2011年12月31日

大晦日


今年の年末もグラスゴーで。

今年のPIとしての仕事を振り返って、まず資金繰りという点では、小規模グラント3つとMRCを獲得。いくつか失敗を経験できたので、来年以降はそれを活かしたい。政府系グラントをもう一つ当てる必要あり。

その他のマネージメント業。
プロジェクト開始のためのペーパーワークをひと通りクリア、装置系の初期セットアップ完了、良いコラボ相手も見つけることができた。リソース用意・ネタ仕込みという点では、ゆっくりではあるけど、それなりに進展が見られた。

来年はとにかく結果、結果、結果。

チームとしてのラボ運営としては日々試行錯誤。。。
例えば、大学院生のように経験値が圧倒的に不足している人材をどうリードしていくべきかいろいろ難しい。これまで放任主義な環境で生きてきたので、放任主義を貫きたい部分はあるけれど、そのスタイルだと生産性がおそらく伸びない。失敗してから学ぶわけにはいかないから、問題が顕在化する前から努力する必要あり。来年は数人メンバーを増やすことになるから、大きな努力目標。

ネットワーキング系では、オックスフォードでトークできたのは良い思い出になった。SfNの学会でも少しだけネットワークを広げることができた。来年秋ごろ、とあるイベントでトークさせてもらえることになったから、こういう機会を利用してvisibilityも少しずつ上げていきたい。(そんなことより論文)

ティーチングに関して。
チュートリアル・採点・試験監督程度で済んだ。卒論・卒研の担当はongoing。来年3月に、ついに講義3コマ。学部生とのインタラクションは楽しいけど、卒論・卒研以外の研究活動に直結しないことは優先順位を低くすべきなので、最低ラインの早い見定めが課題。来年度、ティーチングがどれくらい増えるか不明だけど、これまでのところ楽させてもらってるか。その分、研究で頑張らないといかん。

と、1年強でようやくこの国・今の大学に慣れてきた。

---
PI業以外の今年を振り返ると、やはり震災が何よりもインパクトがあった。ひとつのイベントでこうも価値観からいろんなことが変わるのかと思い知らされた。3月11日以降、放射線やエネルギー関連情報に対する感度が相当に上がった。エネルギー問題は、人類全体が直面してる問題だし、その意味では、今更ではあっても、問題への関心が高まったのは良いことではあった。とにかく、もう元には戻れないわけだから、ポジティブにとらえていくしかない。

ユーロ問題。2011年はユーロの終わりの始まりとして認識されるのだろうか。遅かれ早かれ、末端の我が身にも実害が及ぶんだろう。すでに被った害?として、ポンドは対円で10円前後安くなったから、給料が相対的に少なくなった。。。

心配なのは今後3~10年の研究費の問題。こういう状況だと、winner-take-all的なことが加速しかねないので、如何に生き延びるか、もっと考えて行動しないといけない。とりあえずHorizon2020の案が絵に描いた餅にならないことを祈りたい。

来年は中東、ロシア、アメリカといったUKを取り巻いている不安・不確定要素がどう影響していくんだろう。。。

他の個人的大きな不安要素は、UK移民制度。キャップがホントに設けられたら、ちとシャレにならない。

あと、NYTでも取り上げられてるけど、インフルエンザの問題も今後の大きな不安要素。テロリストが情報を悪用する脅威もあるんだろうけど、簡単な変異で十分だとすると、自然発生のリスクは意外と高いことにならないか。これは震災・原発事故どころではないので、想像したくない、というか想像しても家族を守る対応法が果たしてあるのか。。。

飛行機に乗れなくなるから、車でスコットランド北部に一時避難、は良い選択肢かもしれない(seriously)。

と、自分の力ではどうにもならない部分で、先行き不安が高まる一方な一年だった。

---
ここからは、ここ数週間のことについて。

まず、この時期の大学。
23日15時からオフィシャルにはクローズ。それ以降大学へ行く場合、あらかじめペーパーワークをしておかないといけない。大学に着いたら着いたで、セキュリティーに電話する必要がある。30秒程度の電話ではあるが、超面倒くさい。。。

次に、この時期の気候。
この一ヶ月ほど雨が降らなかった日はなかったんでは?というくらい、毎日どこかの時間帯で雨・雨・雨。一方、雪は2回程少し積もったくらいで、今のところ大きなトラブルには見舞われていない。寒いのは寒いけど、寒すぎ、ということはなく、気温的には0-10度のレンジ。日照時間の短さは相変わらずで、8-16時台だけ明るい状態。

昨年と違うのは、風。

3週間前だったか、ハリケーン並の強風が吹き荒れ、大学も閉鎖された。スコットランドのどこかの風車は一基やられたらしい。。。これに象徴されるように、今シーズンの冬、やたら風が強い。うちと隣りを隔てている柵がこの一連の強風によって一部破壊された。。。

この時期のイベントについて。
先々週末の日曜日、お向かいのご夫婦にmulled wine & mince pie partyに招待され、娘たちをつれて参加(嫁さんは体調不良につき参加できず)。近所の人たちに声をかけていたみたいで、大人だけでも20人前後のパーティーだった。参加した人たちは同世代からリタイア組の夫婦までなかなか多様。レッドソックスファンというディヴィッドさんも来ていて、少し話をする。

ちなみに、mulled wineは数杯呑んでもほとんど酔わないので良い。その日、外は寒かったけど、暖炉の暖房がよく効いてて、文字通りアットホームなパーティーだった。

クリスマス・イブは、最近グラスゴーに進出したWhole Foodsでチキン丸焼きを買って食べてみた。やっぱりこういう外人チックなスタイルは一回やれば十分。。。おいしくない。。。

クリスマスプレゼントは、長女はデジカメ、次女はラップトップ。オモチャとはいえ、テクノロジーは安く高度になってる。。嫁さんには、レンジ使用可の湯たんぽ(レンジたんぽ?)。僕は特に無し。。。

The Royal Institutionのクリスマス・レクチャー、今年のテーマは脳。
家族で観てみた。メチャクチャ用意されてて、インスパイアされた。内容は中高生向けだけど、如何にオーディエンスを巻き込み、飽きさせずに情報を伝えるか、形式的な部分でえらくインスパイアされた。6歳の長女でもエンジョイしてた。そんなレクチャーをできるなんて、すごすぎる。。。いわゆるアウトリーチのお手本。

大晦日の今日の予定は、中華スーパーでおせち用食材等を買って、夜はロンドンのカウントダウンをBBCで見る程度。

---
最後になりましたが、こんなブログでも、読んでいただいている皆さんにはとても感謝しています。

話題のチャンネルは限られていますが、来年は、読んでメリットがあるようなエントリーも少しは心がけてアップしていけたらと思ってます。

来年もよろしくお願いします。

2011年12月30日

年末の計画立て


ここ数年、この時期は来年の計画立て。

プロジェクトマネージメント系のChromeアプリを少しだけ調べてみた。MultiTaskSmartsheetは良い感じ。後者はメチャクチャ良くできている雰囲気だけど、フリーではないのでNG。やり方が若干ヤクザチックなので要注意。

ということで結局、簡便なアプリは諦め、MS-Project 2010を使うことに(大学がライセンスを持っていた)。インターフェースが直感的で、Ganttチャートそのものさえ知っていれば、1ラボくらいのプロジェクトなら簡単に計画可能。いろんな機能がありそうだから、奥は深そうだけど、とりあえず表面的な使い方だけで良いなら、すぐに使い方を覚えられる。お薦め。

ついでに、to-do-listのChromeアプリも探して、Todo.lyを使い始めることに。タスクを階層化できるし悪くない。数年前まで、この手のソフトは使うというより使われる印象が強かったけど、随分進化してる。

理想的には、プロジェクトマネージメント機能と、to-do-list的なより細かいタスク管理機能がうまい具合融合し、カレンダーとしても使えると、生産性は随分上がる気がする。

MS-Projectはカレンダー表示もできるから、使いこなせば、to-do-listソフトもいらないのかもしれない。MS-Projectは計画がどれくらい予定通り進行中か確認していく上で良い感じ。できれば、Googleさんに、似たようなクラウドベースのアプリを無償提供して欲しい。。。

そんなことより、最も重要なことは、計画が計画で終わらないように働くこと。。。

2011年12月28日

タグで振り返る2011年


deliciousでブックマークを残し始めて4年ほど。ブックマークするのは主にジャーナルのページだけれども、2011というタグを付けたブックマークは現時点で2558件で過去最高。

2011のタグを付けたブックマークの内訳を見てみると、まずジャーナルランキングは
1. Nature (382)
2. Science (338)
3. Journal of Neuroscience (277)
4. Neuron (155)
5. PNAS (147)
6. Nature Neuroscience (124)
7. Cell (91)
8. Curr Biol (68)
9. Nature Methods (61)
10. Journal of Neurophysiology (56)
(括弧内はブックマーク件数)
と、インパクトファクター・論文数・個人の興味を反映している印象。

キーワードのランキングは
1. Oscillation (103)
2. Development (86)
3. CellType (85)
4. Hippocampus (76)
5. Plasticity (71)
6. Japan (70)
7. BrainState (69)
8. Optogenetics (66)
9. Evolution (64)
10. GeneExp (60)
と、一般性の高い言葉が上位を占めつつ、個人的興味のバイアスがかかってる印象。

ちなみに、20位にEarthquake(47)が入っていた。過去61件しかマークしてない中での47件。しかも、2011というタグを付けてないけど今年登録したブックマークも多数あるので、61件の大多数は今年中ということになる。
さらに、Japanというタグは、例年10~20件ほど。
2011, Japan, Earthquakeの3つのタグが付いたエントリーは43件も。2011年が如何に特別な年だったかが伺える。

---
こういうタグ情報を使って、ネットワークなどを描いたりしながら、外部記憶を有効利用したいのがこのサービスを利用しはじめたモチベーションだった。が、今年deliciousの母体が変わってしまい、現在極めて使いづらい状況。そもそもタグ情報全体を正確に取り出せない。。。

もう時代遅れのやり方になってるのかもしれない。。。
他に便利なやり方はないものか。

2011年12月11日

MRCまとめ


MRCグラント申請から結果判定まで。

申請まで
締め切りは6月15日だった。年3回締め切りが設定されている。(ただ、一回rejectを喰らうと一年休み。)

まず、申請書ガイドライン等をしっかり読んで、申請内容を具体的に練り始めた。締め切り2ヶ月前くらいだったか。けど、締め切り直前まで全く筆が進まず。。。さらに、締め切りを1週間後の24日頃だと誤認してたので(アホ)、直前1,2週間で急いで書くはめに。

内容はもちろん、native speakerによる英語チェックすらしてもらう時間を取れなかった。。。予算の事務チェック時、一定額以上のequipment申請には研究所からの許可か何かが必要と指摘され、そのequipmentは断念。。。ぎりぎり15日朝に申請完了。こんなこと絶対してはいけない。。。

ちなみに、提案書のコンテンツは、まずCase for Supportなる申請書のコア部分がreferencesもいれ8ページ。少なめ。予算申請額や、分野外のコミッティーメンバー向けのまとめなどを書く書類が12ページ前後(予算申請部分は、大学のシステムではじき出された数字を入力していくだけといえばそれだけだから、実質、英語文章で埋めるのはその4,5ページ分)。他には、申請額を正当化させる理由書的なもの2ページ、動物実験をする場合はその理由書を1ページ、あとは僕が申請したスキームでは研究所所長の推薦書、といった具合。

一から文章を書くとなるとそれなりに時間はかかる。

フィードバックとレスポンス
申請から4ヵ月後10月21日頃、5人のレフリーからフィードバックをもらう。
そのフィードバックは、
Declaration of Interests
Research Quality
Research Environment and People
Impact
Ethics
Resources Requested
Overall Assessment
という構成。

最後のoverall assessmentは6段階評価。6点が最高。それ以外の項目ではコメントが残されていて、どのレフリーからのフィードバックも2.5ページ前後のボリューム。海外(米国)研究者と思われるレフリーもいた。

ちなみに、僕がもらった5人のoverall assessmentは、5・4・4・3・1点。

良くない。
こりゃダメだな、と正直諦めた。。。

そのフィードバックに対し、3ページ以内で反論する機会が設けられていて、それにはしっかり対応。英語も同僚教授と研究所長にチェックしてもらった。

そのレスポンスレターでは、すべてのレフリーが指摘してきた共通問題に対し図付きで1ページで答えた。残りページを使って、各コメントすべてに答え、特に1点をつけて完全否定してきたレフリーには徹底的(けど感情的にはならず)に反論。

判決(コミッティーミーティング)
レフリーコメント・レスポンスレター・プロポーザルそのものに基づき、11月24・25日(申請から5ヵ月後)、コミッティーミーティングが開催されたもよう。そして、その翌週月曜朝、メールが届いた。

さらに、その翌週フォローアップのメールが届いた。そこでは、コミッティーミーティングでのフィードバック、最終評価(10段階)、そしてどれくらいサポートしてもらえるか大まかに書かれていた。

最終評価は10段階中9で、レスポンスレターが良かった(robust)、と書かれていた。

メールで問い合わせたところ、現在MRCのサーバーがトラブル中で事務処理が遅れているとのことで、年明けに正式契約し、プロジェクトをスタートできるもよう。

感想
レフリーのoverall assessmentそのものは、最終的な結果に直結するわけではなさそう。同僚教授も、無理だ、と思ってたみたいだけど、レスポンスレターでどうレスポンスするかもかなり重要なファクターなのだろう。点数に一喜一憂するより、レフリーのコメントをしっかり解釈するのが重要か。

レスポンスレターの答え方は、基本的には論文のレフリーに答えるのと同じ。論文では、エディターが気に入れば通ることがあると思うけど、それに近いのかもしれない。つまり、コミッティーミーティングの空気が良い方向へ向かえば、レフリーの評価(特にoverall assessment)を引っくり返す事は可能なもよう。コネなんてものは皆無だし、表面的なものではなく、しっかり提案書等の中身を吟味してくれた雰囲気。システムとして、論文の査読以上にしっかりしてる印象を受けた。。。

