日に名大でトークします。

2014年10月4日

特別授業

referendumから2週間以上経ち、あの時の異様な雰囲気はどこへやら?という感じで、新聞なども完全に平常モードに戻ってます。

今週10月に入り新学期がスタート。今年度は、ティーチングの負担が増えてしまい忙しくなりそう。。最近リタイアした教授が担当していた授業を引き継ぐことになり、今更ながら統合失調症やアディクションなどの勉強をしてます(勉強になってますが)。。。

ラボとしては、9月にマスターとPhDの学生がそれぞれThesisをまとめラボを離れ、ポーランドからのPhD学生が今週からラボメンバーに加わりました。

グラントはこの半年くらいで5つアプライし、うちCo-IとしてアプライしていたMRCのプロポーザルが昨日リジェクトの一報。。。Co-Iとしてアプライしてきたプロポーザルは全戦全敗中。。。

そんな中の今日、娘たちが普段お世話になっている補習校で中学生向けの特別授業をさせていただきました。脳のことを話してください、と1ヶ月ほど前に依頼を受け、
・錯視
・記憶
・自由意志
の3トピックで話を。

中学生合同授業という位置づけで中1~3年まで10人くらいの生徒への特別授業。
補習校の国語の授業で、果たして100%科学の話をして良いのだろうか?という不安もありましたが(しかも、国語は大の苦手・キライだった人間が国語の授業で話をするという矛盾も抱えつつ、、、)、生徒たちはそれなりにエンジョイしてくれたと信じてます。

特に自由意志の話題は、中学生の皆さんにいろいろ考えてもらえるきっかけになったのではと思います。「自由意志は錯覚かも?」ということに気付いてしまった後の人生をどう意義のあるものにしていくかそれなりにチャレンジングで、中学生にはちょっとショッキング過ぎたかもしれませんが、知っておくべき重要なことだと思います。

こういういわゆるアウトリーチ的なことは初めてでしたが、準備から授業まで僕自身エンジョイできました。機会を与えてくれた中学部の先生方に感謝です。

2014年9月14日

人の意思決定について思ふ

スコットランド独立ネタです(また)

先週末のYouGovの世論調査ではじめてYes派がリードし、No派はパニックモードに。

この一週間、Cameronさんをはじめ、各党の党首が立て続けにスコットランドを訪れ、UKを維持することの重要性を主張。

さらに、独立が決まったらRoyal Bank of Scotland(RBS)を含むスコットランドの金融大手は本社をロンドンへ移すプランを持っていることがリークされ、RBSはそれを認める。

そして、Asdaなどの大手スーパーなどの多くも、独立後は価格を上げることになりそうだとわかる。

その結果、YouGovの世論調査ではNo派が逆転して盛り返したけれども、他の世論調査の結果を見ると依然拮抗状態で、ナショナリズムのムーブメントはもう止まらない。

決めていない人たちの動向次第でホントにYesが過半数を占めるリスクはある。。。
つまり、残り数日、両陣営ミスは許されないし、18日の国民投票の開票結果を待つまでどうなるかホントわからない、という状況。。。

僕の立場は、変わらず絶対NO。
スコットランドの人たちのためにも絶対NO。

---
Yes派の人たちは独立することでパワーを持てる、とよく主張する。

ホントか?

パワーを行使するにはリソースが必要。NHSはもちろん、世の中、お金がないと希望通りに回らないことがたくさんある。なので、結局、経済問題に目を瞑っていては話が進まない。

その経済。以下のリスクがこないことをYes派は保証できるだろうか?

