2011年1月30日

半年

グラスゴー生活がスタートしてちょうど半年。
これまでの経過等を。

大学関連
超スローペースで進行中。及第点のものもなくはないけど、総合的には当初予定より数ヶ月の遅れがすでに発生。とにかく、この遅れがさらに大きくならないようにしないといかん。

以下、カテゴリーごとに:

研究
比較的順調(?)なのはプロジェクト・ライセンス。
大きなトラブルもなく進んでいて、もしかしたら2月中に独立プロジェクトの承認がおりるかも。ちょうど今週、ホームオフィスのインスペクターが来て、提出中の申請書についてフィードバックをもらった。概ねポジティブ・レスポンスで、指摘もマイナーだった。インスペクターさんとはこれから仲良くやっていかないといけないだけに、良い人で良かった。それにしても、UKのパーソナル/プロジェクト・ライセンス、噂以上にタフだった。

グラント申請については今3つ返事待ち。とにかくコンスタントに出しつつ、失敗から多くを学び、勝率を少しでも上げ、writing力向上に努めないといけません。

肝心の研究プロジェクトは、大学の物品購入システムに慣れるのにえらく時間がかかってストレスフルな日が続き、遅れの最大要因に。注文されてると思ってたものがされてなかったり、注文するために学部長を巻き込んでプッシュさせたり。。。とにかく次の半年、研究以外は極力手を抜き挽回をはからないといけません。

教育&アドミン
今のところ何も義務はない。だけれども、来た当初、教育関連のコースを受けた。それはメチャ勉強になった。今年10月から何かしらスタートする雰囲気だから、夏ごろから準備で少し忙しくなるのかも。。。効率良く準備する方法を身に付けないといけない。

その他
多くの仕事で、事務系の人や同僚のサポートが必要。この半年で、誰に何を聞くと良いかだいぶわかってきた。あと、人によってペースが当然違うから、そのペースをあらかじめ織り込んで仕事を依頼するタイミング・仕方を考えていかないといけない。

ちなみに、普段の生活のリズムも固まってきて、朝はバスで論文を読みながら通勤し、朝2ブロック、午後1か2ブロックで仕事をこなして、帰りのバスで新聞読んで、夜寝る前にまた論文を読む、という感じ。論文を読む量は以前より増えたか。

それにしても、日々のメール量が以前に比べ格段に上がってて、それをどう裁くかは要工夫。


生活関連
グラスゴーそのものは住みやすい。街はきれいで都会で便利。白人以外の割合はやはり少ないけど、親切な人が多い。ただ、喫煙率が異様に高く、年配の女性も普通にスパスパすってる。。。気候については、12月の寒さはシャレにならなかった。けど、1月は0~8度くらいのレンジで推移してて、寒すぎ、ということはなかった。雪も1日くらい少し降った程度。これが平均的な冬みたい(そう信じたい)。一方で、天気のダイナミックさはすごい。地面が乾く、ということがない。。。

以下、カテゴリーごとに:

住居
住居として選んだClarkston。車で10分程度のところにショッピングセンターが複数あって、徒歩範囲に学校、銀行、簡単なお店が揃ってて便利。大学まではバスで40分くらいと遠いけど、もう慣れたか。

言葉
スコティッシュ・アクセントはこの半年で少しフィルターみたいなものができつつあるかも。たまにスコティッシュ英語のハルシネーションが起こるようになってきた。5年も住むとスコティッシュアクセントでトークしたりし始めるやも知れない。。。それにしても、わからん人はホントわからん!幸い、研究所ではブリティッシュ英語率が高いから大きな問題はないか。

ちなみに、英語力はグラスゴーに来てから、というより、一年前のジョブインタビュー・ネゴシエーションから勘定すると随分レベルアップした感覚はある。というか、コンプレックスが随分と解消された、という感覚。トラウマも積極的に耐えると少し克服されるという行動療法があるけど、それに近いのかもしれない。どうしても克服しないといけない弱点も正面向いて闘うとそれなりに改善される?

文化
UKのことをろくに知らずに住み始めたけど、USとえらく違うことが多くてカルチャーショックが続いている。見た目は同じ人たちなのに、こうも違うのか、と。。。日本とUSが座標軸の両極にあるとすると、UKは日本寄り。なので見た目に惑わされてはいけない。僕個人の性格的には、US的な良い意味でテキトーなところが居心地は良いのかなぁ、という気はする。一方、USの悪い意味でテキトーな部分は、winnerでないと厳しいからその辺は日本やUK的なところが良い。例えば、医療に関しては、お金があるならUSで質の高いものを受けられるのだろうけど、そうでない、もしくは中途半端なポジションなら、UKや日本みたいに最高は期待できなくても、最低限は期待して良いというのは悪くない。ちなみに、その医療は日本の方が絶対良いです。。。体験としてまだ悪例はないけど、新聞を読んでるとUKのひどさはたくさん伝わってきてる。「free」というのはやはり問題なのだろう。

