2011年5月29日

映画3.5本

渡米時、飛行機で見た映画。

Gran Torino
クリント・イーストウッドの最後(?)の主演映画。
世代と人種の差、そしてそれを超えた絆を描いててなかなか楽しめた。場面設定は、いかにもアメリカ、という感じで、住むところによってはホントにこの映画のようなところもあるだろうからおっかない。グラン・トリーノというアメ車、映画ではたまにしか登場しないけど、この映画のテーマのシンボル。クリント・イーストウッドかっこいい。


Slumdog Millionaire
インドに最近興味が出てきて、アカデミー賞受賞作品だし見てみた。おもろかった。と同時にインドはすごい国だなぁ、と思った。映画では、貧富の共存の様子がよく描かれているように思った。現実はもっとすごいのだろうけど、例えば、普通の観光として行った時、ムンバイの栄えているところや映画でも登場するタージ・マハルは見ても、スラムを一切見なかったしたら、半分しか知らないままということになるか。それはともかく、映画そのものも良かった。

The Company Men
リーマンショックで職を失ったエリート・ビジネスマンたちを描いた作品。トミーリー・ジョーンズやケビン・コスナーといった超一流俳優が登場する二流映画。ストーリーはリアル・ワールドとリンクするはずだけれども、展開がサイテー。。。ケビン・コスナー、役柄上かどうかわからないけど、えらくふけててアグリーになってた。。。

The Bourne Ultimatum
マット・デーモン主演のスパイ映画。途中までしか見れなかった。マット・デーモンの役は、記憶を失って自分が誰か分からないCIAの諜報員。パリが舞台。なかなか面白かったから最後まで見たかった。



2011年5月28日

グラント、ネットワーキング、duty

3週間の出来事をカテゴリーごとに。

グラント関係
・3週間前、大学主催のグラント書きワークショップへ参加。UK政府系のEPSRCBBSRC、欧州のFP7がメインテーマでいろいろ教えてもらう。えらく勉強になった。

・アプライしていたFP7のひとつのレビューコメントが2週間くらい前に戻ってきた。足きりはクリアできたけど、かなりキビシメか。

FP7では、4つのカテゴリーごとにスコアを出して、合計点を計算する評価システムになってた。研究者、研究提案だけでなく、インパクトなどのカテゴリーも差をつける上で大事なもよう。次はその辺もまじめに書かないといけない。。。

・先週金曜日、二つのグラントの返事が戻ってきて、共にゲット!Deafness Research UKとTenovus Scotlandというチャリティー。
二つとも小グラントだけど、ありがたい。とりあえずシステムを拡張できて、新プロジェクトを開始できる。

自分の研究テーマからして、前者のようなチャリティーは、世の中とつながる数少ないリンクだから、それを強くしていくことが今後数年間の課題の一つ。

ネットワーキング
・2週間前、大学内の神経科学関連のイベントでトーク。
ストラスクライドに来てとれたデータを初めて喋った。
15分の持ち時間で、12分くらいで話終わって、質問もいくつかきて、ちょうど15分くらいで終わった。後でクリアだったと言ってもらえたりしたから、悪くなかったはず。

その分、準備はした。15分の10倍以上。。。当面の課題はこの時間を短くしていくこと。本来は
UK内でトークをしてvisibilityを上げていかんといかんけど、これは論文を出してからだろうからまだまだ時間がかかりそう。

ちなみに、そのイベントでは、うちの研究所とバイオエンジニアリングの人たちが主にトークしたけど、100人くらい参加して、成功だったのではないか。

・この一週間はジャネリアのカンファレンスに参加。土曜日、
NJ州に寄って、ラトガーズ時代仲良くしてもらった友人と会う。お互いの近況などを話せて充実のNJ滞在。

カンファレンスは、ストライクゾーンど真ん中のトークばかりで非常に濃かった。新しい知り合いも少しできたし、超有名人と食事を一緒にできたりした。

みんな興味が近いというのもあるけど、僕の論文のことを知ってくれていたり、トークで論文の図を引用してくれたりするとメチャうれしい。

ただ思ったのは、リソースの格差をどう克服するか?ということ。雑草研究者として生き残るのは難しいなぁと改めて痛感。ストライクゾーンに投げ込まれた直球をそのまま強振してたら、絶対駄目。どうするか?