通貨はポンドを使うとYes派は頑なに主張している。最終的にどういう形態に落ち着くか現時点では不透明だけれども、仮にユーロみたいな形態をとるとする(つまり、通貨は共通、政府は独立)。

Yes派はお金のあてもないのにNHSを予算カットから守るとか謳っている。

それを実現するには、借金するかタックスを増やすといったことが有力な手段なのではないか。北海油田の「ボーナス」が継続的に入ってくることが保証されない限り。。

増税はすぐには難しいだろうから借金が現実的。

それから金融大手がロンドンへ逃げることの意味も考える必要がありそう。例えば、住宅バブルの兆候が見え出すと、おそらくWestminsterサイドから圧力がかかり、スコットランドの人たちへお金を貸さなくなるかもしれない。

それでもバブルが発生し、それが弾けたり、国が借金し続けて臨界期を超えるたりするとどうなるか?

金融危機になると、スコットランドとrUK(the rest of the UK)は、少し前のギリシャとドイツみたいな関係になって、「独立」なんて名ばかりの状態になる。

つまり、rUKから「もっと緊縮財政をひかんとサポートせん」と言われ、スコットランド国民がどんなに文句を言おうが政治家はそのリクエストを飲まざるを得ない状態になる。つまり、今よりひどい状態になる。

若者のジョブを増やすどころか、失業率は数十%にすらなりうる。

せめて、その被害を少しでも軽減するために、自国の通貨は自分でコントロールできるようにしないといけないが、そういう方向ではなさそう。

遠い話ではなく、5~10年単位でこういう状況になってもおかしくないのでは?

住民投票直後はもちろん、通貨形態や借金分配のネゴシエーションの情報が伝わってくるにつれ、マーケットはまずUKに、そして2016年独立した後もさらに無言のプレッシャーをかけてくるだろう。

が、Yes派の恐ろしいところは、そういうつい最近近くの国で起こった出来事から想像できるようなことに聞く耳持たずで、超楽観・ポジティブ思考に陥っていること。まさにナショナリズム。

現実的なリスクより、希望をもたらすことに人は惹かれるから、Yes派はその点強い。

---
Yes派曰く、NHSを守る。ジョブを増やす。

すべてお金の話。お金もないのにどうやって?

Yes派曰く、お金への行使権を持つ。

お金もないのに、パワーもへったくれもない。
しかもお金に関してはrUKに依存することを公然と認める「独立」を主張している。

さらに、No派がそれを指摘しても、その話はもう十分、みたいなブーイング。。。

現状のスコットランドを守るためにNoが最適解だと思うし、独立性の高い経済を回すしっかりしたプランBを持たない限りYesと言うべきではない。

---
とにかく、ヒトの意思決定は合理性から程遠いなぁ、と痛感する今日このごろ。
ヒトは感情でドライブされる。。。

さらに、スコットランド内がYesとNoで二分されてしまったから、無事にNoが勝っても国民感情という点で大変な状況は続くだろう。。。

一方で、多くの人がスコットランドの将来を真剣に考えたという点で、この国民投票は偉大だし、他国の人たちに誇るべき歴史的出来事だと思う。それを、UKに留まったままでWestminsterと闘いポジティブな方向に変えていって欲しい。

2014年8月30日

ディベート、学会

月曜日、BBCでDarlingとSalmondのディベートが放映された。お互い発言を遮るように自分勝手な話を始めたりと、あまり質の高いディベートではなかったけれど、Darlingのパフォーマンスがあまりにも悪く、放映直後の調査ではSalmond圧勝との判定。

実際に僕もそのディベートを見たけれど、Darlingは通貨や北海油田といった、独立のネガティブな面にこだわりすぎ、Noであることの良さが伝わってこなかった。money, riskという言葉を連発し、言葉がもらたらすネガティブインパクトはなかなかのものがあった。

もしも形勢大逆転で、万が一Yes派が過半数を占めようものなら、Darlingは無能政治家として歴史に名を残すだろう。というくらい、No派的にはイタいディベートでした。。。

ちなみに、北海油田ネタに関しては、また収入が0.8Bポンド減ったようで、独立したら、チャイルドケアとかNHSとか、Yes派が主張していることをどれくらい実現できるか、甚だ疑問。