その他
政治に関しては、今のところ悪い印象は受けてない。もちろん、良い国か?と聞かれたら、yesとは答えないけれど。財政について、もう手遅れかどうかはともかく、とりあえず問題に立ち向かう姿勢は伝わるし、政治家のローカルな利益にこだわって、足を引っ張り合って全体の利益を見失う、ということは、少ないというか、例を今挙げてみろ、と言われても僕は挙げられない。けど、最近話題になってるガソリン代の高騰、早急に何とかしないと、みんな動かなくなって、経済の足を引っ張るのは確実だろう。ガソリン満タンに50ポンドなんて払ってられない。エジプト絡みでさらに上がってるみたいだし。。。

家庭レベルの生活費について。子供の学校がタダなのはありがたい。一方で、地方自治体へのタックスがそれなりにかかったり、VATは20%。住居費はUS生活時よりは安い。トータルの出費は同じくらいか。物価はポンドが安くなった分、聞いてたほど高くない。来た当初は数年後に家でも買えたら、と目論んでたけど、もうやめた。家賃は捨てるようなものというけど、家みたいな大きなものを買うリスクをいろんな観点から勘定に入れると、トントンかむしろマイナスかなという感じ。それよりお金は別の使い道を考えた方が長期的には良いかな?と、今は考えてる。

子供の教育については、イングランドよりスコットランドが良いらしい。ただ、他の先進国や香港や韓国などに比べるとUKの教育は良くない、という統計上の話。少なくとも相対的な質がここ数年で悪くなったもよう。大学も来年から授業料が上がるから、タレントはどんどんUSへ流れる方向に向かうのだろう。ちなみに、うちの長女はまだP1(日本でいうなら年長さん)だけど、すでにいろんな一般常識的なことを日々学んでるもよう。4,5歳から義務教育がスタートするのは良いことだと思う。日本語については、土曜日に日本語補習校に通ってはいる。大きくなるにつれ、この辺は親もますます努力しないといかんのだろう。

最後に移民の受け入れについて。UKは排他的。中国やインドから優秀な人材をどんどん受け入れて国力を上げようというより、国内の人材で賄いたいというニュアンスが非常に強い(教育が悪かったり、若者の非雇用率が異様に高い、という数字が出ているにも関わらず)。ビザ制度もさらに厳しくなっていく感じで、2年半後の更新時どうなるんだろう?という不安はある。以前、制度を変更してから労働ビザ系は一気に厳しくなって、カナダとかに流れが変わったという話を聞いたことがある。新聞では、ビザで来たものの働いていない人たちが多い、ということを根拠に移民制度を強化せよ的な論調も見受けられる。少なくとも、USより排他的なのは確実。一方で、個人レベルでは、少なくともスコットランドでは、それに関して特別嫌な思いをしたことが今のところなくて、上述のように人々は非常に親切。この辺のギャップにはまだ戸惑いがある。

だいたい主なことはコメントしたか?そんな半年でした。

4 コメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして、突然のコメント失礼いたします。toddlonと申します。
私は現在ロンドン在住ですが、グラスゴーへの引っ越しを考えています。引っ越し先候補として、Clarkston について調べているときに、こちらのサイトに辿り着きました。4歳と2歳の子供達がいます。プライマリーとセカンダリーを優先事項として引っ越し先を考えていますが(+あまり車に頼らなくてもよいところ)、さかたさんの文章を読む限り、Clarkston は住み易そうですね!
さかたさんのご専門は私には未知の分野ですが、グラスゴー生活の参考サイトとしてまた訪問させてくださいね。

Shuzo さんのコメント...

はじめまして!コメントありがとうございました。

ClarkstonやNewton Mearnsは学区も居住性も良いです。ただ物件がなかなか空きませんので、はじめ住む場所を決められる時はご注意くださいませ。

ちなみに、うちの子は5歳(もうすぐ6歳)と1歳半ですので、toddlonさんのお子さんとも近いですね。

引越後、落ち着かれましたら、少し遠くなりますが、Livingstoneの日本語補習校にも通われると良いですよ。車で1時間弱です。

アットホームな雰囲気で、親切な方ばかりですし、グラスゴーの方も何組かいらっしゃいます。

もし私でお役に立てそうなことがあれば、お気軽にメールで直接問い合わせください。

これからもよろしくお願いします。

匿名 さんのコメント...

早速の返信どうもありがとうございます!
ご親切なお言葉、とても嬉しいです。今夜にでも、メールさせていただきますね。本当にありがとうございます。

匿名 さんのコメント...

坂田”先生”
ちょっとだけコメント。

脱感作。免疫学的用後。
系統的脱感作。精神学的用語。
トラウマ(PTSD等)、を経験した者は、その種の刺激を与え、その後relaxationに持って行く事で、脱感作が起こり、刺激に対して反応性が低くなる。
細胞レベルで言うと、神経細胞が活動し、不応期に入る。その繰り返しで、脱感作が起こる。
もっと、channelなり、神経伝達物質の分泌量なりの制御がありそうですが...
(最近の知識をup dateしておらず、この辺の事は詳しくないので、間違っていたらご指摘下さい。)

今回の震災でも、数多くの人がPTSDを抱えるでしょう。
PTSDを一度抱えた人は、一生苦しめ続けられるのでしょうか。
系統的脱感作が、有効な手立てなのでしょうか。

”一流研究者”の坂田”先生”にお聞きしたいです。
(別に深い意味はないです)