2011年1月15日

Work Loads Meeting

今週火曜、work loads meetingなるものがあった。

過去のエントリーでも書いてきたように、今の僕のポジションはprobationary period付きlecturer。

probationary periodというのは、米国のテニュアトラックとは違うけど、大学のスタッフとしてしっかりパフォーマンスをできるようメンター付きで定期的に軌道修正しながら教育していく期間。

3年間がprobationary period。

毎年2月にアニュアルレビュープロセスがスタートするらしく(それがどんなものかは僕はまだ知らないが、とりあえずペーパーワークがあるのは確か)、その前のイベントとしてwork loads meetingが開かれた。

メンターと二人で15分くらいの個人面談。

進捗みたいなものを話すんだろうと思って、少し準備して臨んで椅子に座った。まず一枚の紙切れを渡された。

そこにはいくつかの「スコア」が書かれていた。

仕事カテゴリーとして、research, administration, teachingの3つがある。それぞれについてスコアがかかれていた。

そのスコアは、僕の現時点の点数、それから僕と同じようにprobation period中のprobationerの平均スコア、そして正式にlecturerになった人たちの平均スコアも併記されていた。

僕はteachingもadmin系の仕事も一切やってないので、当然ゼロ。

研究は1点強。

一方、probationerの平均スコアは2点強。。。

駄目じゃん。。

ショックを受けながら、メンターの話をきいてみると、最初にしては悪くないスコアらしい。ホントか?

このスコアをどう計算しているかきいてみたら、
1.論文
2.お金をどれくらい使ったか
3.PhD学生をどれくらい面倒みてるか
4.どれくらいグラントにアプライしたか
という項目があり、計算方法がしっかり定義されていて、最終的に項目ごとに重み付けをして研究スコアをはじき出すとのこと。

2番目のどれくらいお金を使ったか、が評価基準に入るのは意外だったけど、結局これにはどれくらいグラントを取って使ったか、というのが反映されるわけだから、それなりに研究力は反映される。

4番目はどれくらいの規模のグラントにアプライしたかが勘定されるらしい。成否関わらず。。。なので、BBSRCやWellcome Trustなんかに「とりあえず」アプライさえすれば点数を稼げる。(もちろん、重み付けが低いので、グラントアプリケーションを書くより論文を書いた方が効率は良いとは思うが。)

1番目の論文はもちろんIFが使われる。

それなりにフェアな計算方法かなと思った。

ただ、お金だけ使って低インパクトの論文を多産する人と、少額で高インパクトの論文を一つ出す人とを区別できるんだろうか?とは思った。とにかく、論文を出すのが他のファクターにも影響するのは間違いないから優先順位が高いのが確かだろう。

あと、Teachingに関しても、ミニ項目が設けられていて、それなりにフェアな計算方法だなぁという印象は受けた。例えば、引継ぎ授業より新規授業を持った方が高得点が稼げる。それは準備に膨大な時間が必要だから、その辺が考慮に入れられている。

とりあえず、teachingとadminは平均以下で良いからresearchで他を補うようにしていくのが一番良いストラテジーなんだろう。

そのミーティングの最後、来年度のteachingの話に。

どうやら、学部生対象の実習授業で科学(化学?)計算を教えるレクチャーの一部を担当するらしい。。。きたよ。。。10月からスタート。

あとはneuroscienceのカリキュラムを本格的に立ち上げていくらしく、その一部に関わっていくことになるらしい。とりあえず僕が担当するのはジャーナルクラブ的なものらしいけど、自分の専門と直結するteachingなら俄然モチベーションが上がる。将来のラボメンバーをリクルートするのにも良い。カリキュラムをスクラッチから構築していくわけだから、自由度も高いしやりがいという点ではありそう。その分、時間はかかるのやもしれないが。

そんな感じの15分のミーティングでした。

2 コメント:

M さんのコメント...

日本でポスドクをやっているものです。
いつも楽しく拝見し勉強させてもらっています。


興味深いシステムですね。

3年間積み立てのようにスコアを上げていき、正式lecturerの平均スコアぐらいを目標にすればいいよ(条件1クリア)ってことでしょうか。

Shuzo さんのコメント...

コメントありがとうございます。

正直私もUKのシステムの全貌はしっかり理解しきれていないのですが、基本的には、threshold的なもの、というより、「フィードバックを与える」という趣旨が大きいように思います。

つまり、基本的にポジションはパーマネントですので(と一応聴かされています)、平均値を少し下回ったからといってクビをきられる、というよりは、「みんなこれくらいだから、お前もちと頑張れよ」くらいなのだと思います。

それからスコアは毎年計算され、その一年間のパフォーマンスです。ですので、スコアを蓄積する、というわけでもないようです。

これはコンスタントに良いパフォーマンス続けるという意味では良いかもしれないですね。

それらの意味から、米国のいわゆるテニュアトラックとは質的な違いがあるように思います。

日本のテニュアトラックがどういうタイプのものになるか興味深いですね。