その他大学関連
・試験監督なるものを体験。
でかい会場を歩き回って、質問に答えたり(俺に聞かれても。。)、トイレに連れて行ったり、回答冊子を回収したり。

今回は1,2時間の
dutyで済んだけど、数年後には問題を作って採点もするのかと思うと気重。。。英語のハンドライティングは読めんから、人一倍時間がかかるのは確実。

・そのdutyに関連して、来年度のティーチングdutyの宣告を受ける。。。前期は学部生の実習のチュートリアル、後期はレクチャーの分担と実習サポート。レクチャーは生理学の感覚系の講義を担当するとのこと。確かに研究分野つながりで適任なんだろうが。。。

・2週間くらい前に新研究所長と面談。
その新所長は4月に就任していて、もともと外部から来た人だから、すべてのスタッフと会っては、いろいろ話をしてはきいて、というのが今回の趣旨らしい。実は、新所長、その前までは副学長として大学のストラテジーを確立するのに働いていて、僕のメンター役になってる人。

僕の研究のことは知ってくれているので、組織としてアメリカと比べてどう?ということをきかれた。とりあえず、無駄だと思ってたことを伝えた。無駄なペーパーワークはとにかく減らして、みんなの効率を上げて欲しい。


2011年5月8日

スコットランド独立?

この一週間、bin Laden殺害ニュースの傍ら、選挙の話も盛り上がっている。

昨年連立与党の一角に加わったは良いけど、大して仕事できなかったLiberal Democratに厳しい審判が下され、主張していたAV(alternative voting)に国民がNOと言い切った。

一方、スコットランドでは、SNPことScottish National Partyが躍進しスコットランドの与党へ。おそらく油田なんかを人質にしながら、UKでのスコットランドの存在感を高めるよう要求するのはもちろん、UKから本気で独立するんでは?という話らしい。。(独立はともかく、ユーロ圏に加わるというアイデアはちょっと。。。)

Alex Salmondさん、注目。

そのスコットランド。連休中の天気は異常気象で、良く・暖かった。連休後はtypicalな天気という感じで、4日連続雨。April ShowersならぬMay Showers状態。

日照時間はどんどん長くなって、4,5時台から21,22時台まで明るい。天気が良いと、起きてから寝るまで外が明るい。この時期、電気代という点で家計にやさしい。。。

仕事関連では、今週、ようやく大学院生選考に目処がつき、新しく来るであろう大学院生と金曜日電話でプロジェクトについて少し話を。第一号の大学院生なので、こちらとしても非常に頑張りたいところです。on goingのプロジェクトは、SfNのアブスト締切に向けてデータ解析モード。とりあえず、発表はできそうな雰囲気か。6月末締のMRCのプロポーザルなどの書き物も同時進行中という状況。

最後に浜岡原発停止要請について。

賛否両論あるのだろうけど、最悪のケースと経済への短期的ダメージを比較したら、やはり今停止させてからしっかり安全性の議論をした方が良いのだろう。また原発事故が起って、放射能が関東地方へ流れるようなことは想像すらしたくない。。。

よくわからないのは、1000ガルという耐震性。強いように聞こえるけど、実際地震が起らないとどれくらい揺れるかわからなさそうだから、柏崎くらいの事故が起るのはlikelyな気がする。それにしっかり備えているのかよく知らない。とにかく、もし中部電力が要請に従わないなら、徹底した情報・データ開示で国民を納得させないといけない。

2011年5月7日

COSHH

COSHHとはThe Control of Substances Hazardous to Healthの略。危険物取扱いの一種。

2週間ほど前の連休の合間、そのCOSHHに関する講習会があって参加。リスク・アセスメント講習の化学・生物系マテリアル編。

UKでは、危険な試薬等(ドクロマークやら×マークやら火マークがついてるやつ)を扱う場合、しっかりリスク・アセスメントして、それを文書として記録し、それをラボに置くよう義務付けられている。