それから、気になる英語ライティングについて。
申請直後にケアレスミスを見つけたりしたけど、そんな細かいことはどうでも良さそう。日本人的にはありがたい。しゃれた表現なんかより、とにかくメッセージをロジカルに伝えることだけ集中し、極力簡単な英語表現を心がけるのが、とりあえず今の僕のレベルにはあっていそう。

仮説・研究の重要性を説いて、それにどのスキル(preliminary dataも含む)でどういう戦略で臨み、挫折しそうになったらどうするか、そして、何が・どれくらい・なぜ欲しいかしっかりアピールするのが基本でやはり重要なのだろう。

ただ、僕はtoo ambitiousなプランを書きがちなので、その辺をもう少しリーズナブルかつwowと言わせる提案書を如何に書くかが今後の大きな課題。これはpublication listとも相関するだろうから、時間はかかるな。。

それから、今回はPathways to Impactなる、社会との接点をコメントする部分に関しては特にフィードバックがなかった。MRCではそれほど問われないのか、もしかしたら、提案内容そのものにも依存するかもしれない。

気になるsuccess rateは、過去15%前後。来年、もう一つまともな額のグラントを当てたい。

過去の関連エントリーは、こちらこちらこちらこちら

2011年12月3日

朗報とスト


月曜日にMRCから連絡があり、サポートしていただくことになった。ただ、フルではないみたいで、実際どれくらいの規模なのか依然不明。。。けど、ようやくポスドクを雇えそう。めでたい、ありがたい話。

僕のポジションは研究重視のポジションだ、と言われてきて、プレッシャーは感じてたので、学内向けにはとりあえずの結果は残せたことにはなるか。同僚教授も非常に喜んでくれた。次は、外向き。

コラボの方も、運よくグラスゴー内で良い相手が見つかった・見つかりそうなので、攻撃態勢が整いつつある。ここまでの時点で、すでに時間がかかった。。。

---
今週のニュースとしては、ストとイラン。ユーロは小休止という感じか。

ストの日、大学における講義を行うという機能は停止した。けど、半数以上の人は通常モードで働いていた。長女の小学校も休みになり、長女はうちで過ごした。小2にストのことをどう説明したら良いのやら、という気もするが、時代なんだろう。。。

新聞によると、多くの人はストをサポートしてるもよう。定年が近かったりすると、カットのダメージは大きいだろうから気持ちは非常によくわかる。取り返す時間がない。

一方で、若い世代は、社会的なサポートをもはや当てにすべきではない。当てにしただけ、裏切られた時のショックが大きい。良い意味でも悪い意味でも、自己責任で生きていく努力をしないといけない。

公的年金という点では、我が家は、アメリカ、UKと国を変え、日本の国民年金も昨年から払うのをやめてるので、公的年金はあてにしたくてももうできない。アメリカで払ったソーシャルセキュリティーは、タックスリターンのように返して欲しい。。。

一方、大学院の時にちょっとした興味で学んだファイナンシャルプランナーの知識(大部分はもはや覚えていないが)はお金のことを考える上で少し役に立っている。5年先すら予測不能といえばそうなので、ファイナンシャルプランは長期になればなるほど絵に描いた餅にはなる。けど、長期目標をまず決めた上で、短中期目標を考えるのは、人生何でも一緒だろうから、悪いことではない。

今の時代、高校生くらいでお金のことをしっかり教えてあげて、それから大学なり社会へ送り出してやった方が良いのだろう。

2011年11月27日

Linlithgow Palace


今週末はセント・アンドリュース・デーの一環として、スコットランド内のお城・宮殿はじめとする史跡がフリー。

天気も良さそうだったので、近場でまだ行ったことのなかったLinlithgowへ行ってみた。

Linlithgow Palaceなる宮殿が目的。

ここは、James5世Maryが生まれたところとして、スコットランド史上重要らしい。

宮殿そのものは17世紀に燃やされたとかで、実際、廃墟状態だった。大広間などの主要箇所の屋根や窓などは残っておらず、強風が吹き荒れてメチャ寒かった。。。

1時間ほどでほとんど見て回れた。
展望台的なところからは、リンリスゴー湖を一望でき悪くない。
が、歴史を紹介する施設も特になく、宮殿の手前に駐車場があって、スペースがあれば停めれる雰囲気だった。

St. Michael’s Churchというこれまた古く立派な教会が併設されているのだけれども、こちらは時間外だったのか入れなかった。

Linlithgow、他にこれといって見るところがなく、ランチ後すぐグラスゴーへ戻ってショッピング。すっかりクリスマスモードに突入していた。

Lenovo G570


Lenovo G570 15.6 inch Notebook
USサイト
JPサイト

ラップトップを買い換えた。数日使っただけの感じでは、デザインにこだわらない限り、コストパフォーマンスは高そう。

CPUはCore i5-2410M、RAMは4GB、ハードディスク容量は500GB。バッテリーもしっかりしてる雰囲気。ということで、パフォーマンスという点では、申し分なし。

アマゾンで日曜日夜に注文し水曜日に届いた。

一方で、デザインはもう一つ。全面黒でシンプル過ぎ。キーボード操作に慣れるのに少し時間がかかるか:15.6インチサイズだからか、数字キーもあるのだけれども、returnキーが小さ目で、間違って他のボタンを押しそうになる。それから、15.6インチで作業効率は小画面より良いけど、モバイル用途には不向き。また、無駄なプレインストールソフトが、いくつか入っている。

ということで、お金はそれほどかけたくないけど、仕事にも使える良いラップトップが欲しいなら、悪くない選択かも。

ちなみに、ラップトップ人生は、学部学生の時、メーカーは忘れたけど、分厚いワープロのようなラップトップでスタート(といってもその当時、インターネットとパソコン通信の区別すらできてなかった。。。)。その後、Mac Powerbook G3、Vaio3台を経て、今回のLenovoへ。ブランドへのこだわりより、コストへのこだわりが強くなってきた。。。

それにしても、今回のラップトップがダントツで最安なのに性能は最高。ムーアーの法則恐るべし。

2011年11月20日

SfN


11月12日から16日まで学会で、17日にグラスゴーへ戻ってきました。

学会では、午前・午後共に、前半はトークを聞き、後半ポスター会場回りというのが、無理のない回り方か。一週間の疲れがたまってる状態で、日曜日、午前・午後共にポスター会場を歩き倒し、外食にもいったもんだから、ホント死にかけた。。。あと、朝食をしっかりとると、やはりというべきか、元気に終日広い会場を歩き回れた。年寄りの覚書みたいではあるが。。。

サイエンティフィックには、optogeneticsやconnectomicsやbrain-machine interfaceといったホットトピックは確実に広く深く進化していて、その情報にたくさん触れられるというのはやはりSfNならではだなぁ、と思った。個人的にはconnectomicsが非常に印象的で、取り組んでるのは小グループではあるけど、まだまだ遠い先だろうと思ってたことが、5~10年くらいで新しいフェーズに突入しそうな勢い。そしたら、システム神経科学の次なる革命期に突入したことを実感するようになるんだろう。メチャ刺激を受けた。

ナイトライフは、岡崎時代・NJ時代の友人と食事にいったり、コラボを検討してるポスドクの人と食事へ行ったり。

学会の演題数は減らしてもらって、ナイトライフの期間をもっと増やしてもらえるとちょうど良いのだが。。。

ちなみに、発表は月曜午後のポスター。たまに暇な時間帯もあったけど、いくつか出会いがあって、悪くなかったかも。学生・ポスドク時代と違うと思ったのは、「コラボ」という言葉が絡む機会が生まれたこと。独立したことの宣伝にもなったみたい。ポスターとしては聴覚系のセッションで出してけど、オーディエンスは聴覚系以外の人が過半数だったんではないか?これは良いことではあるが、今後どういう戦略でvisibilityを上げるべきか要検討。

来年はニューオリンズ会場が復活。2012年はFENSをターゲットにするのが良いか。

---
帰り、水曜夕方発の飛行機だったけど、フライトが変わった。。。2回も。

まず、DCからニューアークへ行く飛行機が予定より1時間強遅れ、ニューアークに到着した時間はグラスゴー行きの飛行機の出発時間。。。ミスる。

何とかヒースロー経由の飛行機に替えてもらえた。

ヒースローまでの飛行機、3人がけのシートに僕しか座ってなくて、セミビジネス状態でしっかり寝れた。機内食は平均以下のエコノミー食だったけれど。

ヒースローからグラスゴーまでは、ブリティッシュ・エアウェーズの飛行機に切替えられていたけど、ヒースロー発ではなく、ガトウィック発の飛行機が押さえられていた。。。さすが、ニューアーク空港の職員。。。

その場で、ヒースロー発の飛行機に切替えてもらい、木曜昼過ぎにグラスゴーに到着。

預けていた荷物、さすがに届かんだろうと思ったら、しっかり付いて来てくれていた。ちと感動。

結局、6時間遅れで大学へ到着。
実験の準備をしたり、学生さんとディスカッションしたりと、意外と元気に働けた。

---
ということで、これでここ最近のイベントも終わり、これからしばらくは研究に専念する時間を多く持てそう。

2011年11月12日

DC


木曜日からワシントンDC入り、今日からSfNの学会スタート。
今回は、昨日のAPANというサテライトシンポジウムと、月曜日午後にポスター発表するのが主な仕事。

---
まず今週月曜日。昼ごろにlecturer meetingなる、lecturerと所長が集まって、いろんな問題を提起するというイベントが開催される。新所長は、こうやってみんなの意見を幅広く集め、組織をより良いものへ変えていこうという姿勢が伝わるから非常に良い。

火曜日午後、1時間ほど試験監督。200人くらいの生徒に対して4人の試験監督。僕は単に歩き回って、チーティングしないようプレッシャーをかけるだけだったけど、今回の試験問題には4つほどタイポが含まれていてた。。。クラス担当者は頭を抱えていた。。。

水曜日、隣の研究所にEPSRCの事務系の人がラボめぐりをするということで、コラボ相手の人に呼んでもらって一緒に話をする。こういう機会を持つと痛感するけど、1,2分でラボのミッションなりヴィジョンをまともな英語で語れるようにならんといかん。。。

木曜日、ニューアーク経由でDCを目指す。当日、予定フライトが突然キャンセルされ、ニューアークで6時間近く待ち惚け。フリーwifiもないから、結構苦痛だった。。。

昨日金曜日はAPAN。
昨日参加して改めて思ったけど、聴覚という枠組みにいながら、神経科学のボーダーを広げようとするタイプ、視覚研究や認知神経科学がすでに築き上げた枠組みとの対比で聴覚研究のボーダーを広げようするタイプの差が歴然としていて、後者の話は退屈極まりない。。。もちろん、後者は後者で新規性・価値はあるのだけれども、少なくとも僕は興奮しない。

ちなみに、今回のミーティングは、まずキーノート・スピーカーのトークでスタート。それから一人15分ずつのオーラルセッションと、史上初らしいポスター2セッション制。

実際、参加者数は数年前より多い印象だったし、ポスターセッションもかなり盛り上がっていた。ただ、オーラルセッションは、プログラム委員が選んだ、というより発表者のリクエストでトーク、という感じのものが半数くらいだったのではないか。なので、質に結構バラツキがあって、今回のオーラルセッションの発表すべてが、数年以内にトップジャーナルに載るという感じではなかった。

ちなみに、僕のポスター発表は、5,6組くらい話をして、予想してたよりは興味を持ってもらえた印象。その分、もっと頑張らんと、とも思った。。。(今回のポスター、発表していて、正直恥ずかしい。。。)。今回の発表は独立後初だから、どんな人が来るのか不安と期待が交錯してたけど、一番来て欲しいと思ってたラボの学生さんとポスドクや、それから顔と名前を知ってる若手PIの人にも来てもらったりと、まずまず。聴覚系の大御所の先生方は、目指してる方向性が根本的に違ってるというのもあるのかもしれないけど、基本的にスルー。。。こういうのは、将来のレフリー選考の良い情報になる。

ミーティング後は、メトロで2駅くらい離れたところにあるレストランのパーティールームを借り切ってのパーティー。形式は立食ではなく、椅子に座って食事するという形式。
食事はコストパフォーマンスが極めて悪いパーティーディナーだったけど、一緒に座った人とそれなりに会話も盛り上がって悪くはなかったか。

---
ところで、久々にアメリカの都市のダウンタウンを歩いたわけだけど、UKというか少なくともグラスゴーとは、やっぱり全く違うな、と改めて実感。

強く感じたのは、そこにいる人たちの「分布」の大きさ。他に良い表現は思いつかないけど、危険な臭いのする人たちが圧倒的に多いし、夜、駅からホテルまで数ブロック歩くだけで、自然と警戒感が高まる。

アメリカに5年住んで慣れたつもりだったけど、1年強離れたら、その分布の大きさに対する違和感にも似た感覚が戻っていた。アメリカは良い意味でも悪い意味でもやっぱり大きい。。。

2011年11月6日

グラント申請、MRCレスポンス編などなど


グラント申請、MRCの申請書に対するレフリーコメントへ返答、という二つの山を何とかクリア。さらに、学会ポスターの準備やら、中間テスト採点やら、論文レビュー、、、となかなかタフだった。

久々に、嫁さんに非常事態宣言を発令して、先週末は自宅でも仕事をせざるを得ない、というなかなかのタイム・マネージメントぶり。。非常事態宣言発令は、就活時のジョブインタビュー直前以来。

---
まず、グラント申請。

今回は4人によるコラボで、僕が一応PIを勤めるプロジェクト。キーパーソンのコラボ相手が、ちょうどハネムーン中だったりと、コミュニケーションが滞る。。。しかも、このグラントはちょっと変わっていて、9月下旬アナウンス、11月2日締切、というタイトなスケジュールだった(その分、結果がわかるのも早い)。

締切1週間前まで提案内容が固まってない状態で、直前数日は毎日コラボ相手と会ったり、skypeしたりしながら、締切30分前に何とか申請へたどり着いた。形式的には。

明らかに詰め切れてない部分がいくつかあるので、結果は推して知るべしなんだろう。けど、この申請に絡んで、関連分野だけどフォローしてなかった分野がかなりホットだとわかったことは収穫。あと、コラボの種植えができたのも大きいか。