Salmondがディベート中に口を滑らせたように「北海油田はボーナス」として考え、基本収入は微々たるもの、として国を回さないといけないのだろう。。。

学内の予算だけでラボを回す状況に限りなく近い。。(というか回せない。ラボメンバーのケアとかそういうレベルではない)

ところで、昨日はスコティッシュ・ニューロサイエンス・グループ・ミーティングなるスコットランド内の神経科学関係のミニ学会。そして、今日からSheffieldの学会。こちらは内耳ネタに特化してて、勉強しに来てます。先日、大学に招待したセミナーのスピーカーからのお誘いで参加。内耳とは対極の場所を相手にしているけれど、入口の部分はやはり重要なので、最低でも勉強だけはしっかりしておかないといけない。

2014年8月10日

No plan B?

Commonwealth gamesも終わり、スコットランドは独立すべきか?を問う住民投票ネタがさらに盛り上がってきた。

今週、Yes派とNo派それぞれの旗頭Alex SalmondAlistair Darlingがグラスゴーでテレビ討論を行った。

結果的には、Salmondのパフォーマンスが期待されてたほど良くなく、直後の調査でもDarlingが良かったと評価されている。

この討論から数日間話題になっているのは、独立後の通貨について。Salmondはポンドを使い続けることにかなりこだわっていて、plan Bはないらしい。。。

僕は投票権はないけれど、一貫してNo派。個人的な印象は、Yes派の独立というのは精神論が先走っていて、実装的な部分・合理的な部分というかなんというか、独立国としてのスコットランドをどう回していくのか全く伝わってこない。机上の空論ではなく、もう少し説得力のある合理的なプランも提示してくれたら、多くの人がYes派になると思うのだけれども、それができない、ということはそういうことなのだろう。。UKのままでスコットランドの存在感を増す方が合理的のように思えるがどうか。

人を動かすには、特に感情論を味方に出来る場合、合理的な部分でどう肉付けするか、ということが重要なのだろう。

ちなみに、個人的に最も関わりのある科学・技術についても、独立後もRCUKのお金に依存し、「世界クラス」のレベルを維持する、とか言っている。が、独立後、残りのUKがNoといったら、そのプランは破綻するわけで、「独立」ではなく依存以外何ものでもない。。

しかもEUにもすぐ加盟できないとすると、資金源が枯渇するわけで研究難民が続出するのは確実。。。(なので人ごとではない。。)

世論調査は、一時期No派のネガティブキャンペーンが裏目に出て、Yes派が若干盛り返してしまったけれども、これまでのところ一貫してNo派が多い。が、態度を決めてない人たちも依然かなりの割合いてて、残り1ヶ月でNo派が大失態をしようものなら、ひっくり返らないこともない。

次のdebateは8月末にあるらしく、Yes派のリベンジに警戒。
とにかく、9月18日まで祈るばかり。

2014年3月2日

スコットランド独立について

一時帰国した時、よく聞かれた質問:
「スコットランドって独立するんですか??」

もちろん、現時点ではどっちに転ぶかわからないけれど、約半年後の9月18日の国民投票で結論が下され、もし過半数が”Yes”と言ったら、2016年3月24日にホントに独立してしまう。。。

こちらがオフィシャルな情報。
よくある質問と答えについては、こちらにまとめられている。あくまでスコットランド政府の見解なので、鵜呑みにしてはいけない。。。

wikipediaもある。日本語訳はないから、日本人にとってはほとんど関心のないことだと思われる。

ガーディアンの特設ページのRSSを登録しておけば、常に最新のニュースを知れる。

以下、もう少し具体的に。

誰が投票できる?

こちらにあって、基本、スコットランドに住んでる人たちが対象。今回は16歳以上が対象になる。しかし、CommonwealthやEUとも関係ない僕のような第三国からの移民は対象外。

現在の世論は?