今回の講習会では、そのリスク・アセスメントの概要・手順などを説明してくれた。

その中で「リスク・コントロールの階層」なるものが登場し、リスク・コントロール10項目の優先順位の話が出てきた。いろんな場面で応用できるのかなぁと思った。

以下がその「階層」:
1.elimination
ようは、危険物は使わない、ということ。
危険な試薬は使わない。
原発なら、作らない。
生肉なら、食べない・売らない。
個人情報なら、ウェブサービスに一切登録しない・登録させない、サービスそのものをしない。
自動車事故なら、自動車をなくす・運転しない。
油料理による火事のリスク評価なら、油料理をしない。
ハードディスク破損のリスク評価なら、ハードディスクを使用しない。
PhD後の人生についてリスク評価するなら、そもそも大学院には進学しない。。。
そういうことか。
極端な発想ではあるけど、リスク要因を根絶できるならそれが手っ取り早い、ということ。

一方、安全だとわかっているものに代替できないか、ということも考えるもよう。

2.reduction
削減。低濃度のものを扱う。
原発なら、数を最小限に。
生肉なら、信頼できる店だけ(もしあれば)で食べる。一度に食べる量を減らす。
個人情報なら、登録サイトを最小限にする。
そんなところか。

3.engineering controls
装置などを導入してリスクをコントロールする、ということ。例えば、安全キャビネットを設置し、その中で化学・生物系危険物質を取り扱う、ということ。
原発なら、より安全なデザイン、防潮堤設置、耐震性向上、予備電源確保、そんな感じ?

4.general ventilation
これはCOSHHに特化してそうなのでパス。

5.good housekeeping
危険物を取り扱う場所のハウスキーピング。
原発なら、もろもろの設備の定期点検?
生肉を取り扱うなら、常に清潔な環境にしておくとかそんな感じか。

6.reducing time of exposure
危険物取り扱い時間の削減。
原発なら、稼働時間の削減?
個人情報なら、サービスを利用しなくなったら即情報を削除する、とか、新製品の発表会なんて待ってないで、ハッカーの攻撃が判明した時点で速やかに公表するとかも検討して良いか?

7.training
訓練。
事故を起こさないように、取り扱い者の教育・訓練を徹底する、ということ。
生肉なら、感染を最小限にするよう取扱者に徹底する、そんな感じか。

8.welfare facilities
ここでは、例えば手洗い場を設置して、取扱い後に手を清潔にして、危険物質が体内に入るのを防ぐ、とかそういうことだと思う。
生肉を扱うなら、手洗い・消毒を小まめにできるように設備を整える、そんな感じ?

9.PPE
personal protection equipmentの略だったと思う。これはマスクやラボ・コートやグラブなどのこと。
自転車に乗るなら、ヘルメットをかぶる、そんな感じか。

10.health surveillance
取扱者の定期的な健康診断。
これは事後審査的なものだから、優先度最低というのは納得。
PhD取得者に進路状況を確認し、今後の役に立てる、その類のリスク・コントロール。

以上、10項目。
このランキングがどこまで絶対的なものかは議論の余地があるとは思う。実際、講習会でも少し議論になった。けど、項目としては悪くないし、大まかな優先度は当たっているように思う。リスクに対して、こうしてシステマティックに評価するのはなかなか合理的な発想かなぁと思った。

講習会中、他に出てきたトピックとしては、リスクの数値化。
1.事故の程度
2.事故の起りやすさ
という二つのファクターで考え、それぞれ5段階評価し、リスクはその掛け算として数値化するらしい(掛け算はいかがなものか、とは思うが)。

1について。
原発の場合、かなりsevere。だから最大評価のレベル5。
PhD取得後のリスク評価の場合、ある意味生活・人生に直結するからsevereと言えなくはないけど、原発ほどではないか。レベル3か4くらい?