---
続いて、MRCの返答編。

5人のレフリーからのコメントに3ページ以内で答えよ、というルール。これは、現時点でのベストは尽くしはしたけど、正直自信は。。。今年BBSRCとMRC二つに申請して、かなり勉強になったので、今後につなげたいところ。

とにかく、
too ambitiousはNG。justificationが重要。

コスティングがメチャメチャ厳格。これは当り前なのだけれども、結果OK的な部分がなさそう、という点は特筆すべきか。もしかすると、この辺の厳格さが、UKの効率性につながっているのかもしれない。

お金を使うという点で自由度は少ないけど、コミットしたことはしっかりする、という感じ。プロといえばプロ。

コスティングに関して細かいことをさらに書くと、要求アイテムごとに必要性を正当化する必要がある。それも形式的なもの(つまり、フォームさえ埋めればOK)ではなく、レビューの段階で想像以上に細かいチェックが入る。

例えば、今回あった指摘では、microtome(7Kくらい)をhisotologyに使うから買いたい、と書いていたら、「神経科学をやってる研究所でmicrotomeがないとこなんてないやろ」とつっこまれた。。。つまり、他のラボから借りてやれ、と。。。確かに仰るとおり。。。

他には、「年3・4回も学会に行くなんてバブリーすぎちゃうか」とか、「サンプル数のパワー計算がないし、サンプルに必要な額がどれくらいreasonableかわからへん」とか、「ポスドクやなく、シニア・テクニシャンじゃあかんのか」などなど、なかなか手厳しい。。。

服を一枚一枚剥ぎ取られ、丸裸にされる感じ。。。実際、そんなことはされたことはないが。

それだけしっかり読んでもらっているというわけだから、非常にありがたいことでもある。一方で、この辺のチェックを申請前にできるようなシステムが研究所内にないといかんのだな、とも思った(この辺は、明日のlecturerミーティングでアピールすべきか)。

と、失敗して初めて学ぶ、という非効率性。

---
中間テストの採点。

月曜日にテストがあって、50人分の採点を。
採点して思ったのは、テストの答案用紙でも「他人を思う気持ち」はnudgeとして確実に働く。グラント申請や論文もそうだけど、相手から評価を仰ぐものは何でも相手の立場に立つことが大事なんだなぁ、と改めて勉強になった。

---
最後にSfNのポスター。

第一バージョンが一応出来上がった。が、過去最大級のショボさ。。。

それはともかく、今週木曜日からDC。今回の学会はある意味、リラックスの機会。

SfNから戻ってきたら、しばらく研究に割く時間を増やせそう。突然のチュートリアル代理依頼にも強引に理由をつけてノーと言ったし。

---
ちなみに、時事ニュースとしては、ユーロ絡みがやはりメインを占めていた。
グリース>イタリー・スペイン>フランス
と連鎖反応が起こったら、いったい世の中どうなるんだろう。。

スコットランドにおける2020年までの再生可能エネルギー政策が批判されてるもよう。この批判がもっともだとしたら、独立なんて目指すなんて感情論以外の何ものでもない。風は一見「再生可能」という表現が相応しそうにみえるけど、climate changeという事実を踏まえると、不確実性は実際ある。

風が吹けば桶屋は儲ける。が、風が吹かなければ、スコットランドのエネルギー政策は破綻する(ロジックは単純)。

あと、TPPという名の日米自由貿易協定。アメリカの日本イジメにしか見えないけど、より大きな文脈で考えて交渉に加わるというのは、ありなんだろうか。消費者としては、メリットはあるようにみえるが、よくわからない。時代は変わったということを早く強く認識しないといかんのだろうけど、その辺を説くリーダーシップが全く見えてこないことこそが問題の本質なんではないか。と、何もわかってないのに、わかったような口を叩いてみたい今日この頃。

2011年10月23日

スコットランドの聖なる石~ひとつの国が消えたとき


スコットランドの聖なる石―ひとつの国が消えたとき (NHKブックス)
長女が通ってる補習校の図書室から借りて読んでみた。

この本は、スコットランド史を紀行小説風に描いた本で、特に「スコットランド」という国が消滅する前後のスコットランドとイングランドの歴史に焦点をあてている。

スコットランド史全体を簡単に触れながら、スコットランドがどのような背景で消滅し、それから300年後に議会が復活するまでをまとめている。それと同時に、各章の冒頭、歴史の舞台となる都市の現在の様子を紀行小説風に描いている。

国消滅前後の17世紀後半から18世紀前半の記述は非常に詳しい。

Robert Harleyなる人物が、「ロビンソンクルーソー」の作者として有名なDaniel Defoeを操りながら、如何に世論を操作していったか、という記述は特に興味深かった。

一方で、本のタイトルの「聖なる石」とは、スクーンの石のことを指すと思われる。が、この石は18世紀初頭の話とは、僕が理解している限り、関係ないし、本でも、冒頭部分で少し説明があるくらいで若干ミスリーディングなタイトル。

それはともかく、この本にもあるけど、スコットランドは国を失ったからこそ産業革命時代に繁栄できたというのはおそらく否定できないだろうし、むしろその牽引役として大きな役割を果たしたわけだから、イングランドと良い具合でシナジーを生みだした、と理解しても良いのかもしれない。

国を失う直前はDarien計画の失敗によって財政破綻状態だったらしいから、もしそのタイミングで議会を失わず、貴族同士の非生産的な争いを続けていたら、もっとひどい形で国を失っていたのだろう。その点では、国を失ったこと自体は悲劇だが、その後に人類史上に名を残す偉人を輩出したことは、スコットランドの人たちにとっては誇るべきこと。

この本が出版されたのは2001年。

その10年後の今、独立の話が冗談ではなくなってきている
数年以内に国民投票をするのは間違いなさそうだから、もしもそれが可決されるようなことになれば、文字通り国が復活する(おそれがある。。)。

ただ、1年住んで思うけど、スコットランドが独立国として政治経済を回していけるとはあまり思えないのは僕だけか。。。風車で経済まで回せるとは思えんしな。。。

それはともかく、感情論は理解できるけど、こんな時代だからこそ、またイングランドとwin-winの関係を築き上げる方向を模索した方が、結果的にはスコットランドの存在感を(良い意味で)高める方向に持っていけるのではないか。

とにかく、スコットランド史を勉強したかったから、この本は非常に良い読み物になった(かなりマニアックではあるが)。たくさん人物が出てきたので、忘れないうちに他の情報源で勉強しなおしたいところ。

2011年10月22日

チュートリアル終了、卒研、MRC、電話、新歓パーティー


10月前後から冷えこんできて、日照時間が大分短くなってきた。

チュートリアル
3週連続チュートリアル担当終了。
最終週は意外と難しく、質問にわかりやすく答えるのにえらく苦労した。。。

けど、チュートリアルには準備がほとんどいらなかったから良かった。ただ、生徒とのインタラクションは楽しいのは楽しいけど、エゴな視点にたつと、知的な刺激度がなく、終わった後何となくむなしさを感じる。。。実際、生徒たちにとっても、学ぶ内容がリアル世界で役立たないだろうから、余計に。。。教育機関としての大学というのは、根本的にリデザインしないといけないのがよくわかる。

セメスター1の教育義務は、2週間後の試験監督のみ(もしかしたら採点もあるか?)。セメスター2は、実習のサポート2コマ、あと生理学のレクチャーが。。

卒研
と、セメスター1の教育義務が一段落、と思ったら、今度は学部4年生の卒研?の割り当てが数日前に発表され、実験1人、論文調査3人割り当てられた。。。

2ヶ月くらい前に、project descriptorなる1ページの計画書をアップせよ、と言われ、学部生の研究だからと結構好き勝手に考えて計画書をいくつかアップ。希望者は少ないだろう、と思ってたら、無謀な学生さんたちがいてた。。

割り当て発表直後から、さっそく学生さんから連絡が立て続けに入り、来週、会ってプロジェクトを話し合うことに。。卒研だから、過剰な期待はNGなんだろうけど、割り当てられたリソース内でプロジェクトをカスタマイズ可能だから、できるだけ両者に利益をもたらすような方向に持っていきたいところ。

MRC
さらに忙しくなるな、と思っていたところに6月にアプライしてたMRCグラントのレフリーコメントが戻ってきた。。。

今回は5人からボコボコにされる。。。

BBSRCの時のように、フィードバックにはいくつかの項目があり、しっかりしたフィードバックが書かれていて、最後に6段階評価があった。それだけ見ると、かなりキビシメ。。。

論争の残ってるテーマで申請したから、レフリーの一人は完全に逆の立場で、完全否定的なコメントをいただく。なかなかエキサイティング。

他の人たちは、提案そのもののダメだしはないけど、多くの人からpreliminary dataの少なさを指摘された。

11月4日までに3ページ以内のリスポンスレターを提出することになっているので、先日のBBSRCの失敗を参考にベストを尽くして討ち死にしたいところ。

それにしても、BBSRCといい、MRCといい、なかなか良い勉強になった。グラント申請というのは、アイデアではなく、それプラスアルファの部分こそがクリティカルというのがよくわかった。良いアイデアなんて、誰でも持ってるわけだから、当り前といえば当り前か。

ちなみに、6月中旬に申請した後の経過としては、まずレフリーに回す前のチェックがあって(たぶん)、レフリーの締切は8月下旬となってる。その後、そのレフリーコメントをもとにshort listが決まるのに2ヶ月ほど(つまり10月下旬)。11月4日までにレスポンスし、それらを元に、11月末の会議で意思決定されるらしい。

半年弱の長丁場。。。

電話
グラスゴーにきてから大きく変わったことの一つは電話する機会が圧倒的に増えたこと。(NJにいた時は皆無だった。。)

今週、3件ばかしテレカンファレンス的なことをやる。

うち2件は、今取り組んでるグラント申請関連で、アメリカにいる共同研究者とのskypeが一件目。2件目は、研究所内の共同研究者と一緒に、グラント申請先の主要人物とテレカンファレンスを行い、質問をしたりする。UKの人たちも、積極的にコンタクトを取ってるから、こういうフロア活動的なことは大事なのだろう。

今回は、共同研究者がいてたから良いけど、一人で、となると、やはり躊躇するな。。。

新歓パーティー
10月からたくさん新しい大学院生が入ってきたということで、同じフロアにいてる人(20人ほど)で新歓パーティーが開催される。speed dating的な企画が設けられていて、この1年間話たことがなかった人とも少し話をすることができ、なかなか楽しかった。


チュートリアル、電話、パーティーなどなどと、英語で話す時間が圧倒的に増えていて、最近、英語で話すことに対するコンプレックスが減ってきてる。というか、開き直りに近い度胸みたいなものがついてきた気はする。

日本を離れて6年半でようやく。。。
NJ時代、いかに英語上達を怠っていたかを痛感中。。

2011年10月16日

格差社会 何が問題なのか


格差社会―何が問題なのか (岩波新書)

たまたまタイムリーなタイミングで読んだ。

この本は、2006年に出版された橘木俊詔氏による啓蒙書。
日本における格差社会の現状と原因、そしてその将来について非常にコンパクトにまとめられている。

OECDが発表したデータなどをもとに、欧米先進国と日本を比較しながら、日本はすでにアメリカ的な「低福祉・低負担の国」だということを力説。いくつかの具体例も挙げながら、現状を改善するための政策も提案している。

この手の話、僕は全然ナイーブなので、第一章でいきなりテクニカルな話が出たときは、途中で挫折するだろうと思った。けど、もう少し読み進めてみると、マスコミでも度々話題になる諸問題にメスが入れられ、非常に興味深い議論に引き込まれ、一気に読めた。

お薦め。

あとがきにあるように、著者は
・機会の平等・不平等
・結果の平等・不平等
・効率性と公平性の関係
・政府の役割
・企業と人々の意識と行動の変化
が、格差社会を議論する上で重要だとし、これらに基づいたトピックが比較的わかりやすく扱われている。

2006年の本なので、リーマンショック後の今となっては、やや「絵に描いたモチ」的な部分もあるのかもしれないが、基本的な知識を身につける上では非常に役立った。

この本を読むと、格差社会の問題は、最適解を導き出すのが難しい問題を複数同時に扱う複雑な問題だというのがホントによくわかる。最終的に日本はどういう方向を目指すかは、政治の判断によるところが大きいのだろうけど、今もしデモをするなら、政治を動かすくらいのデモをしておかないと、数十年後、格差のさらなる拡大が顕在化してからでは手遅れなのだろう。一方で、デモをする前には、この本を読むか、それに相当する情報を得て、何が問題か絞り込んだ上で、デモのターゲットを決めた方が良いのかもしれない。とにかく、格差社会の問題は、非常に不都合な現実だと思う。

2011年10月8日

チュートリアル、大学院生、KE


今週からチュートリアルの担当がスタート。

レクチャーのように少し説明する必要もあるかと思ってたら、基本的には学生さんに問題を解かせ、進捗を確認し、個別質問に答える、という形式だった。家庭教師以上、塾講以下という感じ。ということで、準備は楽。

ただ、登録生徒数が100人強で4グループに分かれているので、毎週4コマ分チュートリアルを繰り返すことに。1コマ1.5時間だから、週6時間の拘束。チュートリアルそのものは楽しいけど、もう少し知的に刺激的なものだとより良いのだが。。ちなみに、生徒の大多数は白人で、白人グループ、マイノリティーグループと、類は友を呼ぶ的な仲良しグループが形成されていた。。。

---
昨日金曜日には、大学院生のinductionイベントが開催され、研究所のPhDコースの概要がわかった。今頃。

3年後にthesisを提出しPhDを取るのが最終目標なのはよい。その他に、genericなスキル(コミュニケーションスキル、時間管理などなど)を身に付けるコースもあって、15単位取ることが義務付けられているもよう。集中講義的なものが5単位で、しっかりしたコースが20単位だったと思う。なので、15単位取ること自体はそれほど負担ではなさそう。

それから、thesisは、最後に一気に書き上げるというより、3年かけて少しずつ仕上げさせようというスタイルみたいで、年2回くらいペーパーワークを提出して、進捗を確認するプロセスがある。

何となく、3年で終わるPhD専門学校、という感じで、日本ともアメリカとも違うなぁ、と思った。PhD過剰生産の問題はUKでもあるわけで、今回のイベントに参加していた40人くらいいてた学生さんたちは、PhD取得後の明確なイメージを持ってきているのか、少し心配になった。

これに関していうと、アカデミアにどっぷり、企業へ就職、という二つのオプションだけでなく、その間のオプションも実際にあることを最近になって学ぶ。

knowledge exchange(KE)といって、いわゆる産学連携を促進するためのポストにPhD取得者が従事し、アカデミアと企業との橋渡しをしようとしている。こういうポストは今すごく大事だし、特に景気が良くない間は間違いなく需要は高まっていくだろう。その意味では、genericなスキルの習得とアカデミアの現場の両方をしっかり3年間で身に付けるのは悪くはない。が、あらかじめ目的意識を持って3年間過ごさないと、どれも中途半端、ということになるリスクもありそう。。KEと言っても、それなりに特別な才能が要求されそう。

そのKEに関連して、昨日、コラボをスタートしてるベンチャー企業の人たちがラボを見学。その後、研究所内のKE関連職の人と簡単なミーティングを。研究所に、そういう産学連携を促進するためのグラントがあり、それにアプライしようということになった。少額だけど、これをきっかけに、大きな外部資金を当て、長期的なコラボに発展させよ、という意図があるもよう。こういう機会は今まで想像すらしてこなかったから、いろいろ勉強になる。

---
最後に、今週他界したSteve Jobs。彼の完璧主義、コミュニケーションスキル、それから独創的なものを生むだけでなく、それをトレンドにしていく能力は、研究をやってる人間もあこがれる。こんなすごい人と同時期に生きられた自分は幸せ者。

Stay hungry. Stary foolish.