最近の世論調査の結果はこちらこちら
UK全体で見ればもちろんNoが圧倒しているけれど、問題はスコットランド内。

一貫してNoが多いけれど、態度を決めていない人たちもまだたくさんいるので、半年後どうなっているか微妙な情勢。一番怖いのは、8・9月にAlex Salmondが今ある問題点への明確なビジョンなり回答を用意して、世論が大きく動くこと。

つまり、独立するのはunlikelyだけれども余談を許さない。

ヴィジョンの詳細
現時点のビジョンについては、こちらに分厚い冊子がある。ダウンロード可能だし、頼めばタダで送ってくれる。

ディベートネタ
いろんな問題が連日のように議論されていて、僕が理解している限り、以下の初歩的なことすら明確ではない:
・通貨はどうなる?(ポンド?それとも・・・)
・EUに即加盟できる?
・北海油田は誰のもの?
・BBCは?
・科学技術予算は?
などなどなどなど。

通貨については、最近、ジョージ・オズボーンが、ポンド使えるわけねぇじゃん、とcurrency union案を一蹴。pro-unionの人たちも加わってAlex Salmondいじめがスタート。

もしも独立するとしたら、残りのUKとスコットランドで、少なくとも短期的にはloose-looseのdealになるのは確実。

科学関連では、僕の理解が正しければRCUKのお金を当てにしてるらしい。。「独立」とは程遠いプラン。スコットランドは基本的に「応用」関連の投資ばかりしてきているので、独立したら多くの科学者がスコットランドを離れ、ただでさえ乏しい経済の原動力をさらに失うことになると思われる。

僕の立場は、100%No。
が、投票できないのが移民の悲しい性。。。

2013年10月13日

日本とスコットランドの教育

最近OECDによる国語力・計算力に関する調査結果が発表され、日本はことごとく上位。

それを受けて、日本はなぜ強いのか、についての記事がGuardianに掲載されていた

日本人にとっては新鮮味に欠けるけれど、そこでは日本の教育システムのしっかりしてる点、そして弱点が述べられている。その弱点は、もちろん英語。文法や読解力はすごいのに英語でのコミュニケーション力が乏しいと。。。

一方、コメント欄では、英国人(?)から見た日本がいろいろ分析されている。長年築き上げられてきた文化・社会構造の違いに着目しているコメントがいくつかあったりと、記事以上に勉強になる。

自分の子供はスコットランドの学校に通っているけれど、確かに日本と全然違う。

そもそも教科書がない。。。

「ドリル」的なものはもちろんない。

ノートもある意味貧弱で、ノートというよりメモ帳的なサイズのミニ冊子に手書きで文を書いたり、算数の計算を書いたりと、寺子屋か?と思うようなレベル。(寺子屋には行ったことはないけれど)

そういうシステムという点で、この国はよろしくない。
OECDの結果がそれを如実にあらわしてるように思う。

一方、次の3点は、日本の教育システムは学んでも良いかもしれない。

第一に、答えのない宿題。
スコットランドでも宿題は出るけれど、ドリルの5~10ページをやれ、といったものではなく、いわゆるopen questionが出される。つまり、答えは一意に決まらない、回答者しだいの問題。こういう問題は、得てして総合力を発揮できる場でもあるので、伸びる子はとことん伸びるように思う。

第二に、会話形式の授業。
小学校の早い段階からグループ・ディスカッション的なことをやるもよう。こういうのがあるから、こっちの人たちは単純な言語力を超えた部分で、ディスカッションになると強い(人が多い)。

第三に、褒め方。
良い所を見つける、というのが徹底している。あら探しはしない。

例えば今週、3者面談が学校であって参加してきた。担任の先生からclever girlを連発されると、仮にそうでなくても親・子供共に自信がついて結果もそのうち伴ってくるのでは?という錯覚さえ覚える。

一方、これを逆にすると、ホントはcleverな子でも自信を失い、伸びるものも伸びないということになるかもしれない。

日本の教育システムの完成度は世界トップレベルなので、ちょっとした改善でさらに伸びるだろうと、容易に想像できる。底もそこそこのレベルで、伸びる子は伸びるようなシステム。

