2009年6月2日

一時帰国:検疫

昨日、再びアメリカへ戻ってきました。
2週間半日本に滞在して、南は熊本から北は札幌まで、日本各地を旅していろんな体験を。

これからしばらく、時間を見つけては、備忘録的にその体験・感想などをつづってみようと思ってます。

まず今回は「検疫」について。

13日の午前にアメリカを発ち、14日午後に成田に着いた。
ニュースでもいろいろ話題になっていた機内検疫なるものを受けた。

感想からいうと、時間と検疫官の労力と税金に見合った効果は、たぶんない。
毒性の高いウィルスが発生した時の訓練的なものと解釈したら良かったのだろうけど、果たしてどれくらい効果があるのか、かなり疑問を感じた。

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何が行われたか?

まず、着陸前に税関申告書と一緒に問診票を書いた。

その問診票には、日本での滞在先とその時点での健康状態などを答えた。

感染疑い者と接触したか?
とか聞かれても、そんなことはわからん。。。

そして、飛行機が着陸したら、「完全武装」の検疫官が10人くらい入ってきた。

いくつかのグループに分かれていて、一つのグループはサーモグラフィーで全乗客をスキャン。
別のグループは問診票をチェックしながら回収。
不備等がないかチェックしている様子だった。

もう一つのグループはマスクを配っていた。。。
参加賞か。。。

オフシーズンだったので、機内は50%くらいの席しかうまってなかった。
それでも、着陸から40分くらいかかったと記憶している。

ちなみに、あらかじめのアナウンスで、写真撮影は作業の妨げになるとかで禁止されていた。

が、外人は喜んで写真を撮っていた。。。

隣に座っていた韓国の人は、経由地として成田に寄っただけで、乗り継ぎの飛行機の時間まであまり余裕はなく、怒っていた。。。

今回のケースに関して言えば、アメリカから来た人たちにとっては、いい恥さらし、とも思えた。。。

という感じで、飛行機からようやく開放。

ところが、無事入国して数日後、保健所から電話がかかってきた。。。

健康状態の追跡調査である。
その日から一週間、朝か夕方、毎日電話で健康状態を確認された。

全員を対象にしていたのかは定かではない。日本のことだから、狂牛病対策のように「全人検査」をしていたのではないだろうか。

土日にも電話がかかってきたから、相当数の人の労力とお金が浪費されたはずである。

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毒性がマイルドとわかった後、どういう意図で検疫と追跡調査を続けたのか定かではない。毒性の高いウィルスのシミュレーションと考えれば、それなりに理解できなくもない。

が、機内検疫では、潜伏期間中の人はひっかからないし、今回のような咳くらいしかでないようなマイルドなウィルスの場合、仮に症状が出ててもサーモグラフィーくらいではひっかからなかったと思われる。
(だから、日本で感染者が出たのは全く驚きではないし、しばらく感染確認者が出なかったのは単にラッキーだっただけか、そもそも確認すらしようとしなかっただけなのだろう。)

感染者が世界的に広がってしまった場合、検疫は無駄以外の何物でもない気がする。
裏返せば、それだけウィルス感染を防ぐのは難しいのだろう。。。

それから今回、幸か不幸か、アメリカと日本で感染者拡大の様子をリアルタイムで体験できたわけだけども、マスコミの温度差は非常に気になった。

特に、専門家でない「文化人」がコメンテーターとして登場し、テレビという公共の電波を使って、パニックを伝播している日本は、非常に危険な国だなと改めて感じた。

一方、アメリカでは、詳細な情報が伝っていないのでは?と行政にcomplainしている市民がいるという報道もされていたようだから、冷静さとパニックのバランス、非常に難しいのもよくわかる。

けど、パニック的な部分にバイアスがかかっている国、表面的な情報しか伝えられないメディアが多い国よりは、客観的な情報に基づいた冷静な情報も流し続けていたメディアがいる国の方が信頼できるな、と感じた。

日本のマスコミはホント日本人の足をひっぱっている。。。

1 コメント:

Akira さんのコメント...

 初めまして,日本生理学雑誌のエッセイを拝読させていただき,そのリンクからやってまいりました。 ジョージア州立大の櫻井と申します。

 日本の狂騒ぶり,ウワサには聞いておりましたが,やはり想像どおりのようですね。

> 専門家でない「文化人」がコメンテーターとして登場し、

 日本で生活していた頃は,日本が世界で一番分別ある国だと思っていましたし,おそらく今の日本人の大多数がそう思っているのだと思いますけど,外から日本を眺めてみるにずいぶんなギャップがありますね。