2011年10月2日

予想、光速、火


予想
今年の生理・医学賞は、山中教授が最有力とか。今年だけは、前倒しで良いから、できるだけ多くの日本人がノーベル賞を受賞して欲しい。今年はゲノムプロジェクトの記念年だったと思うし、こっちも有力か?こういう予想は今まで当てたことはない。。それにしても、中村修二教授の青色LEDって、今、多くの神経科学者もお世話になってるわけだから、すごいインパクト。

光速
ニュートリノ、光速超え?という記事の盛り上がり。思考実験としてタイムマシーンを考えるなんて夢があって楽しい。けど、どれくらいの物理学者がまともに受け取っているのか興味がある(マスコミが騒いでるだけという気も)。おそらく反証実験するなら相当のお金と年月がかかるんだろう。宇宙からのニュートリノをとらえた時の話が、今回の批判として非常に説得力があると思ったし、すでに反証データがあることにならないんだろうか。

むしろ、LHCのヒッグス粒子の検証実験の結果が、ぼちぼち本格的に出だすらしいから、おそらく焦点は、ニュートリノのスピードより、その結果が白か黒かわかった後の方なんだろう。素人だからいい加減な推測だけど。物理もエキサイティング。


Kindle fire。コンテンツという点で、アマゾンの充実ぶりはすばらしいから、US版のアグレッシブな価格設定はそれなりに納得。デバイスよりコンテンツ販売で儲けようという戦略なんだろう。他の企業にとってはメチャクチャハードルが上がったんではないのだろうか。

UKでは、fireの販売時期は明らかにされていない上、普通のkindleでさえ為替相場を考えるとやや割高。appleもそう。UKでガジェットを買う時、損をする勘定になることが多い。

それにしても、2年半前に買ったkindle 2は、まだ現役バリバリなのに、もはや化石扱いされそう。。。あの時は400ドルもしたのに、新しいのは79ドルでデザインもシンプルで悪くない。。。もう元は取った気はするけど、なんか悔しい。。

とにかく、fireでは、カラーなどの付加価値(-バッテリー時間)によって体験がどれくらい変わるのか興味があるところ。クリスマス頃には発売するんだろうか。とにかく買い。

2011年10月1日

visibility


今週2つトークをし、来週からついにティーチングがスタート。


トーク一つ目は火曜日。

今、大学ではticなる新しい建物のことで盛り上がっていて、それに関連したワークショップが今週立て続けに開催された。そのうち一つが神経科学関連だった。

そのticは、いわゆる産学連携を目的としたセンターで、エネルギー、光学、医療工学などの研究分野で企業とのコラボレーションを積極的に進めていくことを目的としている。スコットランド政府からの後押しもあって、かなりの額の投資をこれから数年していくらしい。

エネルギー関連では、学長スコティッシュパワーとのつながりもあったり、大学自体、風力発電の研究で強かったり、スコットランドは2020年までにrenewableエネルギーで80%の電力をまかなうということになっていたりと、いろんな環境が整っているらしい。

それはともかく、火曜日の神経科学のワークショップでは、各製薬会社の人たちや、産学連携を推進している人がトークしたりという内容。で、なぜか僕もトーク。。。建前上は、大学からspin-outしたベンチャー企業の人たちとコラボを始めたから、ということらしい。自分でも浮いてるなぁ、と思いながらトークした。。。

製薬会社の人たちからは、今の超厳しい状況がよく伝わってきたけど、Lillyは賢い企業だなぁ、と思った。どれくらいお金に結びつくか未知数だけど、新しいビジネスモデルに結びついていくかも。心の健康は市場としてメチャクチャ大きいわけだから、そこへリスク承知で果敢にチャレンジする企業は応援したい。

僕のトークでは、製薬会社関連の人たちがオーディエンスというのはわかっていたから、うちのラボの技術をどう応用できるか話してみた。背伸びをして。

トーク後のネットワーキングイベントで、何人かわざわざ話をしにきてくれたから、少しは興味を持ってもらったのだろう。こういうビジネスサイドの人と接するチャンスは今まで皆無だったから良い体験になった。あとはこれがコラボなんかにつながっていけばいいんだろうけど、その辺はまだまだ難しいか。

他には、政府系グラントの担当者もきていて、少し話ができた。こうやってネットワークを地道に広げていかないといかん。

そのネットワーキングイベントを途中で抜け出し、グラスゴー空港>ヒースロー経由でオックスフォードへ。夜10時ごろに着いて、翌日のAutumn Schoolでトーク。

その秋学校はオックスフォードが主催していて、一部はEUや中東からも学生が参加する学生向け認知神経科学関係イベント。僕の参加した日は「The Noisy Brain」というテーマで、このトピックに関連する研究者が8人呼ばれてトーク。ちょうどシンポジウムみたいな感じ。僕みたいな若手(?)から、ケンブリッジ・UCLの大御所まで。

緊張するかと思ったけど、意外と普通に話せた。
他の人たちのトークも面白く、えらく楽しめた。

一通りイベントが終わった後、講師陣で近くのバーへ。そして19時半から大学でディナー。そのディナーは、秋学校全体のディナーだったからかなりの人たちがいてた。教会みたいなホールに長テーブル














が3列あって、そこに座ってディナーコース。ハリーポッターの映画のように。

ディナーでは、この日の講師陣で一緒に座って、いろいろ話をして盛り上がり、そのあとさらにバーへ行って11時過ぎまで呑んだ。えらく良い体験ができた。

UKにきて、visibilityをどう上げていくか、というのは大きな壁だなぁ、と思っていたから、まだ論文が出る前にこうやって呼んでもらえ、ネットワークを広げるチャンスをもらえたのはホントにありがたい。

翌日、午前の飛行機でグラスゴーへ。
が、週前半に長女からもらったウィルスなんだろう、木・金と体調が優れず、昨日は悪寒がするから4時ごろ早退して熱を測ったら38.5度あった。。。長女はまだ風邪が完治してないから、今日の日本語学校はお休み。

来週からついにティーチングがスタート。

セメスター1は、チュートリアルを週2日で1ヶ月担当。週2といっても、生徒数が多いから全く同じチュートリアルを2日連続で担当するらしい。。。セメスター2では、ちょっと増えて、解剖実習のサポート役的な仕事に加え、レクチャーを3,4コマ担当することに。内容がエキサイティングとは言い難いので、まず教える方が如何にモチベーションを上げるかが大事だな。。

さて、どうなることか。

2011年9月25日

原発のウソ


原発のウソ (扶桑社新書)

小出裕章氏による本。嫁さんが帰国中に買ってきたので読んでみた。

この本は、今年6月に出版されている。
なので、その時点での福島第一の話も盛り込まれ、原発に関わるネガティブな側面が満載されている。

センシティブなトピックなので、この本を読んだ後の感想は人によってかなり違うのではないだろうか。例えば、一方では、マスコミなどでは書かれてこなかった情報満載、と歓迎する人も大勢いるだろう。他方では、バイアスがかかりすぎていて受け入れられない、と思う人もいるだろう。この本に書かれていることをどう自分の考えに取り入れるかは、読んだ人それぞれに委ねられている。

この本の編集過程に興味があるが、少なくともこの本では、僕は後者の立場を取りたくなった。もちろん、知らなかった側面を知る・原発の最大リスクを評価するという意味ではこの本はすばらしいし、最大限支持したい。ただ、情報の伝え方は非科学的だ。

科学では、二つの対立する意見があって、その結論がわからない問題を議論する時、両者の主張をできるだけフェアに触れながら議論を展開しないといけない。特に、両極端の意見が存在する場合、それは重要になる。

が、この本ではその配慮が若干欠けている印象を持った。本を一般向けにわかりやすくするため、敢えてそういう戦略を取ったのなら、それはそれでわかる。が、僕個人としてはそのような戦略は、アンフェアで受け入れられない。

また、主張の展開に若干問題を感じる部分があった。
例えば、原発は海をあたためる、すべての原発をすぐに止めて大丈夫、といった部分に関する記載は、根拠・ロジックに飛躍があるように思った。

実際の原発事故で深刻になるのは、ガンのリスクだけでなく、心理的な側面もある。チェルノブイリの事故では、その心理的な部分が大きく現れていると聞く(それ自体がウソかどうか判断するスベを僕は持ち合わせてはいないが)。しかも、その心理的な部分は、ガンより先に現れるだろう。

この点において、この本は不要に不安・パニックをあおっている印象を持った。もしそうなら、この本は負の効果をもたらすリスクさえある、と言えなくもない。

もちろん、原発の問題は科学・非科学云々を超えた問題だと思うから、できるだけ多くの人がここに書かれている意見をできるだけ早く知る必要はある。実際事故が発生したら、最大リスクを評価しながら行動した方が良いとも思う。

が同時に、しっかりした知識を持っている人たちが、バランスの取れた議論をして、それをオープンにして欲しいとも思う。

2011年9月24日

新学期直前


新学期直前は、仕事量が異常に増える。

---
研究所シンポジウム

先週、研究所で毎年恒例らしいシンポジウムが開催される。
うちの研究所は、PIが80人くらいいる大所帯なので、こういう企画は研究所でどんな研究が行われているか把握するのに非常にありがたい。

形式は、5つあるグループの各リーダーが、グループの研究内容などを手短に紹介した後、グループから一人ずつ15分のトーク。学生さんやポスドクはポスター発表。ポスター発表者全員、「ポスター・フラッシュ」なる1枚のスライドを使って2分でポスターの内容を宣伝する機会もあった。

神経科学グループは午後に発表があり、僕がトーク。

しこんでたネタは一応ウケたけど、分野が違う人たちの興味をそそるようなトークをするのは難しい。多くの人はピンときてなかったかも。。

それはともかく、ポスター・フラッシュの企画が非常に良くて、学生のプレゼン能力の差が歴然としていた。

最終的に賞を獲得した学生さんのプレゼンは文句なしのでき。たった1枚のスライドにメッセージはもちろん、ジョークも入れて、トークの運び方もメチャクチャうまかった。すごい才能。

---
Research Away Day

翌日は、Research Away Dayという企画で、PIだけが集まって、来るべきREFにどう備えていくか話し合うイベントが開催される。ようは、如何に良い論文を出して、お金を集めるか、というとこを細かく話し合うイベント。こういう企画を一日使ってやる必要があるかわからないけど、REFに対するアウェアネスを上げるという意味では意味があるのかもしれない。

---
大学院生

今月から大学院生が新加入し、実験を教えたり、プロジェクトのディスカッションをしたり。これは時間のかかるプロセスだけど結構楽しい。

一応、方針としては、PhDを取った後どうしたいか確認した上で、3つのキーワードを与えてプロジェクトを考えてもらうことに。すでに走り出している「プロジェクトA」をやって欲しい、みたいな気持ちもなくはないけど、PhDを取るまでの3年間モチベーションを維持するのは大変だから、自分自身でプロジェクトを考えてもらってアカウンタビリティーをそれなりに持ってもらった方が良いのかなぁ、という意図。

キーワードを与えているから、ラボの方向性から逸脱するリスクも少ないだろうという楽観的予測。プロジェクト、大まかなアウトラインは決まってきたか。

あと気付いたことは、「日本人学生・ポスドクが、日本人PIの海外ラボへ行くと英語が上達しない」とよく言われるが、逆の立場でもしかりだなぁ、ということ。

つまり、日本人以外の学生さんと働く場合、英語で頻繁にコミュニケーションすることになり、英語使用率が上がる。ポスドクとして海外ラボに行った時は、英語話せなくても何とかなった(?)けど、学生さんを相手にすると、こちらが話す機会が圧倒的に増える。なので英語でしっかり考えなどを伝えられないといけない(今、伝わっているかはともかく)。その意味で、ラボ環境の国際化は僕自身の英語力向上という意味でも良い印象。

---
ロンドン

今週火曜日はロンドンへ。日帰り。

朝4時半起き7時頃の飛行機でロンドン入りし、10時半からのイベントに参加。そのイベントは、グラント関連のイベント。帰りは18時半発の飛行機でグラスゴーへ戻ってきて、いつもと同じ時間帯に就寝。