一方、スコットランドの教育システムの場合、まずは「システム」作りからスタートしないといけないだろうから、ある意味絶望的。。。ネイティブの言語が英語、という最強のアドバンテージにかなり頼ってきてるように思う。

2013年6月29日

The Sir Robin MacLellan Travel Awardなる賞をいただくことになり、月曜日そのセレモニーに参加してきました。

この賞はTenovus Scotlandというチャリティーが設けている賞で、グラントを貰った人たちの最終報告書に基づき、毎年一人だけ選ばれる賞とのこと。

Travel Awardというくらいだから、学会の旅費等に使うのが主な趣旨ということらしい。ありがたい話です。

このチャリティーからサポートされている間に、MRCという大き目のグラントを当てれたのが主な選考理由らしい。

聞いた話では、グラントそのもののsuccess rateは30~40%(高め)。そこから最終報告書を出した人一人ということので、ちとtoo good to be trueというか、論文としての結果も出せてないのにもらって良いんだろうか?というのが正直なところです。。

それはともかく、電話が授賞式の1ヶ月くらい前にかかってきて、知らせを受けた。その後にメールでフォローアップの案内。そして今週月曜日にイベント。イベントは、The Royal College of Physicians and Surgeons of Glasgowで開催された。

研究所でスーツに着替えて臨む。歩いて。

参加者は、コミッティーと受賞者。

受賞者は、引退間際の偉い先生に贈られる賞の受賞者と、このTravel Awardの受賞者。今年に関しては、昨年の受賞者が育児休暇中で昨年参加できなかったということで、その方も参加。

ということで受賞者3人。

1時からまずコミッティーミーティンが行われた。
なぜか受賞者も参加するよう声をかけられていて、年間活動報告等を聞く。えらくフォーマルな雰囲気のミーティングで、サクサク議題が進んでいった。

その後、別の部屋へ移りフォーマルなランチ。

ランチに入る前に、同じ部屋でまず受賞イベント。
小切手を受取り、少し受賞スピーチをさせられる。。。
他の受賞者お二人は流石なスピーチだった一方、僕はとことんこういうのには向いてないなぁ、と痛感。。。スライド・カンペなしで英語スピーチした、というだけでもよしとすべきか。。

その後、席についてランチ。メイン・デザート・コーヒー+ワインというしっかりしたランチコースだった。デザートが美味かった。。。(案内には、「軽め」のランチ、とあったので、普通にランチを食べていって後悔した。。。)

3時頃に終了し、大学へ戻る。歩いて。

これまでの研究人生で賞なんてものとは無縁だったので良い経験ができました。

いただいたお金は、ラボメンバーの旅費として使っても良いそうなので、来年のFENSミーティングにでも使おうかと思ってます。

2013年5月5日

UKIP


今週、UKIPがニュースを賑わせていました。UKIPとはUK独立党。
イングランドとウェールズでLocal elections(統一地方選?)が今週行われ、Euroscepticismで右寄りなUKIPが大躍進。イングランドでは、少なくともcouncilレベルに関しては、4大政党のフェーズに入ったもよう。

来年のEuropean Elections、そして2015年のGeneral ElectionsでUKIPがどれくらい議席を獲得するかが注目らしい。

これに合わせて、EU脱退の国民投票ネタがまた盛り上がってきて、今回の結果はDavid Cameronさんを、この文脈では、後押しするものだし、UKはホントにEU脱退を目指していくのかも。。。

スコットランドといい、イングランドといい、この独立心の強さというかなんというか、もう一つ理解しきれない。。。今の微妙なバランスが良いように思うのだが。。。

一方で、スコットランド独立の準備(?)を進めてるSNPはpro-EUと理解している(が、最近の通貨論争では、通貨に関してはどっちつかず?)。

ちなみに、スコットランドから見たシナリオとしては、
スコットランド独立、EU脱退
スコットランド独立、EUメンバー維持(できるかはともかく)
スコットランドはUKのまま、EU脱退
スコットランドはUKのまま、EUメンバー維持
の4択か。