事故の程度は、何を扱っているか理解していれば、そこそこ客観的な判定ができる気はする。ただ、「即死」をレベル5とするなら、原発より自動車事故の方がリスクの程度は大きいと言えなくもない。結構、難しい。。。

さらに問題は2の判断。

原発なら、地震や津波の確率などを考慮にいれるのだろう。けど、経験・知識に依存する部分もあるから、客観的に評価するのは難しい。例えば、原発へのテロの確率なんてどう勘定したら良いんだ。。。自然災害の予測で完全なものはおそらくありえない。

より実際的な問題としては、大学院生が危険物質をラボで扱う場合、大学院生が違えば事故の起りやすさは違ってくる。

リスク評価は文脈に依存する。

日本やアメリカでもこういう発想はあったのだろうけど、そういう話を聞いたことがなかったし(覚えてないだけかもしれない)、時期が時期だけに、なるほど、と思いながら参加した講習会だった。

2011年5月1日

Whitelee

先週末、Whitelee windfarmへ。
グラスゴー南部にある風力発電所で、欧州最大らしい(wikipedia)。

実は、自宅から車で10分少々の距離にある。イースターイベントが開催されてたので行ってみた。

そこには、100基以上の風車(ウィンド・タービン)があり、敷地の西側にビジターセンターがある。広大な敷地を利用していて、そのビジターセンターからすべての風車は見えないくらい。

ビジターセンターは大きくはないけど、きれいで入場無料でミニ展示もあった。エネルギー関連の展示、風力発電所開発中の映像、そして風力発電に関するディベートなどの展示があった。

確かに、風力発電所には立地が重要なファクターなのだろう。風がコンスタントに吹くだけでなく、それなりのスペースがいる。そのスペースはやはりもともと人が住んでないところだから、自然を破壊しないといけない。実際、この風力発電所の開発中には、一部の木々をなぎ倒してスペースを確保している。

一方、一旦できた後は、一応ではあるけど、レンジャーさんたちがビジターにその土地の自然環境を啓蒙するように配置されていた。自家用車はビジターセンターの駐車場までしか乗り入れられず、敷地内は徒歩・自転車・ガイドツアー用電気バスしか入れない。それなりに環境への配慮はされていた。

景観に関しては、ビジターセンターから見れる範囲では、環境破壊の程度は割りと少ないように思った。巨大なウィンド・タービンがたくさん並んでくるくる回っている景観は、人工的とはいえ、それほど悪いものではないかな、というのが僕の印象。

ビジターセンターは多くの観光客で賑わっていて、週末のサイクリングとして訪れているグループも目立った。

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毎週のようにイベントが開催されているようで、その日はイースターイベントだった。

レンジャーさんが、キッズ用のイベントを開催してくれ(無料)、エッグレース、エッグハント、フェイスペイントなどを楽しめた。うちの娘たちには、エネルギーのことを考えるのはまだまだ早いけど、こうやって家族を対象にしたイベントを頻繁に開催してくれるのは良いのではないか。普通のブリティッシュアクセントも聞こえてきたから、もしかしたら、連休を利用して、イングランドからスコットランドまでの観光で訪れた人たちもいたのかもしれない。

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震災後、エネルギーのことを少しは考えたけど、やはり原発という選択肢を外すのはあまり現実的ではないのだろう。今回のことをきっかけに他のオプションも積極的に考えないと、原発反対だけではいけない。風力発電はやはり有力な候補の一つになるんだろう。Whiteleeを訪れて思ったのは、立地がすごく重要なファクターなんだろうということ。

風がコンスタントに吹く場所として、丘なり山なり高台は候補の一つか。けど、山なんかに作ると、木がたくさん生えているだろうから、木々をなぎ倒すという自然への負担は大きい(木々の間にウィンドタービンを設置しても、風は吹かない)。

あと、場所あたりの発電量は少なそうだから、敷地面積を相当確保しないといけない。それだけ自然への負担になる。

Whiteleeの場合、もともと草原的な敷地が多い印象だった。高台・風が吹く・草原、そんな条件が良い感じで揃ってる雰囲気だった。

高台以外の候補としては、海岸周辺か。実際、海水中にタービンを沈めて波の力で電力を作るというオプションもあるらしい。けど、海だけに技術的なコストとか高い気がする。

とにかく、エネルギー問題、まずは使用量削減が最優先されるべき。だけど、地球にも人にも優しい手段もいろいろ考えないといけない。温暖化ガスが問題なんだったら、それをエネルギーに換えるような技術開発にはどんどん投資して欲しい。