今回、EasyJetを使ってみた。
悪くない。

EasyJetは格安航空会社で、チケットに座席番号がないと思ったら早い者勝ちという仕組み。
ゲートにはかなり早くから列ができていた。speedy boardingなる仕組みを利用して追加料金を払えば、先に搭乗可能。席的にはいわゆるビジネスクラス的な場所に座れることになる(と言ってもシートはみんな平等でエコノミー)。

機内サービス(新聞や飲み物類)はすべて有料。ただ、British Airwaysよりチケット代が相当安いし、British Airwaysは高い金を払ってもサービスがひどかったりするから、EasyJetで十分。

おそらく多くの人がそう思っているのだろう。先日発表されたEasyJetのパフォーマンスは市場予想を上回って、他の株が暴落してるのとは裏腹に株価大幅アップしたもよう。

ちなみに今回は、行きはGatwick、帰りはStanstedを利用。
両方ともそれなりの大きさで、ロンドン中心へのアクセスもしっかりしていて便利だった。

---
トーク2つ

来週火・水と二日連続でトークが控えている。

火曜日は学内イベント(また)。

ただ今回は、これまでのイベントとは趣きが違い、企業関連の人たちが参加するイベントらしい。いわゆる産学連携を促進する企画。研究資金源として、やはり企業は外せない存在になりつつあるようだし、時代的に企業との連携はますます要求されていくから、しっかり宣伝しないといけない。

水曜日はオックスフォード。大学院生向けのオータムンスクールが開催されるらしく、その講師を務めることに。非常に光栄なこと。

今、visibilityは限りなくゼロに近いから、こういう機会は非常にありがたい。

そしてその次の週から、いよいよ週一でティーチング(チュートリアル)がスタートと、なかなか大変なことになってきた。マルチタスクがさらに要求されていく。

2011年9月11日

パスポート更新、タックス・リターン、クレジットカード


パスポート更新

10年有効パスポートの期限がそろそろ切れるので更新。
エディンバラ総領事のページを確認し、エディンバラまで行って申請。

持参したのは以下のアイテム
・パスポート
・写真
・UK自動車免許
・戸籍謄本

写真はデジカメで自作。
戸籍謄本は、嫁さんたちが一時帰国中に取得してきてもらった。特に、この10年で戸籍が変わったので、戸籍謄本は海外申請でも必須だったと思われる。

申請書は総領事の窓口でもらい記入。要・実家住所。

事務の人に書類などをチェックしてもらい、急ぎでなければ1週間後に116ポンド持参して取りに来い、と言われその日は終わり。15分くらい。

2週間後に再び総領事へ。

パスポートの記載事項を確認、受領確認みたいな書類にサインし、116ポンド払い、新旧両方のパスポートを受け取る。10分弱。

基本的にストレスフリーで楽チン。ただ、グラスゴー・エディンバラ間を平日に2往復するのはお金と時間という点でちとイタい。

---
タックス・リターン

UKでは、自分でタックスリターンのペーパーワークをする必要ないみたいで、数週間前、2通の手紙がHM Revenue & Customsから届いた。一通目は、タックスリターンの案内。二通目は、チェック。

昨年途中の8月から働きだし、フルにタックスを払い続けた(源泉徴収)から、だいぶ払いすぎてたみたいで、その分戻ってきた。

届いたチェックを銀行にデポジットするだけで、タックスリターンの手続き終了。自分で何もする必要がなかった。すばらしく簡単にお金を取り戻せた。

---
クレジットカード

タックスリターンのチェックをデポジットしたら、担当者にクレジットカード無審査で発行できるけどどう?と言われ、発行手続きを行った。

UKに1年住んで、クレジットカードを持ちたいと思っていたところだった。けど、これまでオンラインでアマゾンなどのクレジットカードを申請しようとすると、必ず前住所を入力する必要があり、そこで申請を中断していた。というのは、アメリカの元住所を入力しようとしても、書式が対応しておらずエラーが出て先に進めなくなったから。。

窓口で申請するとその辺は問題ないということで、お願いすることに(相手からオファーしてきたから、審査もなし)。

申請後、2段階で手紙が届いた。

まず、申請から1週間後にパスコードの書かれた手紙。それから数日後にカード。電話でカードナンバーなどを入力してactivate。電話は自動音声案内。

現時点で家購入は考えてないけど、クレジットスコアを良くする努力はしておいた方が良いのだろう。

エディンバラ観光(2回目)



スコットランド観光シリーズ第三週。先週末、日帰りでエディンバラへ。

Royal Mileの両端のスポットである、The Palace of Holyroodhouseとエディンバラ城(また)を観光。

The Palace of Holyroodhouseは、ロイヤル・ファミリーが利用してる宮殿。ただ、キッズ連れには若干キビシメの観光スポットだった。音声ガイドが入場料に含まれているのだけれども、各部屋なりスポットのガイドを聴いている間に、子供たちが早く動きたがり、最後までガイドを聴けない。。。けど、観光スポットとしては確かに外せないスポットの一つだなぁ、と思った。

エディンバラ城はすでに訪問済み。 エディンバラは趣きがあって良い街。

West Scotland旅行


スコットランド観光シリーズ第二週。8月26日夕方から8月28日までウェスト・コーストへ旅行。

Fort William
Mallaig
Isle of Skye
が主な目的地。

Fort Williamへ向かう途中のGlencoeIsle of Skyeは、これぞスコットランド、という自然が広がり、Fort William-Mallaig間を走る蒸気機関車Jacobite号も非常にレアな体験ができた。






(復路だけたまたま晴れた。) 本来なら、あと1,2日くらい時間があるともう少しゆっくり観光できそうだったけど、数時間のドライブ圏内だからまた行ってみたい。

スコットランド旅行では、食事でそれほどストレスを感じることもないのでそれも良い。

2011年9月4日

スターリング観光


8月中旬、家族が日本から戻ってきて、義母もグラスゴーに短期滞在中ということで、3週連続でスコットランド観光。

その1週目の2週間前、スターリングへ日帰り観光。

スターリング城ウォレス・モニュメントへ。
スターリングは、グラスゴーから車で1時間弱の手ごろな距離にある街で、スコットランド独立とも縁の深い古都らしい。

スターリング城
wikipedia
丘の上にそびえたつお城。

城壁と一部の建物は非常に歴史を感じさせる。建築という点でも結構気合が入っているらしく、城の壁に各キャラクターの石造?がたくさんとりつけてあったりと、見ごたえアリ。

が、Great Hallという城内の建物は比較的最近建て替えたみたいで外壁の塗装があまりにもモダンで、ちと違和感アリ。けど、見所たくさんありで、キッズがいても数時間は過ごせた。

エディンバラ城と同じくスコットランド史を知っていたらもっと楽しめそうだった。要勉強。
ちなみに、有料駐車場があり、駐車スペースはやや少なめ。

ウォレス・モニュメント
wikipedia
スターリング城からも見える丘にそびえたつモニュメント。スターリング城からは車で10分ほどか。

William Wallaceをたたえて建てられた塔らしい。William Wallaceは、13・14世紀スコットランド独立戦争の英雄。映画Braveheartでメルギブソンが演じている。(映画観たはずだけど完全に忘れた。。。)
そのモニュメントは丘に上にあり、丘のふもとに無料駐車場ときれいなビジターセンターがあり、そこでをチケットを購入。シャトルバスで登っても良いし、徒歩で登ってもよし。

我々はもちろんシャトルバスを利用。

モニュメント内、とにかく階段を登る。

モニュメント上からはスターリング周辺を一望できる。風が強く、遠くに見える風力発電のタービンたちは勢い良く電力をうみだしていた。

日帰りだったので、2箇所しか観なかったけど、スターリングはなかなか趣きのある町だった。

2011年8月21日

ゾンビタウン

今、グラスゴーの一部がフィラデルフィアになってます。

8月15日から、グラスゴーのジョージスクエア周辺がWorld War Zなる来年末公開予定ブラッド・ピット主演の映画ロケに使われている。ロケは31日まで。

市の情報はこちら

連日、何かしらのニュース記事がここここここここ、といった具合で出て、ジョージスクエア周辺はちょっとしたお祭りの雰囲気。

いつも以上に多くの人がいて、みんな写真を撮ったりしている。

ジョージスクエアのウェブカムが普段からあって、今はちょうどロケ現場ということになっている。(20秒おき更新だから、なんのことかわかりにくいけど)

YouTubeにもこんな感じでニュース映像がアップされていたりする。

---
7月上旬だったか、研究所内メーリングリストに”zombie seriously”なるメールがまわってきた。所長から(seriously)。

その添付ファイルを見ると、ハリウッド映画撮影のため、ジョージスクエア(グラスゴーの中心的な広場)周辺の道路が約2週間に渡って大規模な交通規制の対象となる、とあった。

そして、15日からロケ開始。
大学のある丘を降りたら、そこがロケ現場、という状況に。

映画上の設定はフィラデルフィア。

グラスゴーのグリッド上の道路、建物の雰囲気がフィラデルフィアに似てる、というのがロケ地としての選考理由らしい。

曇がちな天気がゾンビタウンとしてぴったりとか、市から映画制作会社にお金が渡ったとか、ではないもよう。

ちなみに、新聞上では、今回のロケは、2Mポンドの経済効果があるとされている。

フィラデルフィアという設定上、細かい部分も変更する必要があるわけで、数日のうちに、道路標識から信号、街頭にある市街地マップまでアメリカ化された。普段の町並みが変わったから結構楽しい。

市役所周辺にはイエローキャブやらフィラデルフィアの市バス、消防車、さらにはSWATチームの車まで配置されている。その中にはなぜか、なつかしNJ州ナンバーの車やマンハッタンでよく見たMTAのバスまで置いてあったりする。

そういった車たちは、船でわざわざ運んできたもよう。メチャ金かけてる。。。

しかも、カースタントでその一部の車を壊してたりしている。
映画上では、今となっては当り前のスケールの映像でも、実際は結構お金をかけてるんだなぁ、と実感。

主演はブラピらしく、ロンドンから電車貸切で家族とグラスゴー入りし、連日スイート宿泊とか。。(アホか)

ちなみに、そのWorld War Z、wikipediaをちょっと見てみると、世界を舞台にしたゾンビとの闘い、というホラーらしい。映画は来年末公開。

大ヒット間違いなしか。グラスゴーでは。

2011年8月14日

BBSRC結果

1月にアプライしたBBSRCグラントの返事が月曜日に戻ってきて、resubmission OKのreject、という結果。つまり、獲得金額ゼロ。

過去の関連エントリーはこちらこちら

割としっかりしたフィードバックが戻ってきて、ここ・ここを直してresubmissionせよ、だからと言って次通す保証はないし、とあった。

フィードバックの内容は、細かい部分が多く、いかにもUKらしい指摘も。相当細かい部分まで見られ、穴を指摘されたおしたな、という印象。反省。。。

政府系グラントは、想像以上に細部に注意して仕上げないといけない(当り前か)。申請時、これこれを買うからこれだけくれ、と細かく計算し、さらにそのjustificationも必要だったけど、もっともっと入念に考えて、この申請内容と買う物品類をもって確実に成果を挙げれることを、コミッティーに納得させれないと駄目。とすると、申請内容は、相当予測的なものである必要があるから、予備データなどもしっかり揃ってる状況でアプライするのがベストだったのだろう。。。

それから、サポート期間は最長3年だから、ambitiousなものより、テーマとお金という点で、よりフォーカスしたものが好まれる印象。このあたりのバランスは、おそらく過去の業績との相関性を見られるのだろうから、自己分析というのも大事なのだろう。

次につながる点としては、提案そのものに対する駄目ダシはなく、技術的な部分は評価してくれ、BBSRCのmeritの一つだと評価してくれていたこと(飴と鞭なんだろうが)。

とにかく、失敗から学ばないといけない。次ラウンドの締切は10月上旬。何とか対応して、次こそはゲットしたいところ。

が、もしもそれがうまくいったとしても、結果がわかるのは来春。。。

コンスタントに出し続けるのが大事なんだろうな。

イングランド暴動

先週末から始まったイングランドの暴動について。

事の発端は、gangの一員だったとされるMark Dugganという黒人が警官に射殺されたこと。だから、根本原因はと言われたら、UKのgangカルチャーと人種問題なのだろう。

ただ今回は、Black Berryやらソーシャルメディアの威力で、数日でイングランドの広範囲で暴動が拡散、しかもgangとは全く関係ないナイーブな若者まで加わって規模が大きくなった。

BBCに暴動拡散マップがあるけど、木曜日以降、暴動は起ってないようで、昨日プレミアリーグも無事開幕した。

それから、UK外ではあまり報じられていないであろう良いニュースとしては、暴動清掃キャンペーン(riot cleanup campaign)が、暴動直後から始まって、文字通り善良な市民たちがデッキブラシを持参し、街をきれいにしていた。この中には、もちろん黒人の人たちも、子供も参加してたもよう。こういうのを見ると、この国はもう少し頑張れそうだな、と思う。

しかし、すごい一週間だった。。。

Gangカルチャー
UKのgangのことは全然知らなかったけど、wikipediaにエントリーがある。

日本で言ったら暴力団に近いようなちょっと違うような、という感じか。とにかく、銃やらドラッグやらと結びつく反社会的集団みたい。

ローカルな話だと、やはりグラスゴーにもたくさんgangさんたちがいらっしゃるもよう。。。こわ。。。

原因
暴動の原因は諸説唱えられていて、おそらく暴動に加わった人たちが多様だから、原因も多様なのだろう(サイエンスみたい)。原因の各オプションは、wikipediaBBCの記事に挙げられている。

最近の政策で若者の閉塞感が増してる、というのは確かにそうなんだろうけど、個人的には、これは一部の大人の解釈であって、今回の暴動とexplicitな関係はないように感じている。例えば、gangの人たちと大学のtuition feeが来年から大幅アップするとかいった最近のことが今回の暴動の直接的引き金になったとはやや考えにくい。