1番目だと、国家破綻はかなり近い気も。。

2番目。スコットランドが独立すると、EUに加盟できるかもまだ確定していないと理解しているから、順番的には、まず来年の国民投票で独立が決まり、残りのUKとは別に、EU再加盟交渉ということになるのか?残りのUKは別個にEU脱退を国民に問う、ということになるか。

3番目は、イングランド次第という感じか。EUから脱退すると、いくつかの問題は解決するのかもしれないけど、肝心の経済の部分でどうなのかよくわからん。少なくとも、科学研究の分野へのダメージはかなり大きい。EUの優秀な人材への門戸を閉じるし、グラントへのアクセスもなくなる(はず)。

4番目は、現状維持で、個人的には最もサポートしたい選択肢。

2012年11月4日

バックアップ


今週一番気になったニュースはSandy関連。
知り合いのラボでも甚大な被害が出たそうで、かなりショッキングだった。研究リソースの復旧には、お金だけでなく、年単位の時間が必要なものがある。例えば大学院生の人たちなんて、研究人生が変わってしまったのではないかと思うと、ホントに気の毒。。

いろんな関連記事の中で、ロングアイランドのコールド・スプリング・センターでのバックアッププランを紹介した記事は興味深かった。ここでは、バックアップが機能し、被害は最小限だったとのこと。ただ、予備電源がどの程度「予備」として万全の対策を講じられていたか、この記事だけからはちょっと不明。

リスク対策は研究所レベルの話もあるけど、データのバックアップなど日常的な話でもあるので、しっかり考えておかないといけない。実際、1年くらい前、うちの大学でも火事があったし。。。

---
今週のネイチャーのエディトリアルも、ショッキング。
森口という虚言者のウソを読売が裏も取らずに報じて事が大きくなり、山中教授のノーベル賞に泥を塗ってしまったことに対し、日本のメディアをバッシングしている。日本のメディアだけでなく、日本そのものをバカにしてるようにも思える。バッシングだけならともかく、報道のごくごく初歩的・基本的なことまで書かれている。。。

ここまで書かれる日本の科学技術メディアって、、、と思うが、これだけ書かれても、良くなると思えないところがさらに悲しい(そもそも新聞社の関連記者・編集者は、毎週ネイチャーを読んでるのか?)。しかも、多くの人達はその低レベルなメディア記事で科学技術の情報を手に入れることが多いわけだから、問題は根深い。一方、インターネットのおかげで良質な情報を得ることは可能だから、その意味では、二極化が加速しているのかも。

その記事で、iPS-cell maniaという言葉が出ている。今回のバブリーな盛り上がりは危険。reprogrammingというコンセプトがひっくり返ることはないけど、iPS細胞が病気の治療手段としてどれくらい役立つか、希望を超えたところでは誰も確定的なことは言えないのではないんだろうか(しっかり裏は取ってないけれど。。)。

日本ですごい研究をしている研究者は他にもいるんだから、もっとリスクと希望は分散させないと。。。バックアップとしても。。。

---
最後は、またまたスコットランド独立関連ネタ。
最新の記事として、改めてEUからダメ出しをもらったもよう。。。まだ遅くないから国民投票やめたら、と思うが、Salmondは聞く耳持たんのだろう。。ノー・バックアップ。disaster気味。。。

2012年10月28日

overwhelming


1ヶ月半くらいブランクができましたが生きてます。
9月下旬から10月中旬は、ちょうど新年度の時期で、グラント申請や大学関連でいろいろ忙しかったのと、プライベートの方でも娘が通ってる補習校関連で大役を仰せつかって、かなりテンパってました。。。

前期はティーチングゼロなので、これから1月中旬頃までは研究フルモードでいけそうです。

今回のエントリーではまず、2週間前のSfNについて少し。

ニューオリンズ滞在は、ハリケーン後もちろん初。ダウンタウンは僕が見た限り、昔と全然変わってなかった。バーボンストリートは相変わらず賑やかで、昔より「いかがわしい」香りが増していた気もする。

