2014年9月14日

人の意思決定について思ふ

スコットランド独立ネタです(また)

先週末のYouGovの世論調査ではじめてYes派がリードし、No派はパニックモードに。

この一週間、Cameronさんをはじめ、各党の党首が立て続けにスコットランドを訪れ、UKを維持することの重要性を主張。

さらに、独立が決まったらRoyal Bank of Scotland(RBS)を含むスコットランドの金融大手は本社をロンドンへ移すプランを持っていることがリークされ、RBSはそれを認める。

そして、Asdaなどの大手スーパーなどの多くも、独立後は価格を上げることになりそうだとわかる。

その結果、YouGovの世論調査ではNo派が逆転して盛り返したけれども、他の世論調査の結果を見ると依然拮抗状態で、ナショナリズムのムーブメントはもう止まらない。

決めていない人たちの動向次第でホントにYesが過半数を占めるリスクはある。。。
つまり、残り数日、両陣営ミスは許されないし、18日の国民投票の開票結果を待つまでどうなるかホントわからない、という状況。。。

僕の立場は、変わらず絶対NO。
スコットランドの人たちのためにも絶対NO。

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Yes派の人たちは独立することでパワーを持てる、とよく主張する。

ホントか?

パワーを行使するにはリソースが必要。NHSはもちろん、世の中、お金がないと希望通りに回らないことがたくさんある。なので、結局、経済問題に目を瞑っていては話が進まない。

その経済。以下のリスクがこないことをYes派は保証できるだろうか?

通貨はポンドを使うとYes派は頑なに主張している。最終的にどういう形態に落ち着くか現時点では不透明だけれども、仮にユーロみたいな形態をとるとする(つまり、通貨は共通、政府は独立)。

Yes派はお金のあてもないのにNHSを予算カットから守るとか謳っている。

それを実現するには、借金するかタックスを増やすといったことが有力な手段なのではないか。北海油田の「ボーナス」が継続的に入ってくることが保証されない限り。。

増税はすぐには難しいだろうから借金が現実的。

それから金融大手がロンドンへ逃げることの意味も考える必要がありそう。例えば、住宅バブルの兆候が見え出すと、おそらくWestminsterサイドから圧力がかかり、スコットランドの人たちへお金を貸さなくなるかもしれない。

それでもバブルが発生し、それが弾けたり、国が借金し続けて臨界期を超えるたりするとどうなるか?

金融危機になると、スコットランドとrUK(the rest of the UK)は、少し前のギリシャとドイツみたいな関係になって、「独立」なんて名ばかりの状態になる。

つまり、rUKから「もっと緊縮財政をひかんとサポートせん」と言われ、スコットランド国民がどんなに文句を言おうが政治家はそのリクエストを飲まざるを得ない状態になる。つまり、今よりひどい状態になる。

若者のジョブを増やすどころか、失業率は数十%にすらなりうる。

せめて、その被害を少しでも軽減するために、自国の通貨は自分でコントロールできるようにしないといけないが、そういう方向ではなさそう。

遠い話ではなく、5~10年単位でこういう状況になってもおかしくないのでは?

住民投票直後はもちろん、通貨形態や借金分配のネゴシエーションの情報が伝わってくるにつれ、マーケットはまずUKに、そして2016年独立した後もさらに無言のプレッシャーをかけてくるだろう。

が、Yes派の恐ろしいところは、そういうつい最近近くの国で起こった出来事から想像できるようなことに聞く耳持たずで、超楽観・ポジティブ思考に陥っていること。まさにナショナリズム。

現実的なリスクより、希望をもたらすことに人は惹かれるから、Yes派はその点強い。

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Yes派曰く、NHSを守る。ジョブを増やす。

すべてお金の話。お金もないのにどうやって?

Yes派曰く、お金への行使権を持つ。

お金もないのに、パワーもへったくれもない。
しかもお金に関してはrUKに依存することを公然と認める「独立」を主張している。

さらに、No派がそれを指摘しても、その話はもう十分、みたいなブーイング。。。

現状のスコットランドを守るためにNoが最適解だと思うし、独立性の高い経済を回すしっかりしたプランBを持たない限りYesと言うべきではない。

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とにかく、ヒトの意思決定は合理性から程遠いなぁ、と痛感する今日このごろ。
ヒトは感情でドライブされる。。。

さらに、スコットランド内がYesとNoで二分されてしまったから、無事にNoが勝っても国民感情という点で大変な状況は続くだろう。。。

一方で、多くの人がスコットランドの将来を真剣に考えたという点で、この国民投票は偉大だし、他国の人たちに誇るべき歴史的出来事だと思う。それを、UKに留まったままでWestminsterと闘いポジティブな方向に変えていって欲しい。

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