一方、人種問題はUKでも根深いみたいで、10年周期くらいで暴動が発生している。人種問題という点では、アメリカなんかでも似た規模の暴動が起るリスクはあるんだろう。しかもウェポンが絡みそう。。。

黒人が白人警官に撃たれたといったニュースはアメリカでも数年前あったし、その黒人がもしもgangの一員で、gangを怒らせ、警官がなめられたりしたら、今回のようになる。

テクノロジー
個人的にすごいと思ったのはテクノロジー。

暴動とクリーンアップキャンペーンも、テクノロジーのおかげで一気に広がった。

スマートフォンやらソーシャルメディアで情報拡散スピード・範囲が、数年前には考えられなかったくらい早く・広くなっていて、暴動に関しては、警察がそのテクノロジーの変化に対応しきれていないのが表面化したように思う。

とにかく、テクノロジー発展のネガティブサイドとして、犯罪が同時多発的に起りやすくなって、しかも群をなしやすくなってる。

これからは、そんなネガティブ情報拡散を防ぐテクノロジーが注目を浴びるだろうし、サービスを提供する会社もそれを防ぐ責任が伴っていくように思う。

これは3・11の時でも同じように感じたから、ソーシャルメディアというすごいポテンシャルを秘めたテクノロジーに「社会」としてうまく適応していかないといけない。

雑感
労働党党首のEd Milibandさんが、暴動・フォンハッキング・財政問題との関係についてコメントした、と新聞記事があった。一件、強引なこじつけの様にも見えるけど、僕はこれは一理あると思う。

多くの人が目先の利益に走りすぎ、モラルみたいな、ちょっと考えて行動する傾向が減ってる。若者だけでなく大人も、UKだけでなくいろんな国で。ここ数年、将来の不確実性は増すばかりのように思うから、目先のことに焦点が向きがち。

環境変化が早いとそれに適応するのに精一杯で、将来予測どころではなくなる。けど、おそらく普遍的なものもあるのだろうから、それをしっかり見極めて意思決定していかないと、単に振り回されるだけの人生になってしまう。暴動に衝動的に加わり犯罪歴のついた若者たちのように。

2011年8月7日

リソースとしての電力

日本の電力不足がもたらしている研究へのインパクトについて、サイエンスが記事を掲載している。日本国内にいればもっと詳しい情報があるのだろうけど、この短い記事だけからでも、深刻な様子が伝わってくる。

この記事の最後にもあるけど、このまま原発が5月までにすべて止まって、来年の夏になったらどうなるんだろう。

一部の研究はもう諦めざるを得ない状況になるのではないか。なぜなら原発の替わりになるものが短期間で出てくるとは思えないから。電力というリソースがものをいう研究はもうできない。

今は円高だから化石燃料を安く買えるのだろうけど、円安にシフトしてきたら電気代としてしわ寄せがきて、お金というリソースも減る(これは個人の生活レベルでもインパクトがある)。

電力を使いそうな研究は不確定だからといって、人も集まらなくなる。

それでも研究費のある範囲で研究を続けるのはありだけど、競争が激しい分野だと、少ないリソースで独自性を出すのは極めて困難な状況になる。

トヨタの社長が日本でのものづくりの限界を感じはじめているといっていたけど、一部の研究分野はその状況なのかもしれない。しかも、簡単に研究場所をシフトするわけにはいかない。

来年夏、電力供給量がホントに不足し始めたら、電力会社は本気で計画停電に踏み切るだろうから、電力にそこまで依存していない分野も影響を受け出し、生産性が低下する(リスクがある)。

そんな中から日本独自の何かがまた生まれてくると期待はしたいけど、それはそれで不確実かつ大きなリスクの伴う選択だというのは確か。このジレンマは何とかならないものか。。。

一年

グラスゴー生活がスタートして早いもので1年経過。

まず仕事関連。
各種ペーパーワークを片付け3つ小グラントを当てたりとポジティブな側面もあったけど、やっぱり大きなグラントにはまだ壁があったり、肝心のプロジェクトもまだまだ。とにかく次の一年は、結果をもっと意識していかないといけませんです。それから、ティーチングなる得体の知れないものがボチボチ。時間管理能力がますます問われそう。

全体的には、今まで体験したことのないことをいろいろ体験することになって、大変な部分もあったけど、基本的には自発的にものごとを始める・やるということが増えたか。その点で、モチベーションコントロールはやりやすい。ただその分、責任というものも増えてるんだろうなぁ、という気も強まっている。

ラボのミッションというものを度々意識するようにしてきたけど、基本的にブレなかったのは一応評価して良いか。これからは、次のレベルのことをもっともっと意識すべきなんだろう。

---
プライベートでも、いろんな変化目白押しだったけど、基本的に周りの人たちが親切なのに非常に助けられた感が強い。全体としては、気候にさえ慣れてしまえば、非常に住み易いところだと思う。

各論としては、例えば会社(電力会社とかいったその手の類)。いろんな会社とやり取りする時、もちろん日本ほど良い対応はないけど、アメリカよりはましかな、という感じ(約束は大抵守ってくれる一方、それ以上を期待するのはNG、と言うと的を得ているか)。BTはひどい。。。けど、フォローは悪くはなかった。

食事に関しては、NJ州だとお金さえ出せば日本食材が手に入ったけど、グラスゴーでは若干限りあり。一方で、普通のスーパーで売ってる食材は、米国滞在中に行ってたレベルのスーパーよりは品質管理をしてくれてる。レストランは市街にいろいろありそう。ただ、次女がもう少し大きくなってくれるまではやはりキビシメ。

気候。気温は年間を通して、涼しいから寒いのレンジで落ち着いている。暑い、と思った日はいまだ一日もない。。。汗をかく、ということがない。。。雨はよく降るけど、激しくふるケースは比較的レア。気温も降水量も変化が少ない。一方、逆説的だけど、24時間以内の天気は激動。風はよくふく。だから風力発電が盛んなのだろう。

それから、人は良いのだけれども、喫煙率が高いのは最大のネガティブ要因。バス通勤になって、バス停で待っていると大抵間接喫煙になってしまう。脳梗塞の率が高めだったりするのは、おそらくこの辺の超不健康生活習慣とリンクしているのだろう。

そのバス通勤を研究関連から補足すると、バス通勤は非常に良い。毎朝、バスに乗って市街地まで行く時間は論文を読み込むのにちょうど良く、しかも朝一番頭がスッキリしてる時間帯だから問題を考えるのにとても良い。論文を溜め込むことがなくなったのがこの一年での最大の変化の一つかも。

と、そんなグラスゴー生活一年。

2011年7月24日

大ニュース続々

この一週間は、なでしこジャパンのW杯優勝で始まり、ウィークデーはphone hacking続編、週末はノルウェーの事件、中国の高速鉄道の事故、アメリカデフォルト危機(マジ版)、とインパクトの強いニュースが目白押しだった。

ノルウェーの事件、金曜夕方前、爆弾テロのbreaking newsに釘付けになっていたら、銃撃事件の知らせが飛び込んできた。今回もTwitterとBBCが良い情報源になった。当初、イスラム過激派絡みだろうという憶測だったけど、結局、極右翼の国内レベルのテロらしいと。少し違うけど、オウム事件を思い出した。テロというと、アルカイダとかイスラム過激派が枕言葉になってたけど、人はクレイジーになるといつでも・どこでもとんでもないことをやらかす。今回も、犯人は事前にそれらしい情報をウェブに流していたみたいだから、こういう悲劇を防ぐテクノロジーをもっともっと洗練させていってほしい。

反政府の人間が多くの人命を奪う一方で、他方では政府・国家レベルのシステムエラーが人命を奪う。。。中国の鉄道、故障が連発した直後の大惨事だから、なかなかすごい。中国における人命の価値、とはどういうものなんだろう。。。中国はここ最近、どんどん原発を作ってるけど、大丈夫なんだろうかと心配になった。黄砂のように放射能が日本に大飛来することは想像したくない。世界中の多くの人たちが中国には一目置き始めてるわけだから、欠陥コピーばかり量産するのはもうやめて、もう少し足元を固めながらしっかり発展していかないと、数十年・百年というスケールで見ると、中国はまたこけるだろう。

アメリカのデフォルト危機。win-loseをお互い意識した結果、lose-loseになるというのはこういうことを言うのだろうか、と思った。ただ、Republican的にはデフォルトが起ると、中間選挙でオバマさんを辞めさせられて、自分たちの候補を大統領にできるだろうから、立場的には彼らが強いのかもしれない(経済という点では、それどころではないことが起ると思うんだが)。Republicanからの大統領なんか、それこそ世も末という気がする。。。科学技術という点では、Republicanがアメリカを牛耳りだすと、研究費を大幅に削る。アメリカの研究力が低迷すると、サイエンス全体が低迷する。ライフサイエンスが低迷すると、治る病気が治らなくなってそれで困る人たちがさらに増え続ける。オバマさんにはぜひ頑張って欲しい。

一方、英国はphone hackingでスタック中。。。財政危機の順番が回ってくるのは時間の問題だというのに、政治家が揚足をとり、足を引っ張り合うのはどの国も同じ。。。

スコットランドのGDPの成長率は0.1%くらいしかなかったらしく、SNPは独立とか無謀なこと言ってないで足元をしっかり見て欲しい。そのスコットランドの、しかもグラスゴーでは、16-64歳でqualification(大卒のこと?)を持ってない人の割合がUK内ワースト・トップクラスらしい。一方、エディンバラは良く、スコットランド2大都市で大きな格差があるもよう。グラスゴーは経済規模という点ではエディンバラより大きいのに、この数字。この問題は、非常に根の深い問題なのではないか。ちなみに、今住んでいるEast Renfreshireを調べてみたら、エディンバラ地区と同等だった。だからどう、というわけではないのだけれども、子供のことを考えると少し希望を持てたし、昨年の今頃、NJにいながら、嫁さんと一緒に教育水準をいろいろ調査して住む場所を決めた判断は間違ってはなかったのかな、と思った。それにしても、グラスゴーの北東地区、ウワサではいろいろ聞いていたけど、ホントにまずい。。。

なでしこジャパンの試合は、一部始終観戦。スコッチを呑みながら一人でえらく盛り上がる。。。オリンピック予選ではすごいプレッシャーだろうけど、つぶれず頑張って、また日本人にパワーを与えて欲しい。日本を離れて以来、「日本人の誇り」というのをいろんな場面で意識する機会が増えたけど、やっぱりスポーツのそれは特別のものがある。特に松井がワールドシリーズでMVPになった時と、今回。もちろん、自分は単に試合を見てただけだけど、あの感情的なものは非常に独特の感覚がある。論文アクセプトの通知を受けた時よりも、感情的な高揚は大きいのは、どうかしているのだろうか。。。ちなみに、僕はこれまで女子サッカーのことは一切注目したことがなかった口だけれど、女子サッカーは良いと思った。BBCの中継では、イングランドの主将がゲスト出演してて、結構美人だったし、アメリカにも日本にも華のある選手が数人いてた(Soloは性格悪そうだからNG)。今回のドイツ大会は、メディアの扱いという点でも、過去最高らしいから、日本はもちろんのこと、女子サッカーの注目度が全世界的にこれから少しずつ高まっていくんだろう。もちろん、迫力と歴史という点で男子を上回ることはないだろうけど、試合展開では、今回の決勝みたいなことはあるわけで、みんな十分盛り上がれて、美味しいお酒が呑めたりする。おそらくビジネスという点でもいろいろ魅力的なスポーツなんではないか?ということで、娘二人が日本から戻ってきたら、サッカーやらせても面白いかも?とミーハーな人間としては本気で思ったりした。スコットランドでも、サッカーをやらせるチャンスはいろいろありそうだし。。。

最後に、仕事の方では、問題が解決したと思ったら、また次の問題が発生したりと、頭痛の種が減る気配なし。。。一方、8月から来る大学院生と一緒に始める新規プロジェクトの準備の準備がほぼ整ったので、今週か来週、仕込み実験ができそうな雰囲気。

Shilla

昨日、グラスゴー市街にあるShillaなる韓国料理屋へ。

場所は、市中心から少しだけ西に離れたところ。店内は20席くらいで比較的こじんまりとしていた。雰囲気は非常にカジュアル。

娘がいつも通ってる日本語補習校の知り合いの方とご一緒させていただく。

メニューは、もちろん韓国料理がメインで、Sushiもあった。

キムチチゲ、カルビ、スシを注文。(カルビとスシはシェア)

各品、それなりのボリュームで、味もなかなか良かった。キムチチゲと言えば、Fort Leeの豆腐屋を思い出すけど、さすがにあのレベルではなく、カルビも肉が薄かった(ハサミ不要)。

スシは、ネタがやはり限られている印象はあったけど、なかなかいけた。

料金は二人でかなり食べて50ポンド強。(車だったのでノン・アルコール)
おそらく、家族4人で行った時よりたくさん注文したかもしれないので、値段的にはリーズナブルと言えばそうか。

店員は感じの良いアジア系の人で、お客さんの半分はアジア人だった。グラスゴー大が近いから、グラスゴー大に通ってるアジア人かな、という感じの若い人たちだった。

予約は必須のようで、基本的にお店は満席だった。

店の前の通りは、夕方以降、路駐タダでアクセスという点でも悪くない。

エディンバラにもお店(本店?)があり、ホームページもあって気合が入っている。メニューも基本的には同じ印象。

ちなみに、その食事をご一緒させていただいた方からビジネスサイドの貴重な話を聞け、話もいろいろ盛り上がり、19時に入店し22時過ぎまで長居。

良い外食となった。

2011年7月17日

短期的問題

ここ数週間、英国の新聞はフォン・ハッキングの話ばかり。1週間くらい前から政治まで絡んで騒動は大きくなっていく一方。この辺の陰の部分、全然詳しくないけど、倫理観が麻痺してるとしか思えない。随分昔から日常的に当り前のようにやられていたんだろう。それにしてもひどい。

フォン・ハッキングは英国内では大きな問題といえばそうなんだろうけど、ユーロ圏とアメリカの財政問題はどうなることやら。とにかく、この一週間は注目なのだろう。ユーロ圏に関しては、毎週毎週、山場と言われているように思うのは気のせいか。。。こういうのは、すでにtipping pointを越えた状態なのだろうか。

