2013年4月28日

デキる大学院生の7つの要素


大学院生との付き合いはなかなかコツがつかめず、いろいろ試行錯誤中なのですが、自分のラボや他人のラボの大学院生をこれまで見てきて、大事だと思う要素を7つ挙げてみます。

1.情熱
基本。研究は好きでないとやってられないので、モチベーションなりパッションなりを自分でドライブできないと何も始まらない。一方、時間とともに変動もするので、外部からのドライブも時には必要。

自分でドライブする方法としては、例えば、まずは大きなゴール(夢?)を設定し、モチベーションが低下するリスクをできるだけ早めに低減させておくと良い。その低減法の一つは、大学院生では難しいかもしれないけれど、マルチタスクというかマルチプロジェクトを持つこと。80-20法というか、一日の80%はメインテーマに専念し、例えば、夕方か朝のエキストラ時間を、メインテーマとは少し違うことに投資するのも手。80%の部分はダメでも、その20%で結果が出るケースもある。

他には、ゴール設定後のタイム・マネージメントで、小刻みに自分で自分を褒められるよう工夫するのも有効かも。もちろん、自分ではなく、ボスや同僚・恋人なんかに褒めれるよう外部要因を操作できるとなお良い(言うは易し。。)。ただし、自分の能力を過大評価すると、小目標を達成できず自暴自棄になって、悪循環になるケースもあるので要注意。

どうしても情熱が湧いてこない場合、プロジェクトをかえる、ラボをかえる、人生設計のやり直し、が必要。楽しくないことに人生の貴重な時間を浪費する必要はない。

2.勤勉
ハードワーク。働かないと何も結果は生まれない。働き続けると、何らか結果が生まれる(ことが多い)。情熱はハードワークの必要条件。けど十分条件ではない。努力するための才能もあると思う。努力できない人たちに勤勉さを求めてもなかなか改善が見られない(経験的に。そして口では情熱があるように言う)。。。

朝早くから夜まで、不器用でも頑張ってる人と、昼くらいに来て夕方には帰る人がいて、同じ結果を残している人がいたら、人情的にどうしても前者をサポートしたくなる。

3.丈夫
体のタフさ。大事な実験やミーティングなり、コミットしたことを、体調不良のため延期、なんてことはできるだけ避けたい。タフでない場合、それに対して許容してもらえる(非体育会系?)研究室・職場探し、というのが大事なのだろう。

メンタル面でのタフさも重要。いろんなrejectionとうまく付き合わないといけない。そのrejectionは、実験がうまくいかない、ボスにダメ出し喰らう、申請書が蹴られた、論文が蹴られた、などなど、いろいろある。多かれ少なかれ、研究者なら誰でもこれらを体験する。

4.交信
コミュニケーション力。これが超重要なのは、人社会なんだからいわずもがな。同僚・指導教官と会話するだけで解決策が得られることはたくさんある。

コミュニケーションがモチベーション低下につながるリスクもあるけれど、良いコミュニケーションはモチベーションアップや知識向上などにつながる。

自分だけで何でも解決しようとするとドツボにはまって悪循環に陥る。

5.知識
知識はアイデアの源泉。科学は先人が築き上げた知識の上でやるのだから、できるだけ多くのことを知っておかないと、アイデアも湧いてこないし、アイデアなり結果の評価・解釈ができない。時間はかかるけど、知識の土台がしっかりしてないと厳しい。また、知識の身につけ方を自分なりに確立することも重要。知識を身につけるのが好き、という情熱的な部分も大事か。ハードバークなど他の要素も大いに絡んでくる。

また、己を知る、という意味での知識も大事。意外と自分のことはわかってるようでわかってない。多くの人は過大評価しがちなので、現時点で何ができて、何が難しいのか見極めが大事。これが優先順位付けに役立ち仕事効率アップにつながる。

6.帰還
フィードバック力。失敗から学ぶ力。同じ間違いは繰り返さない。
例えば、実験で失敗した時、次の実験をする前にその失敗した実験から何かを学ばないと、似たことを繰り返すだけ。ランダム・ウォークでゴールを目指すのに似てる。毎ステップ、進むべき方向にバイアスをかけながら進まないといけない。

コミュニケーションや論文などから知識・情報を得ることでもフィードバックは得られる。このフィードバック力、日々の実験だけでなく、グラント申請書書きだったり、プロジェクト単位でも重要。

7.環境
自分がどんなに頑張ってもどうしようもないことはある。プロスポーツ選手になる素質を持つ人は、それなりの環境でトレーニングして初めて一流になれる。研究には、特に生物系の研究には、お金などのリソースが不可欠だから、リソースがないと、できる研究が限られ、得られる結果の質も変わってくる(耳が痛い話ではあるが)。

以上、7点。
これらは、僕自身心がけてるところでもあるから、大学院生に限ったことではないように思う。

2 コメント:

F さんのコメント...

ご無沙汰しております。

大学院生を指導するとき、大学院生に1、2、4があると、こっちも楽しくなります。逆にこれがないとお世話している感がたっぷりです。最近指導した(している)大学院生は7つの要素を大なり小なり欠いている人たちで疲れます。地方大学のためか、多いんですよね、こういう人たち。楽しいのに、サイエンス。

という私も、7つの要素をすべて持ち合わせているわけではないので、肝に銘じて邁進していきたいと思います。Shuzoさんのブログの文章、デスクトップのメモに貼り付けました。

Shuzo さんのコメント...

Fさん、ご無沙汰しております。
コメントありがとうございました。

「デキる大学院生」と言いつつ、実は自分に言い聞かせている項目だったりします。。なので、指導している大学院生にもできるだけこれらの要素を伸ばしてもらえればとは思っているのですが、言うは易し、ですね。。お互い頑張りましょう。