学会は相変わらずoverwhelming。。。同じ興味を持っている人をあれだけたくさん見てしまうと、ホント人生と自分の能力についていろいろ考えてしまう。。。来年はサンディエゴとちょっと遠いし、スコットランドにコモっていろいろ考えたほうが良いのかな、と思う今日この頃。

ところで、今回は学会用アプリがなかなか充実していて、ついに紙に頼る必要がなくなった。ソート機能がもう少し充実してたらもっと便利だったか。

もう一つのネタは、スコットランド独立関連の続報。
学会中に入ってきたニュースとして、国民投票を行うことが正式に決まった。が、Salmond氏が、自動的にEUメンバーになる、と言ってたことがウソだったと最近報じられたりと、いろいろ盛り上がってる。国民投票を行うために、これから相当のお金が使われるのだろうけど、そのお金をもう少し世の中が良くなる方向に使って欲しいと心底思う。

2012年8月12日

Brave


Pixarの最新映画。設定はスコットランド。

先週末、家族で鑑賞。

ガーディアンの辛口レビューにあるように、どの世代がターゲットなのかよくわからなかったけれど、絵のきれいさ、軽めのスコティッシュアクセント、いくつかのネタは良かった。

ストーリーそのものはキッズ向け。

が、一部のシーン、7歳の長女は耐えたけど、3歳の次女にはやや厳し目だったもよう。

scary... という女の子の声がどこからか聞こえてきた。。。

この映画、スコットランドが舞台ではなかったら観てない可能性大なので、あまり人に薦められるものではないけれど、もしスコットランドに興味があれば観ても良いかもしれない(それでも薦めきれないが。。。)。

ちなみに、Alex Salmondは、ハリウッドまで行ってこれを政治利用しようとしていたけど、この映画を観てスコットランドへ行きたくなるかというと、アホか、と言いたい。

邦題は「メリダとおそろしの森」らしい。

タイトルからイケてないが、もし日本で観るなら、ぜひ字幕版でスコティッシュアクセントも楽しみたいところ。

グラスゴーでは、この100倍きついアクセントで話す人がたくさんいてるけれど。。。

アラン島


先週末、アラン島へ日帰りツアー。

Scotland in miniatureとして知られてる島で、確かに北側は、南側と比べ、ハイランド的なきれいな山の景色を楽しめた。

グラスゴーから1時間弱のArdrossanからフェリーが出ていて、朝一の便で車と一緒に島へ。フェリーチケットは数日前にウェブで購入していた。フェリーそのものも良い感じだった。

アラン島では、まず島を横断して西側へ行き、時計回りに、Lochranza城アラン蒸留所Brodick城と行き、南半分も周って島を一周。

Brodickでは、ちょうどハイランドダンスのイベントが開催されてて、スコットランドらしさを味わうことができた。

ちなみに、アラン蒸留所は1995年にできたばかりで、建物も小奇麗だった。ツアーに参加した時の説明では、場所を選ぶ時グラスゴー大に何箇所かの候補地の水質調査を依頼し、今のところに蒸留所を作ったらしい。確かに、カフェでランチを食べた時に飲んだ水はメチャ美味しかった。。

ツアーは、子供も一応参加可で、家族でツアーに参加でき、ウィスキーと最後にはチョコミルク系のリキュールの試飲もできた。

ショップの品揃えはなかなか充実していて、アラン島のおみやげ屋さんとして寄っても良い雰囲気。

アラン島、小さい島の割にスポットもいくつかあって、山登り・キャンプなんかにも良さそうな雰囲気。

2012年6月10日

Jubilee、トーチなど


ここ数週間のUK内や比較的ローカルなトピックをまとめて。

Diamond Jubilee

スコットランドでもユニオンジャックを結構見れるイベントだった。コンサートは、前日のPageantとメリハリがついててなかなか素敵だった。コンサートだけならともかく、こういうコントラストは、アメリカでは体験できなかった演出ではないか。


トーチリレー

金・土とグラスゴーにトーチが来た。
ちょうど長女のダンスショーと重なって、イベントには何もいけなかったけど、ジョージスクエアはイベント会場として盛り上がってたもよう。


日本イベント
今日はグラスゴー大の近くで、日本イベントが開催され家族で行ってみた。

屋内イベントで、寿司などのお店、折り紙・習字等のイベントコーナー、さらには合気道・盆踊り体験まで、盛り沢山だった。

地元のスコティッシュの人たちも結構来ていて、エンジョイしてる雰囲気だった。日本の文化は強い。

こういうイベントは、娘たちにも「日本」を少しでも体験させられる良い機会だからホントありがたい。


David Livingstone Centre
Jubileeの先週日曜、近くのDavid Livingstone Centreへ行った。

National Trustの一施設で、スコットランド・UKを代表する探検家・アフリカ開拓者のDavid Livingstoneの観光施設。うちから車で15分くらいのところ。

この人のことは全然知らなかったので、良い歴史の勉強になりました。

National Trustの施設には大抵子供が楽しめる「仕掛け」があって非常に良い。親だけでなく子供も全展示を見るように工夫がされている。

このDavid Livingstone Centreでも「ライオン探し」が仕込まれてた。

ちなみに、今年からNational Trustの会員になったので、週末の選択肢が広がった。そんなに高いものではないので、これはお薦め。


海水浴とBBQ
少しさかのぼって5月末。

1週間くらい連日夏日を記録し(グラスゴーではありえない。。)、Troonの海水浴場へ行ってみた。

ここは超遠浅。干潮だったから、浜辺から海まで100m以上あったんではないか。
海水はさすがに冷たかったけど、子供、特に長女は、持参した砂遊びグッズでエンジョイしてたもよう。

早めに帰り、この日の夕食は、念願の、自宅でのBBQ。アイスまで外で食べれて、至福の時を過ごす。。。

が、これは一年に一度きり、と言わんばかりに、その「夏」の後、またグラスゴーの夏になった。。。

上着必須。早朝、吐く息が白い日すらあり。。。

2012年5月6日

選挙など


今週行われた選挙(統一地方選みたいな感じ?)では、労働党が議席を大幅に伸ばす。スコットランド内では、労働党とScottish National Partyは引き分け

注目されていたグラスゴーでは、労働党勢力維持。とりあえずめでたい。スコットランドはまだ黄色には染まらない。ただ2014年の国民投票までにどうなるかは気を抜けない。車で道を走っていると、SNPと書かれた紙やらポスターをよく見かける。

欧州全体では、今日行われているフランスとギリシャの選挙。フランスは下馬評通りいけば、socialistの大統領が誕生するとのこと。ギリシャの結果によっては、さらに不透明さ・混沌さが増していきそうな雰囲気。。。ユーロ解体への象徴的な一日になるのかもしれない。

先週話題に上げたアカデミック・スプリング関連では、wikipediaの創設者が加担することに。こちらはゆっくりだろうけど、ホント変わっていきそうな雰囲気。

日本の原発全停止はUKでももちろん報じられている。ドイツとUKの原発政策の対比が冷静に語られたりもしている。BBCニュースの読者コメント欄では、根拠のないrenewable推進コメントはネガティブ、交通事故の死亡者数と比較するコメントはポジティブ評価を集めていた。。死、というものだけを根拠に日本の非合理性を議論するなら、ガンやら心臓・脳の血管系のトラブルで亡くなる人の数を出すのが説得力があるとは思う。桁が違うから。ただ死だけではないいろんな問題が複雑に絡み合ってるから、日本語で情報を得てない外人さんには理解するのは難しい。。。とにかく、日本の政府は、中長期的な視点で議論をもっとして、どこへ行きたいかはっきりさせないと、日本はいろんなものを失っていくんだろう。少なくとも、原発全停止は、ドイツのような脱原発への意思表示とはまだ取られていないように思える。