日本のエネルギー問題。こちらも悪循環。原発の安全性と利便性のトレードオフで意見が真っ二つに分かれ、短期的に重要な意思決定すら遅れに遅れ、その(悪い)影響がいろんなところへ広がっているように思う。

ドイツは脱原発を目指すことにコミットしたけど、それは自国内に原発を持たないだけであって、結局フランスなどから「原発が生み出した電気」を利用していくんだろうから、政治的な騙しでしかない。ある意味、原発リスクは他国民に、という側面もあるように思う。

日本の場合、電力供給を他国に依存できるようにはなっていないんだろうから、事情がえらく違う。日本の場合、これまでの方向を急に180度変えようというわけだから、経済問題や地球温暖化対策など、いろんなことをスクラッチから考え直す必要がある。政治・経済・科学技術などあらゆる側面の情報を集めて意思決定しないといけない。つまりは、すぐに合理的な結論が出せる話ではない。

短期的には原発に頼らざるをえないのだから、政治主導で動かすべき原発は動かして、それから中長期的な問題にもすぐに取り組まないといけない。問題先送り体質はホントいカン(菅)。

それはともかく、家族が日本に帰国してはや3週間。

個人的な短期的問題は、日々の食事。。。
土日に作り置きし、昼の弁当と夕食をすべてまかなうことに成功しています。今のところ。。。

あと一ヶ月、果たして生き延びられるか。。

ちなみに、毎日使用電気・ガス代をチェックし、それなりに節電モードになっていたりもします。8月からの電気料金アップに備えて。。。

2011年7月10日

エディンバラ観光

先週土曜日、エディンバラへ。

知人の論文受理お祝いついでに、エディンバラ観光。

を観光。

エディンバラ城
駆け足で2時間ほど見たけど、非常に見ごたえのある観光スポット。歴史・戦争関連のことは全然知らないけど、もし詳しいなら相当エンジョイできそうな雰囲気。いろんな言語のオーディオガイドがあって、日本語のそれもあった。次行くことがあったら、朝からオーディオガイドを持ってじっくり勉強すると良さそう。

ちなみにこの日は良い天気で暑かった。衛兵さんが何箇所で立ってたけど、暑そうだった。。。

スコッチ・ウィスキー・エキスペリエンス
エディンバラ城より楽しみしてて、期待を裏切らなかった。

エディンバラ城から徒歩数分のとこにある、スコッチ・ウィスキー関連のアトラクションかつショップ。アトラクションツアーは、いくつかコースがあったけど、一番安いシルバー・ツアーへ。

まず二人乗りの乗り物に乗ってシングルモルト製造過程を学べるアトラクション。5分くらいか。
その後、オーディオガイドでウィスキーの熟成過程を簡単に学ぶ。続いて、学生時代たまに行ったカラオケショップのパーティールームのようなところで、若いお兄さんがスコットランド4地区に関してプレゼン。

その4地区とは
1.Lowland
2.Highland
3.Speyside
4.Islay
その4地区の大まかな特徴について、匂いつきカードで学べた。

そして、オーナー自慢のウィスキーコレクション・ショーケースのあるすごい部屋で、試飲。一度は試したかったIslayのスコッチをトライ。確かにスモーキー。。。

その試飲の時、飲み方の作法を教えてくれた。
1.ウィスキーを光にかざし色のチェック
2.グラスをゆすって、ウィスキーの粘性をチェック
3.香りをチェック
4.呑む
特に2は勉強になった。種類によって滴り方が微妙に違うもよう。どの地区がどう滴るのだったか忘れたが。。。

ちなみに、試飲グラスはもらえた。ラベルがなかったのはちと残念だけど、料金に見合った良いアトラクションだった。

ショップにはスコッチ・ウィスキーが50種類くらい並べられていた。去年買ったOban、先日アメリカへ行くときお土産として買ったAberfeldyもあった。

今、うちでスコッチがきれていたので、Highland Parkなるものを購入。今、Wikipediaでみたら、Michael Jacksonさん(いわゆるMJさんではなく、お酒関係で有名なMJさん)曰く、The greatest all-rounder in the world of molt whiskeyらしい。

確かに、typical exampleという味わいかも。。。

話は戻って、観光の後は、盆栽なるジャパニーズレストランへ行って夕食。食事そのものはまずまずだったけど、アルコールの品揃えは貧弱。日本酒を頼んだけど、大関が出来たらさすがに二回目はないな、と思った。グラスゴー・エディンバラで日本酒を呑めるジャパニーズレストランを開拓しないといけない。

店を22時に出て、うちについたのは12時半。グラスゴーの市街も賑わっていて、夜遅くでも全然問題なかった。

2011年6月19日

REF、MRC、夏休み前

もうすぐ今年度も実質終わりということで、この1,2週間、いろんな締切やイベントがたくさん。

まず2週間前の月曜、probationary meeting。
probationary periodや前回のミーティングについてはこちら

最近戻ってきた2010年のレビューをダシに、メンター二人と今後の方針などを15分ほど話す。

そこでも話題になったREFなるものが、その週の水曜日、スタッフミーティングでのメイントピックに。

REFは大学の研究を評価する制度のことで、次は2014年に実施される(書類提出の締切は2013年末)。これに基づいて、政府から大学へのお金の配分が決まる。

なので、REFは、大学の死活問題でもある超重要イベント。

スタッフミーティングで、所長がその「ルール」を説明。

各スタッフは論文と支出金の二つで評価し、他のファクターなども評価して、研究所としての総合点を計算するもよう。

まず論文の評価。
インパクトファクター(IF)に基づいて4カテゴリーに分け採点。
暫定基準では、IF10以上が最高カテゴリー、次はIF5以上。

各カテゴリーに割り当てられる点数は非線形で、最低カテゴリー(確かIF2以下だったと思う)は0点。出すだけ無駄。。。

カテゴリー2が1点。

最高カテゴリー4の点数は10強だったと記憶している。
逆に言えば、神経科学の分野だと、NeuronやNature Neuroscienceに出すのと、いわゆるCNSに出すのは一緒といえばそう。。。(これはこれでおかしいが、その差はグラント獲得といった点に間接的にきいてくるのだろう)

研究所的には、カテゴリー3以上のジャーナルに出せとの御達し。

次の評価対象は使用金額・支出金。
集金能力ではなく、支出能力が評価される。

なので、仮に2013年末に巨額のグラントを当てたとしても、それを使ってなかったら、勘定されない。

とにかく、spend, spend, spendと所長は繰り返してた。もちろん、spendするには集金しないといけないから、悪くない評価法ではある。

他の評価基準は、研究者個人というよりは研究所なり大学の能力を問われそうな項目だったのでここでは省略。

とにかく、IFの高い雑誌に論文を出して、お金を集めて使って高得点を稼ぐ、これが高得点を稼ぐためのルール。

論文は、2013年末までにpublishedになってないといけないらしいので、2013年冒頭までに論文を投稿しないといけない。

---
その週の火曜には、大学内でResearch Dayなるものが開催された。全学対象だったから、ポスターもいろんな発表があった。こうやって、横断的なイベントを開催するのは良い試みだと思った。

---
この一週間、まずMRCのグラント申請。

今回は結構バタバタで申請書を用意することになってしまって、結構穴がたくさんありそうな気がする。ただ、BBSRCの申請からレビュープロセスで学んだ教訓はそれなりには活かしたつもりだけど果たしてどうか。ついでに、中規模のグラントの申請もほぼレディーに。

グラント絡みで言うと、2週間くらい前にウェルカムトラストの結果が公表されてた。
ちょうど僕が今の大学へ来る直前くらいに新制度が導入され、今回その記念すべき一回目の結果が発表された。

採択者を見てたら、なんと元ボスが採択されてた。。。しかもNew Investigatorで。。。

神経科学者が結構当ててるのは良いけど、予想以上に敷居が高い。5,6年で元ボスのレベルを目指すのは、ちと。。。

ということで、ウェルカムトラスト、もちろん目標にはして良いけど、BBSRC、MRC、EPSRC中心でラボを回すのが基本、ということになりそう。

ちなみに一昨日、久々にその元ボスとスカイプ電話。
ウェルカム・トラストは最大7年いけるけど、彼は5年でアプライしてたみたいで、ちと後悔してた。。。あと、ポスドクは高い、ともボヤいていた。。。それにしても、彼はすごい。

---
プライベートネタとしては、今週、長女が通ってるダンス教室の発表会が開催された。
下はプレスクーラー(保育園・幼稚園児)、上は大学生くらいまでが生徒。規模の大きいダンス教室で、バラエティーに富んだ発表会でなかなか楽しめた。

それにしても、うちの子以外はほぼ全員白人だった。。。その分、うちの子は目立ってたな。(ちなみに、学校では同じクラスにアジア系の子が4人くらいいる)

と、今年度もあと一週間で実質終わり。
嫁さんたち家族は来週末帰国。

僕はスコットランドに残って、合宿モードで研究に専念し、この一年間のフラストレーションを解消させます。

2011年5月29日

映画3.5本

渡米時、飛行機で見た映画。

Gran Torino
クリント・イーストウッドの最後(?)の主演映画。
世代と人種の差、そしてそれを超えた絆を描いててなかなか楽しめた。場面設定は、いかにもアメリカ、という感じで、住むところによってはホントにこの映画のようなところもあるだろうからおっかない。グラン・トリーノというアメ車、映画ではたまにしか登場しないけど、この映画のテーマのシンボル。クリント・イーストウッドかっこいい。


Slumdog Millionaire
インドに最近興味が出てきて、アカデミー賞受賞作品だし見てみた。おもろかった。と同時にインドはすごい国だなぁ、と思った。映画では、貧富の共存の様子がよく描かれているように思った。現実はもっとすごいのだろうけど、例えば、普通の観光として行った時、ムンバイの栄えているところや映画でも登場するタージ・マハルは見ても、スラムを一切見なかったしたら、半分しか知らないままということになるか。それはともかく、映画そのものも良かった。

The Company Men
リーマンショックで職を失ったエリート・ビジネスマンたちを描いた作品。トミーリー・ジョーンズやケビン・コスナーといった超一流俳優が登場する二流映画。ストーリーはリアル・ワールドとリンクするはずだけれども、展開がサイテー。。。ケビン・コスナー、役柄上かどうかわからないけど、えらくふけててアグリーになってた。。。

The Bourne Ultimatum
マット・デーモン主演のスパイ映画。途中までしか見れなかった。マット・デーモンの役は、記憶を失って自分が誰か分からないCIAの諜報員。パリが舞台。なかなか面白かったから最後まで見たかった。



2011年5月28日

グラント、ネットワーキング、duty

3週間の出来事をカテゴリーごとに。

グラント関係
・3週間前、大学主催のグラント書きワークショップへ参加。UK政府系のEPSRCBBSRC、欧州のFP7がメインテーマでいろいろ教えてもらう。えらく勉強になった。

・アプライしていたFP7のひとつのレビューコメントが2週間くらい前に戻ってきた。足きりはクリアできたけど、かなりキビシメか。

FP7では、4つのカテゴリーごとにスコアを出して、合計点を計算する評価システムになってた。研究者、研究提案だけでなく、インパクトなどのカテゴリーも差をつける上で大事なもよう。次はその辺もまじめに書かないといけない。。。

・先週金曜日、二つのグラントの返事が戻ってきて、共にゲット!Deafness Research UKとTenovus Scotlandというチャリティー。
二つとも小グラントだけど、ありがたい。とりあえずシステムを拡張できて、新プロジェクトを開始できる。

自分の研究テーマからして、前者のようなチャリティーは、世の中とつながる数少ないリンクだから、それを強くしていくことが今後数年間の課題の一つ。

ネットワーキング
・2週間前、大学内の神経科学関連のイベントでトーク。
ストラスクライドに来てとれたデータを初めて喋った。
15分の持ち時間で、12分くらいで話終わって、質問もいくつかきて、ちょうど15分くらいで終わった。後でクリアだったと言ってもらえたりしたから、悪くなかったはず。

その分、準備はした。15分の10倍以上。。。当面の課題はこの時間を短くしていくこと。本来は
UK内でトークをしてvisibilityを上げていかんといかんけど、これは論文を出してからだろうからまだまだ時間がかかりそう。

ちなみに、そのイベントでは、うちの研究所とバイオエンジニアリングの人たちが主にトークしたけど、100人くらい参加して、成功だったのではないか。

・この一週間はジャネリアのカンファレンスに参加。土曜日、
NJ州に寄って、ラトガーズ時代仲良くしてもらった友人と会う。お互いの近況などを話せて充実のNJ滞在。

カンファレンスは、ストライクゾーンど真ん中のトークばかりで非常に濃かった。新しい知り合いも少しできたし、超有名人と食事を一緒にできたりした。

みんな興味が近いというのもあるけど、僕の論文のことを知ってくれていたり、トークで論文の図を引用してくれたりするとメチャうれしい。

ただ思ったのは、リソースの格差をどう克服するか?ということ。雑草研究者として生き残るのは難しいなぁと改めて痛感。ストライクゾーンに投げ込まれた直球をそのまま強振してたら、絶対駄目。どうするか?

その他大学関連
・試験監督なるものを体験。
でかい会場を歩き回って、質問に答えたり(俺に聞かれても。。)、トイレに連れて行ったり、回答冊子を回収したり。

今回は1,2時間の
dutyで済んだけど、数年後には問題を作って採点もするのかと思うと気重。。。英語のハンドライティングは読めんから、人一倍時間がかかるのは確実。

・そのdutyに関連して、来年度のティーチングdutyの宣告を受ける。。。前期は学部生の実習のチュートリアル、後期はレクチャーの分担と実習サポート。レクチャーは生理学の感覚系の講義を担当するとのこと。確かに研究分野つながりで適任なんだろうが。。。

・2週間くらい前に新研究所長と面談。
その新所長は4月に就任していて、もともと外部から来た人だから、すべてのスタッフと会っては、いろいろ話をしてはきいて、というのが今回の趣旨らしい。実は、新所長、その前までは副学長として大学のストラテジーを確立するのに働いていて、僕のメンター役になってる人。

僕の研究のことは知ってくれているので、組織としてアメリカと比べてどう?ということをきかれた。とりあえず、無駄だと思ってたことを伝えた。無駄なペーパーワークはとにかく減らして、みんなの効率を上げて欲しい。


2011年5月8日

スコットランド独立?

この一週間、bin Laden殺害ニュースの傍ら、選挙の話も盛り上がっている。

昨年連立与党の一角に加わったは良いけど、大して仕事できなかったLiberal Democratに厳しい審判が下され、主張していたAV(alternative voting)に国民がNOと言い切った。

一方、スコットランドでは、SNPことScottish National Partyが躍進しスコットランドの与党へ。おそらく油田なんかを人質にしながら、UKでのスコットランドの存在感を高めるよう要求するのはもちろん、UKから本気で独立するんでは?という話らしい。。(独立はともかく、ユーロ圏に加わるというアイデアはちょっと。。。)

Alex Salmondさん、注目。

そのスコットランド。連休中の天気は異常気象で、良く・暖かった。連休後はtypicalな天気という感じで、4日連続雨。April ShowersならぬMay Showers状態。

日照時間はどんどん長くなって、4,5時台から21,22時台まで明るい。天気が良いと、起きてから寝るまで外が明るい。この時期、電気代という点で家計にやさしい。。。

仕事関連では、今週、ようやく大学院生選考に目処がつき、新しく来るであろう大学院生と金曜日電話でプロジェクトについて少し話を。第一号の大学院生なので、こちらとしても非常に頑張りたいところです。on goingのプロジェクトは、SfNのアブスト締切に向けてデータ解析モード。とりあえず、発表はできそうな雰囲気か。6月末締のMRCのプロポーザルなどの書き物も同時進行中という状況。

最後に浜岡原発停止要請について。

賛否両論あるのだろうけど、最悪のケースと経済への短期的ダメージを比較したら、やはり今停止させてからしっかり安全性の議論をした方が良いのだろう。また原発事故が起って、放射能が関東地方へ流れるようなことは想像すらしたくない。。。

よくわからないのは、1000ガルという耐震性。強いように聞こえるけど、実際地震が起らないとどれくらい揺れるかわからなさそうだから、柏崎くらいの事故が起るのはlikelyな気がする。それにしっかり備えているのかよく知らない。とにかく、もし中部電力が要請に従わないなら、徹底した情報・データ開示で国民を納得させないといけない。

2011年5月7日

COSHH

COSHHとはThe Control of Substances Hazardous to Healthの略。危険物取扱いの一種。

2週間ほど前の連休の合間、そのCOSHHに関する講習会があって参加。リスク・アセスメント講習の化学・生物系マテリアル編。

UKでは、危険な試薬等(ドクロマークやら×マークやら火マークがついてるやつ)を扱う場合、しっかりリスク・アセスメントして、それを文書として記録し、それをラボに置くよう義務付けられている。

今回の講習会では、そのリスク・アセスメントの概要・手順などを説明してくれた。

その中で「リスク・コントロールの階層」なるものが登場し、リスク・コントロール10項目の優先順位の話が出てきた。いろんな場面で応用できるのかなぁと思った。

以下がその「階層」:
1.elimination
ようは、危険物は使わない、ということ。
危険な試薬は使わない。
原発なら、作らない。
生肉なら、食べない・売らない。
個人情報なら、ウェブサービスに一切登録しない・登録させない、サービスそのものをしない。
自動車事故なら、自動車をなくす・運転しない。
油料理による火事のリスク評価なら、油料理をしない。
ハードディスク破損のリスク評価なら、ハードディスクを使用しない。
PhD後の人生についてリスク評価するなら、そもそも大学院には進学しない。。。
そういうことか。
極端な発想ではあるけど、リスク要因を根絶できるならそれが手っ取り早い、ということ。

一方、安全だとわかっているものに代替できないか、ということも考えるもよう。

2.reduction
削減。低濃度のものを扱う。
原発なら、数を最小限に。
生肉なら、信頼できる店だけ(もしあれば)で食べる。一度に食べる量を減らす。
個人情報なら、登録サイトを最小限にする。
そんなところか。

3.engineering controls
装置などを導入してリスクをコントロールする、ということ。例えば、安全キャビネットを設置し、その中で化学・生物系危険物質を取り扱う、ということ。
原発なら、より安全なデザイン、防潮堤設置、耐震性向上、予備電源確保、そんな感じ?

4.general ventilation
これはCOSHHに特化してそうなのでパス。

5.good housekeeping
危険物を取り扱う場所のハウスキーピング。
原発なら、もろもろの設備の定期点検?
生肉を取り扱うなら、常に清潔な環境にしておくとかそんな感じか。

6.reducing time of exposure
危険物取り扱い時間の削減。
原発なら、稼働時間の削減?
個人情報なら、サービスを利用しなくなったら即情報を削除する、とか、新製品の発表会なんて待ってないで、ハッカーの攻撃が判明した時点で速やかに公表するとかも検討して良いか?

7.training
訓練。
事故を起こさないように、取り扱い者の教育・訓練を徹底する、ということ。
生肉なら、感染を最小限にするよう取扱者に徹底する、そんな感じか。

8.welfare facilities
ここでは、例えば手洗い場を設置して、取扱い後に手を清潔にして、危険物質が体内に入るのを防ぐ、とかそういうことだと思う。
生肉を扱うなら、手洗い・消毒を小まめにできるように設備を整える、そんな感じ?

9.PPE
personal protection equipmentの略だったと思う。これはマスクやラボ・コートやグラブなどのこと。
自転車に乗るなら、ヘルメットをかぶる、そんな感じか。

10.health surveillance
取扱者の定期的な健康診断。
これは事後審査的なものだから、優先度最低というのは納得。
PhD取得者に進路状況を確認し、今後の役に立てる、その類のリスク・コントロール。

以上、10項目。
このランキングがどこまで絶対的なものかは議論の余地があるとは思う。実際、講習会でも少し議論になった。けど、項目としては悪くないし、大まかな優先度は当たっているように思う。リスクに対して、こうしてシステマティックに評価するのはなかなか合理的な発想かなぁと思った。

講習会中、他に出てきたトピックとしては、リスクの数値化。
1.事故の程度
2.事故の起りやすさ
という二つのファクターで考え、それぞれ5段階評価し、リスクはその掛け算として数値化するらしい(掛け算はいかがなものか、とは思うが)。

1について。
原発の場合、かなりsevere。だから最大評価のレベル5。
PhD取得後のリスク評価の場合、ある意味生活・人生に直結するからsevereと言えなくはないけど、原発ほどではないか。レベル3か4くらい?

事故の程度は、何を扱っているか理解していれば、そこそこ客観的な判定ができる気はする。ただ、「即死」をレベル5とするなら、原発より自動車事故の方がリスクの程度は大きいと言えなくもない。結構、難しい。。。

さらに問題は2の判断。

原発なら、地震や津波の確率などを考慮にいれるのだろう。けど、経験・知識に依存する部分もあるから、客観的に評価するのは難しい。例えば、原発へのテロの確率なんてどう勘定したら良いんだ。。。自然災害の予測で完全なものはおそらくありえない。

より実際的な問題としては、大学院生が危険物質をラボで扱う場合、大学院生が違えば事故の起りやすさは違ってくる。

リスク評価は文脈に依存する。

日本やアメリカでもこういう発想はあったのだろうけど、そういう話を聞いたことがなかったし(覚えてないだけかもしれない)、時期が時期だけに、なるほど、と思いながら参加した講習会だった。

2011年5月1日

Whitelee

先週末、Whitelee windfarmへ。
グラスゴー南部にある風力発電所で、欧州最大らしい(wikipedia)。

実は、自宅から車で10分少々の距離にある。イースターイベントが開催されてたので行ってみた。

そこには、100基以上の風車(ウィンド・タービン)があり、敷地の西側にビジターセンターがある。広大な敷地を利用していて、そのビジターセンターからすべての風車は見えないくらい。

ビジターセンターは大きくはないけど、きれいで入場無料でミニ展示もあった。エネルギー関連の展示、風力発電所開発中の映像、そして風力発電に関するディベートなどの展示があった。

確かに、風力発電所には立地が重要なファクターなのだろう。風がコンスタントに吹くだけでなく、それなりのスペースがいる。そのスペースはやはりもともと人が住んでないところだから、自然を破壊しないといけない。実際、この風力発電所の開発中には、一部の木々をなぎ倒してスペースを確保している。

一方、一旦できた後は、一応ではあるけど、レンジャーさんたちがビジターにその土地の自然環境を啓蒙するように配置されていた。自家用車はビジターセンターの駐車場までしか乗り入れられず、敷地内は徒歩・自転車・ガイドツアー用電気バスしか入れない。それなりに環境への配慮はされていた。

景観に関しては、ビジターセンターから見れる範囲では、環境破壊の程度は割りと少ないように思った。巨大なウィンド・タービンがたくさん並んでくるくる回っている景観は、人工的とはいえ、それほど悪いものではないかな、というのが僕の印象。

ビジターセンターは多くの観光客で賑わっていて、週末のサイクリングとして訪れているグループも目立った。

---
毎週のようにイベントが開催されているようで、その日はイースターイベントだった。

レンジャーさんが、キッズ用のイベントを開催してくれ(無料)、エッグレース、エッグハント、フェイスペイントなどを楽しめた。うちの娘たちには、エネルギーのことを考えるのはまだまだ早いけど、こうやって家族を対象にしたイベントを頻繁に開催してくれるのは良いのではないか。普通のブリティッシュアクセントも聞こえてきたから、もしかしたら、連休を利用して、イングランドからスコットランドまでの観光で訪れた人たちもいたのかもしれない。

---
震災後、エネルギーのことを少しは考えたけど、やはり原発という選択肢を外すのはあまり現実的ではないのだろう。今回のことをきっかけに他のオプションも積極的に考えないと、原発反対だけではいけない。風力発電はやはり有力な候補の一つになるんだろう。Whiteleeを訪れて思ったのは、立地がすごく重要なファクターなんだろうということ。

風がコンスタントに吹く場所として、丘なり山なり高台は候補の一つか。けど、山なんかに作ると、木がたくさん生えているだろうから、木々をなぎ倒すという自然への負担は大きい(木々の間にウィンドタービンを設置しても、風は吹かない)。

あと、場所あたりの発電量は少なそうだから、敷地面積を相当確保しないといけない。それだけ自然への負担になる。

Whiteleeの場合、もともと草原的な敷地が多い印象だった。高台・風が吹く・草原、そんな条件が良い感じで揃ってる雰囲気だった。

高台以外の候補としては、海岸周辺か。実際、海水中にタービンを沈めて波の力で電力を作るというオプションもあるらしい。けど、海だけに技術的なコストとか高い気がする。

とにかく、エネルギー問題、まずは使用量削減が最優先されるべき。だけど、地球にも人にも優しい手段もいろいろ考えないといけない。温暖化ガスが問題なんだったら、それをエネルギーに換えるような技術開発にはどんどん投資して欲しい。

2011年4月24日

グラント申請:レスポンス編

この1ヶ月半、研究関連では、プロジェクトライセンスが正式に発行され、申請していたグラントにいくつか進展あり。

まず一つはリジェクト。。。
お金のリクエスト部分の問題が主な理由だったもよう。次回に活かそう。

他には、2つからレフリーのコメントが戻ってきて、それぞれにリスポンスする機会を与えられた。

うち1つでは、二人のレフリーは基本的に好意的だった。リスポンスでは、追加プロジェクトのsuggestionにどう対応するか?というのがポイントだった。研究所内でコラボしてクリアできそうだったので、同僚に相談してコラボの約束を取り付けレスポンスレターを送った。5月中には結果がわかるはず。

もう一つはBBSRC。

二人のレフリーのうち、一人は好意的、もう一人がやっかいで、とりあえず申請案のポイントを再強調してお茶を濁す。。。感触として、ボーダーからボーダー以下という感じか。厳しめ。結果は6月中旬ごろ。

それにしても、こうやってレフリーからフィードバックをもらえるのは非常に良い。実際、プロジェクト開始直後だったり、開始直前だから、今プロからフィードバックをもらえると早いうちに軌道修正できる。

研究関連、他にもいろいろあったけど、メジャーなところはそんなところか。

---
プライベート関連でもいろいろあって、まず長女が6歳の誕生日を迎え、日本語補習校の卒園式・入学式を迎えた。

誕生日では、近くの施設を借りてクラスの子達を招待してパーティーをした。クラスのほとんどの子が参加してくれ、娘はみんなから誕生日プレゼントをもらっていた。。。(ちと、もらいすぎ)

一方で、実家の父親の前立腺がんが発覚。近年、日本でも増えているらしい。幸い、手術は無事に終わって元気に退院したもよう。

---
ちなみに、UKでは、震災関連の新聞報道はここ数週間1,2記事/日に。

一方、the big day関連の記事が増えてきている。個人的には、Royal Weddingはあまり興味ないけど、これから1週間、さらに盛り上がるのだろう。こういう時代だからこそ、おめでたい話で盛り上がるのは良いこと。

娘の通う学校では、4月前半は春休みで、イースターがこの週末、来週末はthe big day関連でまた休み。ということで、ゴールデン・ウィークどころかゴールデン・マンスになってる。今月の登校日10日もない。。。共働きのところは非常に大変な月になっているのではないか。

---
しばらくエントリーをアップしなかったことについて。

震災後しばらくは、ブログもtwitterも発信する気が起らなかった。twitterもRTばかり。普段からろくな情報をアップしてないことを改めて自覚した。

ブログは4月から再開しようと思っていたら、今度は自宅の電話回線・ブロードバンドが不通に。。。3週間くらいBTに振り回され、今週ようやく復旧(BTサイテー)。

と、この1ヵ月半いろんことがあって、思うこともたくさんあるけれど、とにかく、仕事を頑張るしかない。日本